第147回国会 予算委員会 第10号
平成十二年三月十三日(月曜日)
午前十時開会
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委員の異動
三月十日
辞任 補欠選任
木村 仁君 加納 時男君
世耕 弘成君 尾辻 秀久君
緒方 靖夫君 小池 晃君
須藤美也子君 岩佐 恵美君
福島 瑞穂君 清水 澄子君
鶴保 庸介君 高橋 令則君
三月十三日
辞任 補欠選任
福本 潤一君 山本 保君
橋本 敦君 宮本 岳志君
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出席者は左のとおり。
委員長 倉田 寛之君
理 事
竹山 裕君
長谷川道郎君
保坂 三蔵君
溝手 顕正君
伊藤 基隆君
峰崎 直樹君
荒木 清寛君
笠井 亮君
照屋 寛徳君
委 員
市川 一朗君
尾辻 秀久君
大野つや子君
加納 時男君
釜本 邦茂君
岸 宏一君
北岡 秀二君
久野 恒一君
国井 正幸君
鴻池 祥肇君
斉藤 滋宣君
谷川 秀善君
中島 眞人君
浅尾慶一郎君
木俣 佳丈君
久保 亘君
櫻井 充君
竹村 泰子君
直嶋 正行君
堀 利和君
本田 良一君
益田 洋介君
松 あきら君
山本 保君
岩佐 恵美君
小池 晃君
宮本 岳志君
清水 澄子君
三重野栄子君
入澤 肇君
高橋 令則君
堂本 暁子君
松岡滿壽男君
佐藤 道夫君
国務大臣
法務大臣 臼井日出男君
外務大臣 河野 洋平君
大蔵大臣 宮澤 喜一君
文部大臣
国務大臣
(科学技術庁長
官) 中曽根弘文君
厚生大臣 丹羽 雄哉君
農林水産大臣 玉沢徳一郎君
通商産業大臣 深谷 隆司君
運輸大臣 二階 俊博君
郵政大臣 八代 英太君
労働大臣 牧野 隆守君
建設大臣 中山 正暉君
自治大臣
国務大臣
(国家公安委員
会委員長) 保利 耕輔君
国務大臣
(内閣官房長官) 青木 幹雄君
国務大臣
(金融再生委員
会委員長) 谷垣 禎一君
国務大臣
(総務庁長官) 続 訓弘君
国務大臣
(防衛庁長官) 瓦 力君
国務大臣
(経済企画庁長
官) 堺屋 太一君
国務大臣
(環境庁長官) 清水嘉与子君
内閣官房副長官
内閣官房副長官 松谷蒼一郎君
政務次官
外務政務次官 山本 一太君
大蔵政務次官 林 芳正君
文部政務次官 河村 建夫君
厚生政務次官 大野由利子君
農林水産政務次
官 金田 勝年君
運輸政務次官 中馬 弘毅君
郵政政務次官 小坂 憲次君
郵政政務次官 前田 正君
建設政務次官 岸田 文雄君
自治政務次官 橘 康太郎君
総務政務次官 持永 和見君
防衛政務次官 依田 智治君
防衛政務次官 西川太一郎君
科学技術政務次
官 斉藤 鉄夫君
事務局側
常任委員会専門
員 宍戸 洋君
政府参考人
内閣官房内閣情
報調査室長 杉田 和博君
警察庁長官 田中 節夫君
警察庁長官官房
審議官 岡田 薫君
環境庁自然保護
局長 松本 省藏君
法務省刑事局長 古田 佑紀君
運輸省鉄道局長 安富 正文君
建設省河川局長 竹村公太郎君
自治省行政局選
挙部長 片木 淳君
参考人
日本銀行総裁 速水 優君
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本日の会議に付した案件
○平成十二年度一般会計予算(内閣提出、衆議院
送付)
○平成十二年度特別会計予算(内閣提出、衆議院
送付)
○平成十二年度政府関係機関予算(内閣提出、衆
議院送付)
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○委員長(倉田寛之君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
平成十二年度総予算三案についての理事会決定事項について御報告いたします。
本日の質疑の割り当て時間は百二十一分とし、各会派への割り当て時間は、自由民主党・自由国民会議二十七分、民主党・新緑風会三十九分、公明党・改革クラブ十一分、日本共産党十六分、社会民主党・護憲連合十二分、自由党五分、参議院の会七分、二院クラブ・自由連合四分とすること、質疑順位につきましてはお手元に配付いたしておりますとおりでございます。
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○委員長(倉田寛之君) 平成十二年度一般会計予算、平成十二年度特別会計予算、平成十二年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。尾辻秀久君。
○尾辻秀久君 私は、鳩山由紀夫民主党代表の五千万円やみ献金疑惑について質問をいたします。
事の発端は、先月の月刊誌「新潮45」に花田敏和氏が手記を寄せたことにあります。そして、鳩山代表と花田氏の告訴合戦になったと承知をいたしております。
まず、この事実関係について伺います。
双方の告訴状は受理されていますか。
○政府参考人(古田佑紀君) お尋ねの件につきましては、本年の二月二十二日、鳩山由紀夫衆議院議員の花田敏和氏に対する名誉毀損罪の告訴状が東京地方検察庁検察官あてに提出されております。
また、同月二十四日、花田敏和氏から鳩山由紀夫議員に対しまして虚偽告訴罪の告訴状が同地方検察庁検察官に提出されております。
この二つの告訴はいずれも受理されていると承知しております。
○尾辻秀久君 そうしますと、確認しておきますが、受理したということは捜査をするということですね。
○政府参考人(古田佑紀君) そのとおりでございます。
○尾辻秀久君 それでは、その中身、内容といいますか、簡単に説明してくれますか。できますか。
○政府参考人(古田佑紀君) まず、鳩山議員から提出されました名誉毀損罪の告訴の事実の要旨は、花田氏が「新潮45」に執筆した手記で、やみ献金とパーティー券購入で合わせて約五千万円を鳩山由紀夫氏に渡した旨の虚偽の事実を記載して鳩山議員の名誉を毀損したとするものでございます。
一方、花田氏の虚偽告訴罪の告訴事実の要旨は、花田氏が手記に書いたことが真実であり、鳩山議員が提出した花田氏に対する名誉毀損罪の告訴は虚偽告訴であるとするものであるというふうに承知しております。
○尾辻秀久君 要するに、花田氏は約五千万円鳩山代表にやみ献金をしたと言っていて、鳩山代表は三百万のパーティー券代はもらったけれども、それ以外は一切もらっていない、こういうふうにお互い言っておるわけでありますから、これはもう明らかにどちらかがうそを言っておるわけであります。
どういう捜査をしますか。
○政府参考人(古田佑紀君) お尋ねにつきましては、個別具体的な事案におきます捜査機関がどのような捜査をするかという活動の内容にかかわる事項でございますので、まことに恐縮ですけれども、お答えは差し控えさせていただきたいと存じます。
しかし、一般論として申し上げれば、不偏不党、厳正公平な立場で捜査をするものと信じております。
○尾辻秀久君 なぜ私が今そんな質問をしたかといいますと、例えば花田氏のかつての会社の経理担当の女性がいるんです。もっと言うと金庫番の女性がいるんです。私は会って話を聞こうと思ったんですが、会えませんでした。私にはそこまで言いませんでしたけれども、あるジャーナリストにはその女性が、警察に聞かれれば話をする、こう言っているんだそうです。何だかんだ言ってもやっぱり日本の警察はまだまだ信頼されておるわけであります。
それから、もう一人、私にとっては残念な話があるんですが、富士銀行赤坂支店の元課長、この人に話を聞けば一番よくわかるだろうと思うんだけれども、残念ながらこの人は服役中なんですね。それで会えない。
私があえてこの二人の話をしたのは、皆さんが動けばこんな人たちから話を聞くのは極めて簡単だと思うんですね。すぐにわかるわけですよ。だから、この際ですから、両方ともしっかり調べてほしいと告訴までしているわけだから、これは皆さん方がその二人の言い分に対してこたえるべきだと思うから、そのことを言っておるわけであります。
念のために尋ねます。政治資金規正法違反、所得税法違反、言うならば脱税ですね、それからあっせん収賄罪、時効は何年ですか。
○政府参考人(古田佑紀君) ちょっと今法定刑を正確に覚えておりませんが、三年以下の懲役、五年以下の懲役、七年以下の懲役とそれぞれ分かれておりまして、五年であったように記憶しております。
○尾辻秀久君 念のため時効を聞いたんですが、私も調べてみたんですね。そして気がついたんですが、手記が事実だとしてもこれは全部時効になっている話なんですね。しかし、それは問題の本質ではないわけであります。一番大きな問題というのは、今問われておるのは政治家のモラルの問題であります。鳩山代表御自身も、先月二十三日の国家基本政策委員会で、今問われているのは道義的な責任ではありませんかと強く迫られました。だからこそ、この問題、これはきっちりクロシロをつけてもらわなきゃいけないわけであります。
そこで、もう一度捜査当局に尋ねます。
手記にも書いてあるんですが、そして花田氏と会うと彼が極めて強調することなんですけれども、富士銀行不正融資事件で調べられたときに、しつこく鳩山議員に金が行っているだろうと検事に迫られた、こう言うんですね。それを突っぱねてかばったのに、後で鳩山代表から冷たい仕打ちを受けたので手記を出したんだ、彼はこう言っておるわけであります。花田氏はこう言っている。それで、もう一人、迷惑がかかるといけませんので名前は言いませんけれども、私に全く同じ話をした人がいるんです。同じ話をした人がいる。
彼らの話は本当なんですかね。答えてください。
○政府参考人(古田佑紀君) お尋ねの点につきましては、捜査機関の捜査活動の内容にかかわることでございますので、答弁は御容赦をお願いしたいと思います。
○尾辻秀久君 では、もう一つ聞きますけれども、銀行の国会内支店の記録を調べたことがありますか。
○政府参考人(古田佑紀君) その点につきましても、また先ほど申し上げましたように、具体的な捜査内容にかかわることですので、答弁は御容赦いただきたいと存じます。
○尾辻秀久君 答える方も難しいんでしょうが、きょうの質問というのは難しいんですよね、私にとっても。情報提供者に迷惑がかからないように質問をしなければならないからであります。したがって、今みたいに禅問答みたいになってしまうわけでありますので、これ以上ここで禅問答しても仕方がありませんからこうした問題について質問することはやめますけれども、今度の問題についてあいまいにすることだけはやめてもらいたい。これ繰り返し申し上げておきます。
うわさなんですけれども、うわさといってもしかるべきところのうわさなんですけれども、これで選挙までは捜査当局は何にもしないだろう、選挙が終わったら何となくあいまいにしてしまうだろう、そういうふうに言われておるわけでありますが、必ずきっちり答えを出す、クロシロつける、後ろからも盛んにそういう声があるわけですから、きっちりシロクロつける、その約束をここでしておいてください。お願いします。
○政府参考人(古田佑紀君) 一般論のお答えになってまことに恐縮でございますが、検察におきましては、どのような事件でございましても真相解明に向けて徹底した捜査を行い、法律と証拠に基づいて適正な事件処理を行うものと信じております。
○尾辻秀久君 約束してもらったんだからそのとおりやってもらいたいと思います。
私もこの問題、できるだけ調べてみました。会うべき人には会い、聞くべき人には聞いたつもりであります。寒さの中、北海道にも行ってきました。今や、当時とは全く関係のない生活をしておる人たち、言うならばお互いの利害もなければ連絡もない人たちが大半なのであります。先ほど言いましたように、中には話すことを拒否した人もいます。この人たちも、私は関係がないとか覚えていないとか言っただけでありまして、手記の事実関係を否定したわけでもないのであります。多くの人が、それはみんな全体を知っているわけじゃありませんから、自分が知っておる部分について言うならば大筋このとおりだと答えたんです。だから、私もこの質問をしておるわけであります。
私も、御本人でもここへおられれば聞きたいことはいっぱいあるわけであります。いろんな話を聞きました。改めてバブル時代というのは狂っていたのかなという思いもいたします。今やけんかをしておられるお二人、すなわち鳩山代表と花田氏が仲よく一本何十万もするブランデーをお飲みになったなんという話も聞きました。しかし、そんな話いろいろ聞きましたけれども、ここで言う話でもないし、また裏づけのない話などというのはしまっておきます。
そこで、鳩山代表御自身や、事務所を含めてですが、事実だと認められておる、御自身方で認めておられると報道されている点が五点あります。
すなわち、一つは、三百万円分のパーティー券を花田氏に買ってもらったということ。二つ目は、刑務所出所後の花田氏と席を設けて会って御苦労をかけましたとあいさつしたということ。三点目が、鳩山代表の公設秘書が花田氏の会社に何度か足を運んでいるということ。四点目は、北海道浦臼町のリゾート開発をめぐり保安林解除を林野庁に働きかけたということ。五点目は、平成二年三月、赤坂の料亭で花田氏や、当時、富士銀行赤坂支店にいて後に不正融資事件の主役として十二年の刑に服すことになる元課長などがいますが、こうしたウラウス開発事業関係者らとの宴席に出たこと。この申し上げた五点は少なくとも御自身方で認められておることであります。
大臣たくさん並んでおられるので、ただひょいと最初のお二人、目にとまってしまったので、大蔵大臣と外務大臣、河野大臣、よろしゅうございましょうか。三百万のパーティー券を買ってくれる後援会の方というのは、大臣の後援会でどんな方でありましょうか。
○国務大臣(河野洋平君) 残念ながら、私の後援者にはおられないと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) そういう人はおりません。
○尾辻秀久君 あえて質問しましたけれども、今のお答えが極めて常識的だと思うんです。ですから、三百万のパーティー券を買ってもらったというそのことをお認めならば、やっぱりもっと御自身、説明をなさるべきだろうというふうに思います。
ここに「新潮45」の記事についてという、これは民主党が出されたペーパーがあるんです。このペーパーの中でも、三百万のパーティー券を買ってもらったということは認めておられます。そして、その関係をわずかな接点をと、こういうふうに書いておられるんですが、まあそれは説明すればいろんな言い方になるんでしょうが、やっぱりこの関係をわずかな接点だと言うと、どうしても三百万はわずかな金と、こういうことになってしまいます。それはまずいだろうというふうに思うわけであります。果たしてわずかな接点なんだろうか。しかも、二点目に申し上げました、刑務所から出てきた後に席を設けて会われて、御苦労をかけましたとおっしゃったということ、これも含めてわずかな接点なんだろうか。あるいは、秘書が何度も会社に行った、これもわずかな接点なんだろうか。やっぱりこれはきっちり説明をしておかれることだと私は思います。
それから、今度のことを調べてみて、保安林解除の持っていた意味というのは、これは極めて大きなものがあったんだということに気づきました。ほとんどあの保安林解除というのは不可能だったんですね。それを、不可能を可能にした、だからあの不正融資事件の舞台の一つが整ったんですよ。不正融資事件の舞台の一つを整えたという意味は極めて重大なものがあると思います。だから、これに対して働きかけたというのをお認めなら、やっぱりこれも説明をなさるべきだろうというふうに思います。
五点目の宴席の問題があります。これは鳩山代表もお出になったということは認めておられます。昨日会ったマスコミの人は、さらにその席で、冗談だったかもしれないけれども金の話も出たような気がするとまで言っておられますよと言っていましたが、これは私は確認をしておりません。ただ、とにかくその席に出られたということは認めておられるわけであります。ただその後、今話したように、どんな話だったのかというのに食い違いがあるわけでありますが、この会合というのは、ここでくどくどは言いませんけれども、極めて大きな意味のある会合なのであります。
私がいろいろ申し上げました、御自身が認めておられることだけでもいろいろ御説明をいただかなきゃならぬことがあります。最初から言っておりますように、事は極めて重大であります。国民の政治不信を助長してはいけないわけであります。ちゃんと真相究明すべきであります。そのために、先ほど来後ろからも声かかっておりますけれども、花田敏和氏、自分も出てくる出てくる、こう言っておるわけでありますから、この人の証人喚問、それから鳩山事務所の、これ、だれに聞いても窓口はこの人だったという人、すなわち秘書の勝場啓二氏、この二人の証人喚問を要求いたしまして、私の質問を終わります。
残りを大野つや子委員に譲りたいと思います。
○委員長(倉田寛之君) ただいまの尾辻秀久君の要求につきましては、後刻その取り扱いを理事会で協議させていただきます。
関連質疑を許します。大野つや子君。
○大野つや子君 大野つや子でございます。
大蔵大臣にお伺いしたいと思います。
本日までも各先生方からさまざまな御質問がございました。二十一世紀を目前に控えた今日、取り組むべき多くの課題がございます。これらはすべて財政と密接に絡んでおります。現状は、景気回復のために多くの国債を発行しており、そのため財政が大変厳しくなっていることは十分承知いたしております。しかしながら、二十一世紀に向けて何とかしなければならないということがこの場でもしばしば議論されております。大蔵大臣は、二十一世紀には財政、税制、国と地方の行財政の再配分を見直していかなければならない、これは二十一世紀の我が国のあり方と密接なものとならざるを得ないとお話をしていらっしゃいました。社会保障についても、給付と負担の調整についても言及されておられます。
これらの点を踏まえました上で、私どもが二十一世紀を迎えるに当たり、課題山積の中での政策展開について大蔵大臣の御所見をお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 小渕内閣発足以来、不況打開のために非常に大きな国債の発行をいたしまして、今我が国は大変大きな債務をしょっておりますことは大野委員の言われるとおりでございます。ほぼ見当はついたと思っておりますが、この御審議いただいております予算まで含めまして大きな債務をしょいまして、これは将来の我が国にとってかなりの負担であることは間違いございません。
ただ、こういう不況打開の中で、この苦しみの中で、私は、我々国民あるいは日本経済が二十一世紀に起こるべき事態に十分、十分と言っては言い過ぎかもしれませんが、かなり備えることができたのではないか。苦しみましたけれども、のんべんだらりとしておったらあるいは二十一世紀というものに対応できなかったかもしれない。そういう苦しみを味わってまいりましたので、この不況を脱出できましたら、我々もう一遍二十一世紀に活躍できる国民であろうというふうに思っております。
その間、財政の負担は非常に大きくなりましたが、二十一世紀になりますと我が国経済社会のかなりたくさんの部分が全く変わってしまうのではないか、いわばさま変わりをするのではないかということを先に走っておりますアメリカを見て思うにつけまして、財政改革だけで事は済まないのでありまして、今、大野議員が言われましたようないろんな、ほとんどあらゆるものについての改革が行われなければならないだろうと思っております。それは、二十一世紀初頭における我が国の新しいあり方になっていく過程であろうと思っております。
しかし、いずれにしても、おっしゃいますように社会保障の問題もございますし、少子高齢化の問題もございます。やはり我が国が正常な成長過程に入って、その中で財政の問題その他の問題もそうでございますが、の解決を図るという以外にないのではないか。決して安易な道とは思っておりませんけれども、しかし、この不況を脱出することによって我が国が二十一世紀というものにもう一遍元気よく活動できる、そういう経験と申しますか、そういう脱皮をすることができるならば、私はできつつあると思っておりますけれども、全体として将来は決して暗くはないというふうに考えております。
○大野つや子君 大臣、ありがとうございました。
政府は大変景気がよくなっているというか、ようやく明かりも差してきたというようなお話をいただいておりますが、そのぬくもりが地方にまではなかなか伝わってきていないのが現状でございます。
私は岐阜県選出でございますが、地元を歩き、商店街やタクシーの運転手さん等の話を聞く限り、景気がよくなっているとの声は聞かれないわけでございます。岐阜県の中心産業でありますアパレル、陶磁器、刃物などの方々とお話をいたしますと、特にそれは顕著でございます。
私は、やはり地方の景気がよくなるためには地場産業の活性が不可欠であると考えております。こうした地場産業育成のために、通産省は地域中小企業支援センターの設置などさまざまな対策を講じておられますが、通産大臣、地方の経済動向、特に中小零細企業への対策を含めて御所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(深谷隆司君) 昨年、臨時国会を中小企業国会と名づけて各般の政策を皆さんの御協力をいただいて立てさせていただきました。そのことで徹底して国民の皆さんにまずわかっていただこう、とりわけ中小企業の皆さんにその政策の中身、またこれを活用していただこうというので、この一月から三月、全国的な大キャンペーン運動をやっているんです。
毎週ここのところ土日には、きのうは仙台でございました、その前は熊本、あるいはその前は富山というぐあいに、私自身も現地に参りまして基調講演をしたりフォーラムでパネラーとして参加したり、その折々、必ず商店街あるいは中小企業の工場などの視察も行っておりますけれども、まだまだ残念ながら大野委員御指摘のように厳しい状態が続いているということをこもごも中小企業の皆さんから聞かされて、胸を痛めているところでございます。
ただ、シンポジウムその他もろもろ開催しておりますと、そういう状態の中でしっかり頑張ろうという意欲を次第に持ち始めてくださっている、そういう状況もありますし、商店街にしましても工場にしましても、本当に斬新的なアイデアでしっかり頑張ろうという、そんな姿が目立ってくるようになってまいりました。
私は、そういう中小企業の活力をしっかり支えていくのが通産行政でなければいけないというふうに思います。特に今、大野委員御指摘の地場産業というのは、何といいましてもその地域の経済を支え、雇用の面でも大きな役割を果たしているわけで、この地場産業を守るということは大変大事なことだと思います。
そこで、これまでも地域産業集積活性化法という法律に基づいて、金融・税制措置あるいは地場産業活性化補助金等の予算措置を通じて、地域における中小企業の技術開発とか販路拡大とか人材育成などの支援を行いながら地場産業の振興に努めてきたところでございます。
また、今度全国に、あらゆるノウハウあるいは御相談に応ずるために、三百カ所の地域支援センターというのをつくることになりました。既にスタートしているところもございます。それから、都道府県センター、さらにナショナルセンターというのを設けて、これらをコンピューター、インターネットで完全に結んで、どういう相談にもその場へ行けばコーディネーターもいるし答えが出てくるような、そんなシステムを今開発し、実践に入っているわけであります。
そういう中で、創業者であるとか小規模企業者であるとかベンチャーであるとか、これらの人材あっせんから販路の計画から資金的な問題から、あらゆることをワンストップサービスで答えられるような、そんな仕組みを今構築中でございます。
いろんな角度から地域産業の活性化のために全力を挙げていくということが私たちの大事な役割だと思っておりまして、大野委員の御心配に少しでも答えが出るようにこれから一層努力を続ける覚悟でございます。
○大野つや子君 大臣、心強い御答弁ありがとうございました。恐れ入ります。
次に、三月一日にも同僚の長谷川先生から経済統計と国民の実感に乖離があるとの御指摘がありましたが、これに関連してお尋ねしたいと思います。
政府の景気観と一般の現場の感覚とが離れていることを私も感じております。そこで、政府は新たに景気ウオッチャー調査を行って、早目の景気判断に役立てようと生の声を取りまとめて発表しておられますが、第一回目の結果についてどのようにごらんになっていらっしゃるでしょうか。
今後、この調査の生かし方についてもお聞かせいただきたいと思っておりますが、経済企画庁長官、お聞かせいただけますでしょうか。
○国務大臣(堺屋太一君) 経済企画庁では、できるだけ経済統計と実感の間を埋めようといろいろ新しい試みを考えておりまして、その一つが委員御指摘のこの景気ウオッチャーという制度でございます。
第一回目はこの一月の下旬に行いまして、現在のところ、五地域各百人の五百人で調査をいたしました。その結果を見ますと、一月末現在の景気状況が、三カ月前、したがいまして十一月ごろになるわけですが、そのころに比べて悪くなったか、よくなったかという質問が一つ。それからもう一つは、これから二、三カ月のうちによくなると思うか、もっと悪くなると思うか、こういう調査でございます。
この調査は、悪くなると言った人を零点、やや悪くなると言う人を〇・二五、変わらないと言う人を〇・五、ややよくなると言う人を〇・七五、そして、よくなると言う人を一・〇、こうやって百人足していくわけですから、五〇になると真ん中、こういう数字になるわけですね、百人で。
それで見ますと、三カ月前に比べて一月末はどうだったかというと、全体では四五・三でございますから、やや悪くなっていると言う人の方が多い。業種別に見ますと、それは消費関連、特に小売とか飲食、サービスの関係でお働きの人が悪くなっているという印象をお持ちでございました。これは、私たちの統計で、年末にボーナスが少なくて小売が悪かった、それからY2Kの関係などで旅行、飲食が悪かった、そういうふうになっております。
それから、よかった方は、企業向けの産業をやっておられる方、それから雇用関係が非常によくて、五八・九になっております。
先生御指摘の地域別で見ますと、実は一番いいのは先生の東海地方でございまして、これだけが五一・八。一番悪いのは、これで見ますと東北地方ということになります。
さて、三カ月後にどういうふうにこれが変わるかというのを見ますと、全体で五一・一でございまして、よくなるだろうと言う人がかなり多かった。特に、企業関連、雇用関連の方では六二%がよくなるだろうと。そして、東海地方は五四・五%の方がよくなるだろうと期待していただいております。
この第二回調査では、関東地方を含めまして六百人にして、間もなく調査がまとまると思いますが、やや改善しているんじゃないかなという期待を持っております。将来はこれを二千人ぐらいにいたしましてもっと十分実感を、働いておられる現場の方々の実感をとっていきたいと考えております。
○大野つや子君 ありがとうございました。
では次に、厚生大臣にお伺いしたいと思います。
急速な少子高齢化社会に対応していくこれからの社会保障についてお伺いしたいと思います。
三月一日の予算委員会で丹羽厚生大臣は、年金、医療、介護などの社会保障に関する費用は年間で六十九兆円、高齢化のピーク時である二〇二五年には二百三十兆円に達すると述べておられます。このように膨らんでいく社会保障は、やはり年金、医療、介護、福祉といった分野をばらばらに考えるのではなく、総合社会保障と申しましょうか、社会保障全体を視野に入れた政策をとることが大事であると思います。総理のもとに有識者会議を設置されたようでございますが、社会保障制度の全体の姿をどのように考えていらっしゃるのでしょうか。
また、政府は二〇〇〇年四月から五カ年の少子化対策を進める新エンゼルプランの全容を昨年十二月十八日に発表されました。少子化の問題はこの社会保障費の担い手の問題に直結するわけですが、少子化の背景には若い人の晩婚化が近年急速に進んでいるという事情があります。
この晩婚化やあるいは結婚に消極的な非婚化についてどのような御見識をお持ちでございましょうか。また、有効な少子化対策をどうお進めになるのかお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 豊かさの中の不安の時代と言われます現在、国民が真に豊かに安心して老後を過ごせるよう、年金、医療、介護そして福祉、こういったさまざまな社会保障制度というものを長期的に安定的なものにしていくことがまず何よりも大切である、このように考えているような次第でございます。
委員御指摘の総理のもとの有識者会議でございますが、二十一世紀におけます社会保障の基本的なあり方につきまして、これまでどちらかというとばらばらに行われていたのではないか、こういうような反省を含めまして総合的に御議論していただく、こういう観点からこれまで二回の会議におきまして、新しい高齢者像であるとかそれから社会保障のあり方について活発な御議論をいただいているところでございます。
私の個人的見解でございますが、少子高齢化が進行する中で、これからは負担と給付のあり方、つまりどこまでいわゆる公的社会保障制度の中において給付サービスを行っていくかというような問題、それから高齢化が進む中で、いわゆる高所得者のお年寄りの方も少なくないわけでございます。こういう方も、これまでは低所得者のお年寄りも高所得者もどちらかというと一律に扱われてきた、こういう問題についてどういうふうに取り扱っていくかということが社会保険方式の中での大きな課題の一つだ、このように認識をいたしておるような次第でございます。
それから、第二点目の少子化についてのお尋ねでございます。
例えば、二十代後半の女性の未婚率はここ十年間、これは昭和六十年から平成七年でございますが、三割から五割に上昇するなど、男女とも晩婚化が進んでおるわけでございます。これはもうあくまでも個人個人の人生観、価値観の問題でございまして、私どもが立ち入る問題でございませんけれども、こうした状況を踏まえまして、私といたしましては、少子化対策の推進に当たりまして、若い男女の方々が働きながらも子供を安心して産み育てることができるような環境づくりの整備を進めることによりまして、家庭や子育てに対する夢や希望が持てる、こういうような社会をつくっていくことが何よりも大切である、このように考えているような次第でございます。
○大野つや子君 ありがとうございました。
今お伺いいたしましたとおり、少子高齢化社会、人口減少社会が我が国の経済成長、社会保障に深刻な影響が予想されているわけでございます。
そこで、関連いたしまして、この晩婚化、非婚化につきまして、いわゆる高学歴化と関係があるのかどうか、あるいは初等中等教育の段階で家庭を持つことの大切さをもっと教えるべきではないのか。教育上の問題点がまたあるのか私にもよくわかりませんが、この点につきまして文部大臣の御見解をいただけないでしょうか。
○国務大臣(中曽根弘文君) 社会が大きく変化をしてきておりますし、また生活も多様化しております。また、今、厚生大臣からお話がありましたけれども、個人の人生観とか価値観も随分変わってまいりまして、そういういろいろなことが影響されて晩婚化やいわゆる非婚化等が進んでいるのではないかと思っております。
少子高齢化につきましては、私ども文部省といたしましては、やはり小中学校段階からこの問題を子供たちにも認識してもらい、そしてこの現状をよくまた学んでもらう、あるいは家族とか家庭の大切さ、役割というものについてもこれを指導することが大切だと、そういうふうに考えております。
小学校におきましては、社会科とかあるいは家庭科などの学習におきまして、この少子高齢化の現状、それから今申し上げましたような家族、家庭の役割、そして道徳の時間におきましても、家族が協力して楽しい家庭をつくるということが大切である、そういうことを指導しているところでございます。また、中学校におきましても、さらに少子高齢化などの現代のいろいろな課題とか問題点、そういうものも指導いたしておりますし、技術・家庭科におきましては今度は幼児との触れ合い、そういうものを通じて、幼児に対する理解、それから家族の役割、また心の安らぎなど、そういう家庭や家族の機能というものを学ぶように指導しているところでございます。
今後とも、この家庭の大切さ、温かさ、あるいは少子高齢化の問題等、小中学校段階から指導していきたいと、そういうふうに思っております。
○大野つや子君 大臣、前向きな御答弁をありがとうございました。
次に、教育基本法の見直しについてお伺いしたいと思います。
私は、昨年もこの場をおかりいたしまして当時の文部大臣に質問をさせていただきました。
昭和二十二年に公布されました現行の教育基本法は、教育の基本理念としてよき日本人を育成するということが明確に書かれておりません。国を愛する健全な心、日本の歴史や伝統の尊重、国民の義務など、現在の子供を取り巻く環境、現状に合わせて見直しが必要なのではないでしょうか。そのように私も思っておりますが、大臣の御認識をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(中曽根弘文君) 小渕内閣におきましても教育立国を掲げまして、この内閣の最重要課題の一つとして教育改革に取り組んでおります。委員御案内のとおり、近々、教育改革国民会議を発足してもらいまして、そこで広く国民各界各層の方の御意見を伺い、教育の根本にまでさかのぼった議論を行おうということでございます。
お話の教育基本法についてでございますけれども、昭和二十二年に制定以来、この基本法の果たしてきた役割は私は大変大きいと思っておりますけれども、今お話がありましたような、よき日本人を育成するという観点が明確に記述されていないというお話でございましたけれども、そういうことや、日本の歴史や伝統等についての記述、あるいは道徳についての記述がないとか、あるいは生涯学習について触れられていないとか、さまざまな御指摘がありまして、そういう点につきまして今後幅広く議論することが非常に大事だと、そういうふうに思っているところでございます。
○大野つや子君 ありがとうございました。
次に、LD児、御存じでしょうか。引き続き文部大臣にお伺いいたしたいと存じます。
平成九年十一月のニューズウイーク誌に、「学べない子供 「学習障害児」をどう支えるか」と題する記事がございました。そこに、学習障害、いわゆるLDの早期発見がその子の将来を決め、適切な指導、教育が与えられない場合に、行動や情緒の問題も起こしやすく、学校を中退する子供も学習障害のない子供の二倍、やがて犯罪に走るケースも少なくないとの記載がございます。
文部省では、学習障害、LDについての定義や背景、見解も示しておられますが、文部行政上認知していることと思います。ただ、アメリカでは、一九六〇年代からLDの研究が進み、LD児に対する公的援助が定められていると聞いております。
我が国においては、LD児に対する教育体制がどのように定められ、どのように行われているのでしょうか。どんな支援体制がなされているのか、国民の多くは知らないと思います。
そこで、文部行政において、LD児教育にどのような具体的な施策をとっておられるのか、今後どのような施策を講じられる御予定があるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○国務大臣(中曽根弘文君) 学習障害児、いわゆるLD児でございますけれども、この学習障害児とは、一般に、全般的な知的発達におくれはないけれども、読み書き等のうち特定のものの習得と使用に著しく困難を示す子供たちを言っております。
このLD児の教育につきましては、文部省といたしましても調査研究協力校を指定しておりまして、指導方法に関する実践的な研究を行うとともに、これらの成果を踏まえて、理解、啓発のパンフレットや指導用冊子を作成、配布したりして指導者のための講習会等も行っているところでございます。私の手元にこういうふうなパンフレットもありますけれども、(資料を示す)こういうものをつくりまして講習会等で広く指導を今しているところでございます。また、この学習障害児に関する調査研究協力者会議、これを平成四年から開催いたしまして、昨年の七月に報告書をまとめたところでございます。
文部省といたしましては、この報告を受けまして、平成十二年度から十五県に委嘱をして、今、学習障害児に対する判断基準等について実証的な研究を行うとともに、教育委員会や各学校に対して専門家の巡回指導を行うこととしております。平成十二年度からでございます。また、国立特殊教育総合研究所におきましても、この指導方法について調査研究を行うこととしておりまして、これらの調査研究を行うことによって学習障害児に対する指導の充実に努めてまいりたいと思っております。
御指摘のように、ニューズウイークにも記事が出ておりましたし、アメリカ等に比べまして大分おくれておりますけれども、今この学習障害児の問題、私ども大変重要と深く認識して、今後この問題に全力で取り組んでいきたいと思っております。
○大野つや子君 大臣、ありがとうございました。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
次に、子ども放送局推進事業についてお伺いしたいと思います。
昨年、平成十一年度より文教予算におきまして、子供の地域活動の振興事業として、衛星通信利用による子ども放送局推進事業が行われております。先ほども触れました新エンゼルプランでは、二〇〇二年から学校が完全週休二日制に移行するのに伴いまして、土曜日に通信衛星を利用した子ども放送局を現在の千三百カ所から五千カ所にふやそうということでございますが、この子ども放送局事業についてその内容の概要を改めてお伺いしたいと思いますが、文部大臣、よろしくお願いいたします。
○国務大臣(中曽根弘文君) この子ども放送局は、平成十四年度から学習指導要領改訂に伴いまして、また学校が完全週五日制になりますけれども、これに向けて策定いたしました全国子どもプランの一環として、お話がありましたような衛星通信を利用して全国の子供たちに夢と希望を与える番組を放送するものでございます。昨年七月から放送を行っております。
この子ども放送局の番組は、学校が休みとなります第二、第四土曜日に、子供たちがお父さん、お母さん方とともに集まることのできる公民館とか図書館とか学校の余裕教室など全国約千三百カ所の受信施設に、国立オリンピック記念青少年総合センターやそれから国立科学博物館から放送されておりまして、また移動中継車も用いて全国各地からの放送も行われております。
番組の中では、一流のスポーツ選手、また第一線で活躍する科学者、技術者などが直接子供たちに語りかけ、夢を持つことのすばらしさ、努力することの大切さなどを伝えるとともに、全国各地で行われているさまざまな自然体験活動の紹介等を行っております。
私も、昨年の十一月でございましたけれども、移動中継車によりまして宇都宮市から音楽の番組について子ども放送局に出させていただきました。子供たちが司会もし、大変にすばらしい番組でございましたし、今申し上げましたように一流のスポーツ選手等にも出ていただくということで、これはつい先日、サミー・ソーサ選手に、土曜日でございますけれども、おとといでございますけれども、アメリカから中継して出ていただいたり、あるいは松坂選手等にも出ていただきました。そういうことで、子供たちみずからがこういう放送番組にかかわって広くこのような活動をやっているわけでございます。
今後も、受信に必要な設備等の整備につきまして補助事業を行いながら充実をさせていきたい、そして子供が放送番組に、子ども放送局により親しんでいくように、活用できるように努めていきたいと思っております。
○大野つや子君 大臣、ありがとうございます。
そういたしますと、子ども放送局、ただいまのお話によりますと著名人などが子供たちに対して語りかけるという、当面、受動的なものと考えてよろしいのでしょうか。
最近の子供たちは、一人でテレビゲームに向かって時間を過ごし、いわゆる子供同士、また子供と大人というコミュニケーションが少なくなってきていると思います。そこで、司会やインタビューだけではなくて、子供たちが中心となって運営していくテレビやラジオ、いわゆるミニFM放送局とかインターネット放送なども使って子供たちに自分の考えや自分の調べたことなどを発信していく、みずからが能動的にコミュニケーションに参加することがより必要ではないかと思います。その方が子供たちの主体性を発揮したり、多くの世代に対して積極的に話しかけていく社会的能力を伸ばしたりすることができるのではないかと思っております。
その点、いかがでございましょうか。これは文部行政のみならず通信行政にもかかわることかと思いますので、両大臣に御答弁をお願いしたいと思います。
○国務大臣(中曽根弘文君) 委員御指摘のとおり、子ども放送局では、子供たちが単に受動的に番組を視聴する、受信するだけではなくて、やはり双方向で送信ができるという衛星通信の特性を大いに活用して、子供たちにも積極的に参加をしていただくということが大事であろうと思っております。
そういうことから、先ほど申し上げましたけれども、移動中継車とかあるいはテレビ会議システムなども利用いたしまして、番組に出演するスポーツ選手などに直接子供たちが質問したりする、語り合えるような双方向型の番組を放送しておるところでございます。
また、番組の企画とか制作に子供たち自身が主体的に取り組んで参加できるようにということで、全国の子供さんたちの中から子ども編集委員を募集いたしまして、応募が随分ございました。そして、そういう子供たちが自分たちで企画した番組も今放送しているところでございます。
今後も、このように双方向、また衛星放送という利点を生かしながら、子供たちが主体的に番組づくりに取り組めるよう努力をしていきたいと思っております。
○国務大臣(八代英太君) 私たちも、これから情報通信時代を迎えますが、子供の教育の中にもインターネットがすべての教室に行き渡るようにということを考えております。
私も、親として子育てをしていますと、子供がじっとテレビを見ていますが、これはもう一方通行の会話でしかないものですから、そういうことを考えていきますと、まさに情操教育の面からもこれからますます双方向のインターネットのようなものが大切になっていくだろうと思います。
また、今、文部省、中曽根大臣の方から一つの子ども放送局のお話が出ましたけれども、今度は子供自身がつくっていくためには、ミニFM放送のようなものを各学校単位でやっているようなところもございます。あるいは放送クラブのようなものをつくって、ラジオの時代から、みずからテレビで撮影をして編集をして校内放送するというようなやり方も出てまいりましょう。
しかし、今度はこれがインターネットになってまいりますから、学校と家庭を結ぶ、子供同士が意見の交換をし合う、しかもそれに映像を加えてコミュニケーションが図られていくという方向が間違いなくこれからの教育情報化の時代には新たな情報リテラシー、読み書きそろばんという形でだんだん育っていくだろうと、このように思っておりまして、私たちもそういう意味では子供たちのメディアにかかわっていく能力の育成についていろいろ研究をいたしておりまして、このインターネットが教育の中にどのように役立つだろうかということも踏まえて、これから日々の生活の中でインターネットを子供たちにも気軽に利用していただきながら映像を送ったりするような形をしております。
実は、私のホームページには「通信白書フォーキッズ」という子供さん向けのインターネットのホームページを用意いたしておりまして、そこでは画像もあわせて送りながら子供さんたちに呼びかけて、そしてこういうことをみんなでインターネットで探索してくださいというようなことを通しながら、より皆さんに使いやすい形の中で、教育の中でのインターネットの双方向性、あるいは二十ワット以上になると郵政大臣の免許が要るようになっちゃいますけれども、学校の校庭内、校舎内の敷地の中では無線でFM放送のようなものをつくって、放送局のようなものをつくっていただいて、いろいろ自分たちが参加し、自分たちの学校の問題あるいはクラスの問題、運動の問題、文化の問題、こういうことを自主的に創作活動していただくということはこれから大変重要になってまいりますので、この辺も私たちも一生懸命勉強していきながら広く広めていきたいと、このように考えているところでございます。
○大野つや子君 大臣、ありがとうございます。これからの教育にいろいろと生かしていただけることかと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
次に、行政サービスについてお伺いいたします。
私どもの地元岐阜県では、山間地域や高齢者の多い過疎地域を多く抱えております。このような地域の方々のために、都会に住む方とほぼ同質な行政等のサービスを受けられるようにすることが必要ではないかと存じます。また、いわゆる寝たきり老人の方にとりましても、例えばインターネットと接続してテレビ電話のような感覚で医療等のサービスを受けることもできるのではないでしょうか。
通信インフラの設備を整えることによりまして、高齢者、障害者など外出が著しく困難な方、または非都市部にお住まいの方にも少なくとも情報や行政サービスを都市部と等質に提供できるようになると思います。この点につきましても速やかな施策の推進が必要と考えておりますが、いかがでございましょうか。
三月十日の本委員会で、郵便局をワンストップ行政サービスの基点にという御質疑もございました。郵政省では既にこのような実験を推進しておられるようでございますが、郵政大臣、御所見をお願いいたします。
○国務大臣(八代英太君) ちょっと御答弁申し上げる前に、先ほど二十ワット以上はという話をしましたが、二十ワット以下でもケース・バイ・ケースで大臣の免許が要るということは御承知いただきたいと思います。割合狭い範囲、今のところ五メートル、十メートル、そのぐらいの範囲の中のものは自主的にミニFM放送のような形でできるということを、ちょっと訂正させていただきます。
今、御質問いただきましたように、距離と時間の制約を克服する情報通信の活用というのは、これから均衡ある国土の発展や安心して暮らせる私たちの地域社会の形成に大変重要だと思っておりまして、先生のふるさとでございます岐阜県はまことに広大で、まさに山また山、私も高山とかいろいろなところへ行くんですけれども、安房峠は今トンネルができましたが、これはなかなか越えていくのに冬の季節は大変でございます。そういう季節的なことを考えましても、そこをクリアできるのがまさに情報通信のいいところだというふうに思っておりまして、そういう意味でもだれもが情報通信の利便を享受できる、そういう環境を積極的に情報バリアフリーとともに私たちは推し進めているところでございます。
郵政省では、山間地域や過疎地域につきましては、平成十一年度第二次補正予算におきまして七十二億円を確保いたしまして、過疎・離島地域等の市町村が双方向の行政サービスを提供するための公共施設にインターネットを導入することを支援する地域インターネット導入促進事業というのをやっております。
これから介護保険なんかが始まってまいりますと、言ってみればインターネットを通じた、テレビの双方向を使った遠隔介護のようなものが必要になると思います。あの雪深い高山の方までヘルパーさんが行くのも大変だというときには、まさにそこにはインターネットを通じて、あるいはまた双方向のメディアを使ったそうした医療や福祉の支援体制というものもこれからどんどん広がっていくだろう、このように思っておりますし、そういう意味でのきめ細かい効率的な福祉サービスの提供や高齢者の自立を支援する情報通信システム、こういうものも研究開発をやっていきたいと思っております。
今、地方公共団体などが行う情報通信システムの整備、高度化に対しましては補助金なども出しております、三分の二とか二分の一とか。いろいろな仕組みがございますので、ぜひそういうものを駆使して、できるだけ過疎地におきましてもこういうものが暮らしの中に役立つような情報通信社会をつくっていきたいと思っております。
ワンストップ行政サービスのお話が出ましたけれども、ひまわりサービスも含めて、岐阜県ではひまわりサービスを今九村がやっておりまして、先生のお名前の大野郡なんかも、郡上郡なんかも実はひまわりサービスあるいはワンストップ行政サービスもこれからどんどんふえていくだろうと思うんです。住民票なんかも、今試験的ですけれども郵便局でできるというようなやり方、あるいはこれから地方分権の時代になってきますと、地方自治体にどのようにお手伝いをしていくかということを、郵便局二万四千七百ございますから、こういうものを通じながらひまわりサービスもどんどん推進していきたい、このように思っております。
ひまわりサービスも、これからひまわりネットサービス、新たにネットなどという言葉も加えていくのも必要かもしれません。そんなことを考えながら、これから高齢化時代を迎えていきますと、ますますこうした情報通信で人のフットワークの足らざるところを補っていくような仕組みを一方では考えながらこれから一生懸命頑張っていきたいと思っております。
本年から市町村が住民票の写しを自動交付できるようなものも幾つか試験的にやらせていただいておりますので、どうぞいろいろまた御利用いただけるように私たちも啓蒙を込めまして頑張っていきたい、このように思っております。
ありがとうございました。
○大野つや子君 大臣、ありがとうございました。
次に、省庁横断といった観点から質問させていただきたいと思います。
九三年七月に当時の宮澤総理とクリントン大統領によって、日米包括経済協議の一環として日米コモン・アジェンダの合意がなされ、この合意は橋本総理に引き継がれ、クリントン大統領の来日時に、九六年四月に六つの協力分野を追加、翌九七年五月、ワシントンにおいて共同声明が発せられました。そして、この共同声明において、地球環境の保護問題につき、地球環境の保護に係る地球変動研究・予測が北極圏研究から始まったことが明らかにされていることは興味のあるところでございます。
小渕総理は、この北極圏研究の中心ともなるアラスカにおける国際北極圏研究センターの設立に際しまして、早期から多大な御功績のあることはよく承知いたしております。また、私が知るところでは、科学技術庁における地球フロンティアプロジェクトが国際太平洋研究センター、国際北極圏研究センターなどの研究を含め地球変動研究を進めておられます。
環太平洋や北極圏の研究が地球環境の保護のための研究に大きな役割を果たすのであれば、いわゆる産官学が一体となりまして、特に省庁相互がみずからを主張することではなく、協調、連携して最小のコストで最大の結果を上げるように配意しつつ、また必要かつ十分な研究費を各省庁連携のもとに予算化すべきではないかと思います。
この点につきまして、コモン・アジェンダの実施及び省庁横断という観点から、外務大臣及び科学技術庁長官よりお答えがいただけたら大変ありがたいと思います。よろしくお願いいたします。
○国務大臣(河野洋平君) 議員御指摘のとおり、コモン・アジェンダはここにいらっしゃる当時の宮澤総理とアメリカのクリントン大統領のもとでお話し合いがなされて、これから日米双方でこの問題、共通の課題について取り組もう、こういう合意ができまして、幾つかの課題が挙げられたわけでございます。その中には、例えば世界の女性を支援するとか、あるいは世界の環境問題に取り組もうとか、幾つかの課題がございました。
今、議員が御指摘になりました地球環境の問題はまさにその中の一つでございまして、北極を基点にしていろいろな環境問題の研究をしようということにつきましては、地域的に見てアラスカ大学がかねてからこの研究を進めていたわけでございまして、アラスカ大学などを中心に日米が協力をいたしましてこの研究を支援しているところでございます。
科学技術庁が非常に積極的な支援を行っていることは議員御指摘のとおりでございまして、議員おっしゃいますように、役所、省庁間を乗り越えましてお互いに協力をし合い、省庁間ともどもに協力をする、さらには日米間も協力をする、こうして地球全体の環境問題に取り組むということは大変重要なことだと考えております。これから先も努力を続けたいと思っております。
○国務大臣(中曽根弘文君) 地球温暖化の問題など全地球的な環境問題の解決というのは人類共通の重要な課題でありまして、そういうところから、日米両国におきましても、今お話がありましたような日米コモン・アジェンダとして積極的に取り組んでいるところでございます。
北極圏の研究センター、これの設立につきましては大野議員にも大変な御支援とか御指導をいただきました。地球フロンティア研究システム、これは今もお話がありましたけれども、大気、それから海洋、それから陸域、これの総合的な地球環境変動研究を効果的、効率的に進めるものでございまして、優秀な人材を省庁や機関の枠にとらわれずに結集する方式を採用しておるところでございまして、十分な連携をとって行っております。
また、最近この日米コモン・アジェンダに取り上げられました全地球的規模で海洋観測をするアルゴ計画というものもございますし、また地球環境変動の歴史の解明に資する海底の掘削計画、これもございますが、これらの推進に関しましても関係省庁が密接な連携をとって行っているところでございます。さらに、現在開発中の世界最速のコンピューターとなります地球シミュレーターにつきましても、関係機関が連携を行って協力してやっているところでございます。
このように、地球的規模での環境変動に関する研究、いろいろございますけれども、関係機関と十分連携をとりながら、また協力をとりながら積極的な施策の展開を図っているわけでございまして、委員御指摘のとおり、十分にそういう点を配慮して今後も取り組んでいきたいと思っております。
○大野つや子君 ありがとうございました。
これで私の質問を終わります。
○委員長(倉田寛之君) 以上で尾辻秀久君の質疑は終了いたしました。(拍手)
─────────────
○委員長(倉田寛之君) 次に、竹村泰子君の質疑を行います。竹村泰子君。
○竹村泰子君 先日の桶川女子大生殺害事件について不明なところをお聞きしようと思いますが、刑事局長がぐあいが悪くおなりになったようで、私としては刑事局長あての質問が非常に多いものですから大変困るのですけれども、そこは田中警察庁長官が上司としてきちんと責任を持ったお答えをしていただけるものというふうに考えております。
地元の新聞などで大きく報道されているんですけれども、地元の記者クラブが確認のための質問をして、それに対して御両親が答えておられるのですけれども、そのことを見ていらっしゃるでしょうか。
○政府参考人(田中節夫君) 委員御指摘の被害者の両親の御意見といいますかお考えにつきましては、文書でございますけれども、これは被害者の御両親が弁護士を通じまして埼玉県警の記者クラブにコメントを発表された、このことだろうと思います。
この件につきましては、承知しております。
○竹村泰子君 もう一度伺いますけれども、九月二十一日、この被害者が殺害される一カ月ほど前ですけれども、告訴を取り下げてもらえませんかと言いに行った刑事がいる。これは、このとき訪ねていったのはだれですか。
○政府参考人(岡田薫君) 九月二十……
○竹村泰子君 あなたに答えを要求していません、私。
○政府参考人(岡田薫君) 委員長から御指名いただきましたので、私から御説明を申し上げます。
○竹村泰子君 いいえ、答えなくて結構です。要求していません。警察庁長官に答弁していただきたいと思います。
○委員長(倉田寛之君) 速記をとめて。
〔速記中止〕
○委員長(倉田寛之君) 速記を起こして。
○政府参考人(田中節夫君) これまでの埼玉県警の調査によりますと、この名誉棄損事件の捜査を担当していた上尾警察署刑事第二課の係員が告訴の取り下げを依頼したというようなことで問題になっておる、そういうような発言をしたというものだろうというふうな報告を受けております。
○竹村泰子君 私は、答弁は刑事局長に本当はお聞きしたい。でも、警察庁長官が上司としてきちんとお答えをさせていただきたいと言っているので、私が言うとき以外は岡田審議官がお答えというのは私は困りますので、委員長、そのように御理解いただきたいと思います。
○委員長(倉田寛之君) 速記をとめて。
〔速記中止〕
○委員長(倉田寛之君) 速記を起こして。
○竹村泰子君 けさほど何回もやりとりがありまして、私は自分の意思をそういうふうにきちんとお伝えしてあるはずであります。
これに関して御家族はどう答えておられるんでしょうか。
例えば、地元朝日の埼玉版に遺族への質問と回答というのが出ておりますので、これは岡田審議官で結構でございますから、お答えください。
○政府参考人(岡田薫君) 土曜日の新聞についてのお尋ねだと思いますけれども、報道を見ますと、弁護士さんを通じて親御さんのお気持ちがコメントという形で出されているようでございます。
その内容は、捜査員から告訴を取り下げてもらえないかという要請はあったというようなことが述べられております。その点につきましては、埼玉県警のこれまでの報告とは異なる内容であるというふうに認識しております。
警察庁といたしましては、埼玉県警に対して、報道されている点も踏まえまして、本事件の徹底した調査を行うように重ねて指示をいたしております。
○竹村泰子君 まことに失礼ですが、その一番の答弁を、お答えをちょっと読んでいただけますか、短いものですから。
○政府参考人(岡田薫君) 一番の答弁という意味が。
○竹村泰子君 新聞に出ているでしょう。
○政府参考人(岡田薫君) 読売新聞の……
○委員長(倉田寛之君) 一問一答は慎んでください。
○竹村泰子君 私、これもけさレクをしてあります。埼玉版の新聞を読んでおいてください、そして特に朝日が質問と回答という形で全文載せていますので、それについて聞きますと言ってございます。
○政府参考人(岡田薫君) 大変恐縮でございます。私ども、読売新聞の埼玉版というふうにお伺いしておりましたので、読売新聞の埼玉版とそれから埼玉新聞、これがコメントを書いてございますので、そのいずれをも拝読いたしております。
○竹村泰子君 質問できない。ちゃんとレクをしてあるのに、それについて答えていただけない。
そうすると、何の新聞でもいいですから、きちんと質問と答えというのが答えられますか。それを読んでいただけるものがあったら、私も全部見ているわけではありませんので、読んでいただきたいと思います。
○政府参考人(岡田薫君) 記者クラブから被害者の御両親に問い合わせをした内容のことかと存じますが、その質問の第一は、埼玉新聞の記事によりますと、
福地弁護士はテレビ報道への回答の中で、「誤解のある発言から告訴取り下げと受け止められたのは事実ですと警察から回答があった」と述べておられます。この問題で県警は「九月下旬ごろ、名誉棄損担当の刑事二課の巡査長が自宅を訪問した際に「告訴状は逮捕した際にあればいい」というようなことを言っていた」と説明していますが、「誤解のある発言」とはこのことを指すのですか。違うならばどのような言動を指すのですか。
という質問がなされて、「被害者両親からの回答」という欄には、質問の第一について、
事実は次のとおりです。
九月二十一日と思いますが、上尾警察署の二課の巡査長が当家を訪れ、私の妻に対して「(九月に入ってからの話として)何かありましたか」と尋ねました。その間には小松側より電話などはありましたが、特別大きな事がたまたま何もなかったので、妻がその旨答えたところ、「それでは、告訴を取り下げてもらえませんか」と言われたそうですが、これを聞いて妻はあ然として「とんでもない。告訴までに娘と家族がどれほどつらい目に遭って来たのか理解してほしい」と、そして告訴に至るまでの状況と、そのような事を了解したら家族が怒り出す、と今まで当家を担当している刑事さんに説明して、これを拒否いたしました。
以上でございます。
○竹村泰子君 ありがとうございました。
今の御両親側のお答え、これは林刑事局長が三月八日の私の質問に対して答えたことと違うのではないですか。
○政府参考人(田中節夫君) 御指摘の三月八日の刑事局長の答弁でございますけれども、告訴取り下げという、ほのめかすような発言ということをたしか申し上げたというふうに思います。直接に告訴を取り下げるべきだというような発言ではなくて、ほのめかすような発言があったのではないかという御答弁を申し上げたと思います。
その後、今、岡田審議官から御説明いたしましたように、被害者の御両親から記者クラブに対しましてこのような発言がございましたので、私どもも今まで報告を受けてきた事実と異なるというところがございます。それは委員御指摘のとおりでございます。
したがいまして、私どもも事の重大性ということを十分に認識いたしまして、埼玉県警察に対しまして、真相はどうであるのか、これはもっと徹底的に調査する必要がある、検証する必要があるということを申し伝えたところでございます。
○竹村泰子君 あのときには、告訴を取り下げろとは言わないけれども、公判でプライバシーが明らかになってもいいんですかとか、あるいは告訴は被疑者が捕まってからでもできるんですよというような趣旨を途中で言った者がいたというふうに答えていらっしゃるんですよね、刑事局長は。これと、今の御両親の「「告訴を取り下げてもらえませんか」と言われたそうです。 これを聞いて妻はあぜんとして」云々と、全然違うんじゃないですか。
○政府参考人(田中節夫君) 御指摘のように、先日の刑事局長が本委員会で御答弁申し上げました内容と、また今、委員が御指摘の御両親の御発言の内容とは違います。したがいまして、そういうような違いがどうして起こってきたのか、あるいは私どもの調査が不十分であったのか、真相はどうなのかということにつきまして、これを徹底的に調査する必要があるというふうに思っております。
○竹村泰子君 私が質問予告をしてから、どなたかが御家族を訪ねていらっしゃるんですね。そこでうまく糊塗しようとして言いくるめたのではないですか。
○政府参考人(田中節夫君) 委員御指摘のようなことは決してないとは信じております。そういうことはないと思いますけれども、しかし結果として御両親の発言が、新聞で報道されたような発言があったのはこれも事実でございますので、その辺の事情というのもよく調査する必要があるというふうに考えております。
○竹村泰子君 告訴を取り下げてもらえませんかということが警察側から言われたとすれば、これは私先日の質問でも申し上げましたけれども、大変なことです。このことの食い違い、御家族は代理人を通じてきちんと質問に答えていらっしゃるわけですから、このことについて、この食い違いをどういうふうに調査し直されますか。どちらが間違っているんですか。
○政府参考人(田中節夫君) 今の段階でどちらが間違っているかということをここの場で申し上げるような状況にはございませんで、今お話し申し上げていますように、ほのめかしているような発言があったというふうにこの前刑事局長が御答弁いたしました。それに対しまして、また御家族から、先ほど来御説明申し上げておりますようなお話がございました。
その間の食い違いにつきましては、この前でございますが、埼玉県の県議会で本部長が答弁しておりますけれども、刑事部参事官を長とする調査チームを発足いたしまして、これはたしか十日付だったと思いますけれども、これによりまして徹底的な調査をするということになろうかと思います。そしてまた、納得のいく説明の結果と申しますか、それが得られることを期待しているところでございます。
○竹村泰子君 刑事訴訟法二百三十七条二項にはどう決められているんでしょうか。
○政府参考人(田中節夫君) 刑事訴訟法二百三十七条二項でございますね。二項は、「告訴の取消をした者は、更に告訴をすることができない。」というふうに規定されております。
○竹村泰子君 つまり、一度告訴を取り下げたら同じ犯罪事実について再告訴することは禁じられているんでしょう。それにもかかわらず、この御自宅を、御両親を訪ねていった刑事は、告訴は被疑者が捕まってからでもできるんですよ、だから告訴を一度取り下げなさいと言っている。とんでもない話じゃないですか。どうですか。大変なことですよ、これ。
○政府参考人(田中節夫君) 先ほど来御説明を申し上げておりますように、御両親のそのような発言につきまして、なぜそのような、もし発言が事実とすれば、そのような真意は何であったのか、どういうような過程でそのような発言をしたのか等につきましても、それは当然にしっかりとした調査をしなければいけないというふうに思っております。
○竹村泰子君 私、八日の質問でこのことを、大変なことですよ、国民の訴える権利を奪うものですよと言って、調査をしなさいと言ってあるはずです。ですけれども、いまだにまだこれ、こういうことが事実であったとすれば大変なことですのでと。こういう答弁じゃもう本当に質問できなくなってしまいます。調査をしたんですか。どうですか。
○政府参考人(田中節夫君) この委員会で刑事局長が御答弁し、その後も調査をし続けておるわけでございますけれども、しかしながら私どもの調査というのが非常に不徹底といいますか、あのような御両親の御発言があるということになりますと、私どもの調査というのがどのような形で、どのような規模で行われたかということにつきましても、これは従来とは異なった形で調査をする必要があるということで、先ほど申し上げましたように刑事部参事官を長とする調査チームをつくることにしたわけでございます。
○竹村泰子君 簡単なことでしょう。私の手元にもいただいていますが、六月の段階で引き続き相談の応対をしたのは、そしてその後、名誉毀損事件の対応をしたのは上尾署刑事第二課課長、同係員、このお二人にお聞きになればいいことでしょう。電話一本で済むことですよ。
○政府参考人(田中節夫君) 委員御指摘のとおり、また先ほど御答弁申し上げておりますように、担当したといいますか、その人間はわかっております。しかしながら、その担当の者から明確な供述が得られていないというような状況もあるわけでございます。したがいまして、その辺のところをもう少し、いろんな資料を集めながら、また御両親からもよくお話を聞きながら、さらに両名から話を聞く必要があるということでございます。
○竹村泰子君 八日の答弁で、御両親からも御家族からもよく事情をお聞きし、そして調査をした結果ですと言って答えて、でも引き続き調査を続けなければいけないというふうに林さんは言っていらっしゃるんですけれどもね。
このお二人の方が行って告訴を取り下げるようにと言ったことはもうわかっているんですね。違いますか。
○政府参考人(田中節夫君) 大変恐縮でございますけれども、私どもの調査が不徹底と申しますか、引き続き調査をしているわけでございますけれども、その担当した者から明確なそういう発言が得られていないという状況が現実でございます。したがいまして、御両親の発言等も、あるいは今回の報道された内容等もあわせながら、その両名からどういう事情であったのかということをさらに突き詰めて問う必要があるということでございます。
○竹村泰子君 告訴は被疑者が捕まってから云々とか、一度告訴を取り下げれば二度目は簡単だよとか、余りにも被害者及び被害者の御家族をばかにした話、つまりは国民をばかにした話だと私は思うんですね、素人だと思って。
埼玉県警横内泉刑事部長は告訴の取り下げを促したことを記者会見で認めていらっしゃるんじゃないですか。
○政府参考人(田中節夫君) 委員御指摘の埼玉県警察本部の刑事部長の記者会見でございますが、三月八日の定例の記者会見におきまして告訴取り下げを求めたとの誤解を生じさせる発言はあった旨の発言をしたものと承知をしておりますが、告訴取り下げを求めたというはっきりとした発言があったということは、記者会見では述べておりません。誤解を生じさせる発言はあったということで、この前の刑事局長の答弁と同じ内容の発言を記者会見でしているものでございます。
○竹村泰子君 おかしいですね。では、御両親がいいかげんなことを言っていらっしゃるということになりますかね。ここにはきちんと、「「それでは、告訴を取り下げてもらえませんか」と言われたそうです。 これを聞いて妻はあぜんとして「とんでもない。」」とおっしゃったというふうにお答えが返ってきているわけですよね。
また、そのとき、その埼玉県警の横内泉同県警刑事部長はおまけにこういうことを言っていらっしゃるんですね。捜査は適正だった、捜査員がなぜ誤解を招く発言をしたかは調査中だがと。捜査は適正だったと言っているんですね。適正だったんですか、この捜査は。
○政府参考人(田中節夫君) 今回の殺人事件並びに名誉毀損事件の捜査の過程の問題でございますけれども、それが適正であったかどうかにつきましては、ただいま申し上げておりますように、全体として今埼玉県警で調査チームをつくりまして調査をしております。
その結果、できるだけ速やかにしかも確実にその内容を把握するように督励をしておりますけれども、その結果を待って、この一連の捜査がどういうような評価を受けるべきものであるのかということにつきましてはそこで判断をしたいというふうに考えております。
○竹村泰子君 では、なぜ現場の刑事部長が適正だったなんて発言をするんですか、させておくんですか。
○政府参考人(田中節夫君) どのような発言の全体の過程の流れの中でそのような発言をしたかどうか私は確認はしておりませんけれども、少なくとも現段階において、一連の捜査におきましてこれを適正であったかあるいは適正でなかったかということを判断する段階ではないと思います。
○竹村泰子君 岡田審議官、まことに申しわけございませんが、質問の三番目についての御両親からのお答えをちょっと読んでいただけますでしょうか。
○政府参考人(岡田薫君) 質問の三についてですね。
質問三について
(一)警察に相談に行ってから、娘が殺されるまでの間の上尾警察の対応にはまったく納得しておりません。
(二)警察から、告訴しないと犯人に接触もできず、踏み込んだ捜査もできないと言われたので、何回も警察に足を運び、ようやく七月二十九日に告訴にこぎ着けたのです。
その後、警察から犯人に接触したとの報告は、一回もなされぬまま犯人からの嫌がらせ電話等は続き、八月二十三日、二十四日に大量の中傷文入りの封書が届けられる事件が発生しました。この時も警察に「犯人に接触してください。捕まえてください。娘を助けてください」と要請を行うために警察に足を運びましたが、忙しいとかじっくり調査するとか、全く積極的な言葉のないまま動いてもくれませんでした。
娘殺害の十日前にも二台の車が深夜自宅前で停車して大音響を流す事件が発生し、すぐパトカーを呼びました。これでも警察は犯人を捕まえてくれませんでした。そして、十月二十六日に娘は、殺害されてしまったのです。不満はありませんと言える訳はありません。
○竹村泰子君 私たちも子供がおります。娘さんのいらっしゃる、大臣の中にもたくさんいらっしゃると思います。市民が不安を感じ、恐怖を感じ、娘を助けてほしいといったら警察へ行くしかないじゃありませんか。私はもうこの最後の二行、「不満はありませんと言える訳はありません。」とおっしゃる御両親のこのお気持ち、本当に胸詰まる思いで受けとめています。
こういうことに対して一体どう思っていらっしゃるんですか。長官、どう感じられますか。思い余って、恐喝されている証拠のテープを持っていった。しかも告訴は、最初に、踏み込んだ捜査もできないし接触できないから、何回も警察に足を運んで、これは警察側から言い出しているんですよ、告訴をした方がいいよと。そして、今度は告訴を取り下げよですよ。とんでもない話じゃないですか、これ。答えてください。
○政府参考人(田中節夫君) 今回の一連の事案につきまして、被害者はもとよりでありますけれども、被害者の御両親その他のことを考えますと、私ども大変申しわけない気持ちでいっぱいでございます。
今、委員御指摘のように、この前の委員会で申し上げましたけれども、警察においでになる方、あるいはいろんな気持ちを抱いておいでになる方はよほどのことを考えておいでになる。そして、私どもはそれに対して本当に真摯に真剣に受けとめなければならないというふうに考えておるところでございます。
お話しのように、今回の問題につきましては、私ども本当に、これは検証してみなければわかりませんけれども、ほかに何らかの方法がなかったのか、あるいは被害者が殺されるというような事態をとめることができなかったのかということにつきましては、これは謙虚に今までの我々のしてきたことを反省すべきところは反省する、そしてまたこのような事案を本当に胸に刻み込みながら、国民の皆様のいろんな真剣な声にこたえていかなければいけないというふうに私は考えておるところでございます。
○竹村泰子君 長官にもう一度お聞きします。
告訴をしろと促しておいて、今度は告訴を取り下げろとか、一連の訴えをすべて無視して、これで警察は被害者の家族に対して誠実な対応をしたと思いますか。どうですか。もう一度ちゃんと答えてください。
○政府参考人(田中節夫君) 委員御指摘のように、告訴につきましては、告訴をされたらということで真剣に御相談にあずかっていた者もございます。また一方で、お話しのように、告訴を取り下げてはどうかというようなことをほのめかしたのかあるいははっきり言ったのか、これはまだ明確ではございませんけれども、少なくともそういうことを言ったことにつきましては、私は、やはり先ほど申し上げましたように国民のその真摯な声を受けとめ、そして活動する警察官としてはあるまじき行為であるというふうに思っております。
そういう意味で、私は、もしそれが事実であるとするならば、正すべきところは正し、責任を求めるところは求めていく必要があるというふうに考えております。
○竹村泰子君 この警察官たちは、四人の人がかかわっていると思いますけれども、もっとかもしれませんが、何の処分も受けていない。この前委員会でお聞きしましたら、もとのとおりの職責についてもとのとおりの仕事をしておりますということでした。
公安委員長、どうお思いになりますか、こういったことをお聞きになって。
○国務大臣(保利耕輔君) 今回、委員御指摘の桶川の件については、私も議論を、また委員の御質問、答え等を聞いておりまして、極めて遺憾に存じております。まことに事実とすれば申しわけない事態である、このように感じております。
今後、こういった組織の立て直し、また、たがを締め直すといいますか、あるいは正しい心がけを持っていただくように現場においても努力をするということについては、国家公安委員会としても、また埼玉県の公安委員会にも、こうしたものが適切に処理をされ、安心して住める社会が実現するように努力していくように私からもよく申し上げておきたいと思います。
今回の件につきましては、いろいろなことが重なりまして警察に対する信頼を失いつつあるということは、私にとってはまことに残念至極でありますけれども、その気持ちを今後の改善のためにささげてまいりたい、そういう気持ちでいっぱいであります。
○竹村泰子君 まことに不誠実な対応をしたということで、御家族にも陳謝されるお気持ちがありますか。
○国務大臣(保利耕輔君) 長官から御答弁を申し上げておりますが、まず事実関係について公安委員会としても十分に聴取をして、その上で、それが事実であるということが判明いたした場合には厳正な処分をするように警察庁を督励してまいります。
○竹村泰子君 御家族については。
○国務大臣(保利耕輔君) 失礼をいたしました。
御家族の皆様方には大変御心配をおかけし、御迷惑をおかけしているのではないかと、私は今時点、そのような気持ちでおりますけれども、事実関係が明白になりました段階でもう一度、陳謝をするあるいはおわびを申し上げるという発言をどこかの場でさせていただきたいと思います。
○竹村泰子君 主犯と目される人物を指名手配したのはいつですか。
○政府参考人(田中節夫君) 主犯と目されるというふうに委員御指摘の人間でございますけれども、これは名誉毀損で指名手配をいたしましたのはたしか一月の十六日ではないかというふうに記憶しておりますけれども、今ちょっと詳細、資料で確認中でございます。──間違いなく一月十六日でございます。
○竹村泰子君 そして、ことし一月下旬に同人が北海道に潜伏しているということがわかった後、どのような捜査がありましたか。
○政府参考人(田中節夫君) ただいま御説明申し上げたとおり、一月十六日に、交際相手であります者を名誉毀損の被疑者として特定しまして全国に指名手配をいたしました。同人の立ち回り予想先あるいは宿泊施設等に対しまして捜査を推進していたものでございますが、一月の下旬に至りまして、北海道に潜伏しているという可能性が高いとの情報を得ましたことから、北海道警と埼玉県警が協力いたしまして追跡捜査を実施していたところでございます。
一月二十七日に屈斜路湖畔で発見された死体、身元が翌二十八日になりまして私どもが捜し求めていたこの指名手配の犯人だというふうに判明したものでございます。
○竹村泰子君 捜査の過程でどのような問題があったんですか。
○政府参考人(田中節夫君) 具体的な捜査の過程の問題でございますので、岡田審議官から答弁させていただきます。
○政府参考人(岡田薫君) 一月十六日に名誉毀損の事件につきまして共犯者を逮捕いたしますとともに、今問題となっている人物の指名手配を行いまして、関係者からの聞き込みその他のことから立ち回り予想先をいろいろと推測等をいたします。それを踏まえて、全国一律手配とは別に、個別に関係の県に手配をするなどして捜査を行ってまいりました。
○竹村泰子君 いや、この人が自殺をするわけでしょう。だけれども、その自殺をするまでになぜ重要参考人として身柄拘束ができなかったのかと次に聞きたいんですが、そういうことができなかった。捜査の過程でどういうことがあったのですかと聞いているんです。
○政府参考人(岡田薫君) 大変恐縮でございます。
日常的な用語としては重要参考人という言葉はございますが、刑事訴訟法上、重要参考人の身柄を拘束するということはできないのではないのかなと思っております。
○竹村泰子君 だから、要するにそういう言葉の問題じゃなくて、この人が自殺を、私素人ですから、自殺をしないようにきちんと保護ができなかったのかと言っているわけですよ、どういう問題があったのかと。
長官、答えてください。
○政府参考人(田中節夫君) 委員御指摘のように、私どもが指名手配をしているこの被疑者でございますけれども、沖縄に潜伏しているとかあるいはその他に潜伏、いろんな情報がございました。それで、全国に指名手配いたしますとともに、特に立ち回るであろうという立ち回り予想先、それから交通機関、宿泊施設等に対しまして捜査を実施しておりました。
先ほど申し上げましたように、北海道に潜伏しておるという情報が非常に高かったものでございますけれども、偽名を用いまして居所とか宿泊先を短期間で転々としていたということもございまして、その所在がつかめなかった。身柄拘束につきましては、今ほど岡田審議官からも、そこで身柄を確保できれば逮捕できるわけでございますけれども、今申し上げましたような、偽名を用いて居所や宿泊先を短期間で転々としているというようなことから同人にたどり着かなかったというのが実情でございます。
○竹村泰子君 そのことに関してどう考えておられますか、長官。重大な捜査ミスだったと考えておられますか、それともそうやって転々としていたからつかめなかったのは当たり前だと思っていらっしゃるのですか。
○政府参考人(田中節夫君) 私どもは、一般に指名手配をいたします場合に、懸命の努力をし、その犯人を確保するための努力をしておるわけでございます。
今回の場合にも、一般の例とは異なりまして、特に立ち回り先と申しますか潜伏の可能性が高いところを懸命に努力をし、そして犯人の行方につきまして追及していたわけでございますけれども、それがかなわなかったということは大変残念でございます。
今御指摘の点につきましても、どういうところが問題で確保できなかった、それは当たり前とかそういう気持ちでは決してございませんで、なぜ確保できなかったかにつきましては、これはまた検証し、反省すべきであるというふうに考えております。
○竹村泰子君 幾度も幾度も恐怖を訴えていた被害者の声を取り合わず、ついに殺害される。主犯とみなされている人物を逃亡の果てに自殺に追いやる。このような初動ミスがあって、しかも対応した刑事たちは何の処分も受けていないし、もとどおりの仕事を諾々とやっておられる。
長官、こういったことで、この間、警察の不祥事、さまざまございまして追及をされていらっしゃる大変なお立場だと思いますけれども、しかし責任者としてこの全体をどう考えておられるか、もう一度答弁をお願いいたします。
○政府参考人(田中節夫君) 今回の一連の捜査過程でどのような問題があったのか、あるいは被害者それから被害者の御家族との関係でどのような問題があったのかにつきましては、先ほど来御説明申し上げておりますように、埼玉県警において調査中でございます。
調査の結果、先ほど大臣からも御答弁ございましたように、正すべきところは正す、責任を求めるところは責任を求めるという形で、処分をすべきものはきちっと処分するという形でもって捜査員に対しましてさらに自覚を求め、いろんな場合にでも国民の負託にこたえるような適正な捜査をするよう督励してまいりたい、かように考えております。
○竹村泰子君 我々が問題にしているのは個人ではないし、興味本位でもありません。キャリアをトップにしたこの甘えの構造、キャリアの後を絶たぬさまざまな許しがたい行為、天下り、この構造改革なんですよね。新潟県警、埼玉県警だけではありません。全国至るところ、不祥事だらけじゃありませんか。目を覆うばかりです。警察の責任を強く厳しく問いただしていきたいというふうに思います。
午前中の質疑を終わります。
○委員長(倉田寛之君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。
午後一時に再開することとし、休憩いたします。
午前十一時五十四分休憩
─────・─────
午後一時一分開会
○委員長(倉田寛之君) ただいまから予算委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、平成十二年度総予算三案を一括して議題とし、質疑を行います。竹村泰子君。
○竹村泰子君 午後の冒頭に要求をしたいと思いますけれども、私どもが報道でお聞きしている限りでは、地元にプロジェクトチームというのが県警の中にこの件に関してできたようであります。警察庁も直にいろいろ調査をしていらっしゃると思いますけれども、こういった調査の、さまざまな捜査に関するチームができているようでありますので、長官にお願いでございますが、ぜひこの国会の中でこの予算委員会の終わるまでに私どもに報告をしていただきたいとお願いをしたいと思いますが、どうでしょうか。
○政府参考人(田中節夫君) 今、委員御指摘のプロジェクトチームと申しますのは、三月十日に刑事部の参事官を長としたチームのことだと思います。十日に設置いたしまして、目下調査中でございますけれども、委員今御指摘のように、この予算委員会終了までというお話がございましたけれども、これは迅速、的確にやらせているところでございますけれども、予算委員会終了までにというふうに期限をつけていただくことになりますと、なかなかそれは、これから確実なことを期するということになりますと、時間の設定につきましてはちょっと私どもとしてはお約束はできないと思います。
ただ、この国会にその結果につきまして御報告をするということにつきましては、それはやぶさかではございません。
○竹村泰子君 事件が、この被害者が本当に気の毒なことに殺害されてから、十月の話ですから半年たっているわけですよね。そして、私どもが余りにもひどい警察の不祥事ではないかということで取り上げましてからももう一週間たっております。そして、改めてこういうプロジェクトチームあるいは捜査、調査委員会などができているとすれば、やはりこの予算委員会の終わるまでにきちんとした報告をしていただきたい。それはぜひ要求をしておきたいと思います。委員長、いかがでしょうか。
○政府参考人(田中節夫君) 今の委員の御要求につきましては、またこの委員会で御判断があると思いますけれども、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたとおり迅速にやっておるところでございますけれども、お話しのようにこの委員会終了日までに結論を出す、こういうお約束をすることにつきましては、これは現時点におきましてはなかなか難しい面もございます。
○竹村泰子君 この予算委員会が終了するのは定かではないわけです。そして、三月二十九日まではできるわけでありますから、これは委員長がきちんとこの委員会に調査報告書を出せというふうに決断をしてくださるかどうか、委員長にお伺いしております。
○委員長(倉田寛之君) 速記をとめて。
〔速記中止〕
○委員長(倉田寛之君) 速記を起こして。
ただいまの竹村泰子君の要求につきましては、後刻その取り扱いを理事会で協議させていただきます。
○竹村泰子君 それでは、公安委員会について質問をしたいと思います。
公安委員会の警察に対する管理権限は全く有名無実だったのではないか、形骸化しているのではないかということが、今度の新潟県警の事件をきっかけにいろいろと私どもも改めて認識をすることがあったわけですが、公安委員長、どうお考えですか。
○国務大臣(保利耕輔君) 過去のことは私はつまびらかにいたしておりませんけれども、私が就任して以来、国家公安委員会では緊急の集会も行いましたし、またいろいろな場で、国家公安委員会の場ではない場でも学者との間の意見交換とかそういうことをいたしておりまして、不十分だと言われれば反省しなければならない点はあるかと思いますけれども、私どもとしては国家公安委員会が全く機能していないというふうには考えておりません。
ただし、私は、やはり公安委員会というものは、警察の政治的中立でありますとか警察の民主的運営であるとか、そういうことについて十分に保障を図るという意味で活動していかなければなりませんし、また日本の治安ということを考えて、さまざまな事件が起こりましたときにどう警察は対処すべきかということについてアドバイスをしていかなければならないという立場でもありますので、私どもとしては、公安委員会というのが、御指摘の点はよく理解をいたしますけれども、公安委員会としては形骸化というところまではちょっと御指摘としてはきついのではないかなと考えております。
○竹村泰子君 ではお聞きしますが、公安委員を選任するとき、どんな手順でだれが候補者を選ぶんですか。
○政府参考人(田中節夫君) 国家公安委員会の委員の選任の手続の問題でございますけれども、委員御承知のように、警察法第七条第一項に基づきまして、内閣総理大臣が両議院の同意を得て任命することとされております。したがいまして、内閣から国会に公安委員の候補者を提出するという手続になっております。
○竹村泰子君 そんなことはわかっています。そのもっと前の、この人はどうだろうか、Aという方はどうだろうか、Bという方はどうだろうか、こういうふうに出してくるのはだれで、どんな手順かと聞いているんです。
○政府参考人(田中節夫君) 具体的に国会に氏名を提出されますのは内閣でございます。内閣が国家公安委員会につきまして選任につきまして御論議ありますときに、私どもに、警察庁としてはどういうふうに考えるかと参考意見を求められることがございます。その場合に、私どもとして参考意見を申し上げることはございます。
そのときに具体的に、では参考意見としてどのような方を候補者として提出するかというお尋ねかと思いますけれども、その場合には、学界でありますとか法曹界でありますとか、あるいは経済界とか言論界というような方々から、年齢その他いろんなものを考慮して私どもの考えを申し述べるというのが実情でございます。
○竹村泰子君 国会が決めて内閣が決定されてという、そういうのは私どももわかっておりますけれども、広い、日本じゅうの国の中からどういう方をだれが選ぶのかと聞いているんですけれども。
では、どのような条件で選ぶのですか。
○国務大臣(保利耕輔君) 細部は田中長官からお答えをさせたいと存じますが、今の国家公安委員会の任期の一覧表をずっと見てみますと、すだれ式になっております。一人ずつ任期が切れるような形になっておりまして、そうすると、大体各界の代表が出ておりますから、その代表の後にはやはりその界を代表する人がいいのではないかというような形から選考されるのが通例でございます。
したがいまして、一番早く任期が切れます方はマスコミの関係の方でございまして、ことしの五月に切れますが、そのときには、やはりマスコミを代表する方がいらっしゃらないとまずいですから、その後マスコミの方を推薦すると。
そのときに、公安委員としていろいろな見識もお持ちだし、しかも警察関係については過去五年間について仕事をしたことがないというそういった基準もございまして、そういう中から警察庁に意見を求めましてそれで内閣として決めていく、そういう形になっております。
なお、細部については長官から答弁をさせます。
○政府参考人(田中節夫君) 今、大臣から御答弁申し上げましたとおり、国家公安委員に欠員といいますか、任期が満了になりましてその後任を決める場合に、その方がどのような、マスコミでありますとか学界でございますとかそういうところを代表しておられる方だとしますと、後任の方につきましては、やはり私どもが参考意見として求められるならば、そのような学界とか言論界の方がいいのではないかというようなことを判断いたしまして、それで資料を提出するということでございます。
〔委員長退席、理事竹山裕君着席〕
○竹村泰子君 公安委員長、候補をお選びになるときに、候補をこういうことで国会の承認を求めようかなとお思いになるときに一番大事にされることは何ですか。
○国務大臣(保利耕輔君) 私は、まだ人選に具体の例として携わったことがないものですから、やや抽象論的に申し上げなければならないと思いますが、やはり人格、識見、社会的な判断力というようなものかなと思います。
○竹村泰子君 いろいろあると思いますが、私は、じゃちょっと公安委員会の果たしている役割についてお伺いしたいと思います。
この一連の不祥事の起きる前、例えば二月十七日木曜日、いつも開かれる木曜日の議事次第を、これは事務方に、長官にお聞きしましょう、明らかにしていただきたい。
○政府参考人(田中節夫君) 二月十七日木曜日に開会されました国家公安委員会では、国家公安委員会のインターネットホームページの開設について、三条市内未成年者略取誘拐・逮捕監禁事件について、「警察庁情報セキュリティ政策大系」の策定について等の議題について警察庁から報告をいたしまして審議が行われまして、必要な決裁が行われました。
特に、新潟県の逮捕監禁事件につきましては、国家公安委員長から被害女性の救出状況や県警の広報の対応が適切であったかどうかについて速やかに事実を調査し、その結果について公安委員会に報告するよう御意見がございました。
○竹村泰子君 何時から何時までかかりましたか。
○国務大臣(保利耕輔君) 私も記憶をしておりますが、二月十七日というのは二月になって初めて私が公安委員会に出席ができた日であります。二月は、御承知のように衆議院の方で予算委員会が開かれておりましてずっと出席ができなかったんですが、そのときは私が出席することができました。
そこで、いろいろ長官から今お話があったことを審議いたしました。その中で新潟の事案についての報告がございましたが、非常に概括的な報告でありましたので、私は事実関係として、柏崎署に対して出動の御要請があったにもかかわらず出なかったというようなこと、これはもう事実なんだから、その事実を踏まえてよく調査をしろということを申しまして、二十日の調査団の派遣ということに至ったことを私も記憶いたしております。
○竹村泰子君 さっき長官にお答えをいただきましたけれども、大体そうしたおぜん立てをするのは事務方の警察ですから、そうした刑事局などからの全国的な報告を聞いて、そして委員の皆様、いかがでございますでしょうかと了解を求められる。今回の不祥事に絡むような難しい案件を扱うのは極めてまれだったんじゃないでしょうか。第一、公安委員長が国会中は出られないという時間がわかっていて公安委員会を設定しているんですからね。予算委員会あるいは国会で出られないときには違う時間帯にするとか、公安委員長が管理される責任をきちんと確保できるような時間帯に開けばいいじゃないですか、一週間に一時間か二時間しか働いていないんですから。
○国務大臣(保利耕輔君) 現在は私はそのように努めております。また、公安委員会を私の出席できる時間に変更するようにいたしております。
○竹村泰子君 いや、それはこの一連の警察の不祥事が発覚してから後ですね。それまでは、歴代の公安委員長が国会でお出になれないときでも公安委員会は開かれておりましたよね。
それともう一つ、こういう難しい問題が出てきて議論しなければならない、こういう案件があるのは極めてまれではないかとお聞きしたのはどうでしょうか。
○国務大臣(保利耕輔君) 通例は木曜日の十時ということになっておりますものですから、それを例会としてやる慣例がございまして、大きな案件がなければそこは委員長の代理で仕切っていただきまして会議を進めます。それで、その会議のありさまについては私が事後報告を受けるという形で運営をしてまいりました。
今度の事案というのがいろいろございまして、そこから国家公安委員会としての対応等についてやはりきちんとした姿を出さなければいけないということもございまして、定例以外にも何回かやっております。
ただ、定例を十時に招集して、そして中断して再開するというような運びも今までは恐らくやっていなかっただろうと。私は正確には知りませんが、私になりましてからそういうことをやって弾力的に運営をするように努めているところであります。
○竹村泰子君 緊急に招集された例はこれまでにあったんでしょうか。
○国務大臣(保利耕輔君) 私が鮮明に記憶をいたしておりますのは、一月二十八日の夕方招集をいたしております。
○竹村泰子君 これまでの話です。そういう事態の起こる前の話です。
○政府参考人(田中節夫君) これまで十数年の記録によりますと、国家公安委員会が緊急に招集されましたのは、昭和六十四年一月七日、これは昭和天皇の崩御に伴うもの、それから大臣が今御説明いたしました平成十二年一月二十八日、新潟県警察等をめぐる問題に係るもの、二回でございます。
ただ、緊急ではございませんけれども、毎年九月一日に警察庁の総合防災訓練の一環として臨時の国家公安委員会を開会しておる例はございます。
○竹村泰子君 常勤の特別職としての高給が支給されている理由は何だと思われますか。
○国務大臣(続訓弘君) お答えいたします。
国会同意を要する常勤の委員会委員の給与は、御案内のように、特別職の職員の給与に関する法律において、それぞれの委員会の性格、委員の職責等を総合的に勘案して、個別に委員会ごとに定められております。
国家公安委員会の委員につきましては、いわゆる独立して業務を行う三条委員会であること、職務が警察庁の管理等を行うという極めて重いものであること、他の委員会の委員の給料等のバランスなどを総合的に勘案して定められておることを御理解賜りたいと存じます。
○竹村泰子君 公安委員の人選について、警察庁長官は参考意見を内閣から求められれば答えるとしていますけれども、求められたことはありますか。
また、内閣から警察が推薦した人以外の推薦があった例はありますか。
○政府参考人(田中節夫君) 過去の国家公安委員会すべてについて私から御説明することはできませんけれども、少なくとも参考意見は求められたことはございます。
○竹村泰子君 求められなかったことはありますかと聞いたんです。
○政府参考人(田中節夫君) 私の承知している範囲内でと申しますか、過去のことにつきましてはここで正確な御答弁を申し上げるわけにまいりませんけれども、そのような事例があったのかなかったのかにつきましてはちょっとお答えできない状況にございます。
○竹村泰子君 わかっている範囲で結構ですが、答えてください。
○政府参考人(田中節夫君) 私が長官に任命されましたのは一月十一日でございますけれども、それ以後はそういう事態はまだ起こっておりませんけれども、最近の公安委員の交代といいますかにつきましては一件承知しておりますけれども、その際には参考意見を求められているというふうに承知しております。
○竹村泰子君 先ほど総務庁長官にお答えいただきましたけれども、こうした特別な、公安委員会ほか特別な委員会に最高級の公務員の給与を払うということにした、その最初の決めるときの議論がおわかりですか。
○国務大臣(続訓弘君) 竹村先生も御案内かと存じますけれども、特別職の給与については七段階ございます。総理大臣から原子力委員の常勤の委員まで七段階ございまして、国家公安委員会はその三段階目でございます。
ただいまも申し上げましたように、職の重さ、そして他の委員とのバランス等々を考慮して、恐らく当初決められたときにはいろんな議論があったかと存じますけれども、その議論の詳細について私承知しておりません。しかしながら、先ほどお答え申し上げましたように、国家公安委員としてのお仕事を懸命にやっていただく、そういう趣旨から三番目のランクにランクづけられたと存じます。
○竹村泰子君 最後に、公安委員長にお聞きしたいと思います。
公安委員会の改革についてどのように今決意をしておられるでしょうか。
○国務大臣(保利耕輔君) 大変失礼をいたしました。
国家公安委員会が現在の姿でいいのかどうかということについては、国会からの御指摘、それから各界各層の御意見、また国民の意見等を加えながらこれは改善をしていかなければならないと思っております。
まず第一の論点としては、私は事務局体制であろうかと思います。事務局は警察庁がするということが法律で書いてございますけれども、国家公安委員会が独立して仕事をするということになれば、これはやはり国家公安委員会のもとに事務局をつくらないと動きにくいのではないかという感じがいたしております。また、世間一般に、警察庁からコントロールされているんではないかという疑いの念を持たれる可能性がありますから、その辺のところをどういうふうにしたらいいかということについて私は十分に考えていきたい、こう思っておるわけでございます。
ただ、事務局といいましても、やはり警察行政に精通した人が入っていなければならないという一つの制約もございますし、それでこそ初めて警察内部に目が行き届くということもございますので、慎重に議論をしながらもやはり事務局体制。それから、国家公安委員が常勤であるという体制をつくるためには、どういう部屋割りでありますとか形づくりでありますとか、そういうものをつくっていったらいいか。
たまたま今度新しいビルに来年から警察庁そのものが移りますが、そういう機会に独立した国家公安委員会というものがきちんと世の中に見えるように私どもは改革をしていかなければならないのではないか、こういうふうに考えております。
○国務大臣(続訓弘君) 先ほどのお答えを訂正させていただきます。
七ランクございます中の六ランク目でございます。下から二番目でございます。御理解賜りたいと思います。
○竹村泰子君 私の質問時間が終わりますので、最後に警察庁長官に。
大変さっき不思議な発言をされたんですよね、あなたは。この予算委員会の終わるまでに報告書を出してほしいと。この予算委員会が終わるのは決まっていないんです。自然成立をするまではこの予算委員会をやってもいいわけでございまして、決まっていないのに、あなたはいつまでだとできませんとか、そんな短い期間ではできませんというようなお答えをなさいましたね。
一体、この予算委員会、いつ終わると考えていらっしゃるんですか。とんでもない話ですよ。
○政府参考人(田中節夫君) 大変誤解を生ずるような発言をしたことはおわびいたしますが、私どもといたしましては、一定の時間を区切ってここまでに結論を出せということを言われますと大変これは厳しいということを申し上げたわけでございまして、予算委員会がいつの時点で終了するということ、これは国会のお決めになることでございますので、私どもが申し上げることでございませんけれども、繰り返すようでありますけれども、一定の期間を決めて結論は出しにくい、私どもとしては時間をいただきたい、こういう趣旨で申し上げたものでございます。
○竹村泰子君 終わります。
○理事(竹山裕君) 関連質疑を許します。木俣佳丈君。
○木俣佳丈君 民主党・新緑風会の木俣佳丈でございます。同僚議員の竹村議員に続きまして質問をさせていただきますが、委員長、質問に先立ちまして一つお願いがございます。
本日の午前の審議の中で、予算委員会の中で、自民党の尾辻議員から我が党党首の政治献金について二名の者の証人喚問の要求がございました。また、我々も先日来、小渕総理、株の疑惑につきまして古川、大城氏の喚問を要求しております。
片や一国の最高責任者である総理大臣、そしてまた我々野党第一党の党首でありまして、国民の関心は極めて高く、この疑惑を一刻も早く晴らすことが国会議員の、そしてまた国会の責務でありまして、我々は、改めまして公のこの場での証人喚問を求めたいと思っております。
自民党、民主党両党の証人喚問、迅速なお取り計らいを委員長にお願い申し上げます。
○理事(竹山裕君) ただいまの木俣君の要求につきましては、その取り扱いを後刻理事会で協議することといたします。
○木俣佳丈君 ありがとうございました。
幾つかきょうは多岐にわたりまして御質問をさせていただきたいと思いますが、三月三日に収賄容疑で逮捕がございました農水省の構造改善事業のことでございますが、この件につきまして、保利国家公安委員長、そしてまた途中まで合同捜査を進めておりました立場から、特捜の代表たる大臣からよろしくお願いします。
○国務大臣(保利耕輔君) 農林水産省内部の事情、いかなる事情があったかについては私はお答えしにくいところでございますけれども、この案件は東京にあります警視庁の取り扱いということになります。
私どもとしては、都道府県警察の特別の人事について申し上げる立場にございませんで、都道府県警察におきましては、職員の能力、適性等を踏まえまして適正な人事配置を行っているものと承知をいたしております。
なお、御指摘の事件につきましても、警視庁におきまして万全の体制で捜査に臨んでいるという報告はいただいております。
○国務大臣(臼井日出男君) ただいま委員御指摘の事件に関しましては、平成十二年三月三日、東京地方検察庁において、警視庁から元農林水産省構造改善局課長補佐に係る収賄事件の送致を受けて、現在調査中のものであると承知をいたしております。
○木俣佳丈君 これは、今後どうなりますでしょうか。保利委員長から。
○国務大臣(保利耕輔君) 警視庁において今捜査をいたしております。個別の事件の捜査状況につきましては、私から答弁はこの場では差し控えさせていただきますが、一般論として申し上げますれば、警察は刑事事件として取り上げるべきものがあれば法と証拠に基づきまして厳正に対処するというのが基本的な方針であります。
○木俣佳丈君 本当に、これはまさに名前のとおり、構造改善局という、まさにその構造的な問題でございまして、警視庁の方で捜査二課がこれを担当しているというのはまさしくそのとおりでございますが、その中で、この課のやはり課長さんがかなりエースだというふうに聞いておりますが、またその課長補佐の方の人事異動が最近あったと聞いておりますけれども、それは本当でしょうか。
○政府参考人(田中節夫君) 委員御指摘の警視庁の捜査二課でこの贈収賄事件を捜査中でございますけれども、今回、異動でその事件に携わっていた者が異動していることは事実でございます。
○木俣佳丈君 この方はどういう方でございますか。どういう事件を今まで扱いましたか。
○政府参考人(田中節夫君) 恐らく委員が御指摘になっておる者は理事官の岩上という者ではなかろうかというふうに思います。この岩上という理事官は、これは捜査二課でかねてからこういう贈収賄汚職に大変経験の豊かなベテランの捜査員でございまして、具体的な事件についてどういう事件に携わったかということにつきましては、ちょっと手元に資料がございませんので申し上げるわけにまいりませんけれども、多くの贈収賄事件に携わっているベテランであることは御指摘のとおりでございます。
○木俣佳丈君 私が言うのもなんでございますけれども、この方は厚生省の岡光事件の一番のメーンの方でございまして、そういうことを御存じないんですか。
○政府参考人(田中節夫君) 私は直接岩上理事官が岡光事件に携わっていることにつきましては承知しておりませんけれども、少なくとも、この岩上理事官がかわったといたしましても、万全の体制で臨んでいるということを申し上げることはできます。
○木俣佳丈君 いやしかし、この合同捜査と言っていいと思うんですけれども、法務大臣に伺いたいんですが、これはいつから始まっていつごろ終わりましたか。
○国務大臣(臼井日出男君) ただいま御指摘をいただきました点につきましては、具体的な事件の捜査体制に関するものでございまして、その内容にかかわるものにつきましては答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
○木俣佳丈君 いや、ちょっと待ってください。これはかなり国民が関心を持って見ておりまして、地検の方で捜査を終えた、つまり、どこの班がここを統括して担当して、そしていつごろ終わったか。
○国務大臣(臼井日出男君) 繰り返しになりまして恐縮でございますが、ただいま御指摘の点につきましては、具体的な事件の捜査体制等に関することでございまして、その活動の内容にかかわることにつきましては御答弁を差し控えさせていただきたいと思いますが、一般論として申し上げるならば、検察は、警察から送致を受けました事件につきまして、捜査を行う事件である場合には、警察が独自に立件して捜査を行う事件であるかどうかにかかわりなく、常に真相究明、解明に向けて徹底した捜査を行い、適切に事件の処理の行っているものと承知をいたしております。
○木俣佳丈君 一般論で、地検特捜部が出ていく事案というのはどういう事案でございますか。
○国務大臣(臼井日出男君) 今、委員御指摘の点につきましては、個々の事件の内容によるものでございますので、一概には申し上げられないと答えるしかございません。
○木俣佳丈君 いや、一般論でお答えください、どういう性質のものか。
○国務大臣(臼井日出男君) ただいまお答えをいたしましたとおり、どういう場合に特捜が出ていくかということにつきましては、個々具体的な事件の内容によって異なるものでございまして、一概にお答えできないと申し上げたのでございます。
○木俣佳丈君 そんなばかな話はありません。では、何でも出ていくんですか。
○国務大臣(臼井日出男君) 御質問でございますが、一概にどういう場合に出ていくという基準は特にございません。
○木俣佳丈君 いや、一概に、重要な件で大変捜査が困難をきわめる場合に地検特捜部が出ていくということをお伝えします。
それで、それが今回なぜかしら一月の末に解散しているんですよ。ここは何という班ですか。
○国務大臣(臼井日出男君) 御指摘の点につきましては、大変申しわけございませんが、詳細に承知をいたしておりませんが、現在、警察からの送致を受けて捜査中でございます。
○木俣佳丈君 いや、特捜部にはどういう班がありますか。
○国務大臣(臼井日出男君) 数個班あるわけでございますが、直告班と財政経済班、大きく分けて二つに分かれております。
○木俣佳丈君 この捜査は直告班だと思いますね。直告何班でしょうか。
○国務大臣(臼井日出男君) 先ほどから申し上げておりますように、具体的な捜査の体制につきましてはお答えできないのでございます。
○木俣佳丈君 これはいわゆる直告二班というのが担当しておりました。
それで一月の末に、なぜかしらここが、警視庁の二課から持ってきましたこの接待疑惑で挙げようということをけったというのは本当でございましょうか。
○国務大臣(臼井日出男君) 大変恐縮でございますが、先ほどから繰り返してお答えを申し上げておりますとおりに、具体的な捜査活動の内容につきましてはお答えできないのでございます。
○木俣佳丈君 ということだと思いましたけれども、今回、異例の総入れかえの人事があるというのは本当でございますか、特捜部が。
○国務大臣(臼井日出男君) 御指摘の点につきましては、どういう場合を御想定で御質問しておられるかよくわからないわけでございますが、私ども通常の場合の人事につきましては、一般論として申し上げますと、警察の人事異動につきましては、配置の固定化を避けるためさまざまな部署を経験させる、こうした必要性もございまして、不定期の異動というものを避けて、その業務に支障が生じない配慮をいたしつつ一定の定期の時期に異動させる、このようにいたしているところでございます。
○木俣佳丈君 いや、今回は特捜部が部長を残しましてかなり総入れかえに近い状況だということを聞いております。
とにかく、先ほどの理事官の退任も含めて、これだけ熱心に年末年始かけてやってきたことを、ここに来てふいにするということでいいんでしょうか。お二人から伺いたいんですが、委員長と大臣から。
○国務大臣(臼井日出男君) ただいま御指摘をいただきました御意向につきましてはよく理解をいたすところでございますが、そうした異動の場合には従来の捜査に差し支えないような万全の配慮をいたして発令いたしたいと思います。
いずれにいたしましても、具体的な発令につきましてはまだそこに至っておりませんので、これ以上のお答えはできないわけでございます。
○国務大臣(保利耕輔君) その異動のことにつきましては、細部にわたりますので田中長官から御答弁をさせたいと存じます。
○政府参考人(田中節夫君) 先ほど委員御指摘の岩上理事官というのは捜査二課全体を統括する立場にある理事官でございますけれども、この人事異動につきましても、その後の捜査に支障があるかどうかということを十分に判断した上で警視庁で行ったものというふうに考えております。
御指摘の事件につきましては、さらに万全の体制で捜査に臨んでいけるものと承知しております。
○木俣佳丈君 だから、そんな寝ぼけたようなことを言っているからだめなんですよ、本当に。
要は、これは非常に構造的な問題で大変根深い、そしてまた非常に難しい問題であるというふうに伺っております。ですから、両大臣にお願いしたいのは、体制を変えないでほしい、そしてこれをやっぱり仕上げてほしい。来週あたりにもう一人ぐらい逮捕されるんじゃないかという話がありますけれども、そんなことで終わる問題ではないと思いますので、決意のほどをお二人から伺いたいと思います。
○国務大臣(保利耕輔君) 事実は十分に調査し、違法があればこれは厳重に処分をしていかなければならない問題だと、そのように思っております。
○国務大臣(臼井日出男君) 御指摘の点につきましてはよくお伺いをいたしたのでございますが、いずれにいたしましても検察といたしましては、そうした場合にも万全の体制でもって臨む、こういうことにいたしているつもりでございます。
○木俣佳丈君 何か情熱が伝わってきません。
とにかく、もう一度御答弁をお願いします。
○国務大臣(臼井日出男君) 私の立場としては、個々具体的な問題についてはお答えできないのでございますけれども、一般論として申し上げれば、検察といたしましては、すべての問題につきまして公平、公正、中立、厳正の立場をもって適正に対処いたしていくものと考えております。
○国務大臣(保利耕輔君) 委員お尋ねの件は東京警視庁の件だろうと思いますので、私から直接のコメントをすることについてはその立場にございませんけれども、東京警視庁を監督いたしております警察庁を督励して、そういうことのないように私からも厳重に申しつけておきたいと存じます。
○木俣佳丈君 ありがとうございました。
個人的なことではありますが、私の父親が保利大臣と同級生でございまして、慶応の英ゼミというところで、同じゼミナールで一緒にさせていただいたと伺っております。
本当に今回いろんな不祥事があり、そしてまたそれに対しても何とか迅速にされようというその姿勢はもちろんよく伝わってまいります。しかしながら、我が党の同僚議員が申しましたように、葉隠の精神というのか、武士道の精神というものをもってするならば、ここは国民の審判を受けるというのか、評価からしても御辞任されるのがやはり適切ではないかというふうに思っております。
私は新渡戸稲造という方が好きで、「武士道」という本を改めて読んでまいりました。切腹ということでございましょうか、切腹というのは法律上並びに礼法上の制度であって、切腹は我が国の中世に始まって、武士がその罪を償い、過ちを謝し、恥を免れ、友人に償い、そして自分の誠実を証明する方法であったと書いてございます。
私は、やはりここはすべて責任を統括する国家公安委員長を辞するのが正当なやり方ではないかというふうに思うんですが、一言伺いたいと思います。
○国務大臣(保利耕輔君) 御指摘の点は、真摯にそのお言葉を受けとめさせていただきます。
私は、再三申し上げておりますとおり、任命権者から特段のお話がない限りは任にとどまって、警察の立て直しのために、また日本の治安維持のために努力をしていくのが私に課せられた責任である、その責任を逃れてはならぬという気持ちを強く持っておりますことを申し上げさせていただきます。
○木俣佳丈君 では、保利大臣、どうぞ行監の方がありますので、お向かいください。
次に、きょう発表になりましたGDPの成長率のことを御質問させていただきたいんですが、この感想について堺屋長官、お願いします。
○国務大臣(堺屋太一君) けさ、九九年度の十月から十二月にかけての四半期のGDP、いわゆるQEを発表させていただきました。結果は、実質で一・四%のマイナスでございました。前期比で一・四%のマイナスでございました。
その理由は、以前からこの国会でも申し上げておりましたけれども、消費支出がボーナスが非常に少なかった影響でダウンしたこと、それから公共事業がちょうど本予算と補正予算の端境期にあって少なかったこと、そして輸入が十一月にかなりふえたこと、そういったことで減少いたしました。
その反面、長らく低迷しておりました設備投資がかなり大幅に増加いたしまして、前期に比べますと四・六%の増加になりました。前年をも上回るようになってまいりました。
そういったところで、形といたしましてはマイナス一・四%、かなりのマイナスでございますが、一時的なマイナス要因が多くて、構造的な前進要因があらわれているんじゃないか、そういう感じで受けとめております。
○木俣佳丈君 この結果は期待どおりでございましたか。
○国務大臣(堺屋太一君) 期待と言われると、マイナスを期待していたのかと言われるのもちょっとあれなんですが、予測の範囲内でまあまあというところだったと思います。
○木俣佳丈君 平成十一年度の小渕総理の公約であります〇・五%がございますが、これは達成できますでしょうか。
○国務大臣(堺屋太一君) 三期決まりましたのであと一期、平成十二年の一―三月がどれぐらいかによって答えが出るわけでございますが、それで見ますと、平成十一年度が〇・六%になるためには一―三月が二・〇%のプラス成長にならなきゃいけないという数値になっております。
以前の、以前のということは十―十二月の落ち込み、それから一月、二月の動きから見ますと、ホールインワンのように〇・六がっしりといくかどうかはわかりませんけれども、大体プラスの成長は十分蓋然性が高いというように考えております。
○木俣佳丈君 株価は八カ月後の経済をあらわすと言われております。きょう株価はどんな感じでございましたか、午前。
○国務大臣(宮澤喜一君) ちょっと遅いんですが、十三時五分、五百三十六円安。
○木俣佳丈君 これを経企庁長官、どういうふうに見られますか。
○国務大臣(堺屋太一君) 現在の水準、かなり上がってきております。今が高いとは申しませんが、過去から上がってきておりまして、大体一日に百円台の増減のあることはそんなに珍しいことじゃございません。
私、ちょっと今お助けをいただいたんですけれども、けさ方急に下がったわけではございませんから、この発表で大幅に下がったかどうかと言われますと、私はこの発表でどんといったんではないんではないかと思っておりますけれども。
○木俣佳丈君 では、急激な低下というのは何%ぐらいだと長官思われますか。
○国務大臣(堺屋太一君) 株の話を何%が大きいかと言われましても、私は証券の方のアナリストでございませんからあれですけれども、きょうの値下がりがどの要因であったかというのもちょっと十分分析してみないとわからないことでございます。
五百円というのは確かに大きいかもしれませんけれども、そういうことは過去にもございましたし、このQEを発表した途端にどっと下がっているというわけではないんです。最初の一時間ぐらいはそうでもなかったんですけれども、それがだんだんこうなってきたから、どういう要因かちょっと今聞かれてもわかりかねます。
○木俣佳丈君 午前の寄りつきは二百九十八円安でございましたから、ちょっと一時間の間にさらに二百何十円下がったんですよ。これどう思われますか。
○国務大臣(堺屋太一君) 申し上げておりますように、株の動きが何が原因であったかということをすぐにどうだと聞かれましても、ちょっと市場関係者などにインタビューしてみるか何かしないとすぐにはわからないと思いますけれども、どんなものでしょうか。
○木俣佳丈君 そうです。小渕総理は株が上がった上がったとカブを持ち上げましたね、野菜のカブを。あれはどういう意味でしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) ちょっと今、私が数字を申し上げましたので、多分、一・四というのはかなり大きい落ちですから、株はそれを反映したんだろうと思います。
思いますが、どうも私の率直な感じは、十―十二月のボーナスが悪かったりリストラがありましたので、今度はかなり落ちるということは市場も知っておったと思うので、設備投資がプラス四・六になった方が大きいような感じがいたします。今までずっと下げ続けておりましたから、これから設備投資がプラスになるというのは大きいなと。きょうの発表はそういう意味では私はむしろプラスに評価したいので、為替の方はしたがって円が上がっておるわけです。ですから、海外はそういうふうに見ているのかもしれません。
国内の株は、年度末でございますし、いろいろな事情がございましょうから、それだけでは判断できないように思っておりますけれども、とにかく落ちましたのは確かでございます。
○木俣佳丈君 経企庁長官に伺いますが、去年の十二月に経企庁長官が思っていたことと今思っていることとは同じですか。
〔理事竹山裕君退席、委員長着席〕
○国務大臣(堺屋太一君) 私は、去年の十月ぐらいから、大体ボーナスが低いこと、これはもう春闘の結果を見れば、春闘といいますか、四月から六月までにほとんどの企業が決まっておりますから、その結果を見ればわかると。それから、もう一つはやはりコンピューター二〇〇〇年問題。これは二つございまして、一つは旅行とか買い控えがある、もう一つは通関の事情で輸入が先走りで入るという事情がありまして、統計上マイナス要因に入ってまいります。この二つで十―十二月は非常にGDPが下がるだろうということを申しておりました。
それで、実を言いますと、もっと悪いかなという、ゆうべあたりは非常にそれを心配いたしまして、夜が明けてみて二・〇ぐらい下がっておったらどうしようと思っておったんですが、けさ役所の方から一・四だと聞いて、まあどちらかといえばよかった。
その前に大蔵省がお出しになりました法人季報がかなり設備投資がプラスに出ていると。これも非常に心強いところで、まあまあよかったなという感じ、これも本当に実感ですけれども、実感としてはまあまあよかったなという感じでおりました。
○木俣佳丈君 ちょっと私もまだ拝見しておりませんが、十二月ころにいわゆるミニ経済白書というのを出されたそうでございますが、この中でどんなことを言っていらっしゃいますか、どこが景気を引っ張っていくか。
○国務大臣(堺屋太一君) 正確には丸暗記しておりませんけれども、まず当時、当時といいますか、ミニ経済白書で一年ぐらいのことを言うわけですが、その中でまず公共事業、それから減税による住宅、それから消費の回復を期待しているということは申しておりました。それは大体一年ぐらい見通して消費の回復ということを言っておりましたので、それが十―十二月のことを言っているというわけでもございません。
○木俣佳丈君 その中で最も大事だと言われたのは何でございましょうか。
○国務大臣(堺屋太一君) もちろん全体の需要の六割を占める消費需要、これがやはり本格的に回復してくれなければならないということは申しておると思います。
○木俣佳丈君 この中で個人消費しか期待できない向きの文言があるのは、実際それでよろしゅうございますか。
○国務大臣(堺屋太一君) 当時とちょっと様子は違います。それはいい方に違う。つまり、設備投資が比較的早く機械受注あるいは建設受注などにあらわれている。だから、消費需要しかという、そのしかということを余り強調されますと、設備投資もそろそろ期待できるんじゃないかなという感じが加わっているんじゃないかと思いますが、大きなところで言いますと、やはり消費需要が出てきてくれなきゃだめだということでございます。
○木俣佳丈君 その消費需要が十―十二月でマイナス一・〇なんですよね。ですから、次の四半期はどんな予想されますか。
○国務大臣(堺屋太一君) 次の四半期というと一―三月になりますが、一月になりましてから前期に比べまして消費需要は、反動もありますけれども、かなり伸びてきております。そして、二月の数字を見ますと自動車その他も引き続き良好でございます。したがいまして、あと三月でございますが、三月は比較的需要の多い月でございますが、これも電気機器その他、今入っているわずかな情報ではそう悪くないと聞いておりますので、一―三月はプラスになるだろうと思っております。
○木俣佳丈君 公共事業におきましても、公的固定資本形成においてはマイナス五・四となっておりまして、なぜこんなにマイナスになっちゃうのかなという気がします。もしこの御公約が守れなかった場合に、プラスにはっきり〇・五というふうに言われましたが、名目で守れなかった場合にどのようにいたしますか。
○国務大臣(堺屋太一君) 名目の方はプラスと言っておりません。実質がプラスと言っておるのでございまして、デフレーターをかけますと名目の方は下がってきます。
このプラス〇・五と言っておるのが守れなかったらということでございますけれども、〇・一%も違わずに、どんぴしゃり〇・六とか〇・五に当たるというのはこれは大変難しいことでございまして、ホールインワンとまでは言いませんけれども、それに近いことですから、大体ある程度の幅を持って、最初に見通したときからしっかりとしたプラス成長と言っておりますから、その範囲ぐらいには必ずなると信じております。
○木俣佳丈君 私は以前から大臣のファンでございましたが、きょうでやめます。
次の質問をいたしますが、先般文部大臣に伺いました件でございます。戸板学園の件ですね。その後、どのようになられましたでしょうか。
○国務大臣(中曽根弘文君) 先般は、戸板学園の軽井沢セミナーハウスの土地の件についてお尋ねがございました。
この土地の価格につきまして、戸板学園を通じて聞きましたところ、当該土地の近隣地区の平成十年一月時点の公示地価は、一平方メートル当たり六万円とのことでございます。これに単純に当該土地の地積であります三千百十一平方メートルを乗じますと、一億八千七百万円程度となるところでございます。
現在、戸板学園におきましては、専門家に鑑定を依頼するとともに、さらにさまざまな観点から検討を加え、購入価格の妥当性等を判断することとしておりまして、私どもといたしましては、この戸板学園の検討結果を踏まえて適切に対応することとしたいと考えております。
○木俣佳丈君 いや、適切ではなくて、私どもも国土庁に頼んでその地価を伺ったわけでございますので、それは今度理事長も何かおやめになるというようなお話も伺いましたが、再度ちょっと御答弁お願いします。
○国務大臣(中曽根弘文君) ただいま御答弁申し上げましたとおり、今購入価格の妥当性等を学校、学園において検討されておられるところでございますので、私どもはやはり検討結果を踏まえて今後対応について考えていきたい、そういうふうに思っております。
○木俣佳丈君 この件ですね、学園に任せるんではなくて、やはり文部省が公の支配ということを前提に憲法違反でないということを、先般憲法八十九条のことを言われたわけでございますので、しっかりとやっていただきたいと思いますが、決意のほどをお願いいたします。
○国務大臣(中曽根弘文君) 状況は今申し上げましたとおりでございますが、この学校法人の適正な運営につきましては、その趣旨を踏まえまして今後しっかりとした指導をやっていきたい、そういうふうに思っております。
○木俣佳丈君 続きまして文部大臣に伺います。
先般、私渡米してまいりまして、デトロイトという町がございます。ここには小学生、中学生、高校生、何人ぐらいいらっしゃいますか。
○国務大臣(中曽根弘文君) 日本人の学生のお話ですね、小学校、中学校……
○木俣佳丈君 はい、そうです。失礼いたしました。日本人です、もちろん。
○国務大臣(中曽根弘文君) あちらに長期滞在している日本人の方の同伴の義務教育課程段階の児童の数を申し上げますが、小学部、中学部で八百四名の児童生徒がおります。
○木俣佳丈君 その方々は当然日本人学校と言われるところに行っているわけでございますね。
○国務大臣(中曽根弘文君) デトロイトにおきましては日本人学校ではなくて補習授業校でございます。
○木俣佳丈君 この補習校と日本人学校の差を教えていただきたいんですが。
○国務大臣(中曽根弘文君) 日本人学校は平日、すなわち月曜から金曜日まで日本の義務教育と同じように授業をやっておりますし、補習授業校は土日に、ふだんは地元の学校へ行っているお子さんが大多数でございますが、土日に国語とか算数とかの補習授業を行っているということでございます。
○木俣佳丈君 デトロイトのいわゆる日本人の小中学生というのは全世界の主要都市の小中学生の数と比べて多い方でございますか少ない方でございますか。
○国務大臣(中曽根弘文君) 多い方であると思います。
○木俣佳丈君 教育改革ということで、特にまた教育改革の中でも英語を第二母国語にしようということまで言われておるわけでございますが、在外の小学生、中学生の数を教えてください。
○国務大臣(中曽根弘文君) 長期に海外に滞在する、在留する邦人の同伴する教育課程段階における児童、そういう意味では小中学校で平成十一年、昨年の五月現在で約五万人でございます。
○木俣佳丈君 これは大変な児童生徒の方の数だと私は思いますし、そしてまた私もアメリカの方で生活をさせていただいた経験がございますので、日本人らしく生きるためにやはり日本人学校に行きたいという方がたくさんいるわけでございますが、その中でちゃんとした日本人学校がない理由は何でございましょうか、特にデトロイトのように大きい町で。
○国務大臣(中曽根弘文君) 世界の現地の日本人学校、補習学校の状況を見てみますと、アジアにおきましてはかなりの数が日本人学校であります。つまり、現地の学校に行かないで月曜から金曜日まで日本人学校に行くと。アメリカでは七割から七割五分が現地の学校に行きながら補習授業校に行っておる。土曜日だけあるいは土日に先ほど申し上げましたような授業を受けておる。ヨーロッパは大体三割ずつぐらい、日本人学校が三割ぐらい、それから補習授業校が三割ぐらい、その他が三割ぐらいという形になっております。
○木俣佳丈君 文部省がこの大きな八百四人の生徒の皆さんに対して派遣する先生の数は何人でございましょうか。
○国務大臣(中曽根弘文君) デトロイトの補習授業校には、今年度、小学部、中学部で先ほど申し上げましたように八百四名の児童生徒がおりますが、派遣教員は三名でございます。
○木俣佳丈君 これは大変少ない数だと思うんですね。教員全体で五十八名、うち三十六名が免許状を持っていらっしゃるとはいっても、どのようにその先生を集めていらっしゃるか御存じですか。
○国務大臣(中曽根弘文君) 先生を集めているという意味は、採用の方法ですか、それとも……
○木俣佳丈君 採用の方法です。
○国務大臣(中曽根弘文君) 今、委員がおっしゃいましたように、日本から派遣しているのは三名でございますが、これは規則に基づきまして、百名以上の補習校に、あるいは四百名以上と一つの区切りがあって、それに基づいて派遣するのが、それで三名となっておるわけでございますが、お話ありましたように、五十八人の現地採用者がおりまして、そのうちの三十六名が教員の免許状を持っているということで、指導する体制としては私は問題があるとは思っておりません。
採用の方法については、私、今詳しい採用方法を存じ上げておりませんので、必要なら政府参考人からでも答弁させますけれども。
○木俣佳丈君 これは聞いてきたものですから私が答えますが、主婦の方や学生の方をかき集めて何とか五十八名にしているというのが現状だそうでございます。
しかも、ゆとりの教育といいながら、結局月曜から金曜は米国の学校に行って、土曜も一生懸命また勉強しなきゃいけない。これは大変な努力をしなきゃいけないわけでございまして、こういった生徒の皆さんのためにも、そしてまた恐らくこの中から我が国の将来を担われる国際的な人が出てくると思いますので、こういうところをチェックして早急に対応していただけますか。
○国務大臣(中曽根弘文君) それぞれの海外に滞在されている親御さんの御事情とかいろいろあって現地の学校に通わせておられることと思いますし、そこではほとんどの子弟が現地の学校に行っているということで補習授業校になっているわけでございますが、教員の体制を充実させるということは非常に大切なことでもありますので、私どもも、ただ規定どおり人が行っていればいいというようなそんな考え方ではなくて、充実した授業ができるように配慮はしていきたいと思っております。
それから、この補習授業校の児童生徒に対しまして、やはりカウンセリングを充実させるとか、そういう点も配慮をしておりまして、来年度予算におきましてカウンセラーの派遣の増員をお願いしているところでもありますし、またこういう時世でありますから、情報技術、こういうものも現地にいても勉強しなければならないだろうということを視野に入れまして、補習授業校に対する支援策を効率的、効果的にやろう、そういうふうな考えでおります。
○木俣佳丈君 特に算数とか理科の専門の先生が全体的に足りないそうですね、全世界的に。ですから、そういうのはやはりきちっと文部省の方から派遣していただきますようにお願い申し上げます。
次に、通産大臣に伺います。
愛知万博、いわゆる通称ですね、国際博がございますが、いろんな議論が行われておりますけれども、今後の対応方針を伺いたいと思います。
○国務大臣(深谷隆司君) 愛知万博は、そもそも住民及び愛知県全体の多くの意思をまとめて実現するということでスタートをいたしました。さまざまな経緯を経ましたけれども、途中で、自然との共生とか「自然の叡智」というこのテーマに合うように、いろんな御意見を伺いながら愛知県も万博協会も我々も配慮しているところであります。
しかし、いずれにいたしましても、BIEのモナコ総会で我々が劇的な、勝利というとおかしいんですが、実施についての資格をかち取ったわけでありますから、これはもう国際的にも注目されていることでありますので、十分な内外の意見を聞きながらぜひ実現をさせていくということで全力を挙げたいと考えます。
○木俣佳丈君 今回、五月の登録というのがあったそうでございまして、これは断念されたわけでございますけれども、今、通産大臣も中心になり、そしてまた我が党も、自然保護団体の方々を初めとしていろんなところからその意見を伺っております。報道によれば、大臣も自然保護団体とも直接会って話を聞くということでありますけれども、非常にこれも大事なことなのかなというふうに思っております。
誘致のときから、海上の森を舞台に「自然の叡智」、自然との人間の共生という姿を示すということなんですが、なかなかその姿が見えてこないというのが実は愛知県の中でも反対が多い理由でございまして、今、万博協会、そしてまた通産省、そしてまた愛知県というお話でございましたが、通産省が責任を持ってやはりこれをし遂げていっていただかなければ、これはできないと私は思います。
責任の所在、そしてまた十二月の登録ということに向けまして、これは国の施策でございますので、その方面の大臣の御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(深谷隆司君) 昨年BIEの議長及び事務局長が日本においでになりましたときに、通産省あるいは愛知県万博協会との話し合いの中で、十分に理解が行き届いていないという、そんな印象を持ちました。そこで、私どもといたしましては、担当大臣として現地の視察をしたり、あるいはBIEに対しまして正確な内容を伝えるということで幹部を現地に派遣しての説明を行ったり、それから多くの方々の出された御意見を踏まえながら、これは理解と協力なしにはできないことでありますので、そういうこともすべて含めて何らかの形を国民の皆さんに示し、地域に示して前進をさせたいというふうに考えて努力をしてまいりました。
主としてその跡地をどういうふうに利用するかということが大きなテーマになっていますが、この跡地に関しましては、これは愛知県の将来にかかわることでありますから、愛知県を中心として検討するというのは私は当然なことだと思いますが、しかしその場合に、実現させるための諸条件にいろんなそごを来してはいけませんから、十分に我々としても意見を聞き、また助言もいたしながらこれらの新たな提案を待ちたいと思っているところであります。
私どもといたしましては、閣議で了解をして事を進めていることでありますから、国としてこれを実現させるために全力を挙げるのは当然だと思います。
○木俣佳丈君 もう一段、やはり通産省が中心になってやられるという決意でやっていただかないとこれはできないと。
それから、あと新聞等々にありますこの新住事業、これを断念ということでございますが、これはこのとおりでよろしゅうございますか。
○国務大臣(深谷隆司君) 過日、一部の新聞で大きな見出しでそういう記事が出たようでありますが、その後、県議会の知事の答弁の中で、今現在そういうような結論に至っていないという旨の訂正の発言があったやに聞いております。
恐らく、あらゆる角度からただいま検討を重ねているときではないかと思います。
○木俣佳丈君 特別立法等起案していただく等々、我々も精いっぱい愛知県出身の議員として頑張りたいと思いますし、それからやはり「自然の叡智」、この新住事業もそうでございますが、やはり人と自然が共存してそこに住むというのは非常に私は大事なことではないかと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
決意のほどをもう一度お願いします。
○国務大臣(深谷隆司君) 私も海上の森に視察に参りまして、かつて戦争が終わった後に、全く丸坊主であった山を地域の皆さん方が一生懸命苗木を持っていっては植えていって今日のような状態をつくったというふうに伺いました。まさに人々がつくり上げた自然の環境が今の海上の森ではないかと思います。
そういう意味では、人間と環境とがどんなふうに一体になっていったらいいのか、自然と人間とのかかわり合い、共生あるいは「自然の叡智」、そういうものを日本から世界に向けてのメッセージとして送れるような、そういう中身にしたいと思っております。
私どもは、せっかく今日まで来ているわけでありますから、国を挙げて、愛知県それから万博協会と一体となりまして、ぜひ実現を図りたいと思っておりますので、御協力を心からお願いいたします。
○木俣佳丈君 ありがとうございました。
次に、情報収集衛星について官房長官に伺います。
この今年度の予算は幾らでございましょうか。それで、トータルは幾らでございますか。
○政府参考人(杉田和博君) 今年度予算は七百億超、最終的なトータルの予算として現時点で予定をしておりますのは二千五百億程度であります。詳細を申し上げますと、十二年度につきましては五百六億四千四百ということでございます。
○木俣佳丈君 これは官房長官に伺いたいんですが、これの所管、管轄はどちらでございますか。
○国務大臣(青木幹雄君) まだ正式には決めておりませんけれども、いわゆる我が国の安全確保、具体的には外交防衛等、安全保障及び大規模災害への対応等、非常に幅広い分野にわたるものでございますので、今のところは内閣に置こう、そういうふうに考えておりますが、総務庁とも十分相談をする問題が残っておると思っております。
○木俣佳丈君 今の御答弁について、防衛庁長官はどのようにお考えでございましょうか。
○国務大臣(瓦力君) 木俣委員にお答えいたします。
今、官房長官からお答えのとおりで私は結構だと思っております。
政府全体の情報収集能力の強化に寄与せしめるとともに、内閣機能強化を図るという観点から内閣官房に設置する方向で検討しておるものでございますが、防衛庁といたしましても、画像情報業務を通じて得た知見でありますとかあるいは情報収集衛星の運用体制の整備の面におきまして積極的に協力をしてまいりたい。
官房長官は木俣委員には多少遠慮ぎみにおっしゃっておられた感がいたしますが、私は積極的に内閣官房で結構だと思っております。
○木俣佳丈君 官房長官に伺います。
米国ではどちらが御担当でございますか、管轄は。
○政府参考人(杉田和博君) アメリカにおきましては国家偵察局という組織が所管をしております。なお、この国家偵察局というのは国防総省のいわゆる管下の独立組織でございます。
なお、ついでに申し上げますと、ただしこの運用につきましては、インテリジェンスコミュニティーを統括いたしますDCI、つまりCIA長官と国防長官が共管をしておる、こういう実態でございます。
○木俣佳丈君 私は、この情報収集衛星というのは当然、今米国にありましたようにDOD、国防総省の管轄になければ、特に軍事衛星、スパイ衛星とアメリカでは呼ばれておりますので、うまく機能しないと思いますが、官房長官、いかがでございますか。
○国務大臣(青木幹雄君) その国によっていろいろ事情は違うと思いますが、我が国においては、ただいま申し上げましたように、安全の問題また環境の問題、非常に広範囲にわたっておりますので、私は我が国においては内閣官房で結構じゃないか、そういうふうに考えて今申し上げたところでございます。
○木俣佳丈君 この情報収集衛星の性能について伺いたいんですが。
○政府参考人(杉田和博君) 予定をいたしております情報収集衛星の分解能につきましては、約一メートルでございます。
○木俣佳丈君 これは商業衛星のイコノスと同じですか。
○政府参考人(杉田和博君) おおむね同程度でございます。
○木俣佳丈君 それでは、何で導入するんですか。
○政府参考人(杉田和博君) 我が国の安全に関する情報、これは必要なときに必要なだけ迅速に手に入れるということが大変大事であります。そういう意味では、収集衛星の運用の自在性というものが最も大事であるというふうに考えております。
その点、御指摘の商業衛星は確かに同程度でございますけれども、あくまでもその商業衛星を運用するのは企業でございます。そうしますと、今申し上げましたような運用の自在性というもので大変リスクが大きい。こういうものに我が国の安全に関する情報を全面的に頼るということはやはり避けなければならない、かように考えております。
○木俣佳丈君 では、石油だって何だって、要は輸入は国家がやればいいですね、すべて、これだけじゃなくて。そう思いませんか。
○政府参考人(杉田和博君) 例えが石油でございますけれども、先ほど申し上げたとおり、私はやはり我が国の安全ということを考えるときに、それにかかわる情報というのは先ほど申し上げたような考え方でいくべきであるというふうに考えておりまして、委員の御意見には同意できかねます。
○木俣佳丈君 それでは、日本独自の情報を持ちたいということなんですが、日本だけが持てますか。
○政府参考人(杉田和博君) 日本だけが持つかというお尋ねでありますけれども、日本は持ちたいと考えております。
○木俣佳丈君 これは曇ったところも写せますか、雲の上から。
○政府参考人(杉田和博君) 今政府として打ち上げを考えておりますのは、光学衛星とともにレーダー衛星も考えておりまして、まさに御指摘のとおり雲がありますと光学衛星は運用できませんので、したがって雲があっても夜間であっても情報が入手できるレーダー衛星もあわせて持ちたいと考えております。
○木俣佳丈君 それが商業衛星のイコノスと違うところで、合成開口レーダーがあるということですが、これはアメリカのNORADに捕捉されませんか。
○政府参考人(杉田和博君) レーダー衛星の場合は、撮像対象地域に対しまして当然電波を照射いたしますから、したがってその電波を捕捉できるような資機材、施設、こういうものを地上に設置すればそういうものを察知することは可能でありますけれども、いわゆる地球を周回する衛星がどこを通るかということをあらかじめ想定をして世界各地にそういうものをつくるということは事実上は不可能であります。
したがいまして、仮にその一部がNORADかどこかに察知されたとしても、この画像情報収集衛星の意義というものにはいささかも変わりはないと考えております。
○木俣佳丈君 先ほどの商業衛星の話もそうなんですが、同盟国というのをどのようにお考えでございますか。
○政府参考人(杉田和博君) 私どもは、友好的な国とは必要な情報交換というものを常日ごろから行っておりまして、アメリカとの関係について申し上げれば、日米安全保障体制、そういうもとでこの情報面においても緊密な協力関係というものをつくっております。
○木俣佳丈君 官房長官に伺います。
例えば、北朝鮮ということでケースを挙げますけれども、そこでミサイルの発射が行われようとしているときに、我が国としてはどの時点で我が国有事としてそれをとらえてそこを要撃することはできますか。
○国務大臣(青木幹雄君) 今、議員は例えばの例として北朝鮮の問題をお取り上げになったわけでございました。
しかし、御指摘のような北朝鮮という仮定の議論については、実はきょうも赤十字で北朝鮮との会談も行われておりますし、この機会に私から仮定のことについての答弁は差し控えたい、そういうふうに考えております。
○木俣佳丈君 しかし、官房長官、これの導入は北朝鮮からの有事のことを考えてではないんですか。
○国務大臣(青木幹雄君) 基本的には私が今申し上げましたように、仮定の議論についてお答えすることはできませんが、そういう前提でお話を申し上げれば、まず我が国の集団的自衛権とは、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を自国が直接攻撃されていないにもかかわらず実力をもって阻止する権利、こういうことであります。
その上で、一般論として申し上げれば、一般的な情報交換の一環として情報を提供するということは、実力の行使には当たらない、すなわち憲法上認められていない集団的自衛権の行使には該当しない、そういうふうに考えております。
○木俣佳丈君 もう一度最後のところをお願いします。
○国務大臣(青木幹雄君) もう一回申し上げます。
一般的な情報交換の一環として情報を提供するということは、実力の行使には当たらず、憲法上認められていない集団的自衛権の行使には相当しない、そういうふうに解釈をいたしております。
○木俣佳丈君 私質問を飛ばしたものですから、今質問する前にちょっとお答えがありましたが、そういうことではなくて、要は我が国有事、個別的自衛権の話をしておるわけでございます。つまり、ミサイルが設置され、核弾頭が配備され、そして燃料が注入され、傾斜角が合って弾道計算ができます。そのどの時点で我が国有事とそれを判断するんですか。
○政務次官(依田智治君) 突然の質問でございますが、通常、専守防衛の我が国としてやはり相手側から攻撃があった場合にそれを防ぐというのが我が国の考えでございます。
ただ、完全に撃って、もう撃たれて被害が生じてからでないとだめかというと、やはり準備行動があって明らかに攻撃の着手があったという時点で対応できるというように考えております。
○木俣佳丈君 このどの時点か、もう一度、政務次官。
○政務次官(依田智治君) これは一般論でございますが、やはりどの時点で着手があったと、攻撃の着手があったと認定するかの問題だと思います。だから、そこのところは、もう我が国に向かって飛んできたというのが着手だということでは防ぎ切れないという場合があるかもしれません。だから、そこのところは、やっぱり既に燃料も装てんして、周囲の情勢からして明らかな攻撃の段階に入るというものが認定できるような状態においては私は自衛権の発動ができる、こういうように従来も考えておるところでございます。
○木俣佳丈君 そのあたりがいつもあいまいになるものですから、我が国有事ということがいつもあいまいになってしまうと思うんです。
ちょっと質問を飛ばしますが、商業衛星イコノスで一キロ四方を撮りますと幾らぐらいかかりますか。
○政府参考人(杉田和博君) 一キロ四方について申し上げますと、一般ユーザーで五千五百円ということでございます。
○木俣佳丈君 最大だとどのぐらいまで撮れますか。
○政府参考人(杉田和博君) 十一キロ四方と承知をいたしております。
○木俣佳丈君 今度の衛星もそうですが、導入しようとする衛星もそうですが、一日一カ所、何回撮れますか。
○政府参考人(杉田和博君) 大体平均しますと一・五回撮れます。
○木俣佳丈君 大体、私が伺ったのは一回だと聞いておりますけれども、そうしますと、例えば最大十一キロ四方で六十六万五千五百円、一キロ四方で五千五百円としますと。最大に撮っても、一日一カ所だとしますと、何と三万七千五百六十五枚、百三年間撮り続けることができるんですね。それから、五千五百円だと四千五百四十五万四千五百四十五枚、十二万四千五百三十三年撮り続けることができるんですよ。それでも導入しますか。
○政府参考人(杉田和博君) 先ほど申し上げましたけれども、今回導入する目的というのは、まさに安全にかかわる情報、それをいかに早く迅速に確保するかということでありますので、自在性ということが大変大事であります。
そういう意味で、商業衛星に全面的に依存するということはやはりふさわしくない。先ほど来申し上げているとおり、全面的にということでありまして、我が方は情報収集衛星を持つと同時に、いろいろな情報もあわせて、並行して入手するように努力をしておるところでございます。
○木俣佳丈君 質問を変えます。
外務大臣に伺いますが、援助の哲学をまず伺いたいのですが。
○国務大臣(河野洋平君) 地球上に生きとし生ける生き物、これすべてその命を大事にしたいというふうに考えております。
とりわけ、この地球上の人類が平和に生きていくということのために、先進国は途上国に対して効果的にでき得る援助をしていくということはそれぞれの務めと考えるべきだと私は考えております。
○木俣佳丈君 今おっしゃったような、そういうお互いに助け合うというのか、助けることはまた助けられることである、こういうことでしょうか。
アフリカで、死亡原因の一位は何でございますか。
○国務大臣(河野洋平君) 申しわけありません、正確かどうかわかりませんが、私はエイズではないかと思います。
昨年末の調査によりますと、今地球上にはエイズウイルスの感染者は三千三百万と言われておりますが、その三千三百万のエイズウイルスの感染者のうち、サハラ砂漠以南がその三分の二、およそ二千三百万人いるというふうに聞いておりますので、そうではないかと思います。
○木俣佳丈君 そのとおりでございまして、アフリカにおいてのエイズの罹患率、有病率というんでしょうか、十五歳から四十九歳までの有病率というのはどのぐらいでございますか。高いところから御説明いただけますか。
○国務大臣(河野洋平君) 申しわけありません。今申し上げましたように、サハラ砂漠以南で二千三百万というふうに申し上げましたが、私どもが承知をしておりますエイズ感染の状況について申し上げますと、九八年中のエイズによる死者は二百二十万人。これは、世界の人口の一〇%が住むこの地域に、全世界のHIV感染者の七〇%が集中していることになると言われております。
年齢的に申しますと、エイズ禍によりますサハラ砂漠以南で平均寿命が、サハラ砂漠以南のアフリカで九〇年代の初めに平均寿命が五十九歳であったものが、二〇〇五年から二〇一〇年には平均寿命は四十五歳に下がる見通しだと言われております。ジンバブエ、ボツワナでは九七年のエイズ有病率は、十五歳から四十九歳は約二五%、他方、ウガンダで九・五%、セネガルで一・七%というふうに承知をしております。
○木俣佳丈君 日本では余り知られていないんですけれども、サブサハラ、今言われたサハラ砂漠以南の国では、若者の、特に十五歳から四十九歳までの間の、これは統計はまだ実は私が持っているのは三割を超えておりまして、の方がエイズにかかっているという状況だそうでございます。この中で日本政府は何をしてきましたか。
○国務大臣(河野洋平君) 我が国は、エイズ問題を途上国住民一人一人の生命、健康への大きな脅威であると同時に、途上国の経済社会開発への重大な阻害要因であるというふうに両面からとらえておりまして、昨年八月に発表いたしましたODA中期政策におきましてエイズ問題を重点課題の一つと位置づけております。
具体的には、九四年以降、我が国独自の取り組みといたしまして、人口・エイズに関する地球規模問題イニシアチブ、GIIと申しておりますが、に基づきエイズ対策を実施しているところでございます。九八年度までの五年間でODAを通じたエイズ対策の実績は約八千八百万ドルでございます。
国連合同エイズ計画に対しましては、九六年の発足当初より毎年約六億円の拠出をいたしております。
○木俣佳丈君 日本のいわゆるODAの総額からしますと本当に微々たる拠出ではないかというふうに思うわけでございますが、この中で幾つかの国が成功例として取り上げられておりますけれども、そういったものを御存じでしょうか。
○国務大臣(河野洋平君) ザンビアの国境地帯における長距離トラック運転手、生産業従事者を対象としたHIV啓蒙プロジェクト、JICA開発福祉支援事業により三月より実施をいたしております。
日本側がNGOワールド・ビジョン・インターナショナル・ザンビアの活動を支援し、アメリカ側がコンドームの普及、プログラム全体の評価活動を支援する日米連携のプロジェクトと承知をいたしております。二〇〇〇年度以降は、我が方は短期専門家の派遣も検討中でございます。
○木俣佳丈君 ザンビアよりウガンダ、セネガルというのが非常に有名だそうでございます。これはなぜ成功したと推測されますか。
○国務大臣(河野洋平君) 成功の理由はいろいろきっとあると思いますけれども、私どもとしては、NGOの協力というものが非常に大きいのではないかと思います。
○木俣佳丈君 おっしゃるとおりだと思います。やはり教育という面と、やはり避妊の、特にコンドームの配布、こういったものが大変劇的な変化を起こして、ウガンダでは約二十年間で半減したというふうに伺っております。
次に、インドネシアの暴動の話をさせていただきたいんですが、今のこの暴動、キリスト教とイスラム教のいろんな暴動の様子をどのように見ていらっしゃいますか。
○国務大臣(河野洋平君) インドネシアは、インドネシア自体の政治的大きな変化がございました。と同時に、議員御承知のとおり東ティモールの独立という問題がございました。それらがインドネシアの国民に対してさまざまな可能性といいますか、さまざまな問題提起をしたということがまず基本にあるんだろうと思います。
そうした状況の中で、議員がお考えになっていることだと思いますけれども、宗教的な対立でございますとか民族的な対立でございますとか、あるいは地域によりましては、その地域が大変豊かな地下資源を持っているにもかかわらずそれが中央政府によって十分その地域に還元されないとかいった不満、不平、そういったものがあちこちに顕在化してきているという部分もあるだろうと思っております。
○木俣佳丈君 インドネシアの各地、マルク州、アチェ、西ティモール、こういったところで千人二千人というオーダーで殺りくがされているわけでございまして、これに対して日本の支援というのはどのようなものでございますか。
○国務大臣(河野洋平君) 我が国といたしましては、これらの問題解決のためにどういう支援が可能であるか検討をしてきているわけでございまして、既にアチェ特別州や北マルク州の国内避難民に対する人道支援を行ってきております。
しかし、基本的には、我が国としてはインドネシアの領土の一体性というものを支持したい、こう考えておることも他方事実でございます。
○木俣佳丈君 特に医療の不足というのが甚だしいというふうに聞いておりまして、またインドネシア国内人がそうやって派遣を二年間、当初、例えばジャワ島で医師になった場合に、それ以外のところで医師を務めなければいけないという国内法があるそうでございますが、なかなか危険で行けないということでございまして、日本からもやはり医師の派遣、そしてまたいろんな薬のもっと適切な配分をしてほしいと思うんですが、いかがでございますか。
○国務大臣(河野洋平君) 地域によりまして我が国はさまざまな支援を行っております。この支援は草の根無償その他を通じて支援をしているわけでございますが、例えばアチェ特別州におきましては、アチェの避難民に対しまして、議員今御指摘の医薬品でございますとかテントでございますとか、飲料水を確保するためのポットでございますとか衣服、こういったものを支援しておりますし、その他避難民に対します支援としては、乳幼児用のミルクでございますとかそういったこと、さらには復興支援という意味では、破壊された小学校や幼稚園、寄宿舎などの改修、その他にも支援をしているところでございます。
○木俣佳丈君 まだ本当に足りませんので、今後とも御検討いただきたいと思います。
NGOとの連携というのが今の課題だと思うんですが、一貫して今も日本政府は予算ベースで五二%今年度予算で円借款に費やしているという硬直的な予算を組んでおりまして、今後のNGOとの連携について山本政務次官からちょっと一言いただけますか。
○政務次官(山本一太君) 木俣委員、NGOについては大変御造詣が深いというふうに聞いておりますし、NGOとの連携というのは、これはもう国際的な援助の流れでもございまして、日本政府としても真剣に検討し、今実績をつくっているところでございます。
例えば、草の根無償というのがございますけれども、これは平成元年からたしか始まったんですが、一件上限一千万円という単位で途上国の地方政府とか保健医療とか教育機関とか、あるいはNGOの小規模なプロジェクト等にサポートしているんですが、これなんかもずっとふやしておりますし、これについてもさらにNGOとの連携をいろんな形で模索しております。
十分重要性を踏まえてやってまいりたいと思っております。
○木俣佳丈君 今、ちょうど草の根無償という話がありましたけれども、問題点は何かありますか。
○政務次官(山本一太君) 問題点と言われましても、完全なシステムはないので、いろいろこれまでの実績を踏まえて変えていかなきゃいけないところはあると思いますが、今までのところ高い評価を得ているのではないかというふうに思っております。
平成元年に始めたころは、たしか三億円か四億円だったように記憶しておりますが、二〇〇〇年の政府の予算案ではたしか八十五億円ということで、内外から評価を受けているということがこの予算の増額につながっているのではないか、このように認識しております。
○木俣佳丈君 問題点としては、やはり現地語に翻訳がされていないとか、または、東京で管理するわけですが、この管理費が出ないとかいうことがあると思います。その辺の御認識を。
○政務次官(山本一太君) テキストについては、ちょっと調べてみたんですが、説明書を今一生懸命つくっておりまして、少なくとも英語、フランス語、スペイン語のパンフレットは今作成をして広報用に使っておりますし、ほかの語学でもし必要性があればまたそこも対応していきたいと考えております。
それから、管理費の問題ですが、これはいろいろ議論のあるところですが、今の現行のシステムでは、人件費等を含む管理費というのはNGOの自助努力に任せてあるということでございます。事業ベースでは、上限を決めて、委員も御存じのとおりきちっと対応しておりますが、長期的にはどういうふうにしたらいいかということを議論の一つとしてやっぱり議論していく必要はあるかなと、このように考えております。
○木俣佳丈君 最後の質問でございますが、ぜひ前向きに御検討いただきたいのは、例えばNGOが登録がしっかり日本でされていないがために現地で苦労をするとか、それから現地でNGOの担当者というのが在外の大使館にいないとかあるらしいんですね。そういったものの拡充について前向きな御検討をいただきたいんですが、政務次官、最後の御質問です。
○政務次官(山本一太君) 登録制度につきましても、委員御存じのとおり、欧米の方ではこれを採用しているところもありますが、これはいろいろアカウンタビリティーの問題というのもございますし、日本のNGOの中でも必ずしもまだコンセンサスがとれていないというふうに思います。あるいはNGOに対する助成の規模も随分違うものですから、現行ではそういう方法になっておりませんが、長期的には日本のNGOがどんどん育ち、あるいは金額が大きくなっていく段階の中では将来的には考えてみる課題の一つではないか、このように考えております。
○木俣佳丈君 質問を終わります。
○委員長(倉田寛之君) 以上で竹村泰子君の質疑は終了いたしました。(拍手)
─────────────
○委員長(倉田寛之君) 次に、益田洋介君の質疑を行います。益田洋介君。
○益田洋介君 まず、金融再生委員長にお尋ねをしたいと思います。
日本版のビッグバンがやっと緒についたというふうにはっきりと認められるような状態になりました。イトーヨーカ堂の異業種の参入問題、さらにはそれにヒントを得て力を得たところのソニーの銀行業参入問題。
要するに、金融業界の、銀行、証券、生保、それから一般事業会社の金融業におけるバリアをフリーにしよう、こういう動きがやっと現実の問題として、特に委員長新任されてから動きが活発になって、最初に越えたハードルというのは、貸し付けを行わない、要するに、言ってみれば決済専門を業務にする銀行を果たして銀行法上の銀行と認めるかどうかという議論だったわけですが、これも七日の閣議後に発表された委員長の所見では問題ないであろうと。
ただ、参入基準の設定において、ガイドラインの設定、ここにさまざまな問題が出てくる。特に、銀行の公共性であるとか信用性であるとか、それから銀行が事業主である親会社の融資に例えば幸福銀行とか平和銀行の例を見ないまでもそういう懸念があるということで、これからガイドラインづくりに専念をされるわけでございますが、まずとりあえず日本版ビッグバンの第一歩を踏み出されようとしている再生委員長のこの辺の御見解並びに御決意を伺いたいと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) お答えいたします。
益田委員御指摘のように、金融ビッグバン、日本でも本格的に進み出してまいりまして、やはりこれに向けて私たち日本の金融システムというものがしっかりしたものになっていかなきゃいけない。今までこの十年、口の悪い方では失われた十年などということをおっしゃって、その背後に金融秩序の不安定さがあるという指摘もあったわけでございますから、金融再生委員会としては、力の限りそういうことに取り組んでまいりたいと思っております。
そこで、今、先生がおっしゃった異業種参入の問題でございますけれども、個別の企業の名前をお挙げになりましたが、私の立場は個別企業の申請についてどうというコメントはいたさないことになっております。しかしながら、こういう金融ビッグバンの進展していく時代の中で、異業種が金融機関に参入してくるということはいろんなメリットが想定されるわけでございます。それぞれの事業で得られたいろいろなノウハウあるいは技術、こういうものを金融の中に生かしていって、日本の金融技術が高まっていくのではないかとか、あるいはそれによって利用者の利便が高まっていくのではないか、いろんなことが期待されるわけであります。
しかし他方、今、益田委員御指摘になりましたように、幾つかの問題点をやはり検討しておかなければならないんだろうと思います。
一つは、私ども昭和の金融恐慌のときにも経験したことでございますけれども、金融機関が事業会社の機関銀行化して、片一方が体力が弱っていくともう一つも弱くなって、相乗的に傷口を深くしたようなことがあったように聞いておりますので、その事業会社と金融機関の間の距離のとり方といいますか、そのあたりはやっぱりよく研究しておかなきゃならない問題だろうと思っております。
それから、いろいろな金融機関の事業のあり方の中でも、今、益田委員がおっしゃいましたように、受信業務はやるけれども与信業務はやらない金融機関であるとか、決済専門の銀行であるとか、こういうようなものもいろいろ議論されているわけであります。ここらも、金融機関の健全性というものから見てどういう問題点があるのかというようなことはきちっと議論をしていかなければならないんであろうと思います。
そのほか幾つか論点はございますけれども、精力的にこのあたりの議論を詰めて一つの結論を出していきたい、このように思っております。
○益田洋介君 特に懸念されるのは、今、委員長も指摘されましたが、親会社の経営状態に関する監督業務ということで、これは再生委員会でも監督庁も一般事業会社については監督業務はございませんわけで、その点をどういうふうにするのか。しかし一方で、このバリアフリーを達成するためには親会社の監督業務というのは非常に重要な任務になってくる。この点についての御所見と、さらに加えて、それでは今度銀行業界から一般事業への参入についての規制緩和という議論も当然出てくると思います。この辺もあわせて御意見を伺いたいと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) 実は、金融再生委員会におきましても、一昨日でございましたか、論点を整理して議論を始めたばかりでございますので、今の益田委員の御質問に対してストレートに答えるのは私もまだ準備がございません。
一つは、今おっしゃいましたように、今の銀行法上、事業会社、親会社たる事業会社に対する監督権限というものは全く規定されていないわけでありますから、そういうことでいいのかどうかという問題が一方あろうと思いますし、他方、金融機関が事業に進出していくについてはいわゆる五%ルールというようなもので制限を設けておりますので、そういう非対称の規制でいいのかどうかといったようなことはやはりこれから整理していかなければならない論点であろうと思っております。
○益田洋介君 次に、十日に判明したことでございますが、日債銀の奉加帳の問題で、日債銀が公的資金の導入を得まして、九七年の春でございますが、奉加帳方式で約二千百億円の出資を民間企業から、金融機関から得た。そのうち、特に第一火災海上保険に対しては六十五億円を公的資金で全額返済する、結果的にそうなった。この背景にあったのは、やはり損失を補てんするんだという特殊な契約が個別の金融機関の間にあったからだと。
この問題についての再生委員会の御意見は、法的には問題ない、個別の当事者同士の契約であるから履行されるのは問題ないと言いつつも、しかし結局は、正当な手続とは言いながらも、その分だけめぐりめぐって国民の負担がふえることになるんです。
この問題は全く国民の目にさらされていなかった。だから、特にこの問題が私たちに投げかけるテーマというのは、例えば今回のような議論としては、金融行政は何とかして公的資金を投入することによって危機を乗り越えるための必要コストであったと。しかし、必要コストであれば、どのように何のために幾ら使われるのであるか、これはやっぱり納税者は知る権利がある、開示義務があると思うんです、公的資金については。
この点についてはどう思いますか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 今御指摘の日債銀と第一火災との間の報道もございました。これは、委員がおっしゃいましたように、法律上有効なものとして同契約に基づいて日債銀が債務を履行したと報告を受けております。
この具体的な契約内容は、日債銀からは平成九年六月十九日、第一火災とそれから日債銀の関連親密先である株式会社長浜地所との間で貸し株契約が締結されまして、そしてその契約で、株価が一定金額を下回った場合には長浜地所が第一火災にその差額を支払って、株価が一定金額を上回った場合には第一火災が長浜地所にその差額を支払うとの特約がなされまして、そして日債銀が長浜地所の債務を保証した、こういうふうに報告を受けているわけでございます。
それで、確かにこの契約がまず契約として有効であるかどうかということは日債銀においても検討され、法律的にも弁護士に相談をしてそのような結論を出された、こう聞いておりますが、確かに日債銀譲渡に関して必要となる公的負担の額が拡大したことはまことに遺憾なことではありますけれども、法律上有効な契約、債務を全額守っていくという、こういう政策的判断のもとに行われている中で支払いはやむを得なかったものと考えております。
そこで、今、益田委員がおっしゃったように、もう少しこの辺が今までわからなかったのはおかしいじゃないかという御議論、私もいろいろこの話を聞きましてから考えてみました。ぎりぎり突き詰めてみますと、日債銀という金融機関も金融機関でございますから取引先の個別の情報、個別の信用とかかわっているわけでありまして、どういう契約を結んでいるかというようなのはやはりこれはなかなか表に出せない面があるのかなと。私も随分実はこの結論でいいのかどうか、報道があってから悩んだんですけれども、結局、最終的にはそういうことがかかってくるのではなかろうか、こういうふうに思っております。
○益田洋介君 これからもさまざまな観点から御努力願わなきゃいけない再生委員長でございます。
再生委員会の権限及び再生委員長の権限というものについて非常にあいまいなまま一昨年の十二月に再生委員会は産声を上げたわけでございますが、その権限のありようについて、内容について初めて政府の統一見解が発表されたのは二月二十五日、くしくも前委員長が辞任された日です。
この統一見解によりますと、再生委員会は重要な事柄について適宜報告を受け、指示を発することはある、権限の所在は合議体である再生委員会であって、再生委員長ではないと認定している。
このことは、政治家の関与といいますか権力が極めて限定された仕組みになっているということ、私どもも驚いたわけでございますが、これに対して金融大臣は就任直後から、委員長は政治家としての任務を務めることが期待されている、ここまで踏み込んで思い切った発言をされた上に、個別の金融機関からの陳情もシャットアウトしたら政治家ではない、これは私直接聞いたわけじゃないからわかりませんけれども、そのように発言されている。その後の行動については政治家個人の良識にかかっているんだ、ここまで立派に言われています。
同じ政治家として、選挙民に対する支持基盤、それから公正中立という委員長の立場、これを両立させていかなきゃいけない委員長のお立場、その辺の御決意を、両方とも私は正しいと個人的に最初に申し上げますが、伺いたいと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) 今おっしゃいますように、金融再生委員会にとどまらず、最近、金融行政機関というものの組織というのはこの数年間目まぐるしく変化をしております。
今さら繰り返すまでもございませんけれども、おととしの六月に金融監督庁ができた、そして十二月に金融再生委員会ができた、そしてことしの七月になりますと金融監督庁は金融庁というものに変わっていき、来年の一月には今私が務めております金融再生委員会自体もなくなっていくと。非常に大きな変化がございまして、それは皆そのときそのときの国会の御議論で最善を尽くして議論していただいて結論を出していただいたことでございますけれども、これだけ変化が多うございますから、じゃその権限が何なのか、私、この役所に参りましてもなかなかわかりにくいところがあるのは事実でございます。
それで、細かな議論は抜きまして、私は、先ほど益田委員がおっしゃいましたような金融再生委員会のあり方というものはどういうものか、結論だけを申し上げますと、この金融再生委員会も国家公安委員会と同じように合議制の三条機関でございますから、実はこのごろの国家公安委員会をめぐる議論も、私、自分の仕事と関連づけて大変興味を持って、関心を持って聞いております。
結局、二つではないかと思うんです。
一つは、こういう金融行政機関の変化の背景にあるのは、明確なルールに基づいて公明な透明な行政をやっていけと。護送船団方式には決別するんだということがあったと思います。したがいまして、個々のことは金融監督庁長官に委任しているわけでありますけれども、金融監督庁が仕事をしていくに当たって、いわゆるあしき意味での政治的圧力でそういう行政を曲げることのないように、公明に透明にやっていくという金融監督庁の行政方針を金融再生委員会は基本的にそれを守ってあげると言うと間違いかもしれませんが、外壁となってあしき意味での政治的圧力を排除していくという面が一つ私はあるだろうと思います。
しかし、他面、金融監督・検査というものは、ある意味からいいますと大変大きな権力の発動でありまして、この権力の発動が行政の恣意に流れたり、こういうことに実情を知らないままでのいわゆる四角四面の運用になっていった場合にはいろいろ弊害も出てくるだろうと私は思います。金融再生委員会というものが合議制の委員会として決められて、できるだけ政治的な中立性を保てと言っておりますけれども、その背景には、もし官僚機構がそういう独走をしていった場合には、金融再生委員会、そしてその長でございます閣僚である金融再生委員長というのは、やはり民主主義というものを背後に置いて、最後に国民の声をきちっと行政に反映していく役割を担っていけと。こういう、ある意味では相矛盾するのかもしれませんけれども、この二つの役割を私どもは担っているのではないかと思います。
先ほど益田委員が御指摘になりましたように、私どもはいろんな選挙区で陳情を受けるわけでございますし、そういうものを全部シャットアウトしては民主主義の政治というものは成り立たないんだろうと思いますが、問題はそういう個々のいわば私益でございますけれども、私益をどうやって公益に転嫁していくかというところに我々は苦しみながら良識を発揮していかなきゃならないのかな、言葉で申し上げますと大変きれいでございますけれども、悩みながら仕事をしている、こういうことでございます。
○益田洋介君 ありがとうございました。
けさ九時十六分に昨年の第四・四半期のGDPが発表になりまして、同僚議員からも指摘がございました。私は、大蔵大臣、日銀総裁、経済企画庁長官にそれぞれの御意見を伺いたいと思います。
まだ、さまざまな検討材料その他を集める機会もございません。飛び入りでございますが、まず大蔵大臣には、やはり株価と失業率、これのどちらに重きを置いてこれから経済政策のかじ取りをされていかれるのか。株価につきましては、やはり小渕総理は八日のクエスチョンタイムのときに、この第一委員会室でございましたが、総理の就任当時は一万二千八百九十七円、今は二万円近くに上がっている、将来望ましい方向にあると。株価は一つのバロメーターである、さらには、一九九六年六月二十六日の橋本内閣時代の最高値の二万二千六百六十六円にいつ迫り、超えることができるか、これは総理のお考えにもございますが。
一方で、リストラと表裏一体になっています失業率でございますが、一月は実に四・七%、前回の衆議院選、解散当時を一・四%も上回った状態で非常に悪化している。そんなことでございますし、またこれは通商産業大臣が御関心のことだと思いますけれども、新卒者の就職率、これがやっぱり影響してきて、四月以降にはさらなる雇用不安も強まる。株価と失業率、どちらをどういうふうにお考えで進めていかれるのかというのが大蔵大臣に対する質問でございます。
日銀総裁、久しぶりにおいでいただきましたが、きょうは、十日に総裁が発表されました、一部のインフレ政策と混同されがちな政策は全くきっぱりと否定された上で、金融政策の透明性を高めるねらいから、夏までに具体的な数値を物価見通しとして公表する検討に着手したということでございまして、これは非常に歓迎されるべきことではないか。
どういうことで私はそのことを申し上げるかというと、やはり物価の安定というのは金融政策の一つの最終目標でございまして、それが残念ながら今まであいまいなまま看過されてきたわけでございますが、今度具体的な数値で政策運営の透明性を高めるという意図は一歩も二歩も前進したことだと思います。当面、これは見通しという緩やかな形をとるわけでございますが、将来的には、総裁、私はこれは金融政策上の目標として機能させていくべき問題じゃないか、そのように考えております。
企画庁長官には、非常に先ほどから自信をお持ちで展望をされておりました。私が一番気にしていますのは個人消費の低迷ということでございまして、二期連続のマイナスという数値についてはリセッションではないんだと。リセッションという言葉の定義がありましたが、やはりまだリセッションのあらしは吹き荒れているんじゃないかと私は思っております。
その点についての二大臣、一総裁の御見解をお伺いします。
○国務大臣(宮澤喜一君) 政治の一番大事な目的は、働く意欲のある国民がみんな職を持つということが、これが政治の一番大事な目標でございますから、雇用と株価とおっしゃれば、それはもとより私は雇用と思います。
昨年の夏ごろに四・八まで行きまして、五に行くのは必至だと言われていましたが、やはりそこはパーマネントポジションからテンポラリーになったとしても、ともかく五にならずにいることは私は大変関心を持っておりますし、殊に最近になりまして、有効求人倍率が〇・五二まで戻りました。これは小渕内閣発足以来初めての高い数字でございますから、これがもう少しさらに進んでいってくれればいいと思っております。
これらはいずれも、もちろん国民の努力ですが、政府の施策を反映していくものでございますが、株価そのものは政府がいじることのできないものでございますし、内閣発足以来大変高くなりましたことは喜ばしいし、ある意味で経済の先行きを国民が評価してくれる、あるいは世界が評価してくれるものとして喜んではおりますけれども、そのことは政府がじかにどうもできる問題ではございませんから、二つを比べてとおっしゃいますれば、それは雇用が大事だと思います。
○参考人(速水優君) お答えいたします。
三月八日に開かれました政策決定会合におきまして、物価の安定ということについてもう少し総括的な検討をしようじゃないかということを決めました。
御承知のように、新日銀法に書かれております金融政策の目的というのは、「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資すること」だと、こういうふうにはっきり書かれておるわけでございます。
ただ、この物価の安定とはどういう状態であればいいのかということでございますが、これはなかなか難しい問題だと思うんです。ただ需給バランスで、供給超過で物価が下がっていくというデフレ的なものだけでなくて、最近日本で非常に明るい見通しを持てる一つは、技術革新とか流通革命とか随分末端で構造改革が行われつつあって、そういうものが実現していきますと生産性が高くなっていくわけで、物価の下落が起こります。安くていいものを消費者が手に入れることができるということになってくる。こういった物価の下落というのは歓迎すべきものではないか。
そういうものを見きわめていくことが非常に難しいというふうに思いますので、いわゆるインフレターゲティングといったようなことで、物価の安定について金融政策の透明性を高める意味でターゲットをつくるというのもよろしいんですが、もう少し物価の内容をしっかりつかんだ上で、これでいいんだ、これは悪いんだということをはっきりさせていきたい。
物価の安定とは何かという基本問題に関する認識をきちんと整理することが必要ではないか。それを金融政策の透明性を向上させるという意味で、市場にも一般の方々にもはっきりさせていくということをやろうということを、夏ごろまでにいろいろ検討を重ねて結論が出ればいいがというふうに思っております。それを、日本銀行がちょうど新法ができまして二年になりますので、先ほど御指摘のように基本的な物価の安定ということをしっかり考え方を決めた上で、今後の金融政策を打ち出していくということにしてまいりたいと思うんです。
ただ、これは数量で、数字というもので出しますとどうしてもそれはひとり歩きいたしますので、日本銀行の判断がかえって誤解を招くようなことになっては困ると思っております。見通しの公表の是非につきましては、そういったメリット、デメリットを踏まえましてさらに慎重に検討してまいりたいと思いますが、これから総括的な検討を開始いたしますので、どうぞ御期待いただきたいと思います。
○国務大臣(堺屋太一君) 先ほども申しましたように、けさ発表いたしましたQEは、前期マイナス一・〇%に引き続いて、マイナス一・四%と二期連続のマイナスになりました。
アメリカあたりではQEが二期連続でマイナスになると、リセッションという言葉を使う評論家などもいるようでございますけれども、日本の場合、今回の場合は、生産、特に鉱工業生産はずっとこの夏ごろから回復に向かっております。また、大蔵大臣も御指摘になりましたように求人倍率などもふえておりますし、残業手当、所定外労働なども増加してきておりまして、かなり生産の方ではいい数字が出ております。また、企業の利益、経営状態の改善もかなり明確に見られています。
アメリカの場合は、QEがもともとこの生産からとることが多いものですから、QEが下がるときには生産も大体下がっている。同じような方向で下がっておりますから、かなりQEが二期連続で下がると厳しく見られるわけでございますけれども、日本の場合は、今生産と需要とがちょっと違った動きをしておりまして、どちらが一時的要因に攪乱されているかと申しますと、やはりボーナスが少なかった、あるいは公共事業の端境期になった、輸入が十一月に非常にふえた等々、はっきりした理由で需要の方が攪乱されています。そのことを考えますと、これはリセッションとはとても言える状態ではない、むしろ緩やかな改善が続いているというふうに判断しております。
そして、一月になりましてからの数字を見ますと、前期に比べまして消費支出も一・六%ふえてきておりますし、自動車の登録台数、これは一月、二月、前期を上回っております。電気器具などの量販店もそのようになっておりますので、この一―三月にはかなり消費が上向いてQEも上がるだろうと思っております。
なお、ちなみに申しますと、過去にQEが二回以上連続で下がったことが四回記録されております。そのうちではっきりと景気の後退期だったと言えるときが最初の九二年と九七年からの、これは五期連続にやがてなるわけですが、この二回。そして九三年のときと、それから九四年から九五年、年を運びましたときは後で考えてみてもこれは下がっているわけじゃない、一時的な変動であったというふうに言われております。今回もしたがいましてこれがリセッションだと私たちは考えておりません。
○益田洋介君 次は防衛庁に伺います。
先ほど入りましたリポートによりますと、八九式五・五六ミリメートル小銃不法射撃事案は一人の逮捕者を出しました。これについての経緯を説明してください。
○国務大臣(瓦力君) 益田委員にお答えいたしますが、けさほど私も記者会見をして委員会に参りましたが、大変残念な事案で申しわけなく思っております。
本日午前九時ころまでに、陸上自衛隊富士学校総合研究開発部副部長の一等陸佐秀島裕展及び部外者三名、伊藤勝久、川島哲郎、田中雅文が銃砲刀剣類所持等取締法違反の容疑で陸上自衛隊東部方面警務隊により逮捕されました。これら四名の容疑の内容は、ただいま委員からのとおりでございまして、平成六年十一月十六日ごろ、東富士演習場内の射場におきまして、陸上自衛隊が保有する八九式五・五六ミリ小銃を不法に射撃したというものであります。
自衛隊の所有する小銃を部外者に射撃させるということは、自衛隊に負託された任務を逸脱し、あってはならない事案でございます。
このことに関し、一等陸佐という自衛隊の幹部が逮捕されるという事態が生起したことはまことに遺憾であります。今後は捜査が進展し、事実が解明されることを望んでおります。
防衛庁としましても、事実が確認され次第、必要な厳正な処分を実施するとともに、今後このような事案が再び起きないよう、隊員の一層の服務指導を含めて再発防止を徹底してまいる所存でございます。
よって、過ぐる五年前とか何年前とかという問題ではなくて、まさにこのような事案は、私といたしましても、徹底して究明をしながら、隊員のあるべき姿、また国民から信頼される自衛隊、こうした方向に誘導すべく努力することが私に与えられた任務と承知するわけでございますが、極めて残念な事案が生じましたことを報告させていただきます。
○益田洋介君 次に、防衛総括政務次官にお伺いします。
昨今報じられるところによりますと、今年度の艦船建造の入札で談合による受注調整が行われて、受注先が既に決まっていたところに落ちついた、輸送艦、護衛艦各一隻。
二月二十九日のこの輸送艦の入札の経緯及び三月七日から始まって九日に終わった護衛艦の入札の経緯について説明を願います。
○政務次官(依田智治君) 御報告いたします。
平成十一年度計画の輸送艦の調達につきましては、日立造船及びマリンユナイテッドの二社により指名競争入札が行われたところであります。
その入札の経緯につきましては、二月二十九日から入札が行われましたが、入札価格が予定価格を下回らなかったことから、同日は三回の入札を行った。三回目の入札においてマリンユナイテッドが辞退した。その辞退を受け、その後、同日より日立造船と予決令九十九条の二により随意契約を行うことを前提に商議を行っていましたが、三月三日不調に終わった。このため、予定価格を再度算定し、三月六日に改めて二社による再度の入札を行ったところ、一回目の入札で日立造船が二百五十三億五千七百五十万円で落札したというのが、これが二月二十九日の経緯でございます。
それから、三月七日のお尋ねでございますが、平成十一年度計画の護衛艦調達、これはマリンユナイテッド、三井造船及び三菱重工の三社により指名競争入札が行われました。
その入札の経過は、三月七日から入札が行われましたが、入札価格が予定価格を下回らなかったことから、同日に三回の入札が行われ、二回目の入札において三井造船が、三回目の入札において三菱重工業がそれぞれ辞退をした。その辞退を受け、同日、マリンユナイテッドと随意契約を行うことを前提として商議を行いましたが、不調に終わった。このため、予定価格を再度算定し、三月八日に改めて三社による再度の入札を行い、同日は二回の入札が行われました。二回目の入札において三井造船及び三菱重工が辞退した。この辞退を受け、同日、マリンユナイテッドと随意契約を行うことを前提に商議を行いましたが、不調に終わった。そこで、再度予定価格を算定し、三月九日に改めて三社による再度の入札を行いましたところ、一回目の入札でマリンユナイテッドが二百四十六億七千五百万円で落札した、こういう経過でございます。
○益田洋介君 これは約五百億円の受注でございまして、結局、談合による受注調整が話題になりまして、防衛庁が調査を始めたと。調査結果を出していただきたい、当委員会に。
それから、その不調という今話がありました。予定価格を上回って全員が、入札業者が入札したもので予定価格を再計算した、そして上がった値段で再び入札を行ってまた不調に終わったと。どんどん入札価格、落札価格が上がっていっている。国民の負担がふえている、入札するたびに。この二つ目の護衛艦の場合には六回も入札している。六回も値段を計算し直して上げている。この辺の経緯もあわせて当委員会に報告していただきたい。
それから、随意契約として潜水艦、掃海艇についてそれぞれ川崎重工、日本鋼管、日立造船と随意契約の交渉を初めて、三月末に決着する予定だと。なぜ指名競争入札をすべきであるという議論が重ねて行われながら随意契約を行うのか。この三点をあわせて調査の結果を当委員会に提出していただきたい。委員長にお願いしておきます。
以上でございます。
○委員長(倉田寛之君) ただいまの益田洋介君の要求につきましては、後刻その取り扱いを理事会で協議いたします。
○益田洋介君 ありがとうございました。
○委員長(倉田寛之君) 以上で益田洋介君の質疑は終了いたしました。(拍手)
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○委員長(倉田寛之君) 次に、岩佐恵美君の質疑を行います。岩佐恵美君。
○岩佐恵美君 私は、今むだと環境破壊が大きな問題になっておりますダム建設問題、具体的には川辺川ダム建設計画について伺いたいと思います。
まず最初に、川辺川ダムの目的、規模、事業費、どうなっているでしょうか、説明してください。
○政府参考人(竹村公太郎君) 川辺川ダムに関しましてお答え申し上げます。
まず目的でございますが、四つ目的がございます。
第一は、洪水調節でございまして、昭和三十八年、三十九年、昭和四十年と三カ年連続して球磨川水系に大きな洪水がございまして、死者六十一名、家屋の損壊千六百戸以上、床上浸水四千八百戸以上の被害が出まして、それを契機にして川辺川ダムの洪水調節計画が定められました。具体的に申しますと、ダム地点で三千五百二十トン毎秒流入洪水したうち、ダムで三千三百二十毎秒立方メートルを貯留いたします。つまり、九〇%以上の洪水をカットするという目的でございます。
第二番目には、ひでりが続いた場合、この球磨川水系には地域の一番の人気であります球磨川の急流下りという地域のシンボル的な観光がございますが、ひでりが続きますとこの営業が休止または中止に追い込まれております。平成に入ってからも、平成元年、四年、六年、七年、十年、十一年と急流下りが制限されております。そのために、ダムでためた水を渇水のとき放流して、川の正常な機能の維持を図るという内容でございます。
三番目には、農水省所管の国営川辺川土地改良事業におきます田畑三千ヘクタールへのかんがい用水の補給でございます。
最後の四番目の目的としまして、我が国唯一の固有資源でございます水力発電を、一万六千五百キロワットの発電をするという目的でございまして、高さ百七・五メーター、総貯水量一億三千三百万トン。事業費は、平成十年六月の基本計画で定めたものにおきましては約二千六百五十億円の事業規模となってございます。
○岩佐恵美君 九州で最大規模のダム計画です。
川辺川は、環境庁から水質日本一と折り紙をつけられた日本に残された希少な清流です。川辺川のアユは日本一と言われますけれども、それも自然が豊かに残った川の流れのたまものです。ダムの底に沈む五木村は、「五木の子守唄」で全国に知られる日本人の心のふるさとです。
ダム建設は、このようなかけがえのない豊かな自然を破壊してしまう。当然、環境アセスの対象となるべき事業だと思います。アセスは行ったのでしょうか。
○政府参考人(竹村公太郎君) 環境アセスメント、いわゆる環境影響評価についてお答え申し上げます。
川辺川ダムは、昭和五十一年三月に基本計画を告示したものでございます。つまり、昭和五十一年三月に事業が正式にスタートしたということでございますが、今お尋ねの環境影響評価法は、平成九年六月に成立し、平成十一年六月に施行されております。そして、この法律の中で、附則の三条によりまして、川辺川ダム等事業、既に実施されている事業については適用を除外されるということになってございます。そういうことで、今事業におきましては、環境影響評価法に基づく環境アセスメントの手続は行っておりません。
しかしながら、川辺川ダムの事業では、昭和五十一年より動植物の調査を開始しまして、平成五年に動植物、水質等の専門家七名から成る川辺川ダム環境保全・創造に関する検討委員会を設置しまして、委員会の指導を受けながら環境調査を進めてきたところでございます。そして、平成七年九月にこれらを取りまとめ公表いたしました。さらに、平成十一年一月に鳥類専門家によります川辺川ダム周辺猛禽類検討会を設置し、また平成十二年一月には九折瀬保全対策検討会を設置し、コウモリや昆虫についての調査、保全対策の検討を専門家の指導を受けながら実施しております。
そういうことから、実質的手続上、環境アセスメント法に基づく手続は行っておりませんが、それと同程度の調査を行っていると認識しております。今後も各分野の専門家の指導を受けながら必要な調査を行い、その結果を公表してまいるとともに、具体的な環境保全対策を実施していく所存でございます。
○岩佐恵美君 九州で最大級の巨大ダムをつくろうというのに、アセス制度ができる前の計画だから環境アセスはしないというのは、私は環境保全の感覚がゼロ、全く驚くべきことだと思います。
川辺川流域には種の保存法で絶滅のおそれがある希少国内野生動植物に指定されているクマタカが生息しています。建設省は九六年八月の川辺川ダム事業審議委員会答申を事業推進の根拠にしているわけですけれども、ダム審ではクマタカの生息への影響について検討したのでしょうか。
○政府参考人(竹村公太郎君) ダム事業審議委員会におけるクマタカの調査についてのお尋ねがございました。
川辺川ダムにつきましては、先ほど申しましたように、昭和五十一年の基本計画が定められて以降、改めて流域関係者の意見を聞き、今日における事業の意義、事業の内容について審議をしようということにつきまして、平成七年九月に学識経験者等十二名によるダム審議委員会を設置いたしました。本審議委員会におきまして、住民の声を聞く公聴会や五木村村民からの意見聴取、審議委員による現地の視察、そして九回の審議委員会を経まして、平成八年八月に継続して実施することが妥当との答申をいただいているところでございます。
川辺川ダム周辺のクマタカにつきましては、平成四年度から建設省九州地方建設局川辺川ダム工事事務所において調査を実施しております。平成五年度には鳥類、昆虫、植物、魚類、水質等の学識経験者七名から成る川辺川ダム環境保全・創造に関する検討委員会を設置しまして、その助言を得ながらクマタカの生息調査を行い、その調査結果につきましては、平成七年九月に取りまとめ、公表いたしました。そしてさらに、平成八年六月二日に、先ほど申し述べました第六回のダム事業審議委員会において説明しているところでございます。
その後もクマタカ等猛禽類に関する調査を行い、適切な保護方針を検討するために平成十一年から川辺川ダム周辺猛禽類検討会を設置しているところでございます。
以上でございます。
○岩佐恵美君 そのダム審でクマタカの生息について検討したのですか。そのことを伺っているんですが。
○政府参考人(竹村公太郎君) ただいまお答え申し上げましたように、建設省九州地方建設局川辺川ダム工事事務所は平成四年度からクマタカの調査に従事しておりまして、その結果を川辺川ダム環境保全・創造に関する検討委員会の報告書として取りまとめておりまして、その「川辺川ダム事業における動植物に良好な環境の保全と創造」という報告書、いわゆるブルーブックですけれども、平成七年九月に公表したものの中の三十六ページ、三十七ページ及び三十九ページにクマタカに関しての言及をしております。
○岩佐恵美君 要するに、ダム審にデータを提出しているわけじゃないんですね。検討していないんです、ダム審では。肝心の調査を隠して、九二年からやっているのに、ダム建設を強行する。
私は、環境問題がこれだけ国の内外で叫ばれているときに、法律で絶滅の危険があると指定されているクマタカについてダム審で全く審議していない、そういう結論というのは全く欠陥でしかあり得ないと思うんです。欠陥としか言いようがない。環境アセスをきちんと行うべきだと思いますが、大臣、いかがですか。
○国務大臣(中山正暉君) いわゆる熊本県のクマタカ調査グループが、NGOの方でございますが、行った生息調査においても把握されているクマタカのペアにつきましては、建設省の調査においてもこれはちゃんと把握しております。
建設省は、今後とも鳥類の学識経験者の指導を得ながら、継続してクマタカの生息調査を行い、工事の実施に当たりまして適切な環境保全の対策を図ってまいりたい、かように考えております。
随分あっちこっちにクマタカはいるようでございますし、将軍の手にでも乗るようなタカでございますから、人懐こいものですから、環境にかなり順応するようでございます。
○岩佐恵美君 クマタカは主として東南アジアに分布域が限られ、急激に数が減っていることが世界的に大問題になっています。日本のクマタカは三つの亜種の一つで、日本を主要な分布域としています。それだけに日本での保護が非常に重要だと言われています。近年、繁殖率の低下が問題になり、このままでは将来急激に減少するおそれがあると言われています。
私はきょうクマタカの写真をちょっとお許しを得て持ってまいりましたけれども、子育てをしている写真、それからクマタカの写真ですけれども、こういう写真です。体長が八十センチある。ちょうど私の足から見るとこのぐらいになります。羽を広げると人間が手を広げたぐらいの非常に大きな鳥ですし、日本の亜種の一つですけれども、これは非常に大きいわけです。
それで、環境庁に伺いたいんですが、急速に減少するおそれがあるということについてどうですか。
○国務大臣(清水嘉与子君) クマタカは今、日本で九百羽から千羽ぐらいいるんじゃないかというふうに言われております。しかし、クマタカにつきましては全国的な範囲で、今、先生御指摘のような繁殖の成功率というのを把握している調査というのは行われておりません。しかし、西中国山地におきまして民間の研究グループが八〇年から九〇年代にかけまして実施した調査がございまして、それによりますと、やはり近年、クマタカの繁殖成功率が継続的に低下しているということが報告されております。
このようなクマタカの生息状況の悪化の懸念もございますので、環境庁といたしましても引き続き情報の収集に努めてまいりたい、こんなふうに考えております。
○岩佐恵美君 川辺川ダムの予定地周辺のクマタカについてですが、日本自然保護協会の協力で熊本クマタカ調査グループが九六年から調査し、昨年十二月に中間報告を出しています。生息と繁殖の状況はどうなっているでしょうか。
○政府参考人(松本省藏君) 熊本県の民間研究団体でございます熊本県クマタカ調査グループによる中間報告によりますと、椎葉谷、宮目木谷それから藤田谷、この三つの地域におきましてクマタカのつがいの生息が確認されております。また、これらの三つのつがいのうち、椎葉谷につきましては平成十年から十一年の二年間の調査におきまして繁殖は確認されておりません。宮目木谷につきましては、平成九年から十一年の三年間の調査におきまして繁殖成功は平成九年の一回。それから藤田谷につきましては、平成八年から十一年の四年間の調査におきまして繁殖成功は平成十年の一回。こういうような結果になっておるようでございます。
○岩佐恵美君 明らかに繁殖率が下がっているんです。ここだけじゃないんです。私、広島クマタカ生態研究会の飯田さんのお許しを得て、その調査をグラフにしてみました。(図表掲示)
西中国山地におけるクマタカの繁殖成功率は一九八三年には一〇〇%でした。それが、八〇年代前半の年平均でも八五・七%で比較的良好だったんですが、年々急激に落ち込んで、九五年から非常に下がっているのがおわかりいただけると思います。九六年には一六・七%、九七年八%、九九年は二十七つがいのうちたった一つがいしか繁殖できなかったんです。まさに危機的な状況です。
群馬県新治村の法師山での日本自然保護協会の調査でも、九四年、五年度は成功したけれども、九六年度以降ずっと繁殖していないんです。全国的に同様の状況になっているのではないでしょうか。
環境庁、調査をしていますか。
○国務大臣(清水嘉与子君) 今環境庁におきましては、平成九年度から五カ年計画によりましてイヌワシとクマタカにつきまして、これは関係省庁、建設省、通産省、林野庁共同いたしまして全国的な分布状況の把握に努めております。さらに、つがいの行動範囲でありますとか、あるいは生息環境等を知るための生態調査を進めるというふうにしておりまして、九年から十三年までかけて調査いたします。
○岩佐恵美君 日本のクマタカは繁殖率が低下して、今既にもう超高齢化社会になっているんですね。おじいさん、おばあさんばかり。このままではトキの二の舞になるおそれがあります。
環境庁は、絶滅危惧種の指定に当たって、将来の減少確率を九五年度から評価基準に採用しているということですけれども、具体的にどういうことでしょうか。
○政府参考人(松本省藏君) 環境庁では、一九九五年、平成七年度よりレッドデータブックの改訂作業を進めております。現在までに新たな評価基準によりまして脊椎動物、そして植物についてレッドデータブックに掲載すべき種のリストを公表いたしております。
そして、今お話のございましたように、従来の評価基準では、絶滅のおそれについての評価は専門家の知見に基づいて定性的に行ってきたところでありますけれども、新しい評価基準では、従来の定性的評価に加えまして、一部の鳥類あるいは哺乳類の一部につきましては、生息数の水準、減少率あるいは分布面積などの具体的な数値に基づく定量的な評価も採用しているところであります。
そして、今お話に出ておりますクマタカにつきましても、一昨年、平成十年の六月に公表されました新しい鳥類のレッドリストの中で、新しい評価基準に基づきまして絶滅危惧TのB類ということで選定をしておるわけでございますが、その選定の根拠にもこの具体的な定量的な評価も加えているということでございます。
○岩佐恵美君 つまり、クマタカについては現在の個体数だけで評価したのではだめで、今後の繁殖率が重要だという、そういう評価方法をとるということになったわけですね。
クマタカは寿命が長いんです。それで頑固な鳥なんです。一度すみかを構えると環境が悪化してもそこに住み続けるんです。人懐っこいわけじゃないんです。えさが不足すれば子育てができなくなって現在の個体で絶えることになるんです。現在の個体の営巣地を守るというだけでなくて、子育てに必要なえさを確保できるだけのエリアを守らなければ種の保存は守れないんです。どうですか、環境庁。
○国務大臣(清水嘉与子君) クマタカを保護していくためには、今、先生おっしゃいましたように、それぞれのつがいの行動範囲を繁殖期に主に利用します区域、割合に同じ巣を何度も使うんだそうでございますけれども、そういった区域あるいは通年利用いたしますえさ場などに区分いたしまして、それぞれの特性に合わせた適切な保護対策が必要だというふうに認識しております。
こういう観点から見ますと、営巣木周辺の地域の保全は最も重要でございます。しかしまた、繁殖活動に悪影響を及ぼさないためには、よく利用されるえさ場とその外側に当たる地域におきましても保全のための配慮が十分必要ではないかというふうに考えております。
○岩佐恵美君 熊本クマタカ調査グループの中間報告は、ダム建設で原石採取を予定している山を含めてコアエリア全体の環境を守ることを求めています。原石山一帯についてどう評価しているでしょうか。
○政府参考人(松本省藏君) 熊本県のクマタカ調査グループの中間報告によりますと、今お話しのありましたダムの近辺にございます原石山を含む一帯はクマタカの繁殖期の主要な行動範囲、通常繁殖テリトリーと申しておりますけれども、これに含まれておるということで、クマタカの繁殖上重要な場所だという評価を与えているところでございます。
○岩佐恵美君 私は現地を見てきましたけれども、照葉樹に覆われた原石山はクマタカのえさ場として特に重要だと実感しました。(図表掲示)これが地図なんですけれども、これがダム建設の予定地です。そして、これが藤田谷の原石山を含むエリアになっているわけです。
建設省に伺いたいんですが、こうした自然保護団体の指摘をどう受けとめておられるんでしょうか。
○政府参考人(竹村公太郎君) 私どもの調査におきましても、熊本県のクマタカ調査グループが観察したつがいを確認しております。
私ども、これから専門家の意見を聞きながら継続して調査をし、そしてその環境保全対策を実施してまいりますが、その調査結果につきましては、熊本県クマタカ調査グループを初めさまざまな方々、もちろんNGOの方を含めて公表していきたい、そしてさまざまなお知恵を交換しながら環境保全には万全を尽くしていきたいと考えております。
○岩佐恵美君 自然保護団体の調査グループは、建設省に詳細な調査データ、これは一般には公表できない、そういう専門的なものだと思いますが、それを交換してそしてよく意見を交わしたい、そう言っていますけれども、その点についてはそうされるのですか。
○政府参考人(竹村公太郎君) クマタカにつきましての資料公開、情報公開につきましては大変なジレンマがございます。この熊本県クマタカ調査グループの報告書の中におきましても、特に悪意のある密猟者、または悪意のない観察者、カメラマン、そして特に開発案件など社会的関心の強いものは報道機関もその映像を希望するため、対象となる猛禽類が複数の探索者にさらされることになり、その営巣または育成がクマタカにとっては非常な環境の悪い状況になるということが述べられてございます。
私ども全く同じような考え方でおりまして、私どもの調査は全く秘密にするつもりはさらさらございませんが、この今ある数つがい、私ども複数のつがいを確認しておりますが、これらのつがいが子供を産みそれを育てるためには、どうやったらその環境を守れるかということにつきまして配慮すると同時に、なおかつ私どもの持っている調査した結果をどうやって世の中に公表していくかというところのジレンマ、その中間におります。
私ども建設省は、調査データが積み重なった段階で、専門家の御指導を得ながら必要なマスキング、いわゆる隠す、部分的なマスキングをしながらこれらの調査結果を公表していきたいと考えております。
○岩佐恵美君 自然保護団体でもこういうデータは公表しているんですよね。もっと詳しいデータをどうやって建設省がつかんでいるのかということについて、お互いに情報交換して、本当にそれが正しいのかどうかチェックしたい。何も多くの人に知らせろと言っているんじゃないんです。本当にごくごく限られた専門家、ここを調べた皆さんなんですから、そういう方が情報交換したいと言っているわけです。
大臣、どうですか。これはもう当然じゃないですか。
○国務大臣(中山正暉君) 今、河川局長がいろいろお話し申し上げましたように、公開することによってかえってクマタカを追い散らすような形になってしまうというので、その辺をどういうふうに調和させるかと。
カメラマン、このごろは、これはプロ野球のあれを見てもすごい望遠レンズを持って、遠距離にいるそういうクマタカその他の映像を求めて歩く人たち、そういう趣味の世界に生きる人たちを含めて、またそれを取材に行こうとする人たちを含めて、かえって公開することがクマタカに迷惑をかけるといいますか、先生の御趣旨とまた両々相まって、これはなかなか難しい微妙なところがあります。
特に、五百四十九戸の方々がもう移転に一〇〇%これは賛成してくれている。人間の方がえさ場を捨てようという話に一〇〇%乗ってくださった。あとは、七七%の人がもう移転済みでございますから。これは御承知のように、川辺川ダムにつきましては、熊本県知事や人吉市を初めとする受益地から早期完成に向けて強い要望がなされているとともに、水源地域の五木村では頭地代替地への移転を本年から来年にかけて間近に控えるなど、水没住民の生活再建に停滞は許されない状況でございまして、事業の進捗が強く望まれるという地域の現状がございます。
それに関しまして、建設省といたしましては、ダム事業が治水、利水上の所期の目的を達し、地域の安全と発展に寄与するよう、その早期完成に努めているところでございまして、工事の実施に当たりましては環境保全に関して適切な処置を講ずるとともに、ダム湖完成の暁には、当地域が豊かな環境空間となるよう最大限に努力をしていくと。すばらしいいわゆる観光地になって、そこにまたクマタカが新たに営巣をするようなそういうすばらしい地域になるんだろうと思って、しばらくの間お互いに、人間のえさ場、人間が営巣しているところを捨てるわけでございますけれども、五十一年以来、もう二十四年間も経過しております。
人間の方がいらいら、これは、クマタカとは交渉するわけにはいきませんので、人間との交渉も、経済が落ち込んでおりますときでございますし、地域の利水それから治水、それからまた農業用水、それから上水、もういろんな、それから球磨川の観光事業で、先ほどから、渇水のときにはいわゆる川下りという観光の大きなイベントもできなくなっておりますわけでございますので、そういうものがもう二十四年間、この辺はひとつクマタカの問題にも本当に留意しながら対処をしてまいりたい。
この地域の要望に私どもも真剣にこたえてまいりたいと思うんです。先生の御心配とともに、同じことを私どもも心配しておりますので、目的は同じだと私は理解しております。
○岩佐恵美君 建設省は九六年八月のダム審で、このデータについて公開し、そこで審議をするということをやっていないんですよね。専門委員会に出したからいいとか検討委員会に出したからいいということで、ダム審そのものにはデータを出していないんです。
そして、自然保護団体が積極的にこれを調べて、建設省も調べたと言うから、じゃ一体どこに営巣木があるのか営巣地があるのか、非常に詰めた専門的なその意見交換をしようと。別に、公開しようと、もう広く知らせるというんじゃないんです。建設省に対して、一体あなた方は本当に正確につかんでいるんですかどうですかということを意見交換したいと言っているんです。
これはもう当たり前の民主主義のルールじゃないですか。情報公開は当たり前じゃないですか、そのことを私は言っているんです。そらさないでください。
○国務大臣(中山正暉君) 先ほどから申し上げておりますように、それをお互いに情報交換をいたしまして、もうちゃんと把握して、そのための対応をしてございますので、これを公開して、そしてまたどこからか漏れて、それがかえってクマタカの営巣その他、いわゆるえさ場の関係その他に一般の方々が入ってこられて混乱をすることがないようにという配慮で、これは公開できるものと公開できないものとの問題というものを私は分けていると思います。
その辺はお互いの常識で、NGOの方々もそれは理解してくださっているというふうに聞いておりますので、その方々の情報も貴重と考えながら、我が方でもそれをちゃんと観察しながら工事に対応して、自然とそれから人間が調和していける共生のダム事業というものを完遂することが、もう二十四年もたっておりますので、その辺のいわゆる決着点がもう近いということでございますから、かえって混乱を現場でさせないような配慮をいたしておるものと思っております。
○岩佐恵美君 自然保護団体の皆さんはクマタカを守りたいと必死になって今活動しているんです。そういう方々がデータをやたらにばらまくはずがないじゃないですか。むしろ建設省がどういうデータに基づいて判断しているのか、それが合っているのか間違っているのか、それをちゃんと検索したい、精査したいと言っているんです。
そんな当たり前の要求を何で大臣は聞き入れることができないんですか。おかしいですよ。何かあるんじゃないですか、逆に言うと。
○国務大臣(中山正暉君) お答えを申し上げます。
同じことを申し上げていると思うんですが、私どもは視野にクマタカだけがあるわけじゃございませんで、たくさんの、農業に従事している方々も、また観光事業に従事している方々、そして川の水の恩恵をこうむっている方々、人間の生活もちゃんと視野に入れませんと、タカだけのことだけ視野に入れてこの世の中のことに対応するわけにいきませんので、その辺は全体の調和ということでお許しをいただいて、人もタカも、私も元タカ派と言われておりましたのでタカがいじめられているとなると気になるわけでございますが、その辺はひとつ先生に御理解をいただいて、地域の方々のその思いを成就させられる、そういう、いよいよもう全部の方々が移転に賛成してくださっておりますというところまで来ているわけでございますから、これはどなたかまだ反対している方がありましたり、いろいろな事情で進展の度合いの問題がありますなら別でございますが。
〔委員長退席、理事竹山裕君着席〕
これはもうよくこの委員会でも言われます、いわゆる投資と効果をどう考えるのかと。その投資と効果というものをちゃんと把握していきませんと、これは納税者の方々に私どもは申しわけない思いをするわけでございますので、その辺はお互い国政を預かる者として、自然の力とそして人間の力、これが共生できる結果を得たい、かように思っております。
○岩佐恵美君 私たちは地球を先祖から受け継いだのではない、子供や孫、未来の人々から信託されただけという言葉があります。私たちには豊かな自然を次の世代に手渡す義務があります。今さえよければいい、そういう身勝手さは許されないんです。
それに、今価値だということを言われましたけれども、アメリカではダムにかかわる政治家の利益誘導や巨額の財政負担、大規模な環境破壊、これに批判が高まって、事業で失われる環境の価値をきちんと評価する、その是非を決める、こういうシステムになっているんです。日本はタカの資料を、自然保護団体がぜひそれを精査したい、そういうことにも耳を傾けないでこの事業を強行する。絶対許されないと思うんですね。もう答弁伺っても何度も同じことですので。
次に、クマタカの生息、繁殖についての全国調査は二〇〇一年までかかります。それを踏まえて日本のクマタカについての科学的な評価も行われることになります。それもできないうちに川辺川流域のクマタカの貴重な生息環境を破壊する、絶滅の危機に追いやる、そういう事業を私は強行することはできないというふうに思うんですけれども、大臣、いかがですか。
○国務大臣(中山正暉君) 先ほどから何度も申し上げておりますように、私どもは先般来、取りやめるものは取りやめる、いわゆる評価をしてこれを建設するかどうかというのは取捨選択をしております。その中で、最高位に早期実現を図ってくれという地元の要望の高いものがこの川辺川の問題でございますので、私どもは自信を持って、先生のおっしゃることを絶対無視するわけではございません、先生がお考え以上に私どもはその事業を進展させるためにそのクマタカの問題というのは重要に考えておりますので、どうぞひとつ御心配なく、御協力のほどお願い申し上げたいと思います。
○岩佐恵美君 環境庁として、種の保存、鳥獣、鳥類の保護、これは環境庁がやらなくてだれがやるのかというまさに環境庁の専権事項です。
環境庁が鳥を絶滅に追いやるような開発をどんどん認めていたら、トキの失敗を繰り返すだけです。クマタカの絶滅を防止するために生息環境の保全を最優先する、そういう姿勢を貫くべきだと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(清水嘉与子君) クマタカは絶滅のおそれのある野生生物の保護を進めるための科学的基礎資料でありますレッドリストにおきまして絶滅危惧種TB類に位置づけられている、これは先ほど自然保護局長が御説明申したとおりでございます。TAほどではないけれども近い将来には絶滅の危険性が高い種であるというふうに言うわけでございまして、また種の保存法におきましても国内の希少野生動植物に指定されているわけでございます。
このように、環境庁といたしましては、クマタカは特に保護の配慮が必要であるという、そういう種であるというふうに認識しております。したがいまして、各種いろんな開発事業に当たりまして、保護対策の進め方を示したガイドラインを平成八年につくりました。「猛禽類保護の進め方」というものをつくりましたけれども、こうしたガイドラインを一つの参考にしていただいて、調査、保護を進めていくときの基礎的な知見の充実を図っていただきたいというふうに思っているわけでございます。
そしてさらに、先ほど申しましたように、環境庁といたしましても全国規模の、クマタカの生息状況等について基礎的な全国の調査をしたいというふうに考えているわけでございます。
しかし、いずれにいたしましてもまだまだわからない点がたくさんございまして、今後とも科学的知見の蓄積に努めながら、各種開発事業におきましてこのクマタカの生息環境の保全に適切に配慮が講じられるように対処してまいりたいというふうに思っております。
○岩佐恵美君 川辺川ダムの目的の一つに、川辺川土地改良事業へのかんがい用水の供給があります。ダム建設費のかんがい負担分と、国営川辺川土地改良事業の事業費はそれぞれ幾らですか。どんな事業ですか。
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 川辺川ダムの建設事業の事業費のうち農業部分が占める割合は三・九%となっており、その金額は平成十年度時点で百三億三千五百万円となっております。
さらに、土地改良のことでございますが、これは畑地かんがい及び水田の用水改良、農地造成、区画整理を実施しまして、農業用水の安定供給、経営規模の拡大等を図るというのが目的であります。
総事業費は先ほど申し上げたわけでありますが、地元農家負担は、農地造成に要した事業費についてはその二・五%、区画整理に要した事業費についてはその五%、かんがい施設の整備に要した事業費についてはゼロとなる予定であります。
事業工期は、昭和五十八年度から平成二十年度の予定となっております。受益面積は三千十ヘクタールであります。用水路は、人吉市を初め一市二町四村にわたり、その総延長は約六十四キロメーターであります。現変更計画の受益者数は三千百三十六名であります。
以上です。
○岩佐恵美君 利水訴訟が行われていますけれども、説明してください。
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 本件の訴訟につきましては、平成八年六月二十六日付で提訴されたものであります。原告の主張によりますと、提訴の理由は、異議申し立てに対する決定手続等の違法性、土地改良法上の違法性であります。これまでに十五回の口頭弁論が開催され、本年三月十日をもって結審したところであります。
なお、判決言い渡しは本年九月八日に予定されております。
○岩佐恵美君 現に農地を持って農業を営む三条資格者三千九百二十二人。その訴訟参加者二千百五人のうち、三条資格者約千六百人。訴訟参加者以外の農家にも利水事業辞退の動きが広がっています。人吉市下原田地区約百戸、当初は賛成したが、近くの馬氷川水系土地改良事業などで水は十分来るようになり、もうダムからの水は不要になったとして八十一戸が事業参加辞退を申し出ました。実際に農業をやっている家のほとんどです。さらに隣の地区へ辞退の動きが広がろうとしています。
最初に三分の二の同意を集めさえすれば、その後農家の意向が変わって同意が三分の二に満たないということになっても国営かんがい排水事業を押しつけるんですか。そんなむちゃくちゃなことないじゃありませんか。
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 裁判の方で争っておるわけでございますけれども、事業から辞退をする、こう申し出る方はまだ多数には上っておりません。
現状でございますけれども、平成十年四月から六月にかけて熊本県や人吉市を初めとする一市二町四村の各議会それから県議会でかんがい排水事業の早期着手の意見書が議決をされまして、関係するすべての農業委員会、JAにおいても同様の決議がなされまして、さらには川辺川地区開発青年同志会といった地元農家からも事業の早急な実施を要請されておることから、事業の中止は考えておりません。
○岩佐恵美君 現地に行って私は話を聞きました。相良村吉野尾地区、新並木地区の水田百三十ヘクタール、川辺川の取水口から毎秒一トンの水が自然流下で流れてくる。八十年に一度の干ばつと言われた九四年にも水不足なし。これ以上新たな水源は要らない。高原台地、自前の用水事業で三十七ヘクタールの水田を開いたが、今は減反で八ヘクタールと減少、水は余っているという。土地改良事業の対象地域全体での水田の減少、減反は四割にも及んでいるんですね。
国営かんがい排水事業を強行してもできるのは幹線水路だけで、その先の県営事業や末端の土地改良区の事業を行えない限り農業用水の効果は出ないんです。農民が嫌だと言えば、それらの先の水路ができないという事態になるんです。そうなったとき、だれが責任を負うんですか。
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 農業水路は、できたからこれでよしということにはなりません。この地域は、先ほどから話がありますように、高いところの畑作につきましても水が不足しております。それから、水田は確かにそういう面もありますけれども、用水路がかなり老朽化しているものですから、そういうことも補修をしていかなきゃいかぬ、こういうことがございますので、地域の要望は早急に上げてくれ、こういうことでございます。
○岩佐恵美君 時間が来ましたのでこれで終わりたいと思いますが、私は治水、きょうはできませんでしたが、利水も治水も破綻している、環境問題は非常に大きな問題になっている、こういうむだ遣いを本当に強行するというのは絶対に許されない、そのことを申し上げて私の質問を終わりまして、次に引き継ぎたいと思います。
○理事(竹山裕君) 関連質疑を許します。宮本岳志君。
○宮本岳志君 まず、新潟県警の不祥事について国家公安委員長にお伺いします。
あなたは、国家公安委員五名の合意が完全に形成されていたので持ち回り決議を命じた、だから問題はないと答弁されておりますけれども、国家公安委員全員の合意ができたと確信するに足るだけの報告を受けたんですね。
○国務大臣(保利耕輔君) 報告は田中長官からいただいておりますが、私は、基本的合意は成立しておる、そういう認定をいたしました。
○宮本岳志君 説明に行った田中長官が説明した相手はだれで場所はどこか、一堂に会してやったのか。いかがですか。
○国務大臣(保利耕輔君) 二十五日の夕刻と思いますが、私は国会内にずっとおりましたから、国会内で伺いました。
○宮本岳志君 現地で一堂に会して説明して議論したのかどうか。
○国務大臣(保利耕輔君) その点につきましては、警察庁長官から答弁させます。
○宮本岳志君 ちょっと待ってください。
そんなこともわからないで合意ができたという判断ができたんですか。一人一人どういうふうなお話しになったのか、答えてください。
○国務大臣(保利耕輔君) 総体として、全員の方が合意をしたということを聞いております。
○宮本岳志君 一人一人どういうふうにおっしゃったかという報告は受けなかったんですか。いかがですか。
○国務大臣(保利耕輔君) 総体として、全員そのような処置で結構であるということを伺っております。
○政府参考人(田中節夫君) その間の事情につきましては、私から御説明いたします。
二月二十五日、都内の共済施設で行われました警察育英会が終わりました時点で四名の公安委員さんがおられました。その席で、当日の朝、両名から聞いた事情につきまして御報告を申し上げました。大臣の御意向といいますか、大臣が前夜お述べになられましたこともあわせて御報告いたしました。
そのとき四名の方は、新潟県の県議会のこともお話しいたしましたので、事情を全部把握の上、速やかに更迭すべし、それからまた小林前本部長につきましては厳しい処分をすべしという御判断がございました。したがいまして、私どもといたしましては、その時点で四名の方につきましてはお話をきちんとしており、また御意思も私ども得ております。
また、その内容につきましては、もうお一方につきましては私どもの幹部から電話にてお話を申し上げました。その方も同じ意見でございましたので、その時点で公安委員会の合意は形成されたというふうに私ども事務局としては判断したわけでございます。
○宮本岳志君 話し合いは一堂に会してやったのか、ばらばらだったのか、具体的な中身をお話しください。
○政府参考人(田中節夫君) 四名の方が、例えば一堂にそこに会したということではございません。複数の方に同時にお話をしたこともございますし、またそうでない方にはお一人ずつ御説明いたしました。
○宮本岳志君 具体的な名前を一人一人お話しください。そして、話し合いはやったんですか。
○政府参考人(田中節夫君) 具体的にどういうようなお話があったかということにつきましては、これは意思形成の過程の問題でございますので、内容についてはお答えをすることは差し控えさせていただきたいと存じますけれども、具体的に申しますと、新井委員、渡邊委員につきましては同時に私がお話をいたしました。また、那須委員、岩男委員につきましては個別にお話をいたしました。
○宮本岳志君 話し合いはしたんですか。
○政府参考人(田中節夫君) 先ほど来申し上げておりますように、四人の方が同時に席に着いてお話をしたということではございませんで、私が、お二人の方は同時にお話をし、お二人の方はそれぞれ個別にお話をしたということでございます。
○宮本岳志君 公安委員長、そういう中身を本当に一つ一つ確かめたんですか。御答弁ください。
○国務大臣(保利耕輔君) 私は、警察庁長官から今のようなお話を伺いまして、それで合意が形成されたと見て、同時に示されました処分案について、これで持ち回りでお許しをいただいてこいと、こう指示をいたしました。
○宮本岳志君 結局、警察庁の報告をうのみにしたということでしょう。何一つ御自分で確認していない。お一人お一人どういう意見だったかということを確認せずに、なぜ完全に合意ができたと言えるんですか。
○国務大臣(保利耕輔君) うのみということではございませんが、私は、その警察からの報告については信頼をいたしまして判断をしたものであります。
○宮本岳志君 では、一つ聞きましょう。
四名についてはグランドアーク半蔵門で意見表明を受けたんですね。あと一人は電話で確認したと。間違いないですか。
○政府参考人(田中節夫君) そのとおりでございます。
○宮本岳志君 報道によりますと、那須氏は、帰りがけに幹部職員から立ち話で処分を知らされ、説明を受けたのは夕方だと述べております。欠席した磯邊氏は、電話でなく、事務所に訪ねてきた職員から説明を受けたと言っております。既にここで食い違っているじゃないですか。
お一人お一人のそのときの状況、御議論を国会としてしっかりとつかむためには、どうしても国家公安委員全員の参考人の招致が必要だと、このこと一つをとっても明らかだと思います。また、国家公安委員長の責任は重大だと私は指摘しておきたい。
さて次に、去る三月八日、営団地下鉄日比谷線で発生した脱線衝突事故について質問いたします。
昨日、またお一人亡くなられました。まず私は、この事故で亡くなられた五名の方々の御冥福を心からお祈り申し上げるとともに、負傷された方々の一日も早い御回復を心からお祈り申し上げます。
深い悲しみと事故への怒りの中、亡くなられた方々のお葬式が行われております。十七歳の若さで無残にも未来を奪われた富久信介さんのお父さんは、おまえの死を決してむだにしないから、それがこれからおれのできる唯一のことだと述べられました。この思いは私たちみんなのものでなければならないと思うんです。
事故原因の徹底究明と再発の防止、運輸大臣、いかがですか。
○国務大臣(二階俊博君) 御質問にお答えする前に、私からも一言申し上げたいと思います。
今回の鉄道事故により、入院されておられた方の中で昨夜新たに一名の方が亡くなられ、犠牲者が五名となりました。まことに残念な結果であり、何とも申しわけなく、心から御冥福をお祈り申し上げます。御遺族の深い悲しみにお慰めの言葉もございませんが、改めて心よりお悔やみを申し上げる次第であります。また、現在、入院加療中の方々におかれましても、一刻も早い回復をお祈り申し上げます。
さて、ただいま宮本委員からのお尋ねの決意いかんということでありますが、安全は運輸行政の基本であり、このことにつきまして私どもも随分力を注いでまいりましたが、その最中に今回このような事態に遭遇し、非常に残念であると同時に、このことを深刻に受けとめております。
運輸省としましては、事故発生後直ちに関係者を総動員いたしまして、なし得る限りの努力を傾けておるところでございます。
事故の原因の究明につきましては、事故当日の三月八日、現地調査の後、運輸省におきまして直ちに第一回の事故調査検討会を開催するとともに、三月十日、より詳細な検討を行うためのワーキンググループを開催し、精力的に調査分析を進めているところであります。
また、事故後の対応としまして、帝都高速度交通営団はもとよりでありますが、全国の鉄道業者に対し、事故当日、鉄道局長名で通達を発し、安全の徹底を図ったところであります。
いずれにしましても、運輸省として、今後再びこのような事故を起こすことのないように、今回の事故の徹底的な原因の究明がまず第一だと思っておりますが、これらに対応し、再発防止に全力を尽くす決意であります。
○宮本岳志君 事故というものはどこかにミスがあったから起こったということは間違いないと思うんです。地震や天変地異があったというわけじゃないんですから、間違いなくどこかにミスがあったと。
きょうは時間もないので、二つだけお伺いしたい。
一つは車両の検査の問題であります。
鉄道局長にお伺いしますが、営団では定期検査は現在どういう周期でやっておりますか。
○政府参考人(安富正文君) お答えいたします。
車両検査につきましては、運輸省令である鉄道運転規則に基づきまして、規則に定められた期間または走行距離のいずれかを超えない範囲で検査を行うこととされております。
具体的に、営団におきましては、月検査ということで、三カ月ごとでございます。それから、重要部検査としまして、これは主要機器を取り外し、または解体して行う検査でございますが、これが四年または走行距離が六十万キロ、いずれか短い期間でございます。それから、全般検査につきまして、これは解体をかなり全般的に行うものでございますが、これが八年ごとということになっております。
○宮本岳志君 例えば、今お答えの重要部検査ですが、一九八七年以前からで見て、今日まで周期はどう変更されてまいりましたか。
○政府参考人(安富正文君) 具体的に、一九八七年以前から一九八八年六月までは、この重要部検査につきましては二年または三十万キロということになっておりました。一九八八年六月に、この二年または三十万キロを、三年または四十万キロに変更しているところでございます。それから、一九九七年四月に、三年は変わりませんけれども、距離数のところが六十万キロに変わっております。それから、一九九九年十月に、今度は距離数は変わりませんが、三年のところが四年ということで変更になっております。
○宮本岳志君 次々と延ばしてきたわけです。これは運輸省令の鉄道運転規則で定められておりますので、事業者が勝手に延ばしたというものではありません。
昨年も延伸しましたが、省令変更の理由は何ですか。
○政府参考人(安富正文君) 鉄道運転規則で昨年も定期検査についての検査周期を変更しておりますけれども、これは近年の各装置の信頼性あるいは耐久性の向上、さらには鉄道事業者における検査管理体制の充実といったようなことを踏まえて、具体的に鉄道総研におきまして各種走行試験のデータ等を収集いたしまして、検査周期を延伸しても安全性が確保されるという専門家の方々の意見も踏まえまして確認されたために所要の規定の改正を行ったものでございます。
〔理事竹山裕君退席、委員長着席〕
○宮本岳志君 安全性が確保されるということになっていないから事故も起こっているわけでしょう。
運輸大臣にお伺いいたします。
今回の事故の重大性に照らして、こういった規制の緩和が安全の軽視に絶対結びついてはならない、この点はっきりさせていただきたい。
○国務大臣(二階俊博君) 今回の事故調査委員会におきまして、そうした点も踏まえ、今後再びこういうことの発生しないように我々としては万全の体制で臨む、そういう決意で今検討いたしておるところでございます。いましばらく時間の余裕をちょうだいしたいと思います。
○宮本岳志君 規制緩和は絶対安全軽視につながってはならないという点、どうですか。
○国務大臣(二階俊博君) 私は、以前からもう規制緩和、規制緩和というかけ声のようなことでずっと周囲が盛り上がっておりました当時も、事運輸省のことに限って、安全性の確保という面におきましては、時流に流されてそうした面についておろそかになってはいけないということをみずからに言い聞かせてまいりました。
○宮本岳志君 ぜひ頑張っていただきたいと思います。
次に、脱線防止ガードレールについてお伺いしたい。
事故箇所のカーブは半径百六十メーター、営団の設置基準は半径百四十メーターと聞いておりますが、一九五一年の営団の内規では半径何メートルでしたか。
○政府参考人(安富正文君) お答えいたします。
営団地下鉄は昭和二十六年、丸ノ内線建設に際しまして、曲線部における外側レールの摩耗を防止するために、半径二百メートル以下の曲線箇所に内側レールに沿って摩耗防止ガードレールを設置するということを基準としておりました。その当時は摩耗防止ガードレールと呼んでおりますが、これは当然脱線防止にもつながるものでございます。
○宮本岳志君 これが年々緩められてきて百六十メーターから百五十メーターに緩められたのは何年ですか。
○政府参考人(安富正文君) 先ほども申しましたように、昭和二十六年当時二百メートルでございましたが、その後昭和二十九年にこれを百八十メートル以下ということに改めております。それから、さらに昭和三十三年に曲線半径百八十メートル以下から百六十メートル以下、それから昭和三十六年にこれを百六十メートル以下から百五十メートル以下、さらに昭和四十三年に百五十メートル以下から百四十メートル以下にそれぞれ設置基準を段階的に引き下げて、今日に至っております。
○宮本岳志君 事故現場の恵比寿―中目黒間の開通は何年ですか。
○政府参考人(安富正文君) 営団日比谷線につきましては、昭和三十四年に工事着手以来、順次開業してきておりますが、当該恵比寿―中目黒間につきましては、昭和三十九年七月二十二日の開業となっております。
○宮本岳志君 わずか三年前まではつけるという基準になっていたものを規制を弱めてつけていなかった、そしてその後も結局百四十メーターにまで引き下げられたと。この緩和の理由は何でしょうか。
○政府参考人(安富正文君) お答えいたします。
営団地下鉄では、脱線防止機能を有するこのガードレールにつきまして車輪の踏面、いわゆる車輪とレールが接する面でございますが、その面の形状の改善、改良あるいはレールの塗油、塗油と申しますのはレールに油を吹きつける器械がございますが、そのレール塗油による摩擦係数の低下等の改善状況を踏まえまして、そういう設置基準を段階的に改正してきたということを聞いております。
○宮本岳志君 私が問いたいのは、そもそも運輸省はこの基準に責任を持ってきたのかと。運輸省の規則では明確に何メートル以下はつけるようにとなっておりますか。
○政府参考人(安富正文君) 運輸省の構造規則の中には具体的な数字は示しておりません。急曲線あるいは急勾配の曲線の部分につきまして脱線防止ガードレールをつけるようにということで、それぞれの各事業者における車両の性能あるいは運転速度等を勘案して各事業者が決めているものでございます。
○宮本岳志君 きょうは資料もおつくりして配ってありますけれども、具体的な数字はない、そしてばらつきがこれほどあるというのが今の実情なんですね。そこなんですね。つまり事業者任せにしていると。ここを運輸省がきっちりと何メートル以内は必ずガードレールをつけなければならないと責任を持つべきだと思いますが、運輸大臣、いかがですか。
○国務大臣(二階俊博君) 先ほども御答弁申し上げましたとおり、この問題につきましても、私どもは今回の事故を機会に専門家等の御意見も十分聴取した上でこの問題についての基準をどう設けるかということも念頭に置いて検討してまいりたいということを考えております。
○宮本岳志君 時間がなくなりました。この問題はまた交通・情報通信委員会でも徹底審議をしたいと思っております。
運輸大臣も所信表明で安全の確保は最優先だと述べておられます。我が党は、あなた方が進める規制緩和は交通機関の安全に大きな不安を持つものだと指摘してまいりました。今回の事件はそのことをとうとい犠牲の上に示したものだと思います。今回の事故を契機に規制緩和一辺倒のやり方をきっぱり見直すことを強く要求して、私の質問を終わります。
○委員長(倉田寛之君) 以上で岩佐恵美君の質疑は終了いたしました。(拍手)
─────────────
○委員長(倉田寛之君) 次に、清水澄子君の質疑を行います。清水澄子君。
○清水澄子君 社会民主党の清水澄子でございます。
大蔵大臣にお尋ねいたします。
十二年度の予算は、現在の中期防衛力整備計画の最終年度でございます。その中期防の進捗率は総額の九九%に達したと言われております。そうなると次期防の問題になるわけですが、この問題が国会でほとんど議論されていないわけで、非常に残念に思っております。
現中期防は五カ年で二十四兆二千三百億円という膨大な予算を費やす計画でございますが、過去の例から見ましても、次期防はそれ以上の金額になるのではないかと懸念をしております。現在の財政状況から見てもっと減額をするということが必要ではないか。
大蔵省は、思いやり予算につきましては財政状況から減額を試みているようですが、私は防衛費についても今日のような財政状況のもとでは減額すべきだと考えますが、大蔵大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 具体的な計画を承知しておりませんので何とも申し上げられませんが、もとより関係当局の間で折衝をしまして入り用なものを最小限にするということは間違いありません。また、日米の間では、防衛庁あるいは外務省と米国当局といろいろ折衝をしていかれるのだと思います。
ですから、それは必要最小限度ということは大切なことですが、ただ、私は国の安全とか日米の信頼とかいうのは大変大事なものと心得ておりますから、財政の都合だけで減らしたらいいというようなことは私は思っておりません。
○清水澄子君 でもそれは、大蔵大臣、現在の中期防の策定のときに、これは平成七年なんですけれども、総額二十五兆千五百億円であったわけです。それが平成九年十二月に、やはり経済的、財政的事情ということで九千二百億円減額をされた経過があるわけです。ですから、財政事情で減らすことはないというのは、これはちょっとお考え違いじゃないでしょうか。特に、現在の財政事情は平成九年十二月の財政事情に比べても決して好転しているわけではございません。
安全保障会議のメンバーである大蔵大臣ですから、やはり減額の方向で検討に入るべきだと考えますが、もう一度御自分の決意というものをひとつお述べいただきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) もちろん、大蔵大臣といたしまして財政というものは最も大事でございますから、ぎりぎり最小限度の必要でとどめていただくことは私のこれは使命でございます。
ただ、同時に国の安全とか日米の友好関係というのは大変大事な問題でございますから、非常に大事なことを金がないから何とかやめてくれというようなことを私は言うつもりはなくて、できるだけの節約はいたさなきゃならないということに変わりはありません。
○清水澄子君 日米の関係は、それは私たちも大事だと思っております。しかし、やはり防衛というのは国際情勢の状況とか、それから経済なり財政事情等の内外の諸情勢を勘案するというのは、この防衛計画の中にはっきり所要経費というところに書いてあるんですね。そのことをちゃんと必要に応じて見直しを行うと。ですから、それを否定なさるのはやっぱり問題だと考えます。特に、今日の国際情勢というのは平成七年の当時よりも非常に明らかに好転をしていると思います。
そういう中で、次に防衛庁長官にお伺いをしたいわけですけれども、二月十七日に防衛庁の佐藤事務次官が記者会見で、次期防について六月ごろ安全保障会議で議論したいと、このように発言したと報道されている。これは防衛庁の朝雲に、機関紙に報道されているわけです。事実であればそれまでに防衛庁内の検討を終えるということになるのでしょうが、防衛庁内では既にこの検討に入っているのかどうか、検討しているとすればどういうメンバーで検討をされているのか、防衛庁長官にお聞きしたいと思います。
○国務大臣(瓦力君) 清水委員にお答えいたしますが、佐藤次官、六月ころにまた寄り寄り会議をしたい、こういうようなことを述べておるようでございますが、これは通常、一般的に六月ころにある面ではそういう会議を持っておる時期を指して言っておるのだと私は思いますし、また私も、さような時期は非常に重要な時期だ、こう考えております。
まずは、御質問に対しまして、以上お答えいたします。
○清水澄子君 ただ漠然と六月ごろとおっしゃっているんじゃございません。防衛庁は、次期防衛力整備計画で、防衛庁、自衛隊のコンピューターシステムを標的としたサイバーテロに対処する部隊を新設する検討作業を進めているということを明確に発言しておられるわけです。ですから、次期防はまだ決まっていないのかどうか知りませんけれども、ところが防衛庁の方の新聞がずっとこういうことを独走している、そういうことが大変私は問題だと思います。
じゃ、長官、この次期防についてどのようなスケジュールでお決めになるんでしょうか。現在時点でのお話をいただきたいと思います。
○国務大臣(瓦力君) 事務的また準備的な作業を行うため、二月に、事務次官、統合幕僚会議議長、陸海空幕僚長等を中心とする事務方に所要の作業を開始させたところでございまして、中期防、五カ年にわたる作業見積もりでありますとか、いろいろ検討をする課題がございます。これらにつきまして洗い出しをするといいますか、それらの問題をいろいろ検討する中で問題点を整理しなければなりません。
よって、私も、サイバーテロでございますとか、それらの課題も極めて今日的な課題として着目していかなければならない問題でございますから、さような問題も検討しようではないかというようなことも申し上げたりいたしておりまして、今の段階はそうした問題についての具体的な問題を洗い出しして、やがてそれを絞り込みながら整理をしていくというようなことを踏まえて六月という時期、季節を迎えていくと思うわけでございます。
これは例年のある種のパターンでございまして、改めて申し上げさせていただきました。
○清水澄子君 そういう問題は、防衛庁の新聞で何か動きがある、何か決定しているかのごとく報道されるのではなくて、やはり国会に報告されるべきだと思います。
そこで、さらにお伺いしたいのは、この防衛庁内の検討機関は、官僚のみあるいは官僚主導で進められていると思うんですね。政策決定への政治の関与ということが強く言われているんですけれども、特に防衛分野ではシビリアンコントロールというのは重要な私は機能をここでは強化しなきゃいけないんだろうと思いますけれども、その点で、防衛庁長官はこれらについてどういうふうに運営していきたいというふうにお考えでしょうか。
○国務大臣(瓦力君) ただいま清水委員から、最も私どもが目指していかなければならないシビリアンコントロールといいますか、そういう点に触れまして御質問をいただきました。
次期防の取り扱いは今後の政府の検討に係るものではありますが、策定される過程におきましても、シビリアンコントロールの確保という観点、また安全保障会議における慎重な審議、これらが行われていかなければならないものと考えております。私も安全保障会議の中核メンバーでもございますし、また防衛担当閣僚として、我が国防衛にかかわる政策決定の中心となるべきことは当然と考えております。
官僚主導というお話がございましたが、日常詰め合わせておる作業、問題についての整理は、ある面では官僚が得意とする分野かもわかりません。また、加えて言いますと、一般、民間の有識者の意見や、またマスコミに携わる方々や識者の方々の意見も聴しながら、次期防どうあるべきかというようなことで素材整理をしながらそれらの問題に取り組んでまいりたい、かように考えておるものでございます。
○清水澄子君 現時点の中期防等の検討機関というのは、防衛庁の事務次官が大体委員長ですね。そして、防衛力の在り方検討会議というのは防衛庁長官であるわけですけれども、私は、最大のシビリアンコントロールの場は国会であると考えます。ですから、ぜひ国会に対して速やかな情報を提供する、それからやはり議論ができるようなそういうプランを提供して、国会がそういう機能を果たせるようになっていただきたいと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(瓦力君) 御指摘はごもっともでございまして、内閣におきましても、安保会議そのものがやはりシビリアンコントロールとして私は重要な機関の一つであると思っております。
また、私どもは、いろいろの研究をしまして課題整理をいたしますと、なるべくそれらの問題につきましてのよって立つゆえんは申し上げておるところでございますが、なかなかその時々の課題として整理をして報道してくれない面もございます。
そういう面もまた努力しなければならない課題でありますが、これが一つでき上がりますと、国会の方にもいろいろまた御審議をいただくことが必要かと思いますので、ある面では、今日まで以上にお知らせをするという課題につきましては心得てまいりたいと思っています。
○清水澄子君 次に、官房長官にお尋ねしたいんですけれども、昨年十二月十七日の安全保障会議で、空中給油機、これを次期防において速やかに整備を行うこととするということになって、そのことは防衛庁の予算の資料にあるわけですが、これは次期防の一部を先取り決定されたのでしょうか。
中期防は安全保障会議の決定の後に閣議決定を経て策定されるものであると思うんですが、そのことを発言されたのが青木官房長官であるということを伺っているわけですけれども、その真意、それはどういうことであるのか、また防衛庁長官には、その発言をどう受けとめておられるのか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(青木幹雄君) お答えいたします。
初めにお断りをいたしておきますが、安全保障会議における個別の発言については公表をしないということになっておりますので、個々の内容については差し控えさせていただきたいと思いますが、そういう安全保障会議の議論を踏まえまして、次期防において速やかに整備すること及び平成十二年度予算において必要な経費を計上することが了承をされたところでございます。必要な経費というのは、いわゆる空中給油機の機能等についてアメリカに行って研究をする旅費三百六十万円程度であろう、私はそういうふうに理解をいたしております。
○国務大臣(瓦力君) お答えいたしますが、空中給油機機能につきましては、実を申し上げますと、委員も御承知かと思いますが、随分多年にわたりまして議論がなされてきた問題でもございます。
期防、昭和六十一年度―平成二年度、「空中給油機の性能、運用構想等空中給油機能に関する研究を推進する。」、こういう国防会議、閣議決定を経まして、三回に及ぶ中期防を経て、「空中給油機の性能、運用構想等空中給油機能に関する検討を行い、結論を得、対処する。」といたしました今次の中期防、なおそれに次いで、今、官房長官からも答弁がございました。
私は、空中給油機能につきましては、それぞれの問題点を理解していただきたいと思う諸点がございます。それは、せっかくの機会でございますから、CAPという空中におきましての対処の問題がございまして、その必要性をもっていわゆる訓練を行っておるわけでございますが、それが飛び立ってまたおりてくる間は、特に空中給油をしてもらいませんとすぐおりてこなければならぬ。その機能性からいいまして、空中給油機能を持った方が私は我が国の安全確保のためには必要だと思いますし、またこれらの基地を考えてみますと、基地の環境問題でありますとか、それらを考えますと、騒音とかいろいろな問題がありますから、一度飛び立って洋上で訓練をすることであれば訓練がさらに功を奏するわけでございますので、そういうことを含めましても空中給油機能というのは意味を持つ。
また、この空中給油機そのものが、私どもはPKOとかいろんなことにこれから参加をしていくことが広く国際的に望まれておるわけでございますが、それは油のみならず、若干の要員であるとか医療品であるとか食料品であるとか、それらを積み込んで遠方へ到達することができる。かつて、太平洋を越えて支援するときに地点を四カ所ほどおりなければ到達できなかったという経験も持っておるわけでございまして、そういった面を考えますと、空中給油機能というものはこれからなお必要であるというぐあいに考えておりまして、ぜひこれを推進してまいりたいと実は考えておるものでございます。
官房長官の答弁にもございますが、これから真正面に据えて努力をしていきたい、清水委員は御理解をいただけるかどうかわかりませんが、そのように考えておるところであります。
○清水澄子君 今、空中給油機はどういう性能があるかなんて伺ったんじゃないんです。
やはり昨年の十二月十七日の安全保障会議で官房長官がこのことを発言され、当日記者会見をしておられるわけなんです。ところが、先ほど私は防衛庁長官に次期防について防衛庁の機関紙がどんどん、まるでもう決まったかのように報道されているということでお伺いしましたところ、六月ごろ安全保障会議で決めると。ことしの六月ごろ決めることが、どうして昨年の十二月にもう次期防の空中給油機を導入するというふうなことが発表されるのか。
そのことについて私は問題であるということで、手続上こういうことはシビリアンコントロール以前の問題だと思います、そのことをお伺いしましたので、これについてちゃんと明確にお答えください。
○国務大臣(青木幹雄君) 先ほどお答えをしたとおりでございます。
ただ、議員ちょっと間違っておられると思いますのは、安全保障会議の発言は今申し上げたとおり公表しないことになっております。ただ、そういう皆さんの議論を踏まえて、当日、実は私が記者会見したんじゃなくて、当日は急に開かれて日程が詰まっておりましたので、額賀官房副長官がいわゆる安全保障会議の結果を代表して記者会見をいたしておりまして、議員が、毎日私がやっておりますので私がしたとお思いになるのも当然だと思いますけれども、そういう経過でございます。
○清水澄子君 この発表された日は審議で決定にはなっていないんです。これはきっと予算上の都合でなさったんじゃないかと思います。
次に、官房長官に伺いたいんですが、この空中給油機というのは、四年前の現在の中期防策定のときに自社さの連立政権内で大変な議論がありました。その結果、導入を決めるのは専守防衛の立場から適当でないとなったわけです。ですから、これらについて小渕政権では昨年の十二月に結論を得たようになっておりますので、どのような内容で専守防衛とは無関係であるというふうな結論になったのか、お聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(青木幹雄君) お答えいたします。
空中給油機能の取り扱いにつきましては、閣議決定された政府計画である現行の中期防衛力整備計画、中期防でございます、において、「空中給油機の性能、運用構想等空中給油機能に関する検討を行い、結論を得、対処する。」とされたところでございます。
このような中期防における位置づけにかんがみ、政府としては、安全保障会議において防衛庁から空中給油機能の概要や本機能の有用性、空中給油機の輸送機能等、先ほど防衛庁長官が御説明されたようなものを説明を受けたところでございまして、それを研究するために、先ほど申し上げましたように、アメリカに行っていろいろな空中給油機の勉強をするための六人分の費用を予算計上したというのが実情でございます。
○清水澄子君 私は、どういう内容の検討があってどういう結論を得られたのかということを、専守防衛との関係からお伺いしております。
○国務大臣(瓦力君) いわゆる専守防衛とは、相手から武力攻撃を受けたときに初めて防衛力を行使し、その対応も自衛のための必要最小限度にとどめ、また保持する防衛力も自衛のための必要最小限度のものに限られるなど、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢をいうわけでございます。
かかる防衛戦略のもとで我が国の防空を全うするためには、航空侵攻に対しまして要撃機などにより即時適切な措置を講じ、この体制を維持していくことが重要でありますが、近年の航空軍事技術の進展にかんがみますれば、今後は空中警戒待機、CAPの態勢をとることが必要不可欠になると見込まれます。空中給油機能は、このような有事における我が国防衛のために必要不可欠な措置をとるために極めて重要と考えているものでございます。
こういうことで、専守防衛とまた空中給油機能につきまして整理をいたしておるところでございますし、また委員から御質問のありましたように、官房長官も答えておりますが、これらに対する明年度の予算措置として、それぞれ研究に供するための予算措置は講じたところでございますが、なお今後空中給油機能につきましての検討を加えまして、次期防に係る課題としてぜひ取り上げてまいりたい、そういう扱いをするような努力をしてもらいたい、こういうぐあいに所管の閣僚として希望をいたしておるところであります。
○清水澄子君 全然私は理解できないんですね。
前に専守防衛を超えると言ったのは、空中給油機は、非常に戦闘機の足が長い、足を延ばすために使われる、そういうことで、これは日本の専守防衛に反するんじゃないかということでこれを決めることをやめたわけです。ですから、それが今のお答えではよくわかりません。それらについてのぜひ明確な資料を提出していただきたいと思います。
次に、防衛庁長官は一月に訪米された際に、同行記者との懇談でハイテク指揮艦の導入検討に強い意欲を示したと報道されているわけですけれども、この指揮艦、これはアメリカが世界各地で軍事行動を展開するために米軍には不可欠な装備と言われているわけですけれども、その指揮艦をなぜ日本に導入しなきゃいけないのか。そして、これは産経新聞においてすら海外派兵につながると反発が出るということが報道されているわけです。
防衛庁長官は、どういうものを想定して、なぜこれが今の日本に必要なのかというお考えで発言されたのか、お聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(瓦力君) 今後、我が国の防衛力につきましては、我が国の防衛のみならず、多様な事態に対しまして有効に対応し得る防衛力を整備することが肝要であることは申し上げるまでもありません。また、必要な正面装備の整備とあわせて、これを支える情報・指揮通信機能等の後方機能の充実強化を図ることによりまして、防衛力全体として円滑に十全な機能を果たし得るよう配慮することが重要であると考えております。
いずれにいたしましても、中期的な防衛力整備につきましては、自衛隊に与えられた任務を適切に遂行するという観点から、情報・指揮通信機能の強化等を含め、防衛庁としてしかるべく検討してまいりたい、かように考えておるものでございます。
ちなみに、先般訪米した折に、記者団と指揮通信機能を持ち合わせた艦艇を見ることができまして、情報社会でございますから情報も非常に高度なものになっておりますので、それらを収集しながら指揮能力も装備をしておるという能力を持ち合わせております。これは軍事の面のみならず、我が国は災害等襲われるものがいろいろございますので、こういったものがあれば多方面に私は活用可能なものであるなと。これから衛星もありましょうし、通信も相当に変化をしてまいりますから、それを洋上でコントロールできる機能というのは有意義でありますから、そういう機能も我々研究する必要があるのではないかというようなことを申し上げたことがございます。
なお、委員から先ほど私はよく理解できないという中で、専守防衛の我が国にとっての足の長さを持つという空中給油機能につきましての疑問を重ねて申し上げておられますが、一時確かにそういう議論がございました。足を延ばしてさらに他国に脅威を与えるのかというような御意見もございました。
そういう脅威を持つということではなくて、先ほど申し上げたような空中給油機能、私どもは、これを研究すれば、保持した方が効果が大きいという判断に立ったわけでございます。
○清水澄子君 そういう装備の効果の大きいことを有利に進めるならば、非常にこれは軍事的にやっぱり近辺にも脅威を与えると思うんです。
ここ数年、海上自衛隊は艦船の大型化を進めております。専守防衛の立場から国内移動が可能な小型の艦船で十分であったはずでありますのに、最近は極端に大型化しておるわけです。十二年度で調達を予定している補給艦は代替でもないわけです。新装備として今まで八千百トンだったものを一万三千五百トンという自衛隊最大の艦船となっておるわけです。
今後、このように更新、近代化という理由で護衛艦、潜水艦等が調達されることになると思うわけですけれども、こういうことになると、周辺諸国にむしろ脅威を与えるような大型の艦船の調達というのは、私は逆にこれは慎むべきではないかと考えますが、防衛庁長官の見解を求めます。
○政務次官(依田智治君) お答えさせていただきます。
艦船の大型化というのは、やはり諸外国における技術の趨勢への対応、それから省人化、人を減らしていくとか、それから居住性、例えば三段ベッドになっているものを二段ベッド等にするとか、そういうようなこともいろいろ国際的傾向の中で考えまして大きくなってきておるということでございます。
十二年度予算において補給艦の一万三千五百トン級一隻をお願いしておりますが、これも、護衛隊群の燃料消費量が非常に増大しているために燃料の補給量が非常に増大しておる、それから弾薬重量の増加等により弾薬の補給量が非常に増大しておる、また海洋汚染防止等の面から燃料タンクの二重構造化をするというようなこともありまして大型化しておるという状況でございまして、決して脅威になるというものではなくて、諸外国ともそういう趨勢の中にあって、私どもとしてもぎりぎり必要な大きさは確保させていただいておる、こういう状況でございます。
○清水澄子君 非常に私は理解しておりません。
先ほど日本の防衛のためとか有事というふうなことをおっしゃったわけですけれども、みずから防衛することは当然ですが、では、自衛隊の任務だというふうにおっしゃったんですが、次期防については、武装ゲリラに対処する事態対処隊を陸自に設ける方向で検討に入ったと報道されているわけです。特殊作戦部隊や領域警備任務を想定したもののようですけれども、現行の法律の上ではそれらは自衛隊の任務とはなっていないと思います。部隊の設置を先取りしていくというのはやっぱり問題ではないでしょうか。
十二年度予算でもゲリラコマンド攻撃対処として二十三億円の計上がありますけれども、これらは将来のための調査研究と説明されておりますけれども、最初に申し上げたように、シビリアンコントロールの観点からやはりこういうものは国会で十分な論議をされないうちに防衛庁が独走するのは問題だと思います。
ですから、防衛庁長官の見解を伺いたいんですけれども、治安出動は一義的には警察の任務です。それができないときにやはり防衛庁ということがあるわけですけれども、自衛隊があるんですけれども、それらについての明確なお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(瓦力君) 防衛庁といたしまして、最近の我が国を取り巻く状況を踏まえますと、ゲリラコマンド攻撃対処能力の充実強化を図ることは必要なことだと考えます。
ゲリラコマンド攻撃に対する対処能力の充実強化方策につきまして、一般論として申し上げれば、新たに部隊を新編する方法でありますとか既存部隊の能力の強化を図る方法等が考えられるわけでございますが、防衛庁といたしましては、平成十二年度予算案に計上している米軍の調査や研究、演習等の事業の成果も踏まえつつ、今後、具体的方策について検討を進めていきたいと考えております。
さらに、国会における御議論も十分に踏まえながら検討を行っていくことは当然のことでございますが必要でございまして、引き続きゲリラコマンド攻撃対処に遺漏なきを期してまいりたい。
昨今、いろんな事案を見ますと、警察の所管する範囲でありますとか能力を超える事案も多発するようになりました。全国ベースで考えますと、やはり自衛隊、防衛庁に期待される分野もあり、研究もしておかなきゃなりません。東海村の放射能汚染の問題もございましたし、これらの課題に対しましても的確に国民に安心、安全を与えるために、警察関係でありますとか消防の関係でありますとかと緊密な連絡をとりながら、自衛隊、防衛庁が果たす役割は積極的に果たすような機能を持たせておきたいと、私はかように考えております。
〔委員長退席、理事竹山裕君着席〕
○清水澄子君 法律をしっかり守っていただくことを要請して、終わります。
○理事(竹山裕君) 以上で清水澄子君の質疑は終了いたしました。(拍手)
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○理事(竹山裕君) 次に、高橋令則君の質疑を行います。高橋令則君。
○高橋令則君 自由党の高橋でございます。
最初に官房長官にお聞かせをいただきたいんですが、私は、六日のこの委員会で総務庁長官に、三条機関、いわゆるその中で行政委員会のあり方というのを質問させていただいたわけでございます。そして、一定の方針をお聞かせいただいたわけですけれども、私の感じでは、もっと踏み込んで議論するべきではないか、国家公安委員会だけではなくて全体的にやっぱりやるべきではないかというふうに私は思っております。
それはなぜかと言いますと、私は地方団体にいたときにずっと見ておったわけですけれども、この行政委員会が全部だめだと言うつもりはありません。しかしながら、その運用を見ますと、もうかなり、戦後五十年余経過しまして、どうも我が国の人間とか何か、伝統というんですか、そういうものが風土的に合わない部分があるんじゃないかという感じがあるわけです。
そういう意味で、三月十一日の各紙を見たら、政府がこれを全体的に検討するというふうな方針というか、こういうことがマスコミに出ていたものですから、これはまさに我が意を得たりという気持ちだったんですけれども、それをお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(青木幹雄君) お答えをいたします。
私も考え方は議員と一緒でありまして、公安委員会につきましては公安委員会のもとでいわゆる警察組織刷新会議が発足いたしましてこれから十分な議論がなされると考えております。議員も御承知のように、実は今三条委員会というのが八つございまして、そのうちの一つが金融再生委員会、これは来年早々なくなるわけでございますが、七つの委員会が、私も実はこれは驚いたんですが、驚いたから直すということじゃありませんけれども、全部二十年代につくられたものでございます。しかも、任期が二年のところもあれば四年のところもある、五年のところもある。しかし、どの委員会も再選を妨げない。例えば五年のところだと再選されれば十年。
こういうテンポの速い時代にそういうことがいいかどうかという議論もしていかなきゃいかぬし、二十年代につくられた組織がそのままで今いいのかどうかという議論。国家公安委員会の問題が起きてから恐らくいろんな立場立場でいろんな議論がなされていると思いますので、政府としてどうするということを決めたわけじゃありませんけれども、当然これはみんなで考えていかなきゃいかぬ一つの大きな問題だと、そういうふうに理解をいたしております。
○高橋令則君 私は、さっきも申し上げたように、委員会が全部だめだと言うつもりはございません。しかし、明らかに問題があるというふうに思っております。
それから、ぜひ推進していただきたいんですけれども、それと関連して、特別職の職員の給与に関する法律、給与法を見ていますと、その別表に、総理を含めて、我々もそうですけれども、表があるんですね。例えば、総理ですと二百二十万円余とあるんですが、そういう表がずっとあるんですが、その中に八条委員会があるんです。
ところが、具体的に申し上げますと、今の行政委員会だけではなくて、例えば、たくさんあるものですからあれなんですけれども、社会保険審査会の委員あるいは地方財政審議会委員とかなんとか、これ全部見ると一カ月月収が大体百万超えるんですね。これは全部そうなんです。私はこれは全部要らないと言うつもりは全くありませんが、今行革ですから、したがって国会議員も削減するという時代ですから、そういう時代にこの問題についてもやっぱり検討すべきではないかと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(青木幹雄君) 私も急な質問で、詳しい一月間のそれぞれの委員の皆さんの給与については承知をいたしておりませんけれども、やはり時代に似合った、仕事に似合った、そういうことは当然給与の面でも考えていかなければならない問題であろう、そのように考えております。
○高橋令則君 ぜひ推進をいただきたい、御検討いただきたい、このように思います。
ちょっと経済関係で御質問させていただきたいと思いますが、まず経済企画庁長官に、私ども経済関係はよくわからないのですけれども、今の経済というのはやっぱり相当難しい状態にあると思うんです。そうはいっても、私どもは与党の中でぜひとも二〇〇〇年の年を実質見通しを実現できるようにしなきゃならぬというふうに思っているわけですけれども、この策定後の、策定したのが十二月ですからもう経過しておりますので、その後の経済動向、最近における注目すべき指標の分析、その判断とか今後の運営の考え方について、一括御質問いたしたいと思います。
○国務大臣(堺屋太一君) 本日発表いたしましたGDPは、QE、三カ月ごとのGDPでございますが、前期に引き続いて一・四%のマイナスになりました。
この結果、この十―十二月のGDPは前年とほとんど同じ、もう一回上がってまた戻ってきたような格好になっておりますが、この今回の現象には、以前から申しておりますようにボーナスが非常に少なかった、これは前年の業績から決められたボーナスでございますが非常に少なかった。その上に、公共事業が本予算と補正予算のはざまになって少なかった。あるいは、恐らくはコンピューターの二〇〇〇年問題で、通関が滞っちゃいかぬというので早目に輸入された。それにアメリカから飛行機が輸入されたようなことがありまして輸入が多かった。輸入が多いとGDPでいいますとこれはマイナス、引くことになります。したがって、そういった一時的な要因が重なって低い数字が出た。
〔理事竹山裕君退席、委員長着席〕
それに、私たちが予想しておりましたというか、恐れておりましたのは、かなり低い数字が出るんじゃないかと思っていたんですが、意外と企業の設備投資がよくて大きな伸びになりました。企業の設備投資が非常に早い機会に、特にIT関連とか中小企業で伸びてくれたということは、構造改革が進み出したという意味だと思います。
そして、もう一つ心強いことに、ことしの一月あるいは二月に、まだ二月の末の数字はわずかでございますが、出ている数字を見たら順調に回復している。ボーナスが少なかったのでおっこちた消費を見ましても、十二月には前期比二・二%のマイナスが一月になりますと一・六%の前期比プラスになってまいりました。また、自動車の登録台数なども久しぶりに二カ月連続で前年を上回っております。
そういったことを総合いたしますとこの一―三月はプラスになる。したがって、九九年度はしっかりとしたプラス成長ができることは非常に蓋然性が高い。大体予定どおりの見通しになっている。そして、私たちが考えておりました、十二月ぐらいの消費は低いけれども、それからだんだんと一―三月、それからその先よくなって、今年度の後半ぐらいになりますと自律的回復になるんじゃないかと。大体そのシナリオを歩いていると考えております。したがいまして、もうそろそろ自律的回復の気配が相当広がって、まだ自律的回復が定着したとは言えませんけれども、その気配が広がってきているんじゃないかと考えております。
○高橋令則君 私もそのように把握をしているつもりなんですけれども、機械需給、これが高いんですね。それは先にいいなという気持ちがあるんですけれども、これに関連して、これは最後ですけれども、大蔵大臣にお願いしたいんです。
これを受けて十二年度の予算、これで私どもはいいと思っているんですけれども、これは相当積極的な予算ですね。それで、その先が非常に心配なんですけれども、結構今の経済は、景気は期待できるんですけれども、まだ弱いというふうに思うんです。そこで、十二年度、十三年度にかけて財政運営というものは慎重にしなきゃならぬと思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま御審議いただいております本予算は、大変な借金をいたしまして、公共事業も大きくしましたし、不況対策もいたしました。また、金融の信用回復のためにも相当大きな金をつぎ込んでおりまして、私としては、もうこれで補正予算なしでひとつお願いしたいという気持ちを持っておりますが、今までの経済の歩みを見ておりますと、今、経済企画庁長官が言われましたとおり、大体そういう動きで動いてきていると思いますので、これなら補正予算をお願いしなくて済むんじゃないかという気持ちを大変に強く持っております。
○高橋令則君 終わります。
○委員長(倉田寛之君) 以上で高橋令則君の質疑は終了いたしました。(拍手)
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○委員長(倉田寛之君) 次に、松岡滿壽男君の質疑を行います。松岡滿壽男君。
○松岡滿壽男君 堺屋長官、内橋克人さんの近著が出ておりまして、「浪費なき成長―新しい経済の起点」という、これはお読みになりましたですか。
○国務大臣(堺屋太一君) まだ読んでおりません。
○松岡滿壽男君 読んでおいていただくとよかったんですけれども、一々これを読まなきゃいかぬようになりますので。ただ、御承知と思いますけれども、この中で、堺屋長官の貯蓄に関することについて、「健全な消費者を「心配性」と揶揄する堺屋太一長官」と出ているんですね。
実は、週刊朝日の九九年二月十九日号、「今日とちがう明日」という文章を出しておられるんですけれども、その中で、結局、消費性向が低い、貯蓄性向が高い、これは国民に対してあなた方が浪費しないから景気がよくならないのだと言っているに等しいと。それで、堺屋式の浪費による景気回復策は根本的に間違っている。日本の経済政策はどのような考え方で進められているかといえば、それは明らかに浪費がなければ成長もなく、失業、倒産が続出するという前提のもとにと言うほかないだろうという表現をしておられるんですが、こういう御批判に対して、長官はどのようにお答えになりますか。
○国務大臣(堺屋太一君) それは内橋さんの引用でしょうか、私の文章そのままでしょうか。私は浪費の勧めということは書いたことはないと思うんですが、日本の消費性向が低い、逆に言えば貯蓄性向が高過ぎるということは申し上げたことがあると思うんですけれども、だからといって浪費しろと言った覚えはございません。
現在、やはり日本の貯蓄性向が非常に高うございまして、経済学で言いますと貯蓄と投資が見合うということになるわけですね。そうすると、貯蓄が多いと、投資対象がなくなってまいりますと、そのかわりに国が国債を発行して投資をするか、さもなくば外国に物を売りまして、その黒字、国際収支の黒字が大きくなるか、どちらかになってくるという、これは経済のバランス上そうなるわけでございます。したがって、私は、浪費ではなくして健全な、例えば住宅を立派につくるとか、あるいは教育、能力開発に使うとか、そういった健全な消費、健全な個人需要があるべきではないか、そう考えております。
○松岡滿壽男君 ただ、私どもが懸念していますのは、今まで大量生産、大量消費、それから大量廃棄、だから循環型社会にしなきゃいかぬという意見は本委員会でずっとあったわけですけれども、それに引き続いて大量解雇といいましょうか、過去は、やっぱり高度経済成長時代はいわゆる護送船団方式の中で終身雇用、年功序列、そして退職すれば年金が約束されているという仕組みの中にずっといたわけです。ところが、突如として大リストラが始まっていると。そうすると、働いている人たちから見たら、ある程度今までの仕組みに対して安住していましたから、裏切られたという思いも強い。だから、要するにもう物をいかにして買わないかという発想に変わってきていると思うんです。そこに拡大型の投資をしてもなかなかそれはもう無理じゃないかという、そういう仕組みが変わってきている、既に。
だから、我が国の中で見てもやはり物余り現象が出ていますね。だから、設備投資は行き過ぎてしまっていると。去年の経済白書で言っておられますように、企業内の過剰人員というのが二百二十七万というふうに出ていますね。それで三百三十万が実際に四・八%の失業になっている。そうすると、まだそれだけのものを抱え込んでいるわけですよ。それでもうまくいかないし、先が見えないからみんなが買わない、そして貯蓄してしまっているということをこれは指摘しようとしておられるんだろうと思うんです。
こういうことについてのお考えをお聞かせいただきたい。
○国務大臣(堺屋太一君) まさに不況の間、去年、おととしはそういう構図ができていたと思います。
そして、日本が規格大量生産で非常に成功いたしまして、たくさん物をつくって、どんどん使い捨てをする。そういう構造をつくり上げて成功したのでございますが、その構図はもうやっていけないというのがこの九〇年代になってはっきりしたと思うんです。
それで、今私たちは、この大量生産、大量廃棄ではなしに、新しい知恵の時代をつくらなきゃいけない。それぞれに個性的な需要をつくり、そしてより循環型の世の中をつくらなきゃいけない。今度、三月二十日に企画庁でも循環型社会と少子高齢化社会の国際シンポジウムなどを開催するんですが、私もいろいろとその点を研究してみましたけれども、やはり資源を節約するということは、何か資源のかわりのものに置きかえるわけでございます。そうすると、結局資源のかわりに置きかえるのは人間の力、つまり技術であり、頭脳であり、デザイン力である。そういったものをどんどん高めて、循環型の資源を減らしても労働需要が減らない、そういう構造につくっていかなきゃいけない。そして、あわせて高齢者も働けるような社会につくっていく。そのために、今例えばIT、情報技術などというものはそんなに大量に資源を使いませんけれども、これでいろんな人が交信をする、いろんな人が楽しみをし、便利をする。そうなりますと、資源が少なくて経済が発展し、生産性が向上する社会ができるんじゃないか。
だから、単に経済を回復させるといっても、前と同じ規格大量生産の時代の形に戻すというのではなくして、構造を改革して、こういう情報技術であるとかデザインであるとか介護であるとか、そういう面に持っていかなきゃいけない、こう思うわけであります。設備投資などを見ましても、まさにそういう新しい分野に非常にお金が流れるような形になってきた。したがって、今度の景気回復は非常にいい形に進んでくれるんじゃないかと期待している次第でございます。
○松岡滿壽男君 私もそうなることを願っておるわけですけれども。
二階運輸大臣、この前の例の地下鉄の事故、先ほどのお話のように昨晩また一人亡くなられた、非常に残念な事態だと思います。しかし、事故当日に、入澤委員の質問に答えられて、二階さんらしくてきぱきとやっておられたということは非常にいいことだったと思うんですけれども、問題は、この大惨事が起きた後、どう対処していくのかということが大事だと思うんです。それで、あらゆる事態を想定してその危険の芽を摘んでおくことが危機管理の第一だということだし、安全輸送こそ交通機関の最大の使命だということを改めてかみしめておられると思うんです。
この事故で改めて現場のテレビを見まして、ぺろっと車体がはがれてしまっていますよね。だから、低コスト化、それからさっきのお話の続きじゃないですけれども、大量生産、大量消費のシステムの中で、いつの間にか、とにかく需要にこたえて高速化していくこと、それからやっぱり低コスト化していこうという結果がこういう現象にあらわれているんじゃないかというふうに思うんです。
脱線は想定していなかったということですけれども、実際に起きてしまっていることだし、車体がやっぱりアルミでなければあれだけの死傷者は出なかったんじゃないかという感じもするんです。それと同時に、もうちょっと重量があったらああいう車両のせり上がり脱線も防げたんじゃないか。だから、一つにはやっぱり軽量化と低コスト化というところが今度の事故につながっているという部分があるんじゃないかと思います。
それと同じことがやっぱり新幹線とかそれから自動車にも言えると思うんです。自動車は、御承知のように国産車はほとんど〇・七ミリぐらいの厚さです。ところがベンツあたりは一・二ミリぐらいでやっぱり使っているんです。だから、燃料の問題とかいろいろあるけれども、やっぱりここらは材質の問題も一度チェックしてみなきゃいかぬ。
新幹線は今三百キロで走っています、私のところは、のぞみに乗ると。昔の飛行機は二百キロですから。だから、時々恐ろしく感じますし、崩落事故が相次いでいる。そうすると、トンネルなんかもコンクリートの悪い箇所を調べると二万カ所あるわけですから。だから、むしろ鉄板で中をカバーしてしまうという方法もあろうと思うんです。だから、臨時にそういう対応をきちっとしなきゃいかぬ。
こういうことについての運輸大臣のお考えをお聞かせください。
○国務大臣(二階俊博君) ただいま御指摘の点を拝聴しながら、松岡委員は鉄鋼の面、アルミの面等についての大変見識の高い議員でございまして、一々傾聴に値するところもあるわけでありますが、これは専門的に今技術陣が総力を挙げて調査検討をいたしておりますから、その結果を待って判断をいたしたいというふうに思っております。
高速化を図る、あるいは低コストをきわめるということにつきまして、それぞれの鉄道事業者が懸命に取り組んでいることは事実でありますが、そうだからということで安全という面を絶対におろそかにしてはならないわけでありまして、この面につきましては改めて関係者に注意を喚起したところでありますが、今度の調査結果、つまり事故調査検討会において今鋭意取り組んでおりますので、その際に、委員が今御指摘のような点につきましても十分視野に入れて検討をいたしておるところであります。
そこで、今後改善が必要であるということが認められた場合に、運輸省としても、車体の強度あるいは構造等の安全対策について適切な対応を図ってまいりたいというふうに考えておる次第であります。
○松岡滿壽男君 きょうは介護保険の問題をちょっとお聞きしようと思っていたんですけれども、ちょっと話が長くなって質問の時間がなくなってきたんですが、今度の介護保険の導入というのは、今までの全国一律の福祉政策から一歩出て、自治体の独自性を生かせるという点では画期的なことだろうとは思います。しかし、それぞれ保険料については推定によってやっているわけでありまして、これが実際、保険給付費が増大して、個々の市町村の保険財政が赤字になった場合どう対応したらいいのかというところが非常にわかりにくいんですね。
きょうはそれしか質問はできませんが、お答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 御指摘の、給付費の見込みと実際が異なることによりまして市町村の介護保険財政に赤字が生じた場合も考えられないこともないわけでございます。
まず御理解をいただきたいのは、この制度は、国、都道府県の負担金、さらに現役世代、四十歳から六十四歳までの第二号保険料分、これを要するに実際にかかった費用に応じて精算をするという、いわゆる精算交付といたしております。それから、お年寄りの第一号保険料の不足分でございますが、この場合は各都道府県に設置する財政安定基金から資金の貸し付けによりまして介護保険財政の安定化を図る、こういうことでございますので、このような措置によりまして今のような対応策をとらせていただきたい、このように考えております。
○松岡滿壽男君 終わります。
○委員長(倉田寛之君) 以上で松岡滿壽男君の質疑は終了いたしました。(拍手)
─────────────
○委員長(倉田寛之君) 次に、佐藤道夫君の質疑を行います。佐藤道夫君。
○佐藤道夫君 連日の抑えのワンポイントの登板でございます。
現在、警察制度の改革が緊急の政治課題として取り上げられておりますので、私もこの件につきましてちょっとした考えを申し述べまして、官房長官と委員長の御所見をいただければと思います。
第一は、公安委員の選任方法についてであります。
現在は、事務局である警察が内閣と知事に推薦をして、大体それで一〇〇%決まっていると。知事や総理が拒否したという例はちょっと聞いたことがございません。
先日、テレビを見ておりましたら、マスコミ出身のさる公安委員が、公安委員に就任した経緯につきまして、多年の友人である後藤田正晴君の推薦による、どうだ公安委員でもやってみないかと言われて承知したということを言っておりました。これ、実は四、五年前の話で、後藤田さんは国会議員ではありましたけれどももう要職は退いておられた、しかし警察に対して限りなき力を持っておる、そういうことで、どうだと言えば大体決まる。これが常識だろうと思います。地方は地方でまたボスがおって皆決めておる。これが現実なんですね。そこで国民も、あれはおかしい、警察の言いなりになっているんじゃないか、こう疑う。
そこで私が提案したいのは、厳正公平な中立の推薦機関を設けたらどうか。これが二、三人の候補を、もちろん警察の意見も聞いてそして総理や知事に推薦を出す。そういうことはどうなんでしょうか。ちょっと御意見を承ればと思います。
○国務大臣(保利耕輔君) 国家公安委員会の委員の選任の方法についてはもう繰り返してお話を申し上げることはいたしませんけれども、御指摘の第三者機関でどうだろうという点につきまして、今ほかの行政委員会の推薦の方法とかそういうことを全部あわせて考えていかなければならないのではないかと思いますものですから、にわかに第三者機関で選任機関をつくるということがよろしいかどうか。先生の御意見も十分念頭に入れておきたいと思いますが、今後の改革は、私は現在のやり方でそうおかしくはないと思いますけれども、せっかくの御指摘でございますから頭の中によく入れさせていただきたいと思っております。
○佐藤道夫君 ほかの行政委員会と同じに考える必要はないと思います。公安委員会制度の基本的な性格を踏まえて、厳正な中立性、それから警察に対する指揮命令の監督、厳正さ、厳しさということを踏まえて一つの制度として考えていただきたいと思います。
次は、公安委員の年齢であります。
これはもう平均年齢七十ぐらいになっておる。口の悪い人に言わせると、老人サロンだとか老人ホームだとか、こうも言っております。平均年齢七十。大体、六十を過ぎてから新しい仕事を覚える、とても無理だと思います。その端的な例が新潟の公安委員長。私はもう何も知らないんだと、警察の説明を聞いても質問一つできないんだということを新聞紙上で堂々とコメントを出しておりました。そのとおりだと思いますよ、私も。
そこで、きちっと勉強をしてわかるような世代の人から選んでいく、年齢の低下、低年齢化ですね。四十、五十代の人を選んでいく。そうすると、常勤制だからと言います。そういう若い人は非常勤扱いをすればいいわけですからね、何も常勤制にこだわる必要はないのでありまして。その点はいかがでしょうか、年齢を引き下げるということ。
○国務大臣(保利耕輔君) 私は、公安委員の年齢にこだわるつもりはございません。若いお方でも豊富な経験と高い見識を有していらっしゃる方であれば、それはもうなっていただくということは結構だと思います。
なお、現在の公安委員は七十代がお二人と六十代が三人、こういう構成になっております。
○佐藤道夫君 平均年齢は六十八か九ですから、後で計算してみてください。
その次に、監察の問題。
これは公安委員会の下に下部機関でも、あるいは外部の機関を設けて監察をやらせたらどうだ、こういう意見があります。警察庁に言わせますと、外部の第三者を入れると秘密が漏れる、とてもそれはできない、こう言います。公安委員自身が外部の第三者ですから、そしてこれについては厳しい罰則を設けて秘密を漏らしてはならないということにしておるんですから、外部の第三者を受け入れることは何ら問題はないと思いますけれども、この点はいかがでしょうか、長官も含めまして。
○国務大臣(保利耕輔君) 先生御指摘のとおり、また私もそう思っておりますが、国家公安委員会はまさに警察の外部の機関でございます。ただ、事務局体制は警察がサポートしておりますので何か警察の言いなりになっているというような印象を与える場合がございますけれども、その辺はよく注意して今後の改革につなげていかなければならない、こう思っておるわけでございます。
あと、監察関係につきましては、四月一日から施行されます監察に関する規則によりまして、監察の実施状況などの公安委員会への報告が今度は義務づけられているという、そういう形をとられていくということでございます。そういうものを利用して監察体制がきちんとなるように公安委員会の中でも整理をしていきたいと思っております。
○国務大臣(青木幹雄君) 今、議員おっしゃいましたように、私も議員のおっしゃったこと、十分に考えていかなきゃいかぬと思っておりまして、そういうことも含めて、保利委員長のもとに今度こういう審議会がつくられたわけでございます。
ただ、参議院については、各種委員については原則七十歳を超えないということを私どもは今日まで原則としてきた経過がございまして、時には、四年の任期で六十八歳だ、余人をもってかえがたい、任期満了のときに七十二歳になられても仕方がない、そういう例外はありますけれども、参議院においては七十歳を超えないということを原則にして各種委員を今まで私どもは選んでおるつもりでございます。
○佐藤道夫君 今回設けられることになっている警察組織刷新会議なるものについてちょっとお尋ねいたしますけれども、メンバーを見て私は大変驚いたんですけれども、後藤田氏が八十五歳、樋口さんという方が七十四歳、それから氏家日本テレビ社長が七十三歳、一番若い中坊氏でももう七十を超えておる。一体これは何だろうかと。
二十一世紀の警察のあり方を考えるんですから、少なくとも二十一世紀の二十年、三十年は現役で活躍していけるような人を選んで、君たちの問題なんだ、もう我々の時代じゃない、考えてほしい、こういうことをできないんでしょうかね。
それからもう一つ、後藤田氏という人は実は今の制度をつくられた中の一人なんですよね。その人に今の制度の欠陥はと、こう言ったって、まあやっぱり運用が悪いぐらいかなと、そんなところでおさまってしまうおそれもあるので、できましたら彼には御遠慮を願って、もう少し若い人を、外部からきちっとした批判をできる人、新しい制度をつくり得るような人を選んではどうか、こう思いますけれども、この点はもう決まっているのかどうかわかりませんけれども、ぜひとも小渕総理に伝えていただきたいと思います。
最後に、御意見を承ります。
○国務大臣(青木幹雄君) 議員は今、小渕総理に伝えるようにということでございましたからお伝えをいたしますが、この六人の人選は内閣というよりもむしろ公安委員長が選任をされた、私はそういうふうに承知をいたしております。
○国務大臣(保利耕輔君) 公安委員会のもとにこの警察組織刷新会議という、仮称でございますけれども、発足をさせるということではございませんで、そういう方々に御参集をいただいて、経験の豊富な皆様方から今の警察のあり方について忌憚のない御意見を御披露していただこう、そういう趣旨で人選をさせていただいたということを御理解いただきたいと思います。
なお、先生が言っておられる二十一世紀のというのは、別の場ではまたいろいろお伺いをすることもできるかと思いますが、先々の警察のあり方については各界各層から意見を集めてやっていきたい、このように思っております。
○佐藤道夫君 一言だけ。
経験豊富がイコール老害だということもぜひ考えていただきたいと思います。
以上です。
○委員長(倉田寛之君) 以上で佐藤道夫君の質疑は終了いたしました。(拍手)
明日は午前十時から公聴会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後五時四十九分散会