MSN Japanのニュースサイトへようこそ。ここはニュース記事全文ページです。
[PR]

【直葬 〜消える弔い〜】(上)消えてしまいたい (1/2ページ)

2009.9.22 08:41
このニュースのトピックスライフスタイル
日比谷花壇が提案する直葬プラン「おくりばなの儀」のイメージ。ごく少人数で30分ほどかけて死者に生花を供える(日比谷花壇提供)日比谷花壇が提案する直葬プラン「おくりばなの儀」のイメージ。ごく少人数で30分ほどかけて死者に生花を供える(日比谷花壇提供)

 「消えてなくなりたい」。鈴木三保子さん(74)=千葉県市川市=は、自分の死後についてそう考えている。

 「葬式も戒名もいらない。死を知らせる親族は最小限。親しい知人らには納骨後に知らせて。家は取り壊して更地にしてほしい」

 今年8月、遺言にそう書いた。7年前に母=当時(95)=を亡くしてから一人暮らし。でも旅行仲間も多いし、頼れる親戚(しんせき)もいる。孤独ではない。

 「葬式をすることで、親族や他人の時間を拘束したくない。誰にも迷惑をかけないで、消えるように死にたいの」と笑う。

 大畑枝美さん(75)=仮名、東京都北区=も、同様の遺言を2年前に書いた。30年前に離婚、一人で暮らしている。

 「死後に若い人たちに迷惑や負担をかけるのは耐えられない。自分は十分幸せに生きてきた。最期は高温で火葬してもらい、灰になって消えてしまいたい」

 世話になった人の宛名を書いた10通の封書を、遺品として本棚に用意している。

 「簡単な手紙と、再婚話があったときに撮った写真が入っているの。私の人生のベストショットよ」

 2人が火葬や遺品整理などの事務を託すのが「NPO法人りすシステム」(東京都千代田区)だ。平成5年の設立以来、約2200人と死後事務の契約をしている。多くが子供がいなかったり、子供や親族の世話になりたくないという人たち。夫婦での契約もあれば、1人での契約もある。

 杉山歩代表は、「8割が『葬式はいらない』という人」と話す。「周囲に迷惑や負担をかけたくない」「葬式に呼びたい人がいない」「何もされたくない」「肉親がいない」「寺と付き合いがない」…事情は人それぞれだ。

                   

 通夜や葬式をせず、火葬と納骨だけ。参列者はごく少数。セレモニーも簡素。

 「直葬」と呼ばれる葬送スタイルが10年ほどで急増している。統計はないが葬儀関係者らの間では、東京の都心部では2〜3割になるという話が交わされる。

 ニーズに合わせ、多くの葬儀社が「直葬プラン」を打ち出すようになったのはこの5年ほど。インターネットには、「火葬のみ」「心温まる直葬」「直葬のコツ」などの文句が並ぶ。

このニュースの写真

日比谷花壇が提案する直葬プラン「おくりばなの儀」のイメージ。ごく少人数で30分ほどかけて死者に生花を供える(日比谷花壇提供)
[PR]
[PR]
PR
PR

PR

イザ!SANSPO.COMZAKZAKFuji Sankei BusinessiSANKEI EXPRESS
Copyright 2009 The Sankei Shimbun & Sankei Digital
このページ上に表示されるニュースの見出しおよび記事内容、あるいはリンク先の記事内容は MSN およびマイクロソフトの見解を反映するものではありません。
掲載されている記事・写真などコンテンツの無断転載を禁じます。