【北京・西岡省二】北朝鮮の金正日(キムジョンイル)総書記の三男正雲(ジョンウン)氏が主導しているとされる経済再建キャンペーンが、国民を鼓舞するため、今月下旬から延長されることがわかった。北朝鮮政権に近い関係者が明らかにした。キャンペーンは年内に終了する予定で、正雲氏の誕生日である来年1月8日にキャンペーンの成果を強調し、後継移行を円滑に進めたいとの思惑があるとみられる。
現在実施中の経済再建キャンペーン「150日戦闘」については、国内の主な炭鉱の目標達成が伝えられているほか、国産ビールなどのテレビコマーシャルが放映され、商店のサービスが向上するなど、経済活動に変化が生じてきたという。
北朝鮮当局はこのキャンペーン終了後、新たに「100日戦闘」として、生産性を高める活動を展開する方針という。今月23日ごろに始め、12月31日に終了する日程という。
北朝鮮では故金日成(キムイルソン)国家主席の生誕100周年に当たる2012年に「強盛大国の大門を開く」と定め、国力を高めるよう求められている。150日戦闘は「12年構想の突破口を開くための全国規模キャンペーン」(朝鮮総連機関紙・朝鮮新報)とされ、今年4月20日から150日間、各分野で総動員運動が繰り広げられている。今月16日に終了する計算になる。
一定の数値目標を打ち出しているという観測もある。それを達成するには、崩壊寸前の国内経済の早期立て直しという難題があり、金総書記を含めた当局には「今年中に一定の成果を上げなければ12年に間に合わない」という強い危機感があるという。
経済再建キャンペーンについて、北京の外交関係者は「公式報道では『100%達成』などと打ち上げているが、実際の成果は不明だ。150日では時間が足りず、あと100日を追加して正雲氏の誕生日の1月8日まで踏ん張るということだろう」と分析する。
毎日新聞 2009年9月14日 15時00分(最終更新 9月14日 15時00分)