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【ドラニュース】


竜の本性むき出せ!!

2009年9月22日 紙面から

巨人−中日 8回表1死三塁、一ゴロを処理した小笠原(左)に飛び付くようにタッチされるブランコ。奥は川相コーチ=東京ドームで(小嶋明彦撮影)

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 意地を見たかった。少なくても、首位に一泡吹かせるシーンを。21日の巨人戦(東京ドーム)。先発した山本昌は3本のアーチを浴び、打線も不完全燃焼。巨人の優勝マジックを3に減らしてしまった。一時は1ゲーム差にまで迫った8月初旬。強かったあのころの輝きを、せめてもう一度。

 ほとんど無言、うつむいた竜ナインの列が続く。決戦となるはずだった敵地3連戦が、巨人優勝間近のムードにのみ込まれようとしているかのようだ。

 山本昌の3被弾は痛かったが、ゲームの主導権を握るチャンスはあった。1点を追う3回だ。先頭・山本昌、続く井端と歩いて、荒木が送った1死二、三塁。巨人ベンチは同点やむなしと、内野手を定位置に置いた。打席の森野は1−3という絶好のカウントから打ち、二塁ゴロに倒れた。

 山本昌がホームを踏み、追いつくことはできたが、いわば巨人の注文通り。前日まで11試合、本塁打から遠ざかっているブランコは三振に倒れ、塁に残った走者がホームにたどりつくことはなかった。

 得意の一発攻勢と中4日で先発した東野の奮闘で盛り上がるスタンド。対する中日はその後も、何か気後れしたかのような淡泊な攻撃のまま終わった。

 森野は、3回を含めた4打席とも空振り、ファウルがなく、すべて二ゴロに倒れた。「(巨人が優勝に近づいているムードなど)何も感じません。(目前胴上げについて)そんなこと考えてない」。球場の雰囲気にのまれたわけではないと言う。落合監督は「何にもないよ」と、報道陣の質問をはねつけた。

 中日はずるずる巨人リーグ3連覇への引き立て役になってしまうのか。あえて声をあげたのは、川相内野守備走塁コーチだった。「周囲やファンが、元気がない、と見るならば、きっとそうなんだ」

 現役時代からペナントレースが終幕近くを迎えた時のムードを、何度も経験してきた。「きょうぐらい(の雰囲気)で、そんなこと(気後れ)を言ってたら…。こんなもんじゃないから」

 一塁ベースの脇からナインにゲキを飛ばし続ける川相コーチは「元気がないなら、カラ元気でいい。出せばいいじゃないか。勝ち負けは仕方ない。でも、全力疾走とかハッスルプレーとか、できることはやる。それが必要なんじゃないか」と続けた。

 不動のレギュラーが多く、大人を感じさせる竜ナイン。だがときには子供の荒っぽさが強みになるときもある。今、そんな本性をむき出しにするときではないだろうか。 

 (中村浩樹)

 

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