財源どこから?ほかの事業は?…子育て支援
新政権発足前の今月上旬、厚労省の雇用均等・児童家庭局は、民主党の事務局に対し、子ども手当関連の「12のポイント」を提出した。
同党の要請に応えて作成したもので〈1〉恒久的な財源確保の方策をどうするか〈2〉手当の目的を法案にどう明記するか〈3〉全額国費で賄う根拠をどう整理するか〈4〉支給額や対象、所得制限なしの根拠は――など法案作成の際の論点を並べたが、民主党からの打ち返しはなく、論議は進んでいない。
民主党は、新たな財源で子ども手当をスタートする考えだが、現行の児童手当の廃止に伴う、未整理の課題も浮かび上がっている。
児童手当は現在、税金である国庫負担と地方負担、事業主拠出金の一部を財源としている。一方、子ども手当は、全額税で賄う仕組みとされる。
事業主拠出金はこれまで国の「児童育成事業」にも充当され、「放課後児童クラブ」や「病児病後児保育」、「地域の子育て支援拠点(子育てひろば)」などの支援に使われてきた。こうした事業にかかわる現場からは、「拠出金がなくなって、支援が先細りになるのでは」と不安な声も漏れる。
ただ、年金問題で激しく対立してきた長妻厚労相を迎えた同省では、職員側は「指示待ち」に徹する構え。「財源の問題を整理するのは財務省なのか、国家戦略室なのかもわからない。私たちは大臣のご指示に従うのみ」と、幹部らは表情をこわばらせている。
◆完全実施には年約5・3兆円◆
子ども手当実現のためには、巨額の財源をどう確保するかが大きな課題となる。
民主党は、月2万6000円の完全実施には年約5・3兆円かかり、半額を支給する2010年度でも約2・7兆円の財源が必要と見込む。
完全実施なら防衛費(09年度当初予算で約4・8兆円)を上回るほどの規模で、財務省内でも、「財源確保は簡単ではない」との声が上がる。
財源確保のためには、鳩山内閣が行っている09年度補正予算の見直し作業で、どれくらいの財源をひねり出せるかが当面のカギになる。
また、民主党は手当の財源確保策として、所得税の配偶者控除と扶養控除を11年以降に廃止する考えを示しているが、増税になる一部世帯から反発も出そうだ。
一方、生活保護世帯に対する母子加算を今年10月頃から復活させた場合、09年度に90億円前後が必要になる。藤井財務相は「今年度予算の予備費でも対応可能」との考えを示している。
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