プロジェクト管理における品質管理という課題に対しては、計画時に、プロジェクトのすべての構成要素を階層化・詳細化した作業表「WBS」(Work Breakdown Structure)を作成するという対応をすべきである。あるいは、予算や予定という観点からプロジェクトがどのように実行されつつあるかを定量的に評価する「EVM」(Earned Value Management)などを利用することでプロジェクト管理を徹底させるという対応が求められることになる。
費用範囲が不明確であるという課題については、契約に含まれる費用範囲を明示させるという対応が必要になる。また、赤字プロジェクトが発生することが業界内ではよく言われる課題となっているが、これに対しては、原価見積もり・利益率の承認体制の厳格化、あるいは赤字が想定される場合の対応方法の確立が求められることになる。
開発会社が解決すべき課題はまだある。金額や納期が事後に確定されるという事態だ。これについて「自社での契約書のひな形を作成、締結に必要な条件を明確化するなど、きちんとした契約を結ぶことが肝要」(山田氏)となる。
契約形態についての課題では、ハードやソフト、保守の一式契約になってしまうという問題も存在する。ハードやソフト、保守はそれぞれ売上計上の時期が異なるために問題となるのである。この問題については、制作活動とそれ以外を区分することが重要だ。また、値引き時の割り振り方法を統一させることが求められる。
契約という点については、正式な契約前にプロジェクトを開始せざるを得ないという課題もよく聞かれることだ。これについては、契約締結前のプロジェクトスタートを厳格化させるとともに、社内でのプロジェクト開始の承認体制を確保することが必要となってくる。
こうした工事進行基準の影響は元請けだけではなく、下請け企業にも及ぶことになる。「元請け企業が進捗を管理する上では、下請けの進捗状況も把握しなければいけない」(山田氏)からだ。下請けが自身で進捗状況を把握する必要があるということだが、もし下請けで管理できないとなると、元請けが下請けの進捗を管理するという事態になってしまう。もしそれができないとなると、元請けの側では、工事進行基準ではなく工事完成基準で計上せざるを得なくなる。
システムやソフトを開発する側から、いわば受注側での影響を見てきたが、工事進行基準は発注する側のユーザー企業にも影響を与えることになる。工事進行基準は、ユーザー企業に(1)プロジェクトの進捗が明らかになる、(2)完成成果物の食い違いがなくなる、(3)納期が順守されやすい、(4)外注の進捗管理・品質管理が適切に行われる、(5)不測の事態が発生した場合に、組織的に取り組む体制が築かれる、(6)適正な原価に基づいて契約金額が決まる――などのメリットをもたらす。その反面、(1)進捗度合いにあわせて支払いを要求される可能性がある、(2)「とりあえずスタートする」ということができなくなる、(3)金額をプロジェクトスタート前に決める必要がある――というデメリットを受けることでもある。
メリットの方が多いことになっているが、プロジェクトを「とりあえずスタート」させることができなくなるだけに、ユーザー企業でも発注者としての責任を明確化させる必要が出てくるだろう。
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