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社保庁関連施設 整理困った 競売応札なし続出
 | 3回目の入札で、ようやく落札されたペアーレ仙台=仙台市太白区 |
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社会保険庁が年金保険料などを原資に整備した福祉施設の売却で、競売が不成立になるケースが増えている。東北の物件でも2008年秋以降、応札のないケースが目立ち、最低売却価格を下げざるを得ない事態が続出する。所有者の年金・健康保険福祉施設整理機構(RFO施設機構)が、計画通りあと1年で全施設を整理できるかどうか微妙な情勢だ。
仙台市太白区の仙台健康づくりセンター「ペアーレ仙台」が8月、3回目の入札でようやく、6億1円で落札された。
最初の入札は08年8月、再入札は今年5月に実施され、ともに応札がなく不調に。最低売却価格は2度引き下げられ、落札価格は当初の最低売却価格を約3億6000万円も割り込んだが、機構は「不動産市場の先行きが不確かな今、落札が決まっただけでもよかった」と強調する。
機構によると、08年秋以降、競売不成立の割合が上昇した。同年度上期に行った34件の入札のうち、応札がなかったのは1件だけだったが、下期は57件のうち10件で応札がなく、不成立だった。
東北6県でも08年下期以降、16件のうち7件が不成立になった。機構は原因を「年頭は全国的に不動産市況が冷え込んだため」と説明。最低売却価格を引き下げるなどの対応を迫られた。
競売に際しては地元自治体と相談するとされていたが、自治体のほとんどが「類似の公共施設は既に数多くあり、落札のメリットはない」(仙台市)などと後ろ向きだった事情も見え隠れする。
RFO施設機構法は、10年9月末に機構を解散し、資産と債務は再び国が継承すると定めており、機構はそれまでに全施設を譲渡・廃止する計画。未整理の施設は現在、都心部の大規模施設を中心に27件で、機構は「不動産市況は底を打ったとみており、計画は必ず実行する」と強気の姿勢を崩さない。
会計検査院の報告などによると、社保庁が整備した施設は466件で、土地取得費や施設整備費は計約2兆3500億円に上る。機構はうち302件について計約2016億円で譲渡を受け、今年3月までに237件を計約1330億円で売却した。これまでの売却額は譲渡額を2割程度上回っているという。
施設整備に巨額の費用を投じながら、割安で整理されていく現状を嘆く声も少なくない。落札された施設の運営責任者だった男性は「最低売却価格が下がれば物件を求める企業にとって、いい買い物になるだけ。施設売却で得をした被保険者や利用者はほとんどいないだろう」と漏らす。
2009年09月21日月曜日
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