TOPIC No.5-58 腎臓売買/臓器移植

01 臓器売買で年間70億円の米ベンチャー by講談社MOURA
02 臓器提供に対する報償制度についての考察 北口景子
03 臓 器 売 買 −インドの事例− 
04 国際移植者組織 トリオ・ジャパン
05 世界各国の移植状況が知りたい byTransplant Comunication[臓器移植の情報サイト」
06 臓器移植  YAHOOニュース
07 海外医療臓器移植支援ボランティアセンター OMTAC
08  フィリピン腎臓移植関連 by フィリピン情報館.フィリピン共和国.フィリピンマニラ空港・Hiroの独り言情報データーベース
09 〜フィリピンでの腎移植 日本人患者様の枠を年間数名程度確保しております〜
10 TOPIC No.5-14 脳死/臓器移植

17邦人が“ヤミ臓器移植” 中国の07年原則禁止後に

2009/02/07 中国新聞ニュ−ス

 中国が外国人への臓器移植を原則的に禁止した二〇〇七年以降に、少なくとも日本人十七人が腎臓や肝臓の移植を中国で受けていたことが六日、分かった。移植を仲介した大阪府の民間非営利団体(NPO)の幹部が明らかにした。

 臓器移植をめぐる各国の状況の違いや経済格差を背景にした渡航移植が国際問題となる中、規制を破った“ヤミ移植”が続いている実態が浮き彫りとなった形だ。

 幹部によると、患者は五十―六十五歳。ほとんどが腎臓移植で、一部は肝臓移植。患者は中国に二十日間ほど滞在し、広州市の病院で移植を受けた。移植一件につき八百万円程度の費用が必要で、病院や医師に支払われる手術代のほか渡航費や滞在費に充てられた。

 移植が表面化しないよう、病院側の要請で日本人患者が中国人の名前で入院するケースもあった。提供者(ドナー)の大半は脳死と判定された死刑囚とみられ、国際的な批判もあるため、北京オリンピックが開催された昨年夏以降は渡航移植は実現していないという。

 幹部は「臓器提供者には金銭を支払っておらず、臓器売買ではない。仲介の手数料も受け取っていない」と話している。

 中国政府は〇七年、国内患者の需要を優先するため、旅行名目で訪中した外国人への臓器移植を禁止する通知を出すなど規制を強化している。

臓器提供で国家管理検討 フィリピン、外国人への移植も議論

2008年08月05日 中国新聞ニュ−ス

 【マニラ5日共同】外国人への生体臓器提供禁止の行政命令を出したフィリピンで、同国保健省などが国家管理による臓器提供機関の設置の検討を5日までに始めた。外国人への移植も議論される。保健省内には「提供者(ドナー)搾取を防ぎ、患者に移植の機会を与える厳格な制度」をつくる方が、単に禁止するより現実的との意見が根強いようだ。

 国立腎臓移植研究所のエンリケ・オナ所長や保健省関係者によると、構想では各病院が行っていたドナーや患者の受付・登録をこの機関に一本化し、仲介人を排除。ドナーを厳格に審査し、フィリピン人患者を優先するなど管理を徹底する。

 保健省が3月、ルールに基づく臓器移植を目的に設置を決めた「フィリピン臓器移植ネットワーク」をさらに発展させたものになり、「売買に当たる」と批判されるドナーへの「謝礼」をどう位置付けるかが最大の焦点。医療関係者やカトリック教会、保健省・司法省の関係者らでつくる委員会で討議を進める。

臓器移植:「国内完結で」 ドナー保障も各国に要求−−国際学会宣言

2008年05月03日 毎日新聞 東京朝刊 Mainichi INTERACTIVE

 国際移植学会は2日、トルコのイスタンブールで開いた国際会議で、移植用臓器を「自給自足」することを各国に求める宣言をまとめた。さらに、生体臓器移植については、提供者(ドナー)保護のための保障制度作りを各国に呼び掛けることで合意した。

 日本移植学会によると、会議には78カ国から150人を超す専門家が参加。移植を希望する患者が国内で臓器提供を受けられるよう、脳死や心停止後のドナーを増やす取り組みをすることを各国に求めるとした。

 臓器売買や移植のために海外に行く「移植ツーリズム」などが問題になっているためで、ドナー増加のために国際協力する必要性についても言及した。

 脳死、心停止後の提供は慢性的に不足しており、世界保健機関(WHO)によると、世界で実施されている臓器移植の約半数は生体からの提供だ。中国やフィリピン、インドなどでは人道的な問題も指摘されている。

 このため、「生体ドナーはもう一人の患者だ」と位置付け、ドナー選定に必要な費用の支払いや、ドナーへの休業補償など総合的な保障制度を各国がまとめることを求めた。

 厚生労働省研究班が実施した海外渡航移植に関する報告によると、日本からの渡航移植患者は06年3月までで522人に上った。外国人への腎臓移植の全面的禁止を4月に決めたフィリピンでも、多くの日本人患者が渡っていたという。【大場あい】

臓器売買に反対の宣言 国際移植学会まとめる

2008年05月02日 中国新聞ニュ−ス

 国際移植学会と各国の関連学会が2日、人道的、国際的に問題がある臓器売買に世界的に反対していくことなどを柱とする宣言をまとめたことが、日本の関係者への連絡で分かった。

 日本移植学会など70カ国以上の専門家が参加し、トルコのイスタンブールで開かれた会合で取りまとめられた。

 宣言は、世界的な移植用の臓器不足などを背景に臓器売買などの問題が起きているとして、各国が自国で脳死や心停止した人からの臓器提供を増やすよう努めるべきだとし、そのために国際的に協力するとした。

 また、生体移植の場合はドナー(提供者)の保護を最優先し、保障制度の充実に国家的に取り組むよう求めた。

 日本移植学会の相川厚広報委員長(東邦大教授)は「宣言は国際的なコンセンサスだ。日本では臓器移植法で子どもの脳死移植が制限されており、国際移植学会などから批判される可能性もある。学会としても法改正に向けて積極的に取り組みたい」としている。

外国人の生体腎移植を禁止、臓器売買と批判 フィリピン

2008.04.30 CNN.co.jp

 マニラ──フィリピン保健省は29日、臓器売買の温床になるとして、国内において外国人に対する生体腎臓移植を禁止すると発表した。デュッケ保健相は、「常に貧しい者が虐げられる。臓器売買は倫理的にも問題で、非難するべきものだ」と、実質的な臓器売買の横行を強く批判した。

 フィリピンでは臓器売買は禁止されているが、カブラル社会福祉開発相によると昨年1年間で、少なくとも500件以上の腎臓移植手術が行われ、多くの外国人が含まれていたと述べ、外国人への移植手術を禁止することで、臓器売買の取り締まりが強化できるとしている。今後は腎臓移植手術に際して、血縁であることの証明を求めるという。

 腎臓のドナーとなるのは、主に貧しい人々。地元テレビ局によれば、スラム街の男性のほとんどが、腎臓移植の手術跡があるという。彼らは約4760ドル(約48万円)で、自らの腎臓を「売って」いる。

 カブラル社会福祉開発相は、昨年だけでマニラ近郊の村人109人が、イスラエルや中東から訪れた外国人に腎臓を売ったと述べている。

 アジアではこれまで、中国とパキスタンで腎臓移植が盛んだったが、臓器売買の懸念から取り締まりが強化され、外国人が腎移植を受ける場所がフィリピンに変わっていた。移植手術を受ける外国人の多くは日本人と、欧州や中東からの訪問者となっている。

外国人への生体腎移植、比が禁止・臓器売買批判に対応

2008/04/29 NIKKEI NeT

 【マニラ=遠西俊洋】フィリピン政府は29日、外国人への生体腎移植を禁止すると発表した。フィリピン人の貧困層が経済的理由から腎臓を売る実態について、国内外から批判が相次いだため。違反した場合、患者や医師を含む関係者は懲役20年以上の罪などに問われるとしており、死体腎と合わせ同国での外国人への移植は事実上閉ざされることになる。

 同国保健省は省令を改め、5月19日から実施する。すでに3月から、同国の臓器移植医学会が外国人への手術を無期限で停止しており、駆け込み的な措置は難しい。死体腎移植についても現行通りフィリピン人を優先するという。

 同国で腎移植手術が可能な病院は24あるが、同省は省令改正後は監視を強める考え。手術が発覚すれば関係者は臓器売買法違反に問われ、懲役20年以上と100万ペソ(約265万円)以上の罰金が科せられる。ドュッケ保健相は「アロヨ大統領の任期中(2010年6月)は新ルールが適用される」との見通しを示した。

腎臓移植:比政府禁止検討 貧困ゆえ、摘出 「臓器売れば豊かに」甘言にすがり

2008年04月28日 毎日新聞 東京夕刊 Mainichi INTERACTIVE

 事実上の臓器売買による外国人への腎臓移植が国内外の批判を浴びるフィリピン政府は、外国人への腎臓移植を禁止する方向で検討に入った。だが非人道的な臓器売買を後押しするのは、臓器を「売る」側の住民の貧しさだ。マニラ市内のスラム街に、昨年7月に腎臓をカナダ人に売ったという港湾作業員、ヤップさん(30)を訪ねた。【マニラ矢野純一】

 ◇「闇取引残るだけ」

 「制度を変えても闇取引が行われるだけだ」。ヤップさんは、当たり前だというように笑い飛ばした。「政府に監視なんてできないし、金を渡せば何でもできる国だからだ」という。

 近所に越して来たばかりの病院の清掃作業員と名乗るブローカーから、11万5000ペソ(約27万6000円)で売買を持ちかけられた。妻と4人の子供を抱え収入は1日350ペソ(約840円)。ルソン島西部アルバイ地方にある実家が売り払った農地も取り戻せるうえ、生活も豊かになると即断した。「片方だけでも生活に支障は無い」というブローカーの言葉も後押しした。

 しかし、手術後、生活はむしろ苦しくなった。息切れして、力が出なくなった。左のわき腹から背中にかけて残る30センチほどの傷跡は今も痛む。

 手術後に受け取った謝金もブローカーに手数料を差し引かれ、手取りは結局9万ペソ(約21万6000円)。実家への送金とテレビを買っただけ。「一日だけの金持ちだった」

 「私の腎臓で人の命を助けたので誇りに思っている」と自分に言い聞かせるように話したあと、「自分の子供たちには同じことはさせたくない」とポツリと漏らした。

腎臓移植:フィリピン、外国人腎移植禁止へ 「寄付で容認」批判受け、政府が検討

2008年04月28日 毎日新聞 東京夕刊 Mainichi INTERACTIVE

 【マニラ矢野純一】日本人など外国人への腎臓売買が横行してきたフィリピンで、政府が外国人への腎臓移植を全面的に禁止する方向で検討に入ったことがわかった。保健省のパディリラ次官が、毎日新聞に明らかにした。

 同省は3月、腎臓の商業的売買を禁じる一方、政府の公認機関を通せば、提供者(ドナー)に寄付金を支払う形で外国人へ移植を可能とする省令を発表。しかし国内外に外国人への移植への批判が強く、方針転換に傾いた。

 比保健省が3月に発表した省令は、新設の機関を通して移植希望者と提供希望者の受け付けを一元化し、これまで不透明だった生体腎臓移植を政府の監視下に置くもの。当事者間の直接的な金銭の授受を禁止する一方で、移植を受ける患者は腎臓財団に寄付金を支払い、財団が提供者に配分する。寄付金は支払い能力のない地元の移植希望者の手術費用などにも充てられる。

 この制度に対し国際移植学会は「貧困層の搾取につながる臓器売買だ」と警告。比腎臓学会のゴメス会長も「政府が移植ブローカーになるようなものだ」と批判し、省令の撤回を求めている。

 パディリラ次官は、政府の方針転換の理由を「(省令が)各方面から批判を受けたため」と語った。また「現在、医者など有識者で構成する諮問機関で検討中で、2カ月以内には新方針を公表する」と述べた。

 フィリピンではこれまで臓器売買を違法とする規定がなく、貧困層が現金収入を得るため腎臓を「売る」行為が広く行われてきた。年間600件以上の腎臓移植の大部分はこうした「売買」によるものとみられる。

 外国人への移植件数は明らかでないが、日本の厚生労働省研究班の06年の調査によると、海外で過去に腎臓移植を受けた日本人198人のうち、30人がフィリピンで移植されている。インドやパキスタン、中国などでも事実上の臓器売買による移植が行われてきたが、中国は昨年、臓器売買を禁じるとともに外国人への移植も禁止している。

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 ■ことば

 ◇腎臓移植

 脳死や心停止後に提供してもらう「死体腎移植」と、家族らが二つある腎臓のうち一つを提供する「生体腎移植」がある。死体腎移植の希望登録者は日本国内で約1万2000人いるが、受けられる人は年間200人程度と極めて少ない。日本移植学会によると、06年に国内で実施された腎移植のうち8割以上が生体移植。生体移植は健康な人の体にメスを入れるため、同学会の倫理指針では、提供者は配偶者を含む「親族」に限定されている。

日本人へ臓器提供、15人 比で岡山大教授が確認

2008/04/26 中国新聞ニュ−ス

 【マニラ26日共同】フィリピンで謝礼を受け取り腎臓を提供した人々の調査を進めていた粟屋剛あわや・つよし岡山大大学院教授(生命倫理学)らが二十五日、マニラのフィリピン大で腎臓提供者三百十一人から聞き取った結果を発表。十五人が日本人に提供したと答え、大半が提供は貧困に起因していると回答した。日本人が海外で謝礼を払い臓器移植を受けている実態があらためて浮き彫りになった。

 調査は二〇〇七年五月から〇八年四月にかけ、マニラ首都圏や南部ミンダナオなどで実施した。

 それによると、外国人に提供した人は百五十九人。アラブ諸国の人々へは計九十四人で、中国人へも十六人に上った。

 86%が「貧困」「経済的理由」で提供を決め、謝礼の平均額は十二万ペソ(約三十万円)。だが53%が「経済状態の向上に結び付かなかった」「状況が変わらなかった」とし、32%が医者は十分な説明をしなかったと答えた。しかし「後悔している」と答えたのは26%にとどまり「していない」の70%を大きく下回った。

 粟屋教授は「政府が貧困層への支援をしない限り、臓器売買は避けられない」と述べた。

 

臓器売買組織を初摘発=腎臓提供者に30万円−フィリピン

2008/04/23 時事ドットコム

 【マニラ23日時事】フィリピン警察当局は23日までに、違法な臓器売買を行っていた組織を摘発、同国人容疑者を人身売買禁止法違反の疑いで逮捕した。外国人への腎臓移植が認められているフィリピンでは臓器の闇売買が横行しているとされるが、実際に違法売買が摘発されたのは初めてとみられる。

 インクワイアラー紙などによれば、この容疑者はリザル州内の隠れ家に臓器提供希望者を集め、腎臓移植を希望する患者・医師側へのあっせんを行っていたとされる。警察当局はこの隠れ家を摘発し、臓器提供希望者9人を保護した。

 同紙によれば、臓器提供希望者は21歳から28歳で、いずれも貧しい地方の出身。同容疑者は腎臓提供の見返りに12万ペソ(約30万円)の支払いを約束していたとされる。

生きるために腎臓を売るフィリピンスラムの住人たち

2008年04月22日 AFP BB News発信地:マニラ/フィリピン

【4月22日 AFP】フィリピン・マニラ湾の波止場にあるスラム街バセコ(Baseco)に住む男たちは、住人としての2つの目印--ギャングであることを示す「入れ墨」または腎臓を売ったことを示す「傷あと」のいずれかを持っている。

 イメルダ・マルコス(Imelda Marcos)元大統領夫人の命によって湾からかき集めた泥で作られた52ヘクタールのゴミ捨て場は、フィリピンの絶望的な困窮状態を表わしている。

 港湾作業員やポーターになろうとフェリーで別の島々からやってきてここに住み着いた人の大半は、技術もなく、教養もないという身分から逃れることはできない。

 事態が悪化すると血液を売り、万策尽きると内臓を売ることになる。

「16万ペソ(約40万円)もらったよ。お金はずっと前になくなった。いまも貧乏だ」と、女性の顔の入れ墨を腕に彫り込んだ5児の父親、Joey Roscoさん(38)は語る。左側のあばら骨の下から腰にかけて弓なりに伸びた30センチあまりの傷が、1991年に受けた手術の唯一の証拠だ。ベニヤ板、竹、ブリキ板でできた粗末な小屋の外でAFPの取材に応じた。

 それでも健康な分、自分は幸運だという。

 腎臓を提供した近所に住む仲間の1人は合併症で7年前に死亡、別の男性は手にしたお金で買った拳銃で妊娠中の妻を誤って撃ってしまったという。

 フィリピン腎臓学会(Philippine Society of Nephrology)によると、同国は世界でも臓器取引が盛んに行われている国の1つだという。Lyn Gomez学会長は「2002年から2005年の間にフィリピン人から外国人に対して行われた腎臓移植手術件数は400を超える」とし、完全に報告していない病院もあることから、実数はずっと多いと指摘する。

 政府のRenal Disease Control Programme(腎臓病管理プログラム)によると、2006年には国内24の病院で、親族以外に対する436件の生体腎移植が行われた。また、病気を患ったドナーからの腎移植は36件行われた。

 バセコは生きたドナーが住む地域として最もよく知られており、地元政府の推計によると、住民5万人のうち3000人程度が腎臓を提供したとみられている。

■腎臓を売っても金持ちにはなれない

 ローマカトリックのフィリピン人司祭は1月、「腎臓を売ってお金持ちになった人を見たことがない」と述べ、臓器売買は貧者から搾取する「倫理的に受け入れられない」行為だと非難した。

 バセコのKristo Hispano村長は「ここでは腎臓売買は1970年代から行われている。仕事には就けないし、事業を立ち上げるためには資金がいるので腎臓を売るのだ。腎臓を元手にして財をなした人には会ったことがない」と語る。

 Roscoさんは、腎臓を売る前は定期的に血液を売っていたという。血液は首都マニラ(Manila)の血液バンクで1リットル35ペソ(約85円)で売れたという。

 フィリピンの腎臓学者らは最近、マニラ近郊の多数の町で、腎臓を売った農業従事者、三輪車運転手、教育を受けていない人、職に就いていない人など数百人を発見したという。

 中には2万ペソ(約5万円)のほか食料、薬を受け取っただけで、いかなる術後の処置も受けなかった人もいるという。また、現在、高血圧や腎不全を患っている人もいる。(c)AFP/Cecil Morella

コソボ解放軍に臓器売買疑惑、元国際法廷検察官が本出版

2008年04月15日 AFP BB News発信地:ローマ/イタリア

【AFP】国連(UN)の旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷(International Criminal Tribunal for the Former Yugoslavia、ICTY)の元検察官が最近出版した著書のなかで、コソボ紛争(1998-99)中にコソボ解放軍(Kosovo Liberation Army、KLA)の指導者らがセルビア人捕虜の臓器売買を行っていたと明らかにし、衝撃が広がっている。

 この本は同法廷の主任検察官を務めたカーラ・デルポンテ(Carla Del Ponte)氏の『The Hunt: Me and War Criminals(追跡:私と戦犯たち、イタリア語原題:La Caccia: Io e i criminali di guerra)』。クロアチア系米国人の米ニューヨーク・タイムズ(New York Times)紙記者、Chuck Sudetic氏との共著で、現在のところイタリアでのみ出版されている。

■約300人から臓器を摘出、海外に販売

 コソボ紛争に触れた「コソボ 1999-2007」の章によれば、コソボ紛争最中の1999年頃、KLAが囚人を拉致しアルバニア内の収容所に身柄を移送。そこで監禁し臓器を摘出していたという。拉致された人の中には女性やセルビア人以外のスラブ系住民もいたとしている。摘出された臓器はアルバニアの首都ティラナ(Tirana)の空港から海外の民間医院に輸送され、料金を支払った患者に移植された。

 腎臓などを摘出された捕虜らは、再び収容所などに戻されて殺害され、他の致命的な臓器を摘出されたという。こうして約300人が犠牲になったとみられる。

  2003年にICTYが現場を調査した際、「血痕(中略)注射器、外科手術に用いられた薬品の空き瓶」を発見したが、「残念ながら証拠としては不十分」だったという。

 デルポンテ氏は、KLAの中堅からトップレベルの幹部はセルビア人捕虜の臓器売買についてよく知っており、積極的に関与していたとみられるとしている。コソボの首相を務めた元KLA指導者には、ハシム・サチ(Hashim Thaci)現首相やアギム・チェク(Agim Ceku)前首相、「民族浄化」の罪に問われたものの旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷で3日に無罪を言い渡されたラムシュ・ハラディナイ(Ramush Haradinaj)元首相がいる。

■公判は公正だったのか

 デルポンテ氏はKLAによる犯罪の「目撃者に対する暴力」に繰り返し遺憾の意を表している。3日のハラディナイ氏の判決公判でも、裁判長は公判が、目撃者が身の安全を感じられるような雰囲気で行われなかったことを認めた。

 セルビアのボリス・タディッチ(Boris Tadic)大統領は、判決の直後デルポンテ氏の後任であるセルジュ・ブランメルツ(Serge Brammertz)氏を呼び、入手した同書の抜粋を手に、「ハラディナイの裁判で目撃者は証言することを恐れ、証言しないよう殺されたものもいると、カーラ・デルポンテは書いている」と延べ、ICTYの決定に抗議した。

 同書は、臓器売買の事実の情報源については明確にしておらず、「国連コソボ暫定行政ミッション(UNMIK)関係者」および「信頼できるジャーナリストたち」とのみ記している。

 スイス人弁護士のデルポンテ氏は、 2007年末の任期満了までの8年間、オランダ・ハーグ(Hague)の旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷で主任検察官を務めた。

 アルバニア人が多数を占めるコソボは2月にセルビアからの独立を宣言し、米国や欧州連合(EU)の多くの国から承認されている。(c)AFP

比、腎臓売買に歯止めのため組織新設へ

2008.03.26 MSN産経新聞

 フィリピン政府は26日までに、横行する移植目的の腎臓売買に歯止めをかけ、ルールに基づく臓器移植を実施するための組織「フィリピン臓器移植ネットワーク」を新設することを決めた。

 デュッケ保健相が署名した行政命令書によると、同ネットワークが臓器移植に関する業務全般を管理。「腎臓売買や外国への輸送を禁じる」「関係機関は政府のガイドラインに従う」としているが、詳細な規定は同ネットが協議する見通しだ。

 フィリピンでは、貧困層が金銭目当てに闇で腎臓移植のドナーとなるケースが多い。一方、移植目的で同国を訪れる外国人が高額の「代金」を支払うため、移植が必要なフィリピン人に臓器が提供されないとの問題点も指摘されている。(共同)

阪本順治監督最新作「闇の子供たち」、完成披露試写会

2008年03月24日(文化通信速報)2008年04月08日エイガドットコム

 [文化通信.com] タイを舞台に人身売買、幼児売春というショッキングな題材を描いた阪本順冶監督最新作「闇の子供たち」(製作:「闇の子供たち」製作委員会=セディックインターナショナル、ジェネオン エンタテインメント、アミューズ/制作:セディックインターナショナル)の完成披露試写会が3月21日午後、スペースFS汐留で行われ、上映前に阪本監督が舞台挨拶を行った。

 「夜を賭けて」「血と骨」などで知られる梁石日の原作「闇の子供たち」(幻冬舎文庫)は、実際にタイのアンダーグラウンドで行われている幼児売買春、人身売買の現実をえぐり出した問題作。衝撃的なテーマ、内容ゆえに映画化は不可能と思われていたが、タイでの大がかりな現地ロケによって実現した。

 タイ駐在の新聞記者・南部が、若いフリーカメラマン・与田の協力を得て、闇ルートで取引されているという臓器の密売に関する取材を開始する。しかし金のために子供の命までが容赦なく奪われるその実態は、想像を遙かに超えるおぞましきものだった。一方、理想を胸に秘めてバンコクのNGO団体に加入した音羽も、子供たちがさらわれているあまりにも悲惨な現実を目の当たりにしていく……。

 南部を江口洋介、音羽を宮崎あおい、与田を妻夫木聡が演じる他、佐藤浩市、鈴木砂羽、豊原功補、塩見三省ら日本人キャスト、プラパドン・スワンバーン、プライマー・ラッチャタらタイ人キャストが出演する。エンドロールに流れる主題歌「現代東京奇譚」は、本作の問題意識に賛同した桑田佳祐によるオリジナルナンバー。

 阪本監督は「決してタイの実情を暴く映画ではなく、日本人そのものへの興味から作った。昨年4月1日にタイでクランクインし、タイで1カ月間撮影した。その後、日本で4日間撮影してクランクアップした。映画というものは、陰や暗闇に光を当てて、そこにあるものを浮かび上がらせる役割を持つ。本作で描いた闇には、いつか光を当てなければいけないと思っていた。この闇が、戦争や紛争、地球温暖化、子供のいじめなど、世の中の全ての出来事につながっている」と語った。公開は夏休み、シネマライズにてロードショー。配給はゴー・シネマ。

インド警察、腎臓密売事件の共犯者を逮捕

2008年02月18日 AFP BB News

【2月18日 AFP】腎臓を移植用に密売していたグループを捜査していたインド警察は18日、主犯としてすでに逮捕されている容疑者の兄弟1人と、別の共犯者1人を逮捕したと発表した。このグループは違法な腎臓移植で数百万ドル(数億円)の利益を上げたとみられている。

 事件は前月、腎臓の提供をもちかけられた失業者数百人のうちの1人が、インドのニューデリー(New Delhi)近郊にある高級住宅地グルガオン(Gurgaon)で警察に訴え出て発覚した。

 国際刑事警察機構(Interpol、ICPO)の国際指名手配に基づき、ネパールで今月初旬、インド国籍の医師Amit Kumar容疑者(43)が逮捕された。さらにインド連邦警察は17日、Kumar容疑者の兄弟であるJeewan Rawat容疑者をニューデリーで逮捕した。インド中央捜査局(Central Bureau of Investigation、CBI)高官によると、同容疑者は「生命に対する罪および越境犯罪」のかどで国際指名手配されていた。 

■警察関係者も事件隠匿の見返り賄賂受け取り

 今回の事件ではニューデリー警察の関係者ら数人にも、事件を隠ぺいしようとしたKumar容疑者から賄賂を受け取った疑いがもたれている。これまでに警察幹部1人が逮捕され、そのほか6人の関係者についても現在調査中だと報じられている。賄賂の額は総額で200万ルピー(約540万円)程度とみられている。

 先に逮捕された医師のKumar容疑者について、インド国内の新聞は「ドクターホラー(恐怖の医師)」と通称をつけ報道している。Kumar容疑者は、貧しい人々数百人を脅したり騙したりして強制的に入手した腎臓を、移植を希望する裕福なインド人や外国人に販売して数億円騒動の利益を得たとみられている。武器により重傷を負わせたとして傷害、不法監禁、詐欺などの罪が問われている。

 インドでは生体腎移植は、血縁のつながる親族か配偶者が腎臓を提供した場合、あるいは腎移植を必要とする2家族同士がお互いの家族間で腎臓を提供しあう場合のみが合法と限定されている。また、移植を受ける者は全員、政府による認可を必要とする。しかし、需要と供給に大きな差がある一方で、亡くなったドナーからの提供(献腎移植)も少なく、腎臓売買が闇のビジネスとして発達する現状を生み出している。(c)AFP

最新中国臓器移植事情:「袖の下」合戦で、費用高騰

2007/11/01 大紀元

 【大紀元日本11月1日】中国の臓器移植病院が今年5月に人体臓器売買禁止法を施行したが、この半年間において、臓器の供給を控えたために価格が高騰した。移植手術jを急ぐ患者らは、「袖の下」を使うのが公然とまかり通っている。肝臓の移植手術費用は、23万人民元(約354万円)から30数万人民元(約460万円以上)に跳ね上がった。これまで短期間で入手できた肝臓も、台湾の企業経営者・楊さんは半年を待ち続けて、ようやく1ヶ月前肝臓移植ができた。

 台湾「自由時報」紙によると、今年の「袖の下」相場は、病院の主任は2500〜3000米ドル(約29〜35万円)、副主任は1千〜1500米ドル(約 12〜17万円)、当直医師および麻酔係は2千人民元(約3万円)、車椅子を押す者までにタバコなどの土産が必要だ。しかし、臓器供給が減少している現状下では、相場も変動しているという。仲介業者は「大金を惜しまないではじめて機会があるのだ」と憚らずに言っている。

 仲介業者の黄氏はブログで、中国の臓器移植病院は現在、表向きの臓器移植費用および裏の「袖の下」費用の両方を受取っていると明らかにした。臓器を早く入手したい場合は、大量の金を出すのが肝心だという。また、肝臓移植の場合は約360万円、腎臓移植の場合は約216万円の「袖の下」を追加しなければ手術が希望通りに行われないという。最近、、約1800万円を費やした患者もいたという。

 台湾大学外科リハビリ病棟主任・柯文哲氏は、少し前に台湾のある企業経営者は天津に渡り肝臓移植を行ったが、予約の順番に割り込むために約1千万円を費やしたという。年初では、360万円未満で肝臓移植が可能だったのが、人民元が強くなったために、臓器移植手術にかかる費用も値上がりした。

 中国は今年5月に人体臓器売買禁止法が公布されたが、柯氏は臓器移植の背景にあるビジネスチャンスが巨額の富を生むため、禁止することは難しいと指摘し、死刑囚の臓器の価値は少なくとも約1800万円として、年間5千〜1万人が処刑されることから、約1800億円に上るマーケットになると分析した。

 *介護用病室、22〜32万円の出費

 入院、検査などに関連する費用について、さらに驚かされるものがある。患者によると、介護用病室は1日22〜32万円が必要だという。台湾大学外科部主任の李伯皇氏は、患者が上海で2度にわたり肝臓移植を行ったが、全部で6千万円以上かかったという。

 患者および腎臓移植仲介業者によると、今年5月に中国当局が「人体臓器移植条例」を発表してから、臓器の供給源が急激に減少したため、中国に渡り臓器移植する人数が一時減少したが、最近、ようやく「回復」したという。

 一方、1ヶ月前に、台湾の長庚医院腎臓科外来診療部門に通院している尿毒症患者は、中国での腎臓移植を家族から勧められた。台湾の医師が執刀し、帰国後も執刀した医師がついているから安心だという。

 泌尿科医師の黄士維氏によると、中国の臓器移植病院では最近、台湾医師が執刀することを宣伝に使っているという。台湾中部ではこの種の団体を斡旋するところもあり、この場合の費用は約1440万円だという。

 匿名希望の腎臓科医師によると、中国で臓器移植を受ける友人(女性)に止めるように勧めたが、友人は聞き耳を持たなかった。結局、友人はC型肝炎に感染し、重い急性肝炎を引き起こしたため、腎臓を切除せざるを得なくなった。驚いたことに、友人が腎臓移植を受けた部屋は、医療設備が整っていないほど簡素だったという。

 台湾大学付属病院にいた重度の糖尿病患者・劉さんは、中国で腎臓移植手術を受けたが、傷口が癒合できず、腎臓がはっきりと見えて、尿液が湧き続けたため、助けを求めて急遽台湾に戻ったが、今年5月に合併症で亡くなったという。まだ50歳だったという。(翻訳/編集・余靜)

臓器移植斡旋、中国医師ら台湾で違法行為

2007/10/26 大紀元

 【大紀元日本10月26日】中国天津第一中央医院臓器移植センター主任・朱志軍氏は今年3月に台湾を訪れ、宿泊先の台北福華ホテルのロビーで中国へ立つ予定の肝臓移植患者のカルテ審査を行ったことがこのほど明らかになった。このことは台湾医師法および人体臓器移植条例に違反している。

 *交流という名目で術前カルテを審査

 自由時報によると、台湾人が秘密裏に中国大陸に渡り臓器移植を行うことはすでによく行われている。必ずしも思わしくない結果となった人が多くいたにもかかわらず、中国医師が台湾の患者に対して臓器移植の斡旋を行い続けているのが現状だ。

 この件に関して、大陸委員会関係者は、両岸の医療交流が、これまではずっと専門分野ということで尊重されてきたが、衛生署は海外医師が台湾到着後の日程内容を把握すべきだと指摘した。また、移民局に対して関係者の出入国資料の調査もすでに行ったと語った。衛生署医局長の薛瑞元氏は、「朱氏が衛生署に対して事前に申請せずに、無許可で医療行為を行い、秘密裏に臓器移植斡旋・売買に関与したことは、台湾医師法および人体臓器移植条例に抵触する。現在、朱氏に対する処罰は未だできないかもしれないが、事実が証明されれば、今後朱氏の台湾入りを拒否する。衛生署はさらに朱氏を招請した団体の調査をも進める」と語った。

 天津第一中央医院は別名、東方臓器移植センターで、肝臓移植におけるアジア最大臓器移植センターである。肝臓移植例は年間600〜700件に達している。同病院は、拘束された多くの法輪功学習者から生きたまま摘出された臓器を使用した疑いが非常に強いことが、法輪功(ファールンゴン)団体などの調査によって明らかにされ、

国際社会から非難の声が絶えない。

 *中国医師の訪台時、臓器移植斡旋の宴を随時開催

 中国で臓器移植手術を受けた患者の話によると、台湾患者は3月8日午後6時半ごろに福華ホテルのロビーで朱氏と待ち合わせ、全部で約20数人が現場に現れたという。同7時過ぎに付近の悦揚レストラン(今年7月に暫時的に営業中止になった)へ移動した。個室で2つのテーブルに別れ、朱氏、台湾医師2人および肝臓移植経験者が一つのテーブル、中国へ肝臓移植する予定の患者および家族がもう一つのテーブルについた。食事の合間に、朱氏は隣のテーブルへ酒を勧めたりした。また、挨拶に駆けつけた軍上層部の関係者もいたという。

 食後、一行はホテルに戻り、朱氏はロビーで患者の家族らが持参したカルテ、断面図などの資料を審査し、さらに午後10時過ぎに一部の患者を部屋へ同行させて、深夜まで資料審査を続けたという。

 患者および家族と中国の臓器移植医師と親交のある数人は、中国への肝臓移植斡旋に協力しているという。また、中国医師が台湾を訪ねる際には、必ず食事会を開き、大陸へ臓器移植を希望する患者の相談会になっているという。臓器移植仲介者・黄氏はブログで、昨年8月11日に、朱氏が台北で類似した食事会にも参加していたことを明らかにした。

 *台湾をターゲットにした臓器移植斡旋、天津医師の他多数

 嘉義泌尿科医師・黄士維氏は、実際には、広州経済技術開発区医院臓器移植血液浄化科主任・林民専氏も毎年、台湾を訪れ腎臓患者と面会していることを明らかにした。

 かつて天津第一中央病院で肝臓移植を受けた50人あまりの台湾患者は、費用全額を病院側が負担する病院主催の臓器移植・友の会座談会に招待されているという。 (翻訳/編集・余靜)

中国当局の臓器移植誓約、背景に五輪の圧力

2007/10/18 大紀元

 【大紀元日本10月18日】中国当局が今月はじめに世界医学学会と合議書を交わし、囚人あるいは他の監禁者の臓器を移植しないと約束したことについて、中華医学会の関係者はこのほど、国際社会による2008年北京五輪ボイコット運動による圧力を背景に、合議書の実効性などについて、見解を示した。

 豪州の新聞紙シドニー・モーニング・ヘラルドは今月9日、「中国当局の臓器誓約の背景に五輪ある」と題する評論を掲載した。

 半官半民の中華医学会の陳仲華・副会長が、中国の臓器移植は「国際社会の強い圧力を受けている」と認めたという。

 陳仲華・副会長は、中国紙「南華早報」の取材で、「政府が心配しているのは、臓器の不法売買への制裁を許諾しなければ、多くの国が連携して北京五輪をボイコットするのでは」と話し、今回の合議書の締結の背景を明かした。

 中華医学会は、会員の医師50万人対し、死刑囚の同意を得たとしても、その臓器の摘出・売買に参与しないよう求めている。

 前述の陳・副会長は、「政府は、今回交わした約束を実行するスケジュールをまだ作成していないが、このような約束をしたのは初めて」と評価した。

 一方、上記の中華医学会国際支部の劉志氏はシドニー・モーニング・ヘラルド紙の取材で、今回医学会が交わした約束には実質的な法的効力がないと指摘し、中国当局と医療関係者による政策制定には、多少の影響を与えるのを期待していると述べた。

 長い間、中国国内では、死刑囚の同意を得ずに任意にその臓器を摘出・売買することが、国際社会の非難を受けてきた。最近では、生きた法輪功修煉者からの臓器強制摘出の問題は、中国当局に、国際社会からの強い圧力をさらに感じさせたが、彼らは、このことを否認し続けている。上記の中華医学会の関係者・劉氏も、中国国内の臓器移植は「潔白かつ合法的である」としている。

 一方、中国では、死後の臓器提供を志願する人々の比率は極めて低い。これは、中国人の伝統観念と関連している。死後の遺体の保全は非常に重要視されている。一方、同国での臓器移植の手術の数は、記録のある臓器提供志願者(ドナー)による提供数量を大幅に超えている。

 中国国務院が5月に新しい法令を制定、すべての機構と個人がいかなる形で臓器を売買してはならないと定め、すべての移植臓器はドナーの同意を得なくてはならないと決めた。

 上述の陳・副会長は、「今年から、死刑囚からの不法臓器摘出の発生比率は明らかに下げた。親族とドナーによる提供が増えた」と述べた。

 また、メディアは、もう一種類の臓器供給源を報道している。交通事故の死者とその一部の病死患者の臓器を盗み、売買する病院が存在する、と報じられている。

 もう一つ、争議の的となっている問題は、中国での死刑執行数である。

 中国当局は去年、23年間続いた地方法院(地方裁判所に相当)の死刑判決の権利を取消、最高法院(最高裁に相当する)にしか死刑の判決を出す権利がない、と定めた。

 また、中国当局は一貫して死刑執行の正式データを公表していない。アムネスティ・インターナショナルの試算によれば、2001年には、2500人以上が死刑判決を受け、執行数は4千件を超えている。2005年には1770人以上が処刑され、全世界執行者総数の8割を占めた。同人権団体は、実際の数値はさらに高い可能性があるとしている。 (記者・林節、翻訳・叶子)

臓器売買の疑いで日本人逮捕−瀋陽市のコンサル企業

2007/10/17 中国情報局

 中国外交部の劉建超報道局長は16日午後の定例記者会見で、「人体器官移植条例」などで禁止されている臓器売買に絡んだとして、瀋陽市の日系独資コンサルタント会社代表の長瀬博之容疑者が同市当局に逮捕されたと述べた。

 劉局長によると、同社は「中国国際臓器移植支援センター」の名称を使い、インターネット上で日本人患者向けの臓器提供を呼び掛けていたという。

 中国は2006年7月、臓器売買の禁止を含む「臓器移植技術の臨床応用管理に関する暫定規則」を施行。07年5月1日施行の人体器官移植条例で改めて臓器売買を禁止。同条例は移植目的の臓器の提供は「自主」「無償」を原則とし、売買した場合には、不当な所得を没収すると共に、取引額の8−10倍の罰金を科すと定めた。また衛生部は7月、「医療機関は許可なしに外国人に対する臓器移植をしてはならない」という通達を出した。(編集担当:如月隼人)

中国臓器移植で日本人逮捕

2007.10.16 MSN産経新聞

 【北京=福島香織】中国公安省は16日、臓器売買に絡んだとして不法経営容疑でコンサルティング会社代表の日本人、長瀬博之容疑者を逮捕したと発表した。この日、外務省の劉建超報道官は定例会見で、長瀬容疑者が、2004年から「中国国際臓器移植支援センター」(本部瀋陽市)代表として、インターネット上で日本人に対し臓器売買斡旋を行っていたと説明。中国で今年制定された人体臓器移植条例に違反していたと説明。同条例に違反したとして日本人が逮捕されたのは初めて。

 長瀬容疑者は9月中旬に上海で公安当局に拘束されたており、17日に公安当局から瀋陽の日本総領事館に通報があった。

 死刑囚ドナーが容認され移植大国と呼ばれる中国ではかねてから臓器売買が横行しており、これを取り締まるために5月に初の臓器移植条例が施行されていた。外国人の中国での臓器移植は明確に禁止されているわけではないが、臓器移植手術を仲介して料金をとること自体が臓器売買にあたると規定されている。

命をつなぐ 臓器移植法10年 (4)「病気腎」「渡航」望む患者たち

2007年10月16日 読売新聞 Yomiuri On-Line

ドナー不足 現場の苦悩

 「現地の医者から『ミラクル』と言われるほど、適合した良い腎臓をもらった。今は元気そのものだ」

 今年7月、フィリピンで腎臓の移植を受けた大阪府の40歳代の会社社長は、満足そうに語り始めた。

 腎炎のため、一昨年から血液を浄化する人工透析を始めた。それでも病状は悪化し、移植を望んで今年5月、仲介業者を頼り、上海の病院に入院した。だが、中国は外国人への臓器提供の規制を強めており、断念した。

 次に渡ったのはフィリピン。病院が募った約1000人の臓器提供希望者から、適合する男性(24)がすぐ見つかった。35日間の滞在で費用は1200万円。うちいくらが臓器提供者(ドナー)に渡ったかは「知らない」という。

 渡航移植には、国内での移植待機期間が長く、「これ以上待てない」という例も少なくない。死体腎提供を待つ登録患者は約1万2000人に上るが、昨年の腎移植は、900例余の生体移植を含めても1136例にとどまる。

 厚生労働省研究班が昨年まとめた調査では、渡航して腎移植を受けた人は確認できただけで198人。うち中国が106人、フィリピンが30人だった。世界保健機関(WHO)は臓器の国内での“自給自足”を原則とし、暗に日本の現状を批判する。

 貧困者からの臓器売買が横行するフィリピンの状況を、国際移植学会は「弱い立場の人からの搾取」と糾弾している。比政府が提供者への金銭提供を公認する動きもあるが、日本の臓器移植法では海外での金品提供も犯罪だ。

 安全面の懸念もある。渡航移植を受けた人に対し、国内で移植後の管理をする病院は少ない。ある移植医は「手術記録も不明。受け入れに慎重にならざるをえない」と本音を漏らす。

 社長は問う。「では、医師自身は自分や家族に移植が必要になったらどうするのか」

 愛媛県の水産会社社長、向田陽二(むこうだようじ)さん(49)は2001年、宇和島市立宇和島病院で、いとこから提供された腎臓を移植した。万波誠医師(現宇和島徳洲会病院)の執刀だった。

 夜中に漁に出て朝戻る生活。透析に通うのは無理だった。手術以来、酒はやめたが、もらった腎臓がいつまでもつか、不安が募る。

 がんなどで摘出した腎臓を水面下で移植した万波医師らの行為を、関係学会は「医学的、倫理的検討を欠いた実験的医療だ」と指弾した。

 それでも万波医師を支援する向田さんは「移植の機会を増やしてほしい。病気腎でもいい」と主張する。

 「患者が求めれば、医師は移植をしてもよいのか」

 北海道の病院で腎移植を担当する男性医師(43)は悩む。愛媛県で臓器売買と病気腎移植が発覚した昨秋以来、移植希望者の受診が増えた。

 だが、ドナーに問題がある場合が多い。統合失調症で服薬中の人から提供を受けたいという患者、数時間の記憶しか持てない病気の人を連れてきた患者……。

 ある男性は、がんの手術を受けた身内をドナーとして連れてきた。腎臓を提供し、再発したら残った腎臓で抗がん剤治療に耐えられるか。その危険を理由に断ると、「僕らがしたいって言っているのに、なぜできないんだ」と、どなられた。

 目の前の患者は救いたいが、望ましくない移植の手助けはできない――。移植という技術のもたらす難題を日々突きつけられている。

中国当局、臓器移植で世界医学学会と合議書=疑問視される実効性

2007/10/09 大紀元
 

【大紀元日本10月9日】中国当局の衛生部(日本の厚生省に相当)幹部は10月5日、直系親族を除いて、囚人あるいは他の監禁者の臓器を移植しないとする合議書を世界医学学会と交わした。中国の死刑囚の臓器提供については、これまで、専門家などから、死刑囚の同意は強要された可能性が高いとみられており、さらに、臓器供給源が明らかにされていないことから、その実効性が疑問視されている。

 世界医学学会は昨年、臓器提供者の自由意志と、情報を知る重要性を強調するため、関連決議案を可決し、囚人とその他の監禁者は自由決定権のない環境に置かれていると定め、中国医学学会に対し、囚人の臓器提供をやめるよう要求し、国内の医師は死刑囚の臓器摘出・移植に参加しないとの約束を求めた。

 世界医学学会会長のエドワード・ヒル(Edward Hill)博士は、この問題について、中国医学学会と引き続き協議していくと示した。

 AP通信は、中国で闇臓器取引が氾濫し、全国の臓器移植の4割を占める外国人への臓器移植の主要ルートであると報じた。欧米のように数ヶ月あるいは数年間を待つ必要がなく、仲介業者が数週間以内に移植臓器を手配すると伝え、「いま、中国は米国に続き、世界第2の臓器移植大国となっている。しかし、臓器提供源の不明、移植患者の登録不備、追跡調査の混乱などの問題が国際社会に非難されている」と報じた。

 2006年11月15日、臓器移植関連の全国会議で、衛生部の黄潔夫・副部長は、中国の臓器移植医療機構の管理は混乱であると認め、国家のイメージと名誉を著しく傷つけし、患者の健康にも危害を及ぼすとし、早急に改善すべきだと発言した。

 中国当局の関係者はこれまでに、死刑囚からの臓器摘出について、矛盾した説明を繰り返してきた経緯がある。国際保健機構(WHO)のマニラでの会議で 2005年7月に、当時の衛生部の黄潔夫副部長は、中国の臓器提供者の大半は死刑囚であると認めていた。翌年3月28日、中国当局の秦剛・報道官は定例記者会見で、「中国で死刑囚が臓器移植のドナーとして使われているうわさは、真っ赤な嘘であり、中国の司法制度に対する悪意の攻撃だ」と発言した。同年9月 27日、秦剛・報道官は前回の発言を覆し、中国での死刑囚による臓器提供を認め、司法機構の審査を経て、死刑囚本人の同意を得ていると説明した。

 一方、2006年3月、中国の強制労働収容所や、軍の病院などで生きた法輪功修煉者からの臓器強制摘出・売買が進められているとの内部告発が出された。

 その後、カナダの人権弁護士デービット・マタス氏と元国会議員デービット・キルガー氏は独立調査を行い、調査報告書を公表、計30項目以上の証拠を採用し、「2000年あるいは2001年から、中国国内での臓器移植数が急激に上昇、これまでの合計で約4万1千5百件も増えた、死刑囚と親族による安定供給では説明がつかない」との調査結論を下し、生きた法輪功修煉者への臓器摘出の信憑性を示した。

 また、欧米諸国の政界関係者、人権活動家、弁護士、医療関係者が結成した「法輪功迫害真相調査連盟」(CIPFG)は、中国国内での現地独立調査を求め続けているが、中国当局に拒否されている。(記者・田清、翻訳・編集/叶子)

パキスタン:臓器移植法、腎臓売買を止められるか

2007/10/03 JANJAN

【ラホールIPS=ゾフィーン・エブラヒム、9月25日】

 9月3日パキスタンで、臓器移植を規制する大統領令が公布された。貧しい者達が臓器売買を強要されているとの異議申し立てを受け、最高裁判所が政府に対し規則制定を命じたもの。

 しかし、4年前に妻の帝王切開費用2万ルピー(366ドル)を得るために腎臓の1つを売ったシャザド・リズワンさん(30)は、「貧しいドナーと健康な腎臓が必要な金持ちがいる限り、臓器売買は続くだろう。臓器売買仲介者が、貪欲になりドナーに約束した金を払わなくなるまで、臓器売買に異議を唱える者はいなかった」と語る。

 実際、大統領令には多くの抜け穴がある。例えば、強要、脅迫を伴わない“自発的な”提供であれば、親族以外の腎臓提供を認めている。ラホール警察は5月に10の病院の摘発を行ったが、病院側は、ドナーが署名・捺印した承諾書を提示したという。

 しかし、外国人に対する臓器提供は完全に禁止された。(最近では、腎臓病の末期患者が米国、ヨーロッパ、中東産油国から多数パキスタンを訪れるようになり、約千人の外国人が移植手術を受けているという。そのうち圧倒的に多いのがサウジアラビア人だ)

 新法はこの他に、年間最低25件の臓器移植を行っている病院/機関に対し評価委員会の設立を義務づけるとしている。同委員会には、不正を監視するため2つの市民団体が参加する。また、中央レベルでは、医学会の重鎮をメンバーとする監視機関を創設し、具体的規則の決定や移植手術が可能な機関・医師の選定などを行うとしている。

 ラホール総合病院のサナウラ医師は、「国が臓器提供の法的規制を行うべきだ。そうすれば、ドナーに対する十分な補償や健康保険を確保することができ、また臓器の闇売買を一層し、ドナーにとっても患者にとっても安全な移植手術が可能になる」と語っている。“世界の腎臓”という汚名を返上すべく公布されたパキスタンの臓器移植規制大統領令について報告する。 翻訳/サマリー=山口ひろみ(Diplomatt)/IPS Japan浅霧勝浩

貧困層を狙う違法臓器売買、パキスタン政府が外国人への販売を禁止

2007年08月21日 AFP BBNEWS

【8月21日 AFP】「腎臓を1つ100万ルピー(約190万円)で売らないか」。Tariqと名乗る男から電話でそう持ち掛けられたとき、Usman Ranaさん(24)は運がまわってきたと考えた。

 警察によれば、Ranaさんは仕事を探すため、2月にラホール(Lahore)から首都イスラマバード(Islamabad)に出てきた直後にTariqから誘いを受けた。腎臓の買い手は英国から来た患者だと告げられ、パキスタンでは大金にあたる10万ルピー(約19万円)の前金を受け取った後、イスラマバード郊外の民間病院で手術を受けた。

 手術後しばらくして、残った腎臓が痛み始めた。まだ残金を受け取っていなかったため、Ranaさんは催促するとともに警察に通報。捜査の結果、巧妙な詐欺事件が発覚した。

 新聞各紙の報道によると、Ranaさんの事件に関連して医師1人と警察官1人を含む4人が身柄を拘束されて17日に裁判所に出廷、警察は残る2人の行方を追っている。うち1人は警察官だという。

 パキスタン政府によると、Ranaさんのようなケースは珍しいものではなく、「最貧層」を狙った違法臓器取引の取り締まりを目的として、前週に新法「Transplantation of Human Organs and Tissues Bill、 2007」が制定された。

 パキスタンにはこれまで、臓器移植を目的とした患者が世界各国から訪れていた。同国では提供者が現れるのを待つ必要もなく、自国に比べて臓器移植手術が格安で受けられるためだ。

 しかし、新法ではパキスタン人が外国人に臓器を販売することを禁止。また、許可なくヒトの臓器を売買した者に対し禁固10年と多額の罰金を科すよう定められている。

 腎臓の売買は増えており、パキスタン国内での売買額は年間10億ルピー(約19億円)に上るという。同国は「臓器のスーパーマーケット」として知られるようになり、「失業者が氷に包まれて目覚めると、手術跡があって臓器が盗まれたことに気づいた」といった話がまことしやかに語られていた。

 被害に遭うのは、実質的に奴隷のような状態で働かされている人々。借金を払って自由の身になりたいとの思いから臓器を売り渡すケースがほとんどだという。

 RanaさんはThe Newsの取材に対し、イスラマバードに来たときは2年間も失業していて餓死寸前の状態で、床屋で腎臓を売れば家族を養えると持ち掛けられたと打ち明けた。しかし前金の10万ルピーでさえも、手術後に病院を出る際に仲介者3人が待ち構えていて、あとで全額を払うからと言って持ち去ってしまったという。

 Dawn紙の18日の報道によると、パキスタンでは年間2000件の腎臓移植が行われ、うち500件は患者が国立病院で家族から生体腎移植を受けるケース。残る1500件が私立病院で他人の臓器を移植されるケースで、このうち約900から1000件を中東、北米、欧州、南アジアの20か国以上から来る患者が占めているという。(c)AFP/Lynne O’Donnell

腎移植で業者に1000万円 比で邦人男性手術

2007年07月13日 中国新聞ニュース

 【マニラ13日共同】業者の世話でフィリピンに渡り、提供者(ドナー)への謝礼を含む計約1000万円の費用を業者に支払って腎臓移植を受けたばかりの大阪府の自営業男性(44)が13日までに共同通信のインタビューに応じ、臓器売買ではないかとの問いに対し「ドナー支援団体にお金を入れたと考えており、売買には当たらない」と反論した。

 貧困層による臓器売却が後を絶たないフィリピンでは、政府が条件を整備して事実上臓器売買を合法化する新制度を検討中。そうした中、現地で移植を受けた日本人患者が、直後にメディアに実情を語るのは異例で、臓器売買をめぐり、あらためて議論が起きそうだ。

 男性は1年半前に慢性腎不全と診断され、仕事をしながら自宅で毎日腹膜透析をしていた。国内での移植を待てず、フィリピンでの移植支援などをうたう日本人業者に接触し、6月下旬に渡航。7月初めにマニラ近郊で片方の腎臓の移植を受けそのまま滞在している。

後絶たぬ渡航移植/足りぬ臓器、患者アジアへ

2007年07月13日 東奥日報

 臓器売買が常態化しているとされるフィリピンで、日本人男性患者(44)が謝礼を支払い、腎臓移植を受けていたことが明らかになった。「娘のことを考え、待てなかった」と男性。一方で「富める者」による臓器の買い集めだという批判も根強い。現状改善のためフィリピンは、全面禁止ではなく、一定条件下で事実上の売買公認を検討中だ。世界的な臓器不足と、売れるのは臓器だけという貧困。背景にある問題は、いずれも深刻だ。

 ▽後悔

 マニラ市バセコの男性(38)は、十七歳から五歳まで七人の子持ち。一九九〇年に日本から来た「クボタ」という男性に腎臓を提供した。貧しく、家族のためにもお金が必要だった。両親は反対したが「人助けにもなる」と説得した。手術後、手にした五万ペソ(約十三万円)でカモを買ったが、飼い方が分からず、すぐ売ってしまった。

 現在は後悔している。「働かずにお金を得たという目で見られ、恥ずかしい。疲れやすいし生活も楽にならなかった。でも、人を一人救ったのだから、神は理解してくれると思う」と話した。腎臓の“供給地”として知られるバセコでは、腎臓を売った人は数百人に上り、受け手の多くは日本人だという。だが、介在するブローカーが金を横取りし、ドナーには極めて少額しか渡らない事例も珍しくないという。

 ▽打開策

 こうした事態の打開策としてフィリピン政府が打ち出したのは、売買の禁止ではなく、ドナーへの謝礼や支援を充実させる新制度だ。

 腎臓移植を受けた外国人患者は、ドナーのフィリピン人への謝礼に当たる休業補償や約十年分の健康保険料などを、別のフィリピン人患者一人の移植手術費用とともに、政府公認の「腎臓財団」に支払う。

 「この制度なら貧しいフィリピン人患者も救える」と政府。ドナーを一括してこの基金に登録するためブローカーを排除でき、闇の腎臓売買もなくせるという。事実上の売買を公認することで「現在よりは改善させる」(フィリピンの非政府組織)考えだ。

 ▽起こるべくして

 腎臓を求めて日本人がフィリピンに渡る背景には圧倒的な臓器不足がある。腎臓移植を希望して日本臓器移植ネットワークに登録している待機患者は五月末現在で約一万二千人。二十年以上待っている人もいるが、提供数はごく限られている。

 宇和島徳洲会病院を舞台にした生体腎移植をめぐる臓器売買事件や病気腎移植も、死体腎のドナー不足が背景だ。売買事件の判決は「死体からの臓器提供の絶対数が不足し、多数の移植待機患者が存在する現状で、起こるべくして起きた事態」とまで指摘した。

 厚生労働省の研究班(主任研究者・小林英司(こばやし・えいじ)自治医大教授)が昨年まとめた報告書によると、腎臓移植を受けて国内の医療機関に通院している八千二百九十七人のうち、百九十八人(2%)が海外で移植を受けていた。

 渡航先は中国が最多で百六人、次いでフィリピンが三十人、米国二十七人など。インターネットを通じ患者や家族が自ら海外の情報を入手し、渡航移植に踏み切ったケースが少なくないらしい。

 報告書はアジア諸国への渡航移植の増加を懸念しつつ、そうした患者も「人道面から診療しないことはできず、医師も苦慮している」とした。

 臓器移植法は、臓器売買や、国の許可を得た者以外の臓器あっせんを禁じているため、海外でもそれらが確認されれば違法行為となる。だが、さまざまな関係者が絡む途上国で、金の流れを含む事実関係の解明はかなり難しいと関係者は話す。

【CRI】外国人に対する無許可臓器移植を禁止

2007/07/05 中国情報局

  中国衛生省は3日、「医療機関は許可なしに外国人に対する臓器移植をしてはならない」という通告を出した。

  この通告は「医療機関及び医療関係者は、旅行の名義で中国を訪れた外国人のために人体器官の移植をしてはならず、また、旅行の名義で国境を越えて、外国人のために臓器移植をしてはならない。移植はまず、香港、マカオ、台湾の住民を含む中国国民の需要を満すべきだ」と明確に規定している。

比で腎移植 ネット仲介 邦人男性、臓器売買あっせんか

2007年06月14日 夕刊 中日新聞

 【マニラ=青柳知敏】フィリピン・マニラ首都圏モンテンルパ市に事務所を置き、東京都出身の日本人男性(51)が代表を務める医療情報会社が、フィリピンでの腎臓移植費用をインターネットのホームページで紹介し、日本の患者と現地の病院をつなぐ事実上のあっせんをしていることが分かった。移植費用にはフィリピン人の臓器提供者(ドナー)への謝礼が含まれるといい、日本の臓器移植法が国内外で禁止する「臓器売買」に該当する恐れがある。

 代表の男性によると、同社は三月に事務所を開き、ホームページは今月十一日に開設。移植に伴う手続きなどの説明のほか、マニラ首都圏にある二つの総合病院の「移植料金」として、八万ドル(約九百七十万円)と六万五千ドル(約七百九十万円)のコースを紹介している。移植申し込みはネット経由で受け付けており、ホームページが実質的な仲介窓口になっている。

 料金には入院費と医師への報酬のほか、現地のドナー財団への手数料、フィリピン人の腎臓病患者への寄付が含まれる。同社には患者から二万ドル(約二百四十万円)が支払われ、退院後の療養費を除いた分が利益になるという。ドナーへの謝礼一万二千ドル(約百四十五万円)は財団を介し、生活支援費として支払われる。

 同社の仲介では、十一日に神戸市の男性がマニラ市内の病院で移植手術を受けた。二十一日には関西地方の四十歳代の女性と六十歳代の男性がマニラを訪れる予定で、代表者の男性は「臓器売買がいいことだとは思わないが、患者の立場に立てば助けたくなるのが当然だ」と話している。

 同社は四年前、中国に事務所を開き、上海などの三都市を拠点に約三百人の移植手術を扱った。しかし、中国政府が外国人への臓器移植を規制したことから、腎臓移植の制度化を検討しているフィリピンに進出。看護師を含む日本人スタッフ三人が常駐し、現地法人化の手続きを進めている。

 男性は海外からのネットによる仲介について「違法ではないと厚生労働省に確認した」と説明。同省臓器移植対策室は「移植のあっせんは許可制で、ネット利用の違法性については個別判断になる」としている。

 ■臓器売買の禁止 臓器移植法は11条で臓器売買、対価を伴う売買のあっせんなどのほか、売買目的の臓器摘出手術、売買された臓器の移植手術を禁じている。違反した場合、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金が科せられ(併科も可)、国外犯にも適用される。

「新制度」で邦人に初の腎臓移植=「臓器売買容認」政府案先取り−比

2007/06/11-時事通信

 【マニラ11日時事】フィリピン・マニラ市内の病院で11日、神戸市の60代の男性に対する腎臓移植手術が実施され、成功した。比政府が外国人患者への臓器売買を容認する新制度導入の検討を続ける中、今回の手術はドナー(臓器提供者)を支援する民間財団が主導。比政府の「新制度」を事実上先取りした形で日本人がフィリピンで腎臓移植を受ける初のケースとなった。

 このドナー支援財団はフィリピンの「ライフライン・ボランティア・ドナーズ財団」で、同財団のゴンザレス会長は「政府にドナー支援計画を説明し、政府も良い案だと認識している。われわれは政府に支持された財団だ」と説明した。中国で外国人の移植が禁止されたこともあり、1万人を超える腎臓移植待機者を抱える日本から患者が押し寄せるのは確実だ。

3000ドルの腎臓が8万5000ドルになる理由

2007年06月06日 WIRED VISION Scott Carney
 

インド、チェンナイ発――パキスタンのラホールにあるAadil病院は、国際標準化機構(ISO)から西洋諸国にある病院にも比肩するとのお墨付きを得ている、この地域でも最高級の医療施設だ。

 10年の順番待ち状態にある米国の腎臓移植希望者なら、この地で移植手術の予約を取り付けるために、3万5000ドル以上の費用を移植コンサルタントに支払うことも躊躇しないかもしれない。あるいは、仲介者を通さず手配を自分で行なえば、半分以下の費用ですますこともできる。

 Aadil病院では現在、腎臓移植の患者向けに、仲介者を入れる場合よりも大幅に低い価格設定の2つのパッケージを堂々と宣伝している。初めての腎臓移植の場合は1万4000ドル、最初の移植に失敗して2度目の腎臓移植を必要とする場合は1万6000ドルだ。

 「ドナーの心配は必要ない。われわれは、人道的組織を通じて生体腎の提供者を手配する。ドナーは何百人もいる」と、Aadil病院の最高経営責任者 (CEO)を務めるAbdul Waheed Sheikh氏は、電子メールによるワイアード・ニュースの取材に対して答えた。

 長い間、国際的な腎臓売買市場を活発化させてきた主な原因は、臓器不足にある。しかしインド、ブラジル、パキスタン、中国などの地域では、自分の臓器を売る人々は、供給過剰気味の市場で取引している。かつては闇市場で何万ドルもの費用がかかった手術が、その何分の1かの価格で受けられるところもある。

 臓器の売買が法的に許されているフィリピンの場合、最上の病院で施術される腎臓移植の費用でさえ、6316ドルしかかからないようになってきたと、フィリピン情報局による2005年の報告書は述べている。これに対し、西洋諸国の患者にマニラのスラム街出身のドナーを手配するプロの臓器ハンターが請求する代金は、8万5000ドルもの高額になる。

 それでも、臓器売買の合法化が、患者に対する臓器不足緩和に利することはおそらくないだろう。法律的混乱や不安、情報の不足によって、臓器ブローカーが昔ながらの利ざや稼ぎに暗躍する場が生まれ、仲介業者が手にする巨大な利益によって、市場の不均衡が助長されて改善への取り組みが阻まれていると専門家は指摘する。

 価格の低下は、連鎖構造の最末端に最も深刻な影響を与える。南アジアにおいて臓器を売ろうとする人が臓器ブローカーと取引をする場合、そもそもちゃんと支払いが受けられたとしても、価格は健康な腎臓1つにつき平均で数百ドルにすぎない。臓器の需要は急増しているにもかかわらずだ。世界保健機関(WHO)による2002年の推計によると、世界で糖尿病に苦しんでいる人の数は1億7100万人にのぼるという。2030年までには3億6600万人にまで増加する見込みだ。

 ロサンゼルスに拠点を置き、ウェブサイト『liver4you.org』でオンラインによる商売を営んでいる臓器仲介業者が、「Mitch」という呼び名以外は明かさない条件で取材に応じ、次のように語った。「個々の国、個々の地域でその状況はそれぞれまったく異なる。米国以外のほとんどの国の移植手術は、米国の民営医療機関(での場合)と同様に、それぞれの医師の裁量で行なわれるため、料金には大幅な違いがある。……フィリピンのように臓器の売買が合法でドナーになる人がたくさんいるところでは、(腎臓を売る場合)ドナーは平均3000ドル程度で我慢せざるを得ない」

 末端の値段が下がっても、安くなった分が臓器の提供を受ける患者に反映されることはまずない。街の提供者の体から離れ、医療の仕組みの流れに乗ったとたんに、臓器の価格は急上昇する。Mitch氏によると、同氏の場合は普通、腎臓移植には3万5000ドルから8万5000ドル請求するという。移植手術が行なわれる場所にもよるが、1件の移植につきMitch氏の取り分は2万5000ドル以上になることもある。

 世界中の臓器取引を監視する非営利団体Organs Watchの代表の1人であるNancy Scheper-Hughes氏は、次のように述べている。「イランが生体腎の提供を合法化したときに、腎臓の不足は実は市場の問題にすぎないのだという立場をとっていた。しかし、闇市場での腎臓取引の管理責任が政府にかかってくることになった結果、いわゆる移植コーディネーターが臓器ブローカーや腎臓ハンターになってしまった。もっと正確に言えば、路上生活者やホームレスの保護施設で、安い値段で提供するようにと買いたたく悪質業者に成り果ててしまったのだ」

 チェンナイでは、K. Karppiah氏という人物が腎臓売買におけるきわめて活動的なブローカーとして広く知られている。チェンナイの北にあるスラム街に住む、臓器の提供経験のある人々の多数が同氏の名をあげている。この件についてKarppiah氏に取材を求めたが、コメントは得られなかった。

 ある記者がKarppiah氏の家を尋ねたとき、外のアスファルトで寝ていた男性が次のように語った。「Karppiah氏のことはみんな知っている。この通りの家は全部同氏の所有だ」[日本語版:ガリレオ-向井朋子/小林理子]

<生体移植>謝礼の是非、国際学会がルール作り乗り出す

2007年05月30日 毎日新聞 YAHOO!ニュース

 世界各国の移植関係学会が加盟する「国際移植学会」が、生体臓器移植についてドナー(臓器提供者)への謝礼の是非も含めたルール作りに乗り出すことが、29日分かった。同日の日本移植学会理事会で報告された。アジア地域では、今年12月にドバイで生体移植に関する会議を開き検討を始める。脳死、心停止後の臓器提供が世界的に伸び悩み、臓器売買や渡航移植が問題となっているため、生体ドナーの確保と保護の両立を目指すという。

 WHO(世界保健機関)によると、脳死、心停止後の提供は慢性的に不足し、世界で実施されている臓器移植の約半数は生体からの提供となっている。また、先進国から途上国への渡航移植が増加。フィリピンでは生体ドナーからの腎臓移植に関し、事実上売買を公的に認める制度を検討している。

 このため、国際移植学会は生体移植に関する会議の開催を決定。同学会は現在、臓器売買を禁止しているが、今後、ドナーの人間の尊厳を侵害しない範囲での経済的支援が可能かどうかから検討し、世界の生体移植の標準化を図る方向だ。

 会議では、ドナーに経済的支援をする場合の容認される範囲などが協議のテーマとして想定されるという。また、フィリピンの新制度案のように、特定の地域でドナーに対する経済的支援を導入した場合、近隣国への影響があるかどうかも検討する。

 日本移植学会を代表して参加する小林英司・自治医科大教授は「(臓器売買が禁止されていないフィリピンなど)アジア各国の国情を考慮しなければならないが、生体移植は健康な人の体にメスを入れる行為。(ドナーへの経済的支援の導入などで)安易に拡大の方向にならないよう討議していきたい」としている。【大場あい】

臓器売買シンポジウム開催 比の合法売買案アピール

2007/05/27 The Sankei Shimbun WEB-site

 移植医療のドナー(臓器提供者)が世界的に不足し臓器売買が問題になっているなか、九州大学(福岡市)で27日、臓器売買のシンポジウムが開かれた。

 シンポジウムでは、岡山大大学院の粟屋剛教授(生命倫理学)が、フィリピンとインドの腎臓の臓器売買の実態や、死刑囚から臓器を摘出する中国の死刑囚ドナーについて、現地調査した結果を報告した。

 その中で、粟屋教授は「フィリピンとインドには貧しい人々が多く存在するから、彼らをドナーにする臓器売買が成り立つ。中国は死刑が多いので死刑囚をドナーにしている」と指摘した。

 このシンポジウムに招かれたフィリピン国立腎臓・移植研究所のエンリケ・オナ所長らアジアの移植関係者も講演を行った。

 オナ所長は現在、フィリピンで検討が進められている臓器売買を合法化して貧しいドナーを保護する新制度に関し、その正当性を訴えた。

 しかし、フィリピンで仮に臓器売買が合法化されたとしても、日本の患者がこの制度に基づいてフィリピンで臓器移植を受けた場合、臓器移植法に違反する可能性が強い。

インドで横行する臓器売買――「合法化が最善策」の声も

2007年05月23日 WIRED VISION Scott Carney
 

 インド、チェンナイ発――2007年1月に行なわれた警察の強制捜査で、人間の腎臓を売買したとして密売人3名が逮捕された。この一件で、地域の医療規制当局の不始末に注目が集まるとともに、臓器売買に関する国際的な議論が再燃している。

 タミル・ナードゥ州の各地に住む500人以上の人々が、1994年に成立した臓器移植に関する規制法に違反して、臓器ブローカーに自分の腎臓を売ったと話している。しかし規制法の成立以降も、この法律を守らせなければならないはずの行政当局は、しばしば見て見ぬふりをしてきた。

 タミル・ナードゥ州の移植承認委員会のメンバーは、匿名を条件にワイアード・ニュースの取材に回答し、次のように述べている。

 「われわれはすべて法律の条文に従って行動している。しかし、われわれが目にする文書はほとんどすべてが偽造されたものだ。このことは公然の秘密となっている。偽造された文書でも移植を認めるか、あるいは患者が死亡するかのどちらかだ」

 そもそも規制法制定のきっかけとなった搾取による本当の危険性を考えると、人道的な立場から闇での臓器売買を正当化する議論は、拡大解釈のようにも感じる。しかし、医療政策の専門家の中には、インドの公的システムが機能していない以上、何らかの形で合法化するのが最善の策だと言う人たちもいる。

 1994年に成立した規制法の下では、すべての移植は州が任命した倫理委員会が承認しなければならない。委員会は個々の移植を承認する前に、ドナーとなるすべての人たちに面接する必要がある。委員会が審査する移植申請の数は、週あたり平均20件で、そのうち15件が承認される。匿名の委員会メンバーによると、ブローカーは日常的に文書を偽造しており、見かけの上では合法的に手続きが処理されているという。

 「インドに関する限り、主要な問題はブローカーを排除することだ。つまり、政府による規制、あるいは何らかの補償政策を整備することが重要だ」と、『Transplant News』の編集長Jim Warren氏は述べている。Warren氏は、標準的な金額の対価を支払うことと、国による生涯の医療保険を提供することを提唱している。

 しかし、国が支払う金額が国際市場の水準より低ければ、こうしたシステムはうまく機能しないと、カリフォルニア大学バークレー校の医療人類学の教授で、「臓器ウォッチ」の設立時から会長を務めるNancy Scheper-Hughes氏は述べている。

 「無料のヘルスケアは名目的にはすばらしく聞こえるが、ある国が臓器売買を合法化して、外国へ出かけてでも臓器移植を受けるという国際的な市場での競争にさらされたときに問題が生じる。国が認めたシステムではそれほど金銭的な見返りを得られない場合、外国のブローカーがもう少し高い代価を提示すれば、医療サービスが得られなくてもほとんどの人は現金の方を選ぶ。けっきょく、合法化する前と同じ問題に直面することになる」と、Scheper- Hughes氏は説明する。

 タミル・ナードゥ州の当局は過去13年にわたり、違法臓器売買を非公式に認めてきたと、匿名の委員会メンバーは述べている。この人物の説明によると、非合法の臓器売買がなければ、患者は何の希望も持てなくなるという。なぜならインドでは、遺体から臓器が寄付されることは非常にまれだからだ。見返りがなければ、実質上ドナーはいなくなる。

 匿名の委員会メンバーは、ブローカーが移植承認委員会のメンバーに賄賂を渡しているということは否定した。しかし地元の警察は、タミル・ナードゥ州の臓器売買の背後に、利他的な目的以外の多くの問題があると考えている。

 「こうしたブローカーは金持ちではない」と、チェンナイの犯罪捜査部に所属するChandrabasu警視は述べている。「臓器移植の仲介でブローカーが手にする額(数千ドル)のうち、大半は賄賂に消える。けっきょく、1件の取引で稼げるのはわずかな額(300ドル)だ」

 違法行為を行なうことで、彼らは人命を救ってきたかもしれない。しかし、ブローカーたちが法の網をかいくぐって活動することを見逃したために、移植承認委員会は貧しい人々が臓器ブローカーの食い物になることを許してしまった。1994年に臓器提供の規制法が成立する以前にはびこっていたのと同じ問題がそこにある。

 2007年1月、チェンナイの北12キロメートルのところにある、津波避難民のためのキャンプで生活する貧しい女性たちのグループが、ブローカーを通じて自分の臓器を売ったことを市民集会で告白した。

 「倫理委員会を訪れたとき、私と同じようにブローカーからの指示を受けてきた4人の女性がそばに座っていた」と、Raniさんという避難民の女性はワイアード・ニュースの取材に対し語った。

 Raniさんは、移植の手配をしたブローカーが約束した3300ドルのうち、900ドルほどしか受け取っていないと言う。「私たちは1人ずつ呼ばれた。(委員会が)したことと言えば、私に腎臓を寄付する意思があるかと尋ねて、書類にサインするよう求めるだけだった。手続きはずいぶん早かった」

 実行可能な解決策が見当たらないなか、タミル・ナードゥ州の移植承認委員会は自ら対策に乗り出した。規制当局はそれぞれ、急いで対応しようとしている。

 Chandrabasu警視によると、警察は現在3名のブローカーを文書偽造容疑で拘束しているという。医療サービス部門の責任者は、52の病院が違法な臓器移植に関わっていたという報告について調査中だと述べている。

 タミル・ナードゥ州の厚生大臣は1月22日(現地時間)、州政府の倫理委員会を強化するための方策について提議した。この件について厚生大臣に問い合わせたが、回答は得られなかった。[日本語版:ガリレオ-向井朋子/福岡洋一]

比でドナー10人証言「日本人に腎臓売った」

2007年05月12日 読売新聞 Yomiuri On-Line

岡山大大学院教授が調査

 腎臓売買を事実上公認する制度を検討しているフィリピンで、同国の貧困層から少なくとも10人の日本人が腎臓を購入した疑いがあることが、粟屋剛・岡山大学大学院教授(生命倫理学)の現地調査でわかった。

 日本の臓器移植法は国内外を問わず臓器売買を禁じており、厚生労働省も、事実関係を確認する方針だ。

 粟屋教授は、今月5〜6日、マニラ首都圏の貧困地区4か所で、国立フィリピン大の教授らと共に腎臓の提供者(ドナー)72人に対する聞き取り調査を行った。その結果、提供相手の患者は72人中29人が外国人で、このうち、「患者は日本人」と証言したドナーは10人と最多だった。ドナーは謝礼名目などで金銭を受け取ったことを認めているという。提供相手の外国人患者の国籍はほかに中国、豪州など判明分だけで6か国に上った。

 腎臓提供後の健康状態については、「術後の健康診断に行った」ドナーは20人のみで、ドナーの健康管理がおろそかになっている実態も浮き彫りになった。

 フィリピンでは臓器売買の仲介者を取り締まる法律はあるが、ドナーや患者の売買関与を禁じる法律はないため、闇の売買が横行している。売買を禁じる日本の臓器移植法では、手術費に要する経費以外は対価となる可能性があり、違反した場合は500万円以下の罰金か5年以下の懲役が科される。

 粟屋教授は「最近でも日本人が渡航して移植している可能性があり、今後も継続して調査する」と話している。厚生労働省も「粟屋教授に調査内容を詳しく聞き、事実関係を把握したい」としている。

「日本人に腎臓売った」 比でドナー10人証言

2007/05/13 中国新聞ニュース

 フィリピンで謝礼を受け取って腎臓を提供した人に粟屋剛あわや・つよし岡山大大学院教授らが聞き取り調査し、回答した七十二人のうち、十人が日本人に提供したと答えたことが十二日、分かった。

 日本の臓器移植法は、国内外で臓器売買を禁止しており、厚生労働省は今後、調査内容を確認するとしている。

 粟屋教授らは五、六日の二日間、マニラ市バセコなどの貧困地区で提供者を調査。七十二人のうち二十九人はフィリピン人以外に提供したと答えた。日本人が十人で最も多く、次いで中国人が九人などだった。

 提供の謝礼は、最低が五万ペソ(約十二万五千円)、最高が二十三万ペソ(約五十七万五千円)。

 「提供を後悔している」は五十六人、「罪悪感を感じている」は四十一人いた。「提供を強制された」と感じている人も二十人おり、「健康状態が悪化した」は十四人いた。

 粟屋教授は「ブローカーが仲介しているケースが多いようだ。日本人への提供は相当いると推察される」と話している。五百人を目標に今後も調査を継続するという。

岡山大教授らがマニラで臓器売買実態調査 38人が協力、提供謝礼は「23万円」と明かす

2007年05月06日 日刊ベリタ

 【マニラ新聞特約6日】臓器売買問題に取り組んでいる岡山大学大学院医歯薬学総合研究科の粟屋剛教授は5日、フィリピン大哲学部の協力を得て、首都圏マニラ市トンド地区バセコで臓器売買の実態、売買に関する新制度案の影響について調査を開始した。呼び掛けに応じた提供者の一人で清掃業のジョベル・ポスティーニャさん(28)は、腎臓提供の謝礼金額を「9万ペソ(約23万円)」と話すとともに、「仲介業者から話を持ちかけられ、両親の事業を助けるため2002年1月に腎臓を売った。謝礼金で生活が多少楽になった」とも答えていた。

臓器ドナーを大規模調査 フィリピンで邦人教授

2007年05月05日 中国新聞ニュース

 【マニラ5日共同】外国人らへの臓器提供制度を検討しているフィリピンで、臓器売買の実態を探ろうと、岡山大大学院の医歯薬学総合研究科の粟屋剛教授(生命倫理学)が5日、マニラ市バセコの貧困地区などで臓器提供者(ドナー)の大規模聞き取り調査を始めた。約500人に実施する予定。

 結果は27日に九州大(福岡市)で開かれる臓器売買に関するシンポジウムで公表。フィリピン政府にも提供する。

 調査内容は、腎臓提供の時期や提供後の健康状態、謝礼の額、倫理観などの44項目。フィリピン大の学生約50人が協力し、バセコの集会所では、早朝から数十人のドナーが訪れた。

 1990年に日本人に腎臓を提供した男性(38)は「家族のためにお金が必要だった」と説明。5万ペソ(約12万6000円相当)をもらったがすぐに使い果たし、手術後、健康診断を受ける機会もないという。

臓器移植ビジネス根絶へ、中国が売買を厳禁

2007年04月07日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【北京=杉山祐之】中国政府は7日付の共産党機関紙・人民日報などを通じて、臓器移植にかかわる規定を定めた「人体器官移植条例」を公表した。

 3月下旬に決定された同規定は「あらゆる形式の臓器売買と関連活動」の禁止を明記し、臓器移植ビジネスの根絶を図る内容になっている。5月1日に施行される。

 規定では、臓器移植にかかる費用は、(1)手術費(2)臓器の保存、輸送費(3)薬、検査、消耗品代――に限定した。売買、関連行為があれば、地方政府がその所得を没収し、取引額の8〜10倍の罰金を徴収する。関与した医療機関の責任者は処分される。

 本人の同意のない臓器摘出、生前に摘出不同意の意思表示をしていた人の遺体からの摘出、18歳未満からの摘出については刑事責任を問うとした。

 一方、患者が移植手術を受ける順序は、「医学的な必要度に応じ、公平、公正、公開の原則を遵守する」と強調、政府が具体的方法を定めるとした。

 中国ではこれまで、日本人を含む外国人や富裕層が、仲介人や医療機関などに高額の費用を支払い、優先的に移植手術を受けるケースが多数あったとされる。

フィリピン 腎臓財団がドナー支援

2007年03月23日 読売新聞 Yomiuri On-Line

3年前から就業援助や無料健診

 【マニラ=遠藤富美子】非血縁者間の生体腎移植を巡り、臓器売買を事実上公認する新制度の導入を目指すフィリピンで、政府主導による移植と臓器提供者(ドナー)の生活支援の試みが、3年前から行われていることが明らかになった。

 比政府から要請された民間機関「腎臓財団」が、移植患者からの「寄付金」を原資にドナーを支援する仕組みで、政府は今後、闇の売買を締め出すと同時に、この支援策の全面的な制度化を目指している。

 「腎臓財団」は1974年、民間病院の腎臓治療部門として発足後、独立。患者の人工透析などを行ってきたが、闇のブローカーによるドナー搾取の根絶を狙う保健省の要請を受け、2004年に政府公認のドナー支援機関となった。患者とドナーの間で移植の仲立ちを行うが、両者の接触は禁じている。

 ドナーへの支援額は、1人当たり上限30万ペソ(1ペソ=約2・4円)。休業補償費や就業支援費、生命保険料などで、主な原資は患者からの「寄付金」だ。明確な規定はないが、外国人には1万2000ドル(約141万円)、フィリピン人には45万ペソ(約108万円)の目安を提示して徴収。3年間でドナー90人が支援を受けたという。

 マニラ首都圏ケソン市のスラム街に住むエドウィン・ソラモさん(33)は昨年11月に腎臓を提供し、財団から現金17万5000ペソを受け取った。1匹1800ペソの豚を10頭購入して近所で飼育を始めたほか、携帯電話や衣類、子どもの粉ミルクも買った。

 「豚は半年たてば、1匹3倍以上で売れる」。日雇い大工で不定期に日給300ペソをもらうより、生活は安定するという。定期無料健診も受け、ソラモさんは「健康状態も良い」と話す。財団では、社会福祉士がソラモさん宅を定期的に訪問、就業支援費が適切に使われたか、確認する。

 保健省によると、非血縁者間の生体腎移植は05年だけで462例に上るが、大部分が闇の売買とみられる。闇売買では、ブローカーから約束された提供代を全額もらえなかったり、術後の医療ケア不足から体調不良になるドナーが多い。

 一方、政府公認の移植新制度へ向けて、国の医療関係者は今月6日、「(ドナー、患者双方の)幸福、公正を考慮した臓器提供システムの整備」の必要性を明示する声明を採択。医療関係者間では現在、非血縁者間の臓器移植全般をカバーする臓器移植法案も作成中だ。

 また、財団では今月に入り、セブ支部を設立するなど活動を広げている。財団のデレオン理事は「臓器提供は高潔な行為。闇の売買のイメージを払拭(ふっしょく)したい」と話す。

 ただ、一部には、金銭支援がドナーに有益なのか、疑問を投げかける声も残っている。ある医療関係者は「金銭支援は一時しのぎにすぎず、根本的なドナーの貧困解決につながらない」と話している。

フィリピン人腎臓ドナーへの「謝礼」に賛否 比保健省

2007/02/11 The Sankei Shimbun WEB-site

 外国人患者に腎臓を提供するフィリピン人ドナー(臓器提供者)を「謝礼」名目の金銭で支援する新制度の導入を検討しているフィリピン保健省は10日、マニラ首都圏でシンポジウムを開いた。日本や英国、フィリピンの医療関係者ら約200人が、新制度の法や倫理について賛否両論の立場から意見交換した。

 同省は年内に制度導入のための法案を提出したい考えだが、国会議員の一部は「フィリピンを裕福な外国人の臓器供給地にする行為だ」と強く反対している。(マニラ 共同)

比保健省 腎臓売買公認へ公聴会

2007年02月11日 読売新聞 Yomiuri On-Line

提供者に報奨認める方針

 【マニラ=遠藤富美子】生体腎移植の事実上の臓器売買を公認する新制度導入を目指すフィリピン保健省は10日、マニラ首都圏で公聴会を開催し、関係者の意見を聴取した。

 会議では渡航移植する外国人患者の受け入れについて、具体案は協議されなかったものの、腎提供者に一定の報奨を認める方向で最終調整に入ることが確認された。同保健省は、今後、公聴会を踏まえ、新制度の裏付けとなる法律の制定を検討する。

 新制度の骨子は、外国人患者に〈1〉腎臓提供者(ドナー)への生活支援費〈2〉別のフィリピン人患者の移植手術代――を支払わせるというもの。公聴会には医療関係者ら約200人が出席し、非血縁者間の生体腎移植について、倫理・法学的な観点から意見が交わされた。臓器売買を巡っては、「法に反しない限り、臓器売買は患者・ドナー双方に有益」(英国の生命倫理学者)という売買容認派の発言が目立ったのに対し、一部の出席者から「神から与えられた身体の一部を売買する行為は許し難い」(フィリピンのカトリック神父)と強い反発も出た。

 公聴会はこの日で終了。最後に、政府方針を示す声明案が提示され、「国及び社会は、フィリピン国民に対し、臓器の提供及び『報奨』『感謝の贈り物』を社会から受けとることを容認する」との文言が盛り込まれた。同保健省は、3月に声明案を採択し、新制度導入に向け動き出したい考えだ。

「腎臓売買」認める方針を確認…比保健省が公聴会

2007年02月10日 読売新聞 Yomiuri On-Line/center>

 【マニラ=遠藤富美子】生体腎移植の事実上の売買を公認する新制度導入を目指すフィリピン保健省は10日、マニラ首都圏で公聴会を開催し、関係者の意見を聴取した。

 会議では渡航移植する外国人患者の受け入れについて、具体案は協議されなかったものの、腎提供者に一定の報奨を認める方向で最終調整に入ることが確認された。

 同保健省は、今後、公聴会を踏まえ、新制度の裏付けとなる法律の制定を検討する。

 新制度の骨子は、外国人患者に<1>腎臓提供者(ドナー)への生活支援費<2>別のフィリピン人患者の移植手術代――を支払わせるというもの。

 公聴会には医療関係者ら約200人が出席し、非血縁者間の生体腎移植について、倫理・法学的な観点から意見が交わされた。臓器売買を巡っては、「法に反しない限り、臓器売買は患者・ドナー双方に有益」(英国の生命倫理学者)という売買容認派の発言が目立ったのに対し、一部の出席者から「神から与えられた身体の一部を売買する行為は許し難い」(フィリピンのカトリック神父)と強い反発も出た。

 公聴会はこの日で終了、最後に、政府方針の声明案が提示され、「国及び社会は、フィリピン国民に対し、臓器の提供及び『報奨』『感謝の贈り物』を社会から受けとることを容認する」との文言が盛り込まれた。同保健省は、3月に声明案を採択し、新制度導入に向け動き出したい考えだ。

 会合は開催直前、「メディアの混乱を避けるため」(政府筋)、非公開と決められたが、当日になり急きょ公開された。

比の腎臓売買公認制度案、公聴会を非公開に

2007年02月07日 読売新聞 Yomiuri On-Line/center>

 【マニラ=遠藤富美子】腎臓売買の事実上の公認に向けた新制度案を検討しているフィリピン政府は7日、10日に予定する「公聴会」を非公開にすることを決めた。

 「公聴会」は当初、公開で行われることになっていた。政府筋は変更の理由について、「メディアの殺到を避けるため」としており、新制度をめぐって国内で賛否両派の間で緊張が高まっていることを示唆した。

 今回の制度案は、外国人患者が、〈1〉腎臓提供者(ドナー)への生活支援費〈2〉別のフィリピン人患者1人の移植代――を支払う内容。先週、新制度の概要が明るみに出て以後、内外の関心が高まっており、政府筋は「現状で一般公開の公聴会を開けば、議論が混乱する可能性がある」と語った。

 新制度案の賛成派は、一刻も早い腎臓移植を望む多くの外国人、フィリピン人患者。10日に議論される制度案のもともとの発案者である医療観光会社「コンシェルジェ・メディカル・ホリデイズ」のイメルダ・ニコラス専務は「外国人とフィリピン人双方に有益な制度」とし、「闇取引を一掃して透明化を図る狙い」と強調する。

 一方、移植医療関係者は、新制度で外国人患者がフィリピンに殺到するのを懸念。病院関係者は、「新制度が実施されれば、国内のドナー不足に拍車をかけるだけ」と述べた

比の腎臓提供新制度 官房長官「法に抵触も」

2007年02月06日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 塩崎官房長官は5日の記者会見で、フィリピン政府が腎臓移植を希望する外国人患者に対し、一定の条件を満たせば腎臓提供を認める新制度を導入する方針を固めたことに関連して、「わが国の臓器移植法で臓器売買は禁止されている。臓器売買に該当することがあれば違法になる」と述べ、この制度を日本人が利用した場合、臓器移植法に抵触する可能性があるとの認識を示した。

 新制度案は、外国人患者に〈1〉腎臓提供者(ドナー)への生活支援費〈2〉別のフィリピン人患者1人分の移植手術代――を支払わせるのが骨子となっている。

比の腎臓提供新制度、官房長官「日本の法に抵触も」

2007年02月05日 読売新聞Yomiuri On-Line

 塩崎官房長官は5日の記者会見で、フィリピン政府が腎臓移植を希望する外国人患者に対し、一定の条件を満たせば腎臓提供を認める新制度を導入する方針を固めたことに関連して、「わが国の臓器移植法で臓器売買は禁止されている。臓器売買に該当することがあれば違法になる」と述べ、この制度を日本人が利用した場合、臓器移植法に抵触する可能性があるとの認識を示した。

 新制度案は、外国人患者に〈1〉腎臓提供者(ドナー)への生活支援費〈2〉別のフィリピン人患者1人分の移植手術代――を支払わせるのが骨子となっている。

日本人男性が体験告白 フィリピンで命もらった

2007/02/05 東京新聞

 遅々として進まぬ日本の臓器移植。その現状を前に、海外に可能性を探す患者も少なくない。熊本県八代市の会社員稲葉洋一さん(39)は、悪質な仲介業者にだまされるなどの経験を乗り越えて、フィリピンに独力でルートを拓(ひら)き、二度の移植手術を受けた。稲葉さんが見たフィリピンの臓器移植の実情は。 (片山夏子)

 「ユーリネイション(排尿できたよ)」。フィリピン・マニラ市のマグサイサイ記念病院で、稲葉さんは看護師の女性の優しい声で目を覚ました。看護師が指さした袋の中に、何年も出なかった尿が見えた。初めは醤油(しょうゆ)のような色だったが、しばらくすると透明に変わっていった。「グッド」と言われて、思わず笑みがこぼれた。にやにやしてしまうのが抑えられなくて、布団をかぶって笑った。

 稲葉さんがフィリピンで念願の腎移植を受けたのは一九九七年十月十五日。日本で臓器移植法が施行される前日だった。

 小学校五年の時に尿検査で腎臓病が発覚。以後、塩分を控えるなど厳しい食事制限が始まった。大学では就職で健康をアピールするため自転車で日本縦断もした。ゲームメーカーを経て、ぬいぐるみデザイナーとして独立。だが九五年一月、高熱で病院に行くと「慢性腎不全です。すぐに透析を始めましょう」と宣告された。二十七歳だった。

 仕事で中国など海外へ行き来していた。だが、透析をしながらでは仕事が続かず、実家に戻った。当初は腹膜透析を選択。六時間ごとに自分で透析していたが、腹膜がだんだん厚くなると老廃物をろ過する効率が悪化する。一年半後には血液透析を始めた。

 週三回、毎回五時間。水分は一日六百ccまで。「血中のクレアチニンの値が高くなり、死ぬほどのどが渇く。レストレス・レッグス・シンドロームという症状になり、体の骨の髄からいてもたってもいられないほどかゆくなる。真っ赤になるまでたたいたり、足をばたばたしたり。眠れなくなった」と稲葉さん。

■家族は不適合 あきらめも…

 医者に「移植しかない」と宣告されたが、家族で適合者はいなかった。日本臓器移植ネットワークに登録しつつ、「当たるのは、宝くじより難しいと言われ、助からないとあきらめかけていた」。

 一九九六年十一月。新聞で「フィリピンでの腎臓移植を無償で!」という広告を目にし、すぐに大阪の連絡先に向かった。「無償分は決まってしまったが移植はできる」と雑居ビルで仲介業者の男に説明された。費用は総額千八百五十万円と言われた。「必死だった。親せき中を駆け回り費用を工面した」。翌年二月に男とフィリピンへ。手術をするという女医に会った。

 ところが、四月に手術をしに現地に行くと仲介業者がいない。帰国後、連絡をとっても「医者の都合が合わない」「ドナーが見つからない」と何度も逃げられた。おかしいという懸念が決定的になったのは八月。事務所は閉まり、男の行方が分からなくなった。

 警察に被害届を出す一方で、フィリピンで会った通訳や移植手術を受けたという牧師に連絡を取り、独力で移植手術を受けられないか相談。再び六百万円の費用をかき集めて、九月にマニラに。牧師に医師やドナー探しを手伝ってもらい、十月に手術にこぎ着けた。

■腎臓提供者に 70万円の謝礼

 ドナーは二十九歳男性。売血に来たところで牧師が臓器提供を打診すると応じたという。謝礼は三十五万ペソ(約七十万円)だった。

 「移植後、好きだったカヌーを再開した。階段を上がるのも苦しかったのに、うれしくて駆け上がった」と稲葉さんは振り返る。

 フィリピンで臓器移植手術を受ける人は年間六百人とも七百人ともいわれる。臓器売買を禁じる法律はない。保健省の臓器移植ガイドラインでは、臓器売買を認めていないが法的には拘束力がなく、貧困層や受刑者が臓器を売る。

 「一回腎臓を売れば、小さな雑貨店が開けるぐらいの費用が手に入る。なぜ売ってはいけないのだという発想だ」と稲葉さん。

 フィリピンでの移植に詳しいジャーナリストの今西憲之氏も「ドナーのあてがない患者が病院の窓口に行くと、表向きは医師やそのチームが仲介者を紹介してくれることはない。でも、何となく探す方法が分かるように教えてくれるようだ」。ドナー希望者は売血の場所や病院の周りにたむろしている。「例えばタクシー乗り場などで声を掛けておくと、口コミで情報が広がりドナーがすぐに見つかる」という。ただ、適合するかは検査をしないと分からないため、その時間と費用が必要になる。

 交通事故などで人が病院で亡くなったときにも、移植医に連絡が入る。稲葉さんは移植した腎臓の調子が悪くなり、三年前にフィリピンで再移植。この時は交通事故で亡くなった人から提供を受けた。

 フィリピンでは、移植専門医が自分のチームを持って、病院などに事務所や窓口を持ち、検査、手術、術後管理までを行う。手術に掛かる費用は選ぶ病院や医師によって違うが、稲葉さんが二度目に受けた時の場合、病院に約百六十万−百八十万円。主治医に約二百万円。このほか検査や手術代、内科医や看護師などスタッフへの費用など総額で約七百万円掛かった。「医師によっては一千万円以上もかかる。金の切れ目は縁の切れ目の国。少ない費用で安全にやることは難しい」と稲葉さん。

 移植医の腕はどうか。稲葉さんは「マルコス大統領が何度か手術を受けていることもあり、移植医療は進んでいるようだ」と話す。

 「ほとんどの移植医が米国に留学して学んでいる。年間数十例もの手術をこなす腕のいい移植専門医が十−十五人いて、手術あとも小さくきれい。近隣諸国からも医師が勉強しにきているようだ」と今西氏もみる。病院ごとに倫理委員会があるが、「結局は医師の判断がものをいう」とも。

 怪しいブローカーが暗躍していないのか。稲葉さんは仲介してくれた牧師に約十五万円を払った。「二度目の時は奥さんが手伝ってくれたが、彼女もふだんは保険外交員で仲介業者ではない」。だが、現地では法外な金額を要求するブローカーの話を耳にした。実際に仲介業者を名乗る日本人に声を掛けられた。

 従来、日本人の腎臓病患者にとって、海外で移植手術を受ける可能性を探れる国は、米国、中国、フィリピンなどといわれてきた。

■米は費用高額 中国にも批判

 しかし米国では極めて高額な費用が必要。中国政府は、死刑囚の臓器利用を世界保健機関(WHO)が「非人道的である」と批判したことを受けて、外国人への臓器提供に消極的な姿勢を見せ始めた。このため近年、フィリピンに注目が集まっているといわれる。

 しかし今も毎年、フィリピンに診察を受けに行く稲葉さんは「まだ日本人が殺到しているという話を聞いたことはない。フィリピン人の妻や夫がいる人、日本で働くフィリピン人から紹介を受けた人などがきているだけ」という。

 日本の厚生労働省は、海外での臓器移植に倫理面で懸念を示しており、情報の不足が歯止めとなっている。

 しかし、稲葉さんは、こう話す。「本当は国内で手術を受けたい。だが、国内でドナーが見つからない現状では海外に助けを求めに行くしかない。フィリピンの人に無理に臓器を提供させているわけではない。(フィリピン政府は)臓器取引を法で認めることも検討しているようだが、すべて闇で取引されるよりいいかもしれない」

<デスクメモ> 臓器売買の裏側には貧困や犯罪があり、容認はできない。ただし国内で絶望的な移植待ちをする患者に「海外でも処罰の対象になる」などと脅すのは、「飢えてもヤミ米に手を出すな」というのと同じだろう。大切なのは国内でドナーカードの普及率を上げ、死体腎の提供数を増やすことだ。積極的な政策を。(充)

腎臓売買、比が公認へ…外国人患者対象

2007年02月02日 読売新聞 Yomiuri On-Line

年内導入目指す、闇取引に歯止め

 【マニラ=遠藤富美子】フィリピン政府は、腎臓移植を希望する外国人患者に対し、一定の条件を満たせば腎臓提供を認める新制度を導入する方針を固めた。

 闇で横行する臓器の国際取引を事実上公認するもので、10日に保健省が公聴会を開いて各界の意見をくみ上げた上で、今年中の制度実施を目指す。外国人を対象とする政府公認の臓器売買は世界に類例がなく、実際に制度運用が始まれば移植待機者が1万人を超す日本から患者が殺到することも予想される。

ドナー支援など費用600万円

 新しい生体腎移植制度案は、外国人患者に〈1〉腎臓提供者(ドナー)への生活支援費〈2〉別のフィリピン人患者1人分の移植手術代――を支払わせるのが骨子。ドナー生活支援費などが1万2000ドル(約144万円)、フィリピン人患者の移植代が円換算で96万〜120万円相当とされ、外国人患者の手術・入院代とあわせ、外国人患者は総額5万ドル(約600万円)を支払うことになる。仕組み全体は政府が管理し、ドナーは民間のドナー支援団体「腎臓財団」を通じて生活支援を受ける。

 保健省のジェイド・デルムンド次官は本紙の取材に「新制度導入で闇の売買横行の余地は消え、ドナーは搾取されずに、恩恵を受けられる。臓器売買ではない」と述べ、新制度の狙いが闇取引撲滅と比国民の保護にあることを強調した。

 フィリピンの人身売買禁止法は、臓器売買を禁じているが、昨年は仲介業者1人が同法違反で逮捕されただけ。世界各地の深刻なドナー不足を背景に、闇の腎臓売買が貧困地区ではびこっているのが実態で、犯罪組織介在も指摘される。

 比保健省はまた、「外国人の移植数は移植総数(2005年には630件)の10%」という上限を設けているが、実際には国内患者より高い「外国人価格」目当てに上限に違反する施設も多く、移植総数の3割程度が中東出身者を中心とした外国人と見られる。

 ただ、国による臓器売買の実質公認となる制度については「先進国による搾取」との反対論も根強く、内外の反応次第では見直しを迫られる可能性もある。

[解説]日本人、国内法抵触か

 フィリピンの新制度が導入されると、日本の移植医療に大きな影響を及ぼす。まず、日本人が移植を受けた場合、国内の臓器移植法に違反しかねない。腎臓提供者が受け取る金銭の詳細は未定だが、医療費以外の生活支援が含まれるとしたら報酬と見なされる。これは国内外に関係なく、売買を伴う臓器提供を禁じる同法に抵触する可能性が高い。

 また、大挙して日本人が渡航した場合、国際的な批判もでるだろう。

 しかし、移植を長期間待つ患者も放置できない。臓器提供の拡大を図る臓器移植法改正案は、審議が進まず、患者団体の不満も高まっている。「金で臓器を買う民族」というレッテルが張られる前に、臓器不足解消に早急に取り組まなくてはならない。(科学部 高田真之)

比が腎臓売買を公認へ、闇取引対策で年内導入目指す

2007年02月02日 読売新聞Yomiuri On-Line

 【マニラ=遠藤富美子】フィリピン政府は、腎臓移植を希望する外国人患者に対し、一定の条件を満たせば腎臓提供を認める新制度を導入する方針を固めた。

 闇で横行する臓器の国際取引を事実上公認するもので、10日に保健省が公聴会を開いて各界の意見をくみ上げた上で、今年中の制度実施を目指す。外国人を対象とする政府公認の臓器売買は世界に類例がなく、実際に制度運用が始まれば移植待機者が1万人を超す日本から患者が殺到することも予想される。

 新しい生体腎移植制度案は、外国人患者に〈1〉腎臓提供者(ドナー)への生活支援費〈2〉別のフィリピン人患者1人分の移植手術代――を支払わせるのが骨子。ドナー生活支援費などが1万2000ドル(約144万円)、フィリピン人患者の移植代が円換算で96万〜120万円相当とされ、外国人患者の手術・入院代とあわせ、外国人患者は総額5万ドル(約600万円)を支払うことになる。仕組み全体は政府が管理し、ドナーは民間のドナー支援団体「腎臓財団」を通じて生活支援を受ける。

 保健省のジェイド・デルムンド次官は本紙の取材に「新制度導入で闇の売買横行の余地は消え、ドナーは搾取されずに、恩恵を受けられる。臓器売買ではない」と述べ、新制度の狙いが闇取引撲滅と比国民の保護にあることを強調した。

 フィリピンの人身売買禁止法は、臓器売買を禁じているが、昨年は仲介業者1人が同法違反で逮捕されただけ。世界各地の深刻なドナー不足を背景に、闇の腎臓売買が貧困地区ではびこっているのが実態で、犯罪組織介在も指摘される。

 比保健省はまた、「外国人の移植数は移植総数(2005年には630件)の10%」という上限を設けているが、実際には国内患者より高い「外国人価格」目当てに上限に違反する施設も多く、移植総数の3割程度が中東出身者を中心とした外国人と見られる。

 ただ、国による臓器売買の実質公認となる制度については「先進国による搾取」との反対論も根強く、内外の反応次第では見直しを迫られる可能性もある。

腎臓売買、比が公認へ…外国人患者対象

2007年02月02日 読売新聞Yomiuri On-Line

年内導入目指す、闇取引に歯止め

 【マニラ=遠藤富美子】フィリピン政府は、腎臓移植を希望する外国人患者に対し、一定の条件を満たせば腎臓提供を認める新制度を導入する方針を固めた。

 闇で横行する臓器の国際取引を事実上公認するもので、10日に保健省が公聴会を開いて各界の意見をくみ上げた上で、今年中の制度実施を目指す。外国人を対象とする政府公認の臓器売買は世界に類例がなく、実際に制度運用が始まれば移植待機者が1万人を超す日本から患者が殺到することも予想される。

ドナー支援など費用600万円

 新しい生体腎移植制度案は、外国人患者に〈1〉腎臓提供者(ドナー)への生活支援費〈2〉別のフィリピン人患者1人分の移植手術代――を支払わせるのが骨子。ドナー生活支援費などが1万2000ドル(約144万円)、フィリピン人患者の移植代が円換算で96万〜120万円相当とされ、外国人患者の手術・入院代とあわせ、外国人患者は総額5万ドル(約600万円)を支払うことになる。仕組み全体は政府が管理し、ドナーは民間のドナー支援団体「腎臓財団」を通じて生活支援を受ける。

 保健省のジェイド・デルムンド次官は本紙の取材に「新制度導入で闇の売買横行の余地は消え、ドナーは搾取されずに、恩恵を受けられる。臓器売買ではない」と述べ、新制度の狙いが闇取引撲滅と比国民の保護にあることを強調した。

 フィリピンの人身売買禁止法は、臓器売買を禁じているが、昨年は仲介業者1人が同法違反で逮捕されただけ。世界各地の深刻なドナー不足を背景に、闇の腎臓売買が貧困地区ではびこっているのが実態で、犯罪組織介在も指摘される。

 比保健省はまた、「外国人の移植数は移植総数(2005年には630件)の10%」という上限を設けているが、実際には国内患者より高い「外国人価格」目当てに上限に違反する施設も多く、移植総数の3割程度が中東出身者を中心とした外国人と見られる。

 ただ、国による臓器売買の実質公認となる制度については「先進国による搾取」との反対論も根強く、内外の反応次第では見直しを迫られる可能性もある。

[解説]日本人、国内法抵触か

 フィリピンの新制度が導入されると、日本の移植医療に大きな影響を及ぼす。まず、日本人が移植を受けた場合、国内の臓器移植法に違反しかねない。腎臓提供者が受け取る金銭の詳細は未定だが、医療費以外の生活支援が含まれるとしたら報酬と見なされる。これは国内外に関係なく、売買を伴う臓器提供を禁じる同法に抵触する可能性が高い。

 また、大挙して日本人が渡航した場合、国際的な批判もでるだろう。

 しかし、移植を長期間待つ患者も放置できない。臓器提供の拡大を図る臓器移植法改正案は、審議が進まず、患者団体の不満も高まっている。「金で臓器を買う民族」というレッテルが張られる前に、臓器不足解消に早急に取り組まなくてはならない。(科学部 高田真之)

比が腎臓売買公認へ、「倫理」「安全」懸念の声

2007年02月02日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 フィリピン政府が移植を前提とした腎臓売買の事実上の公認に向け動き出した。背景には、同国の貧困と絡んだ闇での臓器売買があるが、法律面、倫理面でも課題は多く、日本でも論議を呼びそうだ。(マニラ 遠藤富美子、科学部 高田真之)

スラム街…貧しくて売るしかなかった

 マニラ港近くのバセコ地区は、小さい木造小屋が並ぶ典型的なスラム街だ。

 「貧乏で腎臓提供するしかなかった。泥棒にはなりたくなかった」

 港湾労働者の男(37)は昨年9月にブローカーを介して腎臓を提供した。12万ペソ(約28万円)の報酬を約束されたが、実際に受け取ったのは8万ペソ(約19万円)。「だまされた。(患者を)殺してやりたい」と、男は憤った。手術後は時々傷口が痛み、重い荷物を運べなくなった。

 男が知る限りで、バセコには100人以上の臓器提供者(ドナー)がいる。仲介業者の男(31)は、「病院はドナーが必要になれば、電話のある隣人宅に連絡をよこすんだ」。一回の取引で病院などから受け取るのは円換算で約5万円という。

闇取引が横行

 比政府が腎臓売買の実質公認に踏み出したのは、国内の貧困と闇売買の横行という悲惨な現実が背景にある。闇売買の実態は不明だが、ある医療関係者は「医師でさえ、闇の売買にかかわっている」とし、闇の腎臓売買が比国内での腎臓移植の公式統計(05年には630件)よりもかなり多いことを指摘した。

 新制度は、ドナーが闇取引で腎臓を買いたたかれた上、体を壊すといった悲劇を防ぐのが狙いだ。高額医療費をいとわない先進国の患者が、比国内の移植希望者支援にも同意すれば一石二鳥になる。

 関係者によると、新制度検討は、もともと外国人患者の要請が契機だった。ある観光業者は「中東の複数の国の大使館関係者から、『自国民がフィリピンで移植を希望しているが、手だてはないか』と相談を受けた」と明かした。

日本から渡航急増か

海外で移植500人

 フィリピンの新制度が施行されると、日本人患者が同国に押しかける事態も予想される。

 それくらい国内の腎臓提供が不足しているからだ。日本器移植ネットワークに登録して腎臓移植を望む患者は約1万2000人いるが、国内で1年間に実施される生体移植は約800例、心停止後の移植は約200例、脳死移植は4〜16例に過ぎない。人工透析を受けて待機する期間も長期化し、その間に亡くなった患者は、約2000人に達する。

 厚生労働省研究班が昨年3月にまとめた調査では、海外で移植を受けた患者は確認できただけで522人に上る。そのうち腎臓移植は198人。渡航先は、中国が106人と多く、フィリピンが30人と続いた。しかし、昨年3月、中国が渡航移植の管理を強化する方針を打ち出したため、日本人患者が中国からフィリピンに流れる可能性は高い。

ルール検討必要

 新制度の詳細な内容は公聴会で議論されるが、導入されても日比両国が抱える課題は多い。

 フィリピンでは現在、売買を監視する仕組みがあるものの、十分には機能していないのが実情。臓器移植に関する国家倫理委員会は「新制度導入は事態を複雑化するだけ」と、闇取引の解消に否定的だ。

 一方、日本の臓器移植法は、海外で臓器を購入した日本人も処罰の対象とし、5年以下の懲役か500万円以下の罰金を科す。比保健省のデルムンド次官は「(新制度は)外国人患者が直接、ドナーに支払わないため売買ではない」と強調するが、甲斐克則・早稲田大教授(刑法、医事法)は、「手術代は必要経費だとしても、生活支援も含めるとしたら、それは臓器売買の報酬にあたる可能性がある」と指摘する。

 また、臓器売買は「人体をモノ扱いする」として、世界保健機関(WHO)や国際移植学会が指針で売買を禁じている。日本移植学会も、会員が患者を海外に紹介する場合、売買による臓器提供でないことを確認するよう求めている。

 科学技術文明研究所の■島(ぬでしま)次郎・主任研究員は「アジア地域の臓器移植の実態は、売買や死刑囚からの提供など国際ルールと乖離(かいり)した部分が多い。こうした問題を解決するには、厚労省や移植学会が主導権を握って、アジア各国と移植医療の望ましいルールを検討する常設の場を作るべきだ」と話している。(■は木へんに「勝」)

患者、金銭トラブル減少期待 / 医師、感染症危険「勧められぬ」

 「日本で待っていても、いつ移植が受けられるか分からなかった。生きるか死ぬかの患者にとって、臓器売買の倫理的な問題を気にしていられない」

 熊本県の男性(39)は、フィリピンで腎臓移植を受けた事情をそう語る。

 慢性腎炎のため、28歳から人工透析を始めた。移植を受けようと1996年、父親の退職金などで用意した1850万円を、日本人の仲介業者に払った。だが、業者は雲隠れし、後に詐欺容疑で逮捕された。金は戻らなかった。

 翌年、独力で見つけた同国の病院に600万円を払い、移植を受けた。しかし、腎機能が悪化し、2003年、700万円で再移植した。現在は元気に暮らす。

 今後、日本人の渡航移植の増加も予想されるが、「不透明だった仲介業務に政府が入ることで、金に絡むトラブルが少なくなるかもしれない」と語る。

 ただ、感染症対策などフィリピンの医療現場の安全管理を懸念する声もある。

 札幌市立札幌病院腎移植科の平野哲夫部長は、「体に負担がかかる人工透析から解放されたいという気持ちは理解できるが、フィリピンでの移植は、臓器提供者が肝炎ウイルスに感染していないかどうかの情報が乏しく、勧められない」と話す。(医療情報部・坂上博)

臓器不足が根底に

 臓器売買は、欧州や中東でも問題となっている。昨年10月に愛媛県でも発覚した。根は同じ臓器不足。フィリピンの売買公認は、貧困層救済の色合いが濃いとはいえ、国情が似た国々で広がる懸念がある。

 先日発表された内閣府の調査によると、脳死下で「臓器提供をしたい」という人は過去最高の41・6%に上ったが、意思表示カードの所持率は2年前より下がった。

 臓器不足を解決する処方せんは、臓器売買以外にないのか、改めて考えなくてはいけない。(高田)

 腎臓移植 糖尿病の合併症などで腎不全の状態に陥った患者に対する医療。日本移植学会によると、腎臓は摘出後48時間まで移植可能とされ、生体腎移植の5年生着率は75%を超える。治療成績は年々向上している。

倫理考える余裕はない

2007年02月02日 読売新聞Yomiuri On-Line

 約15年前からアジアの臓器移植の実態調査を行っている岡山大大学院教授の粟屋(あわや)剛(つよし)さん(56)(生命倫理)は、腎臓移植が必要な患者を中国本土の病院へ送っていた香港大・腎臓内科教授(当時)の言葉が忘れられない。

 「(中国での移植は死刑囚から摘出した臓器が使われているが)死刑囚はどうせ死んで、臓器は捨てられる。しかし、その臓器で助かる患者がいる。患者の命を救うのは医師の責任だ。絶望的な患者を目の前にすれば、倫理を持ち出す余裕はない」

 粟屋さんは1995年7月、当時は闇に包まれていた中国の移植医療の実態を詳細に聞き出し、死刑囚の臓器が使われていることを公表。98年には、米国連邦議会の下院公聴会で証言し、大きな反響を呼んだ。

 粟屋さんによると、中国の死刑囚は白血球の型(HLA)や健康状態などの検査を受ける。HLAが臓器移植を望む患者と死刑囚が一致するなどした場合、死刑囚の臓器が移植に使われることがあるという。

 それを裏付けるように、90年代半ばに中国で腎臓移植を受けた50歳代の男性は「執刀医から『死刑が執行された25歳の男性から摘出した臓器を移植した』と聞かされた」と話す。

 死刑囚から臓器提供への自発的な同意が得られているかは不明だ。

 倫理的な問題はほかにもある。臓器売買だ。粟屋さんは93〜94年に3度、インドを訪れて調査した。

 多くの腎臓提供者が住んでいて「腎臓村」と呼ばれるビリバッカム村で、腎臓を売った55人に聞き取り調査した。最年少は14歳で最高齢は48歳。女性が6割を占める。臓器購入者は55%が外国人だった。

 村民の月収が5000円(当時)以下なのに対し、腎臓を売って得た金額は2万4000〜11万円だった。

 粟屋さんは「臓器を必要とする人と、売りたい人がいれば、倫理的に問題があろうと臓器は売買されてしまう。人体の商品化の流れは止まらない」と話す。

 国際移植学会や日本移植学会は、死刑囚からの臓器提供や臓器売買による移植に反対している。

 海外の移植事情に詳しい東京歯科大角膜センター長の篠崎尚史(なおし)さんは「他国を非難するより、日本の移植医療を進める努力をすべきだ。命がけで、これらの国に渡る患者を責めるべきではない」と強調する。

 臓器移植法施行から今年で10年を迎えるが、脳死での臓器提供者はわずか50人。法律の改正を含め真剣に見直しを検討する時が来た。(坂上博)

 移植希望数と実施数 脳死移植を仲介する日本臓器移植ネットワークに登録した移植希望者は今年1月末現在、腎臓が1万1915人、肝臓が140人。一方、脳死移植を受けることができたのは10年で腎臓が57人、肝臓が35人に過ぎない。

海外での移植 検査不足 感染症も多く

2007年02月01日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 せきをしながら、「息苦しい」と訴える54歳の男性が2005年3月、東京医大八王子医療センター(東京都八王子市)を受診した。その前年9月、中国で腎臓移植を受け、移植後に必要な免疫抑制剤などの処方をここで受けてきた。

 そのまま入院。精密検査をすると、免疫状態が極端に低下した時に発病するカリニ肺炎だった。カリニ肺炎の薬を投与する治療が始まったが、脳梗塞(こうそく)も併発して入院2か月後の5月に亡くなった。

 同センターの外来には現在までに、中国での腎臓移植経験者11人が訪れたが、4人は移植から2年以内に亡くなった。死因はカリニ肺炎のほか、胃がん、悪性リンパ腫(しゅ)、がんが胸の膜などにできる悪性中皮腫だった。

 国内の心臓停止後の腎臓移植では、5年生存率は94%なので、死亡者が異常に多い印象だ。カリニ肺炎やがんは、免疫の低下が病気の悪化と関係する。

 免疫抑制剤は、移植された臓器への拒否反応を抑えるために投与されるが、移植外科助教授の松野直徒(なおと)さんは、「中国では、免疫抑制剤の量が多過ぎる場合がある」と指摘する。

 日本では、患者は移植の前にがんなどほかの病気がないか詳細な検査を受け、進んだがんがあれば、移植の対象にならないが、そうしたチェックが行われていない可能性もある。

 松野さんは「中国での移植は、肝炎ウイルスの有無など提供者の情報が全く分からないので問題の究明が遅れ、治療が後手に回ることがある」と説明する。

 中国で肝臓移植を受けた韓国人の6・5%がB型肝炎ウイルス(HBV)またはC型肝炎ウイルス(HCV)に感染していたことが昨年末、韓国の研究者の調査で分かった。提供者のウイルス検査が十分に行われず、移植臓器や輸血血液などに肝炎ウイルスが混入していた疑いがある。

 市立札幌病院腎移植科部長の平野哲夫さんらは、臓器移植法が施行された97年から昨年末までに、中国で腎臓移植を受け、同病院を受診した患者10人の健康状態を調査した。

 B型肝炎1人、腎機能を悪化させるBKウイルス2人、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)2人など計8人が重い感染症にかかっていた。東京医大八王子医療センターでもC型肝炎感染者が1人見つかった。

 平野さんは「感染症などの発病率が非常に高く、命にかかわる危険があり、現状では中国への渡航移植は勧められない」と話す。海外で腎臓や肝臓の移植を受けた患者の実態調査を早急に行う必要がある。

 移植後の経過 移植後の5年生存率は、脳死肝臓移植で約80%、心臓停止後の腎臓移植で94%。移植後は免疫抑制剤を一生飲み続けなくてはならない。免疫状態が低下するので、カリニ肺炎などの肺感染症などに注意が必要となる。

海外での移植 背後に臓器売買 それでも

2007年01月31日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 「もう一度、元気に仕事ができるようになりたい」。関東地方の会社員男性Cさん(50)が2005年にフィリピンでの腎臓移植に踏み切ったのは、仕事の関係で知人もいて、現地の事情が多少はわかっていたことが大きい。

 「費用は2000万円かかるアメリカの半分以下。留学経験がある医師が多く、医療水準も信頼できる。肝臓だと心配だが、より一般的な腎臓移植なら大丈夫だろう」と考えた。

 フィリピンでは2000年に、日本の元プロレスラーが肝臓移植の手術中に出血多量で亡くなっている。

 Cさんは40歳で慢性腎炎と診断され、2年後には、人工透析が必要になった。半年後に母親の腎臓をもらって腎移植を受け、いったんは透析から解放された。しかし、移植から約8年後の2005年3月には悪化し、再び透析を始めた。

 妻(48)は腎臓の提供を申し出てくれたが、断った。「2人の息子が病気になるかもしれないので、とっておけ」

 臓器提供者が少ない日本で移植が受けられる可能性はないに等しい。それでも移植を受けたかった。

 フィリピンでの移植は臓器売買によって成り立っていることも知っていた。関係者によると、貧困地域の住民は臓器売買のブローカーに腎臓1個を十数万〜三十数万円ほどで売っているという。

 Cさんは、「私が払った移植費用の一部が、貧しい臓器提供者や家族の生活の足しになってほしい」と語る。

 フィリピンに到着して、7日後に移植を受け、移植の2週間後に帰国。今は、睡眠時間2〜3時間でも翌日の仕事をこなせるほどに体力がついた。

 国内で移植を受けるのが難しい現実に、患者や仲介者は人脈を頼り情報を集め、様々な国に目を向ける。

 肝臓が正常に機能しない難病「原発性胆汁性肝硬変」の男性(享年36歳)は南米・コロンビアでの肝臓移植を目指した。昨年春、病状が急激に悪化し、移植を受けないと命が危なくなったが、米国での移植は6000万円以上とされ、とても払えない。

 海外の移植に詳しい医師の紹介で、コロンビアの病院で受け入れてくれることになった。支援者が3000万円を目標に募金活動を始めたが、間に合わず、男性は昨年夏に亡くなった。

 ほかにもタイやインド、パキスタンで移植を受けた日本人がいる。「安く、早く」。一刻の猶予もない患者は、経済格差があるアジアや南米へ向かう。

 移植費用 国内では生体・心停止・脳死による腎臓移植、生体・脳死による肝移植、心臓移植などが保険適用されている。だが、海外で受ける場合は保険がきかない。移植臓器によって違うが、欧米に比べ中国やフィリピンでの費用は2分の1〜6分の1程度。

海外での移植 リスク承知で業者頼み

2007年01月30日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 「ほかのどこよりも安心・安全・親身・献身的なサポート体制を自負して設立運営しております」

 ネット上には、様々な誘い文句で中国など海外での移植希望者を募るホームページが乱立する。中国、フィリピンの移植では主治医からの紹介が望めないので、こうした仲介業者に頼らざるを得ない。

 「約7年間に15人の腎臓病患者を中国へ紹介した。移植はすべて成功し、患者は無事に帰国している」。長野県の男性Bさん(58)は、こう告白する。仲介業者であり、自身が中国での移植経験者だ。

 37歳のころ、重い糖尿病と診断された。病状が悪化して腎機能が低下。44歳から人工透析を始めた。週3回の透析の後は体がだるく、仕事にならない。知り合いの中国の腎臓内科医の仲介で、透析開始から2年後の1995年2月、中国で腎臓移植を受けた。

 97年に臓器移植法が施行されても、移植医療は停滞したまま。「私のように中国へ行きたいと思う患者は多いはず」と2000年、希望者をホームページで募り仲介を始めた。

 Bさんの場合、中国での腎臓移植の費用は、現地滞在費、医療費、仲介料などとして計900〜1000万円を設定している。

 上海や広州など中国の移植実施病院で、最適の臓器提供者を見つけるために白血球の型(HLA)などを調べる。提供者が見つかるまで、病院近くのホテルで待機。移植手術から約1か月で帰国できるという。

 「今も数人から問い合わせを受けている。日本で移植を受けるチャンスは宝くじのようなもの。海外移植を望む患者は今後も増える」と話す。

 アジアでの移植の実態は厚生労働省も把握できておらず、闇の中だ。詐欺の被害も出ている。

 慢性腎炎と診断された熊本県の会社員男性(39)は28歳から人工透析を始めた。透析による副作用で足がむずむずする症状が耐えられない。

 移植を望んだが、HLAが適合する家族がいない。96年、海外での腎臓移植事情を取り上げた記事を見つけた。その仲介業者に連絡すると、「1850万円払えばフィリピンで移植ができる」と言われ、相場の2倍以上と高額だったが、実家の土地などを売って金を払った。フィリピンに渡ったが、業者と連絡が取れなくなった。

 業者はその後、詐欺容疑で逮捕されたが、お金は戻らなかった。男性は2002年春、別のルートを使って、フィリピンで腎臓移植を受け、現在は元気に暮らす。患者たちは、危険を承知で海外に渡っている。

 移植の仲介 欧米での移植は、主治医が受け入れ先を探してくれるケースが多い。一方、日本移植学会は死刑囚の臓器を使った移植を行う中国や、臓器売買が横行するフィリピンへの仲介を事実上禁止しているため、患者は仲介業者に頼るか、個人で移植病院に接触して移植を受けている。

待機13日 中国で腎・肝手術

2007年01月29日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 「ほかの人に積極的には勧められない。でも、中国へ行かなかったら、私は今、生きていない」

 中国で腎臓と肝臓の同時手術を受けてから1年余りがたった札幌市の男性Aさん(64)は、苦渋の思いを告白する。

 25歳で慢性腎炎と診断され、45歳になると腎機能が急激に悪化した。翌年、腎臓に水分の袋ができる遺伝性の難病「多発性のう胞腎」と分かり、すぐに人工透析を始めた。

 透析開始から半年後の1989年3月、当時69歳の母親から腎臓の提供を受けた。13年が過ぎた2002年から再び、腎機能は低下し、のう胞は肝臓にも広がった。

 肝臓の病気は急速に進み、3年の間に通常の4倍以上に膨れあがった。極度に疲れやすく、階段を数段上ると動けなくなった。根本的な治療法は肝臓と腎臓の移植だけだった。

 しかし、両方の臓器の提供を家族に期待できるわけがない。といって、脳死移植を仲介する「日本臓器移植ネットワーク」に登録しても、臓器提供者は年平均5人。これに対し、肝臓移植の待機者は140人、腎臓は1万人を超える。見込みがないも同然だ。

 欧米も提供者不足で日本人が受けられる機会は少なく、肝臓移植だけでも6000万円以上が必要だ。

 「中国なら安く、早くできる」。知人から聞いた中国・天津の病院に連絡を取り、2005年10月に診察を受けた。「余命は1年ほど」と現地の医師から宣告された。

 中国での移植を決心。医療費1300万円を病院関係の口座に振り込み2か月後に再び天津へ。ホテルで待機して13日後。連絡が入り、11時間にわたる肝臓と腎臓の移植手術を受けた。

 肺の感染症を起こし、高熱が出たが、医師は「大丈夫」と言うばかり。「このままでは命が危ない」と思い、手術から3週間後、600万円で小型機をチャーターして帰国。札幌市内の病院に入院した。昨年2月、3週間で退院し、今は体調に不安はなく、貸しビル業を営む。

 国際移植学会、日本移植学会は「中国の臓器提供者の多くが死刑囚で、倫理的に問題がある」として、学会員による中国への仲介を事実上禁止している。

 Aさんは「国内での移植は絶望的なのに、『中国へ行くな』では、臓器不全患者を見捨てているのと同じ」と悲痛な声をあげる。

 臓器移植法施行から今年で10年。厚生労働省研究班が昨年3月にまとめた調査では、522人が海外で移植を受けた。最近、アジアなどへ渡る患者が増えている。その現状を報告する。

 海外での移植 厚労省研究班の昨年3月時点の国内の移植関連病院を対象にした調査では、海外で移植を受けたのは522人。肝臓221人、腎臓198人、心臓103人。主な移植渡航先は、肝臓が米国42人、豪州30人、中国14人。腎臓は中国106人、フィリピン30人、米国27人。心臓は欧米各国のみ。

臓器移植法が公布 臓器売買を厳禁

2006/12/26 VIET JO[2006年12月22日 Tien Phong紙 電子版]

 臓器の移植に関する法律が21日、公布された。この法律は2007年7月1日に施行される。

 同法は6章40条から成り、人道的または教育・科学研究目的という原則に則って、臓器および身体の一部の提供・摘出・移植、死体の提供に関する規則や、臓器バンク及び国の臓器斡旋センターの活動・組織に関する規則などを定めている。

 具体的には、臓器および身体の一部の承諾なしの摘出および売買、死体の売買、18歳未満の者による臓器および身体の一部の提供、利益を目的とした臓器の摘出・移植・使用などを厳しく禁止している。

臓器売買、2被告に有罪

2006年12月26日 読売新聞 Yomiuri On-Line
松山地裁支部判決 懲役1年、猶予3年

 愛媛県宇和島市の宇和島徳洲会病院での腎移植を巡る臓器売買事件で、臓器移植法違反(売買の禁止)の罪に問われた患者の水産会社役員山下鈴夫(59)、内妻で同社社長松下知子(60)両被告の判決が26日、松山地裁宇和島支部であった。

 福井健太裁判長は「臓器移植法の人道性、任意性、公平性という基本理念に著しく反するもので、移植医療に対する社会の信用性を揺るがした影響は大きい」として、両被告ともに懲役1年、執行猶予3年(求刑・懲役1年)を言い渡した。被告側は控訴しない方針。

 福井裁判長は「国は生体移植に関する法整備やガイドラインの策定を行い、再発防止に努めなければならない」と言及した。執刀した万波(まんなみ)誠医師(66)の責任には言及しなかった。

 判決によると、両被告は昨年7月、知人の女性に、臓器提供者(ドナー)になってもらうよう依頼。同年9月、女性は松下被告の「妹」を名乗り、山下被告に腎臓が移植された。両被告は腎臓提供の謝礼として、同年11月に30万円、今年4月に150万円相当の新車を女性に渡した。 移植現場に課題「ルール違反」「ドナー不足」

 宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)で行われた腎移植をめぐる臓器売買事件で、松山地裁宇和島支部が26日、山下鈴夫(59)、松下知子(60)の両被告に言い渡した執行猶予付き有罪判決。

 臓器提供者(ドナー)不足や病院側の本人確認の甘さなど移植医療の現場に多くの課題を突きつけた、全国初の臓器移植法違反罪の判決に、患者や医療関係者からは「明確なルール違反」「ドナー不足もあり、被告の心情もわからないではない」など様々な声が聞かれた。

 この日午前11時、グレーの上着姿の山下被告は、車いすで法廷に入った。グレーのジャージー姿の松下被告をちらっと見ると、被告人席にゆっくりと並んだ。

 山下被告は今月12日、体調不良を訴え、250万円を納付して保釈された。そのせいか少し青白い顔色だった。しかし、福井裁判長が主文を読み上げると、前を見据えて聞き入った。

 閉廷後、山下被告は「寛大な判決を頂いて感謝しております。世間をお騒がせしたことを反省しております」などと、弁護士を通じてコメントした。

 事件は、国内のドナー不足を改めて浮かび上がらせた。

 人工透析患者は25万人を超え、毎年約1万人ずつ増える傾向にある。日本臓器移植ネットワークに登録する腎移植の希望患者は、11月末現在で1万1800人、同ネットを通じた死体腎の提供は毎年150件前後。20年以上待ち続けている登録患者も325人いるのが現状だ。

 20年前、宇和島市立宇和島病院に勤務していた万波(まんなみ)誠医師(66)の執刀で母親から腎臓の提供を受けた市内の会社員男性(52)は「法を犯した以上、有罪は仕方ない。でも、ドナーをいくら待っていても見つからない厳しい現実がある」と話す。

 一方、大阪腎臓病患者協議会の田井信之会長(45)は「執行猶予付き判決は甘いのではないか。ルールを守っている透析患者の思いを理解していない」と両被告の行為を厳しく非難する。

 また、病院側の本人確認のあいまいさが事件の一因とされ、日本移植学会が11月、ドナーは写真付きの身分証明書で本人確認をすることなど、3項目を倫理指針に補足した。この日の判決も、病院や医師に対し、不審な移植手術の実施に歯止めをかけるよう求めた。

 万波医師と面識がある愛媛県内の男性泌尿器科医は「執刀した万波先生が手術前に、しっかり書面などで本人確認をしていれば、事件は起きなかったのでは」と指摘した。

臓器売買初公判 「ドナー他人、先生に説明」

2006年12月06日 読売新聞 Yomiuri On-Line

2被告、万波医師認識と供述

 宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)での 臓器売買事件 で、臓器移植法違反の罪に問われた患者の水産会社役員山下鈴夫(59)、内妻で同社社長松下知子(60)両被告の初公判が5日、松山地裁宇和島支部(福井健太裁判長)であった。同病院の泌尿器科部長・万波誠医師(66)について、両被告は「先生に、初めからドナー(臓器提供者)は他人であり、対価のことも話していた」などと、万波医師が事前に臓器売買を知っていたことをうかがわせる供述をした。

 福井裁判長による被告人質問で、「何が問題だったのか」と聞かれて、供述した。松下被告は「万波先生にすがったことが大きな間違いだった」と述べた。

 また、「売買が悪いと知ったのはいつか」との問いに、山下被告は「ドナーを探している段階で、万波先生から『金品を渡したら法に触れる』と言われた時」と答えたが、一方で、「(腎臓提供の謝礼について)万波先生から『私はよくわからんけど、1本程度とちらほら耳にするで』とも言われ、100万円と理解した」と供述した。

 両被告の供述について、万波医師は読売新聞の取材に「ドナーが他人とは絶対、聞いていない。1本というのは何の意味かよくわからない」と否定した。 「閉鎖・独断的医療に責任」…調査委メンバー

 宇和島徳洲会病院の調査委員会のメンバーで、日大総合科学研究所の高木美也子教授(生命倫理)に、臓器売買事件について聞いた。

                ◇

 背景には、死体腎の臓器提供が少ないという厳しい現状がある。移植は親族間による生体腎に頼らざるを得ず、ドナーの女性は松下被告の「妹」と偽った。他の病院で実施されている移植でも、不審なものは少なくない。急な養子縁組で提供者を見つけた患者の手術を断った病院もあると聞く。

 山下、松下両被告は「生きる」という意味では成功した。彼らはたとえ有罪になろうと、目的は遂げている。だが、腎臓の提供を数十年にもわたり待つ患者は、たくさんいる。

 それなのに、生体腎移植を規制する法がないのは、問題。ルールを守る人たちがいる中で、「やったもん勝ち」を防ぐためにも、厳格な法整備が不可欠だ。

 舞台となった宇和島徳洲会病院は、そもそも死体腎の提供を受けるために必要な臓器移植ネットワークにも登録していなかった。倫理委員会の規定はあったものの、実際に開催されたことは一度もなかった。腎移植で将来、どのようなリスクを負うのか、ドナーにインフォームドコンセント(十分な情報提供に基づく説明と同意)を行っていなかったことも信じがたい。

 この閉鎖的で、独断的な医療が事件を招いたともいえ、責任は重い。その後、病気腎移植も発覚したが、同じ温床。今回の事件は氷山の表出した一部分じゃないだろうか。病気腎移植には、摘出に合理的な理由があったかどうか。今後の調査委で、明らかにしていかねばならない。 臓器売買事件

 山下、松下両被告は知人の女性(59)(罰金100万円など刑が確定)に腎移植のドナーになることを依頼。昨年9月、女性から山下被告に腎臓を移植。両被告は見返りとして、11月に30万円、今年4月には新車の乗用車(150万円相当)を渡した。事件発覚後、万波医師らが病気腎移植を行っていたことが判明。厚生労働省などが調査している。

臓器売買でドナーの女に罰金100万円の略式命令

2006/10/27 The Sankei Shimbun 大阪夕刊から

 愛媛県宇和島市の宇和島徳洲会病院で行われた生体腎移植をめぐる臓器売買事件で、臓器移植法違反の罪で略式起訴された臓器提供者(ドナー)の貸しビル業の女(59)=松山市東石井=に対し、宇和島簡裁は27日、罰金100万円の略式命令を出した。また贈与を受けた現金30万円を追徴し、乗用車(150万円相当)も没収する。

 起訴状などによると、女は昨年8月ごろ、水産会社社長、松下知子被告(59)=同罪で起訴=と、松下被告の内縁の夫で重い腎臓病だった同社役員の山下鈴夫被告(59)=同=にドナーになるよう依頼され、同年9月28日、移植手術を受けて山下被告に腎臓を提供。謝礼として現金30万円と新車の乗用車を受け取った。

 松下、山下両被告は弁護士に「女性には謝礼として車の購入だけを約束した」と話しているのに対し、女は「松下容疑者に貸していた200万円に300万円を上乗せして返してもらう約束だった」と供述していた。

イラクでマフィアによる臓器売買が横行 遺体・生体問わず腎臓など摘出か

2006年08月16日 日刊ベリタ

 【東京16日=斎藤力二朗】世界の関心はレバノンに集まっているが、イラクの惨状はより激しさを増している。15日のアラビア語紙クドゥス・プレス(QUDS PRESS、本社ロンドン)は、イラクでは、マフィアらによる臓器売買が横行しており、死体、時には生体からじん臓や眼球などが摘出されていると報じた。

英国医学界:死刑囚の臓器売買で、中共非難

2006/04/24 大紀元

 【大紀元日本4月24日】英国臓器移植学会は19日、中共当局が死刑囚の臓器売買は、人権侵害であり、認めることができないとし、中共を非難する声明を発表した。

 英BBCによると、英国臓器移植学会は、日増しに積み重ねられる証拠から、中国では数千人に上る死刑囚の臓器は本人の同意を得ていない状況下で、摘出され移植されていることが判明したことを伝えた。

 同学会の道徳委員会主席ステファン・ウィグモアー氏は、BBCのインタビューに対して、中国で行われている臓器移植の適合検査作業は、最短1週間で完成することから、死刑囚は処刑される前から、すでに臓器移植の適合検査作業に入れられていることが明らかであると指摘した。

 中共衛生高官は先週、当局は時々死刑囚の臓器を使い移植するが、すべて事前に本人の同意を得ているとした。しかし、そのような例は少ないことが明らかになった。

 日増しに積み重ねられる証拠の数々

 近年、中共当局は死刑囚の臓器を摘出し販売していることに対して、国際人権団体を含む外界から相次いで批判を受けてきた。

 ウィグモア氏は、「ここ数ヶ月、証拠が絶えず増えており、しかも、これらの証拠は信頼にたるものであると我々はみている。中共が事実を明らかにする時期が来たのだ」との見解を示した。

 ウィグモア氏は、現在中国へ臓器移植のツアーが増える一方であり、健康な臓器を販売する者にとってますます有利であるとし、中国では臓器売買は非常に普遍的に行われているため、さらに拡大の勢いがあると指摘した。同氏は、同僚と共に中国での臓器移植を考えている英国の患者と出合ったことがあると語った。

 真剣に考慮すべきである

 ウィグモア氏は、患者は中国へ赴いて臓器移植を行うべきかどうか真剣に考慮すべきであると述べるとともに、ことの重大さを語った。中共は長期にわたり、死刑囚の処刑を秘密裏で行っているため、外界は真相を知ることは難しい。

 中共衛生部は外界からの強い指摘に対して、人体の臓器販売を禁止する臓器移植条例を制定し、今年の7月1日より実行することにした。新条例は、医療機構臨床用の移植臓器は、本人の同意が必要とし、臓器移植する前に臓器提供者は拒否することができると定めている。

 しかし、評論家らは、臓器販売による高利を獲得できることから、販売行為を完全に制止できるかどうかは、新条例が条文どおりに実行できるかどうかにかかっているとみている。

「1300万円払い腎・肝移植」…札幌の男性証言

2006年04月22日 読売新聞 Yomiuri On-Line

中国で手術、「国内待てない」

 臓器移植をめぐり、国内での臓器提供者(ドナー)の不足から、海外で移植を受ける患者が増えている。近年はその多くが中国に渡っており、年間100人を超えるという。

 中国で腎肝同時移植を受けた札幌市の男性(63)が読売新聞の取材に応じ、「渡航移植」の実態を証言した。

 男性は20代半ばに腎炎を発症。1989年、母親から腎臓の生体移植を受けたが、3年前に再び悪化した。肝機能も低下し、主治医から「肝臓は移植しないと助からない」と告げられた。

 「移植ネットワークに登録しても、いつ順番が回ってくるかわからない」。そう聞いた男性は、中国・天津の病院で移植手術を受けるため、総額1300万円の費用を振り込み、昨年12月、現地に飛んだ。

 手術後、原因不明の高熱が続いたが、医師は「問題ない」と繰り返すばかり。薬を求めると「近くの薬局で買え」と言われ、不安にかられた男性は自ら退院、今年1月に帰国した。

 現在は仕事も再開。体調にとくに不安はない。「危険な賭けだったが、とても感謝している」と語る。

 中国では、移植に用いる臓器の大半は死刑囚からの摘出といわれる。だが、ドナーが誰なのか、男性には明かされなかった。「死刑囚の臓器、とも思った。でも、だからといって移植をやめられるだろうか」

 男性は繰り返す。「ここまでして患者は海外に向かわなければならない。自国の患者を救えない移植医療とは、いったい何なのか」

 日本臓器移植ネットワークによると、脳死・心停止後移植を待つ腎臓病患者は約1万1649人(10月2日現在)いるのに対し、昨年1年間に行われた脳死・心停止後移植は160件(生体腎移植を含めると994件)に過ぎない。

 中国での移植は、手術費が比較的安いなどの理由で増加した。インターネットで患者を募る仲介機関もあり、患者が直接申し込める簡便さも、「中国志向」に拍車をかけている。

 しかし、法外な費用をとる仲介業者も多く、手術中に死亡するケースもある。免疫抑制剤の過剰投与という問題も指摘されている。

 渡航移植を支援している大阪府内の団体によると、瀋陽や北京、上海などで手術を受ける患者が多く、瀋陽の病院は年間約100人の日本人に施術。費用は腎臓で600万円、肝臓は1000万円が相場という。

 厚生労働省の調査研究班が4月にまとめた調査結果では、これまでに少なくとも522人が海外で臓器移植を受けたが、渡航移植の実態は不明で、日本移植学会は専門委員会を設けて調査に乗り出している。

「海外で臓器移植」522人…厚労省把握分

2006年04月22日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 厚生労働省の研究班(主任研究者=小林英司・自治医科大教授)は21日、海外で臓器移植を受けた患者数についての調査結果を発表した。

 これまで少なくとも522人が渡航移植を受けたことが判明、1997年の臓器移植法施行後も渡航移植に歯止めがかかっていない実態が明らかになった。

 同法に基づいて国内で臓器移植を受けた患者は今年3月現在、心臓33人、肝臓31人、腎臓51人にとどまっている。このため、研究班は昨年12月から、日本移植学会の会員医師などに文書と電話で調査を行った。

 その結果、心臓移植では国内の医師が患者に同行する場合が多く、ほぼ全例が判明。84年〜2005年末に103人が渡航していたことが分かった。15年生存率も70%と良好な成績だった。渡航先は米国が85人と突出し、ほかは欧州とカナダの4か国だった。

 一方、肝臓と腎臓は自己判断で渡航した患者が多く、全体数や生存率は把握できなかった。このため研究班は「術後の治療で国内の病院に通院している患者」に限定して調査した。このうち肝臓は221人で、渡航先はオーストラリア、米国、中国など12か国。腎臓は198人で、中国やフィリピン、米国など9か国へ渡航していた。

中国へ、臓器移植を求める金持ちの日本人が急増

2006/04/09 大紀元

 【大紀元日本4月9日】日本が1997年に臓器移植法案を改定してからも、日本での臓器提供の回数が50回に留まっており、腎臓移植は998回のみが行われた。臓器提供者が少ないため、1万2000人もの臓器移植を待機する者の多くは、中国へ臓器移植を求めた。しかし、それらの多くの臓器の出所は未だに不明である。

 ウェブサイト「ジャパン・フォーカス」は4月2日、中国で腎臓移植に掛かる費用は6万6500米ドル(約778万円)で、肝臓移植に掛かる費用は15万 7000米ドル(約1835万円)であると報道した。少し前に、台湾の「イエーソン・ヘルスケア・サービス・センター」のネット仲介者は、「ジャパン・タイムス」に対して、上海の中山医院での心臓移植手術は、わずか11万9000米ドル(約1392万円)でできることを示したという。ちなみに、米国で同様な手術を行う場合は、86万米ドル(約1兆円)がかかるという。

 最近の実例

 日本で腎臓移植の手術は年間10回にも満たない中で、4年間腎臓を待ち続けた建築関係の会社経営者・平野ケンイチロウ(62)は、インターネットで噂の中国臓器を探し当てた。

 平野氏は、ウェブサイトの「中国国際臓器移植センター」で連絡先を求めた。同サイトhttp://en.zoukiishoku.com/list/link.htm(2006 年4月2日版)は、英語、日本語、韓国語およびロシア語による詳細な説明が行われており、「患者様の検査データを当センターへメールにて送付し、またはファックスにて送付し、当地担当病院において、移植に際しての禁忌等確認および診断等を行う。診断後移植可能と診断された場合、移植手続きの申し込みをいただく。もっとも早いケースでは1週間程度でドナーが現れる可能性がある。肝臓のドナーは1ヶ月、長くても2ヶ月で現れる」と掲載している。しかし、臓器の出所は一切説明していない。

 平野氏は、中国瀋陽市にいる日本人仲介者と連絡を取ってから10日後に、自分が上海の病院で腎臓移植を行っていることに驚いたという。腎臓提供者は若い死刑囚と言われ、腎臓の価格は680万円だった。同氏にとって、安価な買い物だった。同氏は、最近中国で腎臓、肝臓または心臓移植を行った数百人の金持ち日本人の中の一人に過ぎないのだ。

 中国闇市場での臓器売買、臓器の出所が謎

 中国東部海岸は「臓器移植の旅」と称される貿易はますます盛んになっている。韓国人、米国人および各国の人々は安価で健康な臓器に注目している。地元の仲介者にさえ支払いをすれば、金持ちの患者は上海やその他の都市にある一流病院での臓器移植ができる。術後のアフターフォローが行われない状態で、多くの患者は、帰国後2,3年で死亡する現状である。しかし、それても、中国へ臓器移植を求める人々を止めることはできないのだ。

 移植用の臓器売買は中国では違法であるが、闇の市場ではますます盛んになっていることを裏付けるが、移植される大量な臓器の出所に関する情報は非常に少ない。また、医療関係者によると、より完全無欠な臓器を保つために、現在は、銃による処刑より、注射による安楽死の方法が増えたという。

 アムネスティ・インターナショナルの調査によると、2004年の中国での処刑者数は世界でもっとも高い3400人であり、一部のアナリストはさらに上回り8000人が処刑されていると分析している。

 また、中共側はこのころ、死刑囚の臓器は移植用として、外国人向けに販売されていることを明かし、臓器提供者全員が自ら同意したとし、家族にも販売された一部の金額が与えられることを示した。しかし、一部の死刑囚の家族は当局に対して、家族の同意なしで臓器摘出したことを訴えたという。一部の人権団体も、中共当局に対して、処刑時間を臓器移植の時間に合わせたことを譴責した。1980年の中共政権では、臓器摘出する際、本人または家族の同意が必要と定めている。

 今年、一部の外国新聞メディアは、少なくても8人の日本人患者が中国で臓器移植を行ってから死亡したことについて、北京当局に対して譴責した。また、マレーシア、カナダおよび米国の患者が中国で、臓器移植を行ってから死亡した報道もあった。

 中国で臓器のドナーを待っている患者は200万人を超えていると言われる。しかし、外国の患者がいきなりに彼らを飛び越え、最優先的に臓器移植が行われることから、刑務所から病院までのルートに金銭が作用されたと考えられる。それ故に、調査もなお難しくなるのであろう。(記者・金沙)

中国:秘密収容所臓器売買の実態

2006/04/04 大紀元

 【大紀元日本4月4日】日本駐上海領事館の男性館員自殺事件をいち早く報道したため、中共政権に追われ、米国へ脱出した中国人ジャーナリストのR氏は3月の初め、中国で法輪功学習者の臓器を摘出し、売買する巨大な秘密収容所の存在を暴露した。その後、さらに2人の情報提供者が現れたことによって、中共政権の国家犯罪の裏幕が明るみに出された。法輪功への集団迫害を調査する国際機構の「追査国際」は、この事件に関する「調査報告書」を公表した。

 R氏は日本の某報道機構に在職していた。中国ニュースを担当し、制作した番組を各大手テレビ局に提供していたという。 数々の真相を暴露したR氏(大紀元)

 R氏から提供された情報によれば、中国東北部の瀋陽市の蘇家屯地区に巨大な秘密収容所があり、その中に数千人の法輪功学習者が監禁されている。中共政権はまだ生きている彼らの臓器を摘出し、国内外の移植を待つ患者に販売している。死体は所内の焼却炉で焼却し、証拠が完全に隠滅されているという。

 この秘密収容所の真相を報道してからまもなく、さらに複数の情報提供者が現れた。その一人は元遼寧省血栓中西医結合医院(瀋陽市蘇家屯区雪松路49号、以下「血栓医院」と略す)の女性スタッフで、現在米国に在住している。

 彼女の証言によると、その秘密収容所は血栓医院の大規模な地下施設を改築したものであり、2001年ごろに約6千人の法輪功学習者を監禁していたが、その中の4分の3の人はすでに腎臓、肝臓、角膜などを摘出された後処分された。現在にも約2千人の法輪功学習者が収容されている。ほとんどの人は秘密に逮捕されたため、家族にも行方を知られていない。学習者の多くは、生きたままで臓器を摘出され(生きたままの人から摘出した臓器は死体から摘出した臓器より売価が遥かに高いという)、そしてボイラーを改造して造った病院内の焼却炉で焼却処分された。彼女の前夫は、かつて数年間にわたって臓器摘出の執刀医を担当していた(非常に信頼されている医者だけが臓器摘出の執刀医に選ばれるという)。2003年、前夫の精神状態がおかしくなり、再三尋ねたところ、この事件に関与している事実を彼女に打ち明けた。病院職員の多くはこの秘密収容所の存在を察知していたが、自分の安全を配慮し、厄介な事を引き起こすことに恐れて、堅く口を閉ざしているという。

 彼女の証言を受けて、大紀元記者は血栓医院に電話取材しようとしたが、電話口に出た男性は、秘密収容所の存在について、肯定も否定もせずに、「うん、うん、」と繰り返し、言葉を濁した。

 そして、3月31日に瀋陽軍区のある軍医が匿名で新たに蘇家屯秘密収容所での臓器売買の事実を証言した。以下は証言内容の一部である。

 中共政権は法輪功学習者を「政権の敵」と指定し、厳しく弾圧すべき対象となる重犯罪者だと宣伝している。法輪功学習者の臓器を摘出し、販売する蘇家屯秘密収容所のような施設は、全国に36ヶ所もある。蘇家屯秘密収容所の実在、および法輪功学習者の臓器売買、死体或いはまだ生きている人の焼却処分などは、全部事実である。私が知る限り、2005年初めに、蘇家屯秘密収容所に1万人以上の法輪功学習者が監禁されていた。今でも600-750人が収容されており、多くはすでにほかの収容所に移送された。私が見た内部の秘密資料によると、法輪功学習者を監禁する最大の秘密収容所は東北部の吉林省にあり、「672 -S」という略称で、正式名称がなく、住所も分からない。全国各地で法輪功学習者や、重犯罪者、政治犯など12万人以上が収監されている。

 法輪功への集団迫害を調査する国際機構の「追査国際」は、このほど調査報告書を公表し、情報提供者らの証言を裏付けた。以下は調査報告書内容の一部である。

 1.東北部の瀋陽市に、中国での主要な臓器移植施設と巨大な臓器バンクが存在している

 瀋陽市で約10軒の病院は臓器移植を実施している。そのうちの数軒のデータから見ると、瀋陽軍区総医院(その泌尿外科は軍部の腎臓移植センターである)は、2006年1月まで、計1500例以上の腎臓移植を行った。解放軍463医院も、相当数の腎臓移植を行なった。他に、中国医科大学付属第一医院の臓器移植科は2005年まで、腎臓移植が600例以上、肝臓移植が120例以上を行なった。

 さらに2003年から瀋陽市にある中国医科大学に「中国国際移植網援助中心(China International Transplantation Network Assistance Center (CITNAC))」が設立されて、同機構はホームページを通じて、5カ国語(英語、日本語、韓国語、ロシア語、中国語)で毎年100例以上の腎臓移植と 20例以上の肝臓移植を成功していると宣伝し、世界各地から移植を受けたい患者を募集している。移植医療先進国のアメリカでは、腎移植を受けるために、適合の臓器を待つことは、3年から7年の時間が必要であるのに、同機構のホームページに、「腎臓移植の待機時間はわずか1週間から1ヶ月で、例え移植中に提供した臓器に問題が発見された場合でも、必ず1週間以内で新たな腎臓を提供できる。また肝臓移植の待機時間も大体1ヶ月で、長くても2ヶ月超えない」と記載している。腎臓が摘出された後、24時間(米国では48時間)以内に移植完了しなければならないので、このように随時随所で臓器を提供できることは、巨大な生体臓器バンクが存在しているとしか考えられない。

 生体臓器バンクの存在を裏付けるもう1つの証拠がある。保守的な伝統観念により、中国人のほとんどは死後の臓器提供に否定的である。国際社会から中国でのたくさんの臓器提供に疑惑の目が向けられたため、中国衛生部の副部長・黄潔夫氏は2005年7月、「中国の臓器提供者はほとんど死刑囚である」と発言した。しかし国際人権団体アムネスティ・インタナショナルの年次報告によると、中国で毎年処決される死刑囚は3400人あまりだという。医学上では、血縁関係のない人からの腎臓移植の完全適合率は数百万分の一であり、不完全適合移植でもその比率はかなり低い。つまり、中国全土の死刑囚の臓器をすべて瀋陽市の病院に提供しても、このように随時随所の臓器移植も不可能である。しかし瀋陽市にある中国医科大学第一付属病院臓器移植科の呉剛助教授は、2004年12 月24日の中国紙「華商報」に、「現在、瀋陽市の腎臓提供源は充分の量がある」と談話を発表した。米国在住の民主活動家、中国情報センター責任者のハリー・ウー(Harry Wu)氏はRFAの取材を受けた際、「中国の病院で毎年1万例以上の臓器移植手術を行っており、一体どこからこんなたくさんの臓器を提供できるのか、死刑囚以外にも巨大な闇の生体臓器バンクが存在しているに違いない」と指摘した。

 2.全国範囲で、臓器移植が数多く行われており、秘密収容所も瀋陽市蘇家屯地区以外に数多くある

 中国紙「影視図書週報」の報道では、天津市第一総合病院は臓器売買で大儲けした「病院」の1つとしてリストされている。この病院の移植外科部門のもうひとつの名称は「東方臓器移植センター」であり、世界最大の臓器移植機構ともいえる。看護主任の李蓮氏は取材を受けて、「2002年から大勢の韓国人の患者を受け入れ始め、病院の入院施設で対応できなくなり、付近の別の病院の病室や、近くのホテルの2つのフロアーを借り切りで使っていた。それでもまだ足りないため、近いうちに約500人の患者を収容できる入院病棟の新しいビルが完成され、2006年5月から使用可能になる」と商売繁盛ぶりを語っている。

 さらにこの中国紙は「2004年末まで、この病院は計1500例の肝臓移植と800例の腎臓移植を成功させ、角膜移植もしている。2004年だけで、約 900例の肝臓や腎臓移植を成功させた。移植センターの医療主任・瀋中陽氏によると、2005年の1年間で650例の肝臓移植を行った」と報じた。内部情報筋によると、2005年12月16日からの2週間で53例の肝臓移植をした。最も多いときには、一日24例の肝臓と腎臓を移植したという。

 中共当局の統計によれば、1991年から1998年までの8年間で、全国でわずか78例の肝臓移植を行なったに留まる。しかし1999年法輪功への弾圧が始まってからは、肝臓移植が激増した。中国紙「健康報」の2004年11月2日の報道では、「1999年、2000年、2001年には、それぞれ118 例、254例、486例の肝臓完全移植が行われた」と報じた。2003年になると、さらに急増し、計3000例の肝臓完全移植が報告されたという(東方器官移植センターのホームページの情報による)。

 2004年以来、計100人以上の日本人の患者が瀋陽市で臓器移植を受けた。2003年から3000人以上の韓国人の患者が中国で移植を受けた。「大韓臓器移植学会」の総理事で、ソウル大学病院に在職する河鐘遠氏は、「報じている人数が氷山の一角にすぎず、実際に中国で臓器移植を受けた韓国人の患者はもっと多いはずである」と指摘した。そのほかにもイスラエルや、カナダなど世界各地から毎年千人以上の患者が中国に押し寄せて、臓器移植を受けている。

 「追査国際」の調査員は、移植希望の患者に扮して、天津市、上海市、広州市、北京市、遼寧省、湖北省、河南省、山東省など各地の病院に対して電話調査を行った。その結果では、ほとんどの医療機関が法輪功学習者から摘出した臓器を使っていると認めた。以下は電話調査内容の一部である。

 調査例1.湖南省某医科大学付属医院

 病院関係者:我々が選ぶのは皆若くて健康な人の腎臓です。年配者のものは一切使っていません。

 調査員:法輪功学習者の臓器を提供できるかどうか・・・

 病院関係者: それはご心配が要りません。

 調査例2.山東省某病院

 調査員 : 法輪功学習者のような人の健康の腎臓があれば・・・

 病院関係者: うん・・・、4月になると、このような供給源が多くなるはずですが、最近すでに増えています・・・

 調査員:どうして4月になると、増えるのですか?

 病院関係者: この問題は説明しにくいので、これは・・・うん・・・まあ、とにかくこの問題を解釈する必要がありません。しかも解釈できない・・・。

 調査例3.広州某病院

 調査員:腎臓移植はどのぐらい待つのでしょうか?

 病院関係者: 当方の病院では約1週間待機すれば、移植できます。

 調査員: しかし提供される腎臓は健康で、新鮮なものですか、死体からのものではないよね。

 病院関係者: 品質は絶対に保証します。

 調査員: 法輪功学習者の臓器って、ありますか?

 病院関係者: 当病院では全部この種類のものです。

 調査例4.天津市某医科大学

 調査員: 医者によると、法輪功学習者の腎臓は非常に良いと言われていますが、法輪功を修煉しているから、健康状態がとても良いと聞いていますが、本当ですか・・・

 病院関係者:もちろんそうです。うちの病院にもそのような人からの臓器もあります。しかも、呼吸や心拍が止まっていない生体からの臓器です。今年はすでに十数個このような腎臓がありました。・・・提供される臓器の品質は非常に大事です。若い人から、血流が止まった直後、或いは止まってないうちに摘出した腎臓を移植すれば、非常に効果が良いです。これは確かなことであります・・・。

 以上のような生々しい証言や情報から、中国国内に、法輪功学習者の臓器を摘出し、売買する秘密収容所の存在が裏づけられた。しかも瀋陽市蘇家屯地区だけではなく、全国各地に設立されている。

 秘密収容所の真相が世界各地で暴露されてから、中共政権は3週間の間にずっと沈黙し続けていた。3月28日にようやく沈黙を破った。中国外交部のスポークスマンの秦剛氏は、定例記者会見で、事実を完全に否認するコメントを発表し、これは中国の司法制度に対する悪意的な攻撃だと発表した。中共衛生部の黄潔夫副部長は昨年7月、国際社会に向けて、死刑囚から臓器を摘出していることを認めたが、今回、秦剛氏の発言は死刑囚からの臓器摘出すら完全に否認した。

中国が臓器売買を禁止

2006年03月28日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【北京=末続哲也】中国衛生省は27日、臓器売買を禁止し、臓器移植の管理強化を図る規定を公布したと発表した。7月1日に施行する。

 中国では、死刑囚の臓器を使った移植が多数行われているほか、臓器売買や移植の仲介ビジネスも横行、日本など海外の患者が中国で移植を受けるケースも多いとされる。今回の立法措置の背景には、中国の臓器移植の不透明さに対する国際的な批判の拡大がある。

 同規定は、移植手術を行う医療機関の基準を明示。医療機関に対しては、移植前に臓器提供者側から書面で同意を得るよう義務づけたほか、臓器や移植を利用して不当な利益を得ることを禁止した。

邦人の臓器移植遠征地・中国瀋陽、生きた人体から角膜摘出の内幕

2006/03/24 大紀元

 【大紀元日本3月24日】報道によると、2004、05年の2年間に、計108人の日本人が中国の遼寧省瀋陽市と上海市の病院で腎臓や肝臓の移植手術を受けていた。中国国内で実施している臓器移植に用いられている臓器に関して、中国衛生省は昨年大多数が死刑囚から提供されていると認めたが、最近、邦人の臓器移植遠征地である中国瀋陽では、6000人の法輪功学習者(1999年7月から中国当局により弾圧されている気功修煉する人々)を密かに収容した蘇家屯収容所の関連医療機関・遼寧省血栓中西医結合医院は、活きている法輪功学習者から臓器摘出している情報が元在日の中国人ジャーナリストによりリークされた。更に、当医療機関に勤めていた内部関係者(女性)がこのほど、大紀元の取材に、法輪功学習者の身体から生きたまま臓器摘出の詳細を証言した。その女性によると、自分の前夫は脳外科の医者で、主に角膜の摘出を担当していたという。本稿は、その女性から聞き出した、遼寧省血栓中西医結合医院で生きたまま角膜を摘出された法輪功学習者についての取材内容。

 問:なぜこのように秘密裏に行なうことができるのですか?

 答:数人が一緒に利益を山分けしているから、他の人に言わないのでしょう。一時たくさんの法輪功学習者が病院内の平屋に拘禁されていました。ご存知のように、当時、法輪功学習者を拘禁するとき、一人に一つの部屋ではなく、たくさんの人が一つの部屋に押し込まれて一緒に寝泊りしていました。時に便所に行って帰ったら、寝る場所がなくなる場合もあります。

 2003年に、蘇家屯病院内の、かつて法輪功学習者を拘禁していた平屋が取り崩され、撤去されました。監禁されていた人たちは多分病院の地下室に移されたと思います。もちろん、今、平屋のことを聞いても病院の管理者らは、その存在を認めないかもしれません。或いはそれが臨時就労者のために用意したものだと言い訳するかもしれません。

 問:院長の池明宇が「生体から臓器摘出と死体焼却炉」のことを知っていると思いますか?

 答:彼は知っていると思います。

 問:公に収容所を作ったことはなぜでしょうか?

 答:半公開というべきです。この病院は比較的有名ですが、心臓病、血栓症のような病気の患者でなければ、ここに来る人があまりいないので、それほど公になっているとは言えないのです。

 蘇家屯区は、瀋陽市の郊外にあります。蘇家屯区の他の病院で同じことをやっているかどうか、分かりませんが、医療機関の間に繋がりがあります。

 私達は病院内の日常消費物質が急に増えることに気付きましたが、なぜこれほどたくさんの人が病院に入れられたのか分かりませんでした。職員は皆通勤バスで院外から通っているから、院内のことにあまり関心を持っていません。且つ、当時は法輪功が良いものなのか悪いものなのかも知らなかったのです。

 瀋陽市に法輪功を練習する人がたくさんいるから、逮捕された人も多いです。当時、北京や広州などの都市より、瀋陽市の弾圧が少し遅れて、全国で弾圧し始めてからも、瀋陽市の法輪功学習者がまだ外で一緒に煉功していました。2001年「焼身自殺」事件以後から、瀋陽市で本格的な弾圧が始まりました。

 問:あなたは生きている人から臓器を摘出することをどこから知ったのですか?

 答:2003年の正月の時、私達の家に新年の挨拶に来た人たちは、将棋や麻雀をする際に、話の中で生きている人から臓器を摘出したことに触れました。前夫が簡単に金を稼いていることを知っていましたが、どうやってそんなに稼いたのか知らなかったです。その後、前夫がそのことを私に打ち明けました。

 前夫は2001年に蘇家屯病院に就職したのです。最初は研修医でしたが、間もなく脳外科の主治医に抜擢されました。2003年初めの頃から、私は前夫がよくぼーっとしていることに気がつきました。時に彼がソファーのクッションを抱いてテレビを見ているとところ、テレビの電源を切って上げても、彼はまったく気がつかない場合がありました。

 一時期、前夫は勤務先を変えたいと私に話しました。私は不思議に思いました。こんなによく稼げるのに、仕事を変えようとするのか分かりませんでした。その後、徐々に彼はシーツを濡れるほど寝汗を掻いて、悪夢を見るようになり始めました。仕事のストレスが大きすぎるのではないかと思いました。彼は時に私の父親と長時間にわたり書斎の中に閉じこもって話していました。彼はそこから離れて別の職場に転勤できるように、父親に頼んだようです。なぜか、誰も彼に仕事を変えてくれませんでした。

 私は非常に心配していたので、彼に直接事情を聞いたことがあります。その時、私はすでにある程度実情を知っていました。私の友達は蘇家屯に拘禁していた法輪功学習者を目撃したことがあります。みんなが馬三家労働教養所や大北刑務所から大勢の法輪功学習者が送られてきたことを知っていました。しかし、みんながあまり気にしなかったのです。この病院で働いている人はほとんど高級幹部の子弟で、私達は小さいときから身につけた習慣があり、つまり、自分に関係がないことには構わないことです。

 私のある同級生の兄は2002年にこのことを携わったばかりに、すぐ外国へ行きました。数例の手術を行っただけで出国しました。

 問:あなたの前夫はどんな手術を担当していましたか?

 答:前夫は角膜を摘出する担当医でした。最初は手術を受ける相手が同意しているかどうかを知りませんでした。初めて摘出を執刀した時、相手はすでに麻酔をかけられて反応がなかったので、活きている人とは最初気づかなかったようですが、すぐに生きている人から臓器を摘出していることが分かりました。しかし、臓器をどこに売ったか、臓器や死体をどこに送ったかに関して尋ねることをしませんでした。手術を指示した人は「あなたはすでにこの船に乗ったのだから、一人を殺すのも、何人を殺すのも同じである」と前夫に言いました。

 彼は今報いを受けており、自分で車を運転するときにもかなり緊張を感じるなど、正常に暮らすことができないのです。

 2003年頃から、(衛生)局の中に多くの人たちはすでにこのことを知っていました。職員の家族だけではなく、外部の人たちに知っている人も居ます。

 前夫の話では、腎臓の移植を待っている患者は別の病院に待機しており、蘇家屯の病院で腎臓を摘出してそこへ持っていくのです。その後、死体をどう処理したのか分かりません。蘇家屯の火葬場か、病院のボイラー室(死体焼却炉に改造した)に持っていたかもしれません。

 一人からただ角膜だけを摘出するはずはなく、他のところに運ばれ、その他の臓器を摘出される可能性は高い。これは殺人と何の変わりもありません。

 私はこの事によって夫と別れました。もし夫の浮気くらいであれば、まだ我慢できるかもしれません。彼が私にこのことを語ってくれたから、まだいくらかの良心を持っていると私はそう信じています。もし、彼が直接に私に言ったことでなければ、私はどうしても信じることができません。彼は自分の口で私に話してくれたのです。わざと自分で自身に泥を塗る人はいないでしょう。

 問:執刀した人は別の医者もいますか?

 答:執刀した人は別の医者もいます。私の前夫は角膜の摘出を担当するだけで、他の臓器の摘出は、別の医者に担当されています。

 問:どこから蘇家屯病院に監禁されているのがみんな法輪功学習者であることを知ったのですか?

 答:監禁されているのはすべて法輪功学習者であり、法輪功学習者だけです。刑務所に監禁されている受刑者なら、家族が知っているから、家族が面会に来るはずです。法輪功学習者だからこそ、家族に知らされないままここに移送されるのです。かつて馬三家労働教養所と大北刑務所には多くの法輪功学習者を監禁していましたが、今はほとんどいなくなりました。毎日「釈放される」人がいるのですが、これらの人はどこに行ったでしょうか?

 蘇家屯収容所に連れていかれた法輪功学習者は、法輪功の修煉を固く堅持する人たちです。この人たちの多くが絶食して抗議していたから、身体がすでにかなり虚弱になっている。そこですべての人に一枚の紙が渡されて、「もし法輪功の修煉を放棄する意思があれば、紙に拇印を押して、すぐ釈放される」と言われるかもしれない。一人ずつ連れ出されるから、中にいる人たちは真実を知らなく、釈放されたと思うかもしれない。あるいは、外に連れて行って治療を受けさせると知らされるかもしれない。連れ出された人は麻酔剤を注射されて意識が無くなります。

 問:2000年中国大陸ウェブサイトの報道によると、蘇家屯で政治学習会を行い、法輪功を誹謗して迫害を煽ったそうですが?

 答:私は知りません。前夫は時に病院の寮に泊まり、これらの事をあまり口にしません。電話をかけてきて「忙しいから家に帰れない」と言って、帰ってこないことがよくあります。

 前夫は被害者が皆法輪功学習者であることを知っていました。他の執刀する医者も法輪功であることを知っていました。当時彼らは法輪功を迫害するのが犯罪ではないと教われて、共産党の敵を片付ける気持ちでした。手術台に載せられた人は意識不明の状態か、精神がおかしくなった人でした。角膜を摘出された人は、老人と子供が多かった。

 前夫は口封じのために殺されることを恐れて、外国へ出ることにしました。彼には真実を語る勇気がなく、必ず秘密を守れると、周りの人はそう信じていました。

 問:この数年間に、被害者の家族が人を探しに来たことはなかったのですか?

 答:2001年から2003年の間に、ただ一度、一人の農民が自分の家族がここに拘禁されているどうかを尋ねに来たことはあります。これは極秘なことですから、当然関係者以外、誰も知りません。逮捕される時に逮捕状もなく、釈放される時に釈放証明書もありません。

 迫害はどう言っても迫害です。人道上から言えば人間性が喪失した行為である。中国人として、とても悲しいことです。これは中国人同士を殺しているから、南京大虐殺と違い、自国民を虐殺しています。法輪功学習者であるかどうかにかかわらず、自分の国民を殺すというのは、あまりにも残忍すぎます。記者・周敏軍

中国の臓器売買と人体標本の疑惑を語る一体の人体標本

2006/03/21 大紀元

 【大紀元日本3月21日】ドイツのナチス後裔ギュンター・フォン・ハーゲンス氏は中国大連で世界最大の人体標本製造工場を経営している。1500万ドルを投資したハーゲンス氏の大連での「遺体工場」は約3万平方メートルの敷地面積で、看板は掲げていない。工場は現在更に規模拡大の建設を行っている。胎児を含め様々な年齢層の人間の遺体をプラスティネーション実物標本に製作し、世界各地で展覧会を開いている。この商売でハーゲンス氏は、9億ドル以上の利益を得たという。

 「ハーゲンス氏人体標本展」の中、最も論議をかもし出したのは、妊娠中の若い女性と腹中の8ヶ月胎児の標本。中国の法律では、妊娠中の女性には、死刑を実施することはできない。また、事故死の場合、死者の遺体を大事にする文化の中国では遺族は親子の死体を人体標本にすることを承認するとは考えにくい。この親子はどのような経緯で人体標本になったのか。この女性の遺体標本を含めて、「ハーゲンス氏人体標本展」に展示されている大量の人体標本を製作するための遺体は、一体どこから来たのだろうか?

世界の臓器移植中心となっている中国

 2006年3月5日、中国紙「長春日報」の関連紙「影視図書週報」19版は、「中国が世界の臓器移植の中心地となった」と題する文章を掲載した。この記事は、天津市第一中心医院で肝臓移植を受けた韓国人患者の例を取り上げ、「韓国では夜空の星を摘み取るほど生態肝移植(健康者の肝臓の一部を移植する)を受けるのは困難だが、中国では、『品質極上』の肝臓を丸ごと、安易に入手できる」と患者の「感激の声」を伝えている。

 「影視図書週報」の報道には、韓国人患者の家族の話が引用されている。「天津で検査を受け、一週間後にはすぐ適合する臓器が見つかった」という。そのほか、「概ねの統計によると、この3年間で約3千人以上の韓国人が中国で臓器移植を受け、その他の国の患者も毎年千人以上が中国を訪れている」「イスラエルの新聞報道によると、毎月約30人のイスラエル人が中国で臓器移植を受けている」と報じた。

 一方、韓国紙「朝鮮日報」は、「大韓臓器移植学会」の情報を引用し、「1999年から2001年までに計7人の韓国人患者が中国で臓器移植を受けたのに対し、2002年から患者数が急激に増加した。北京のある臓器移植機構の責任者は、中国各大都市の有名病院で臓器移植を受ける韓国人の患者数は毎月 70〜80人おり、全国合計で年間1千人以上に達すると明かした。そのほかにも多くの国の患者が中国に駆け込んでいる」と報じた。

 さらに「大韓臓器移植学会」の総務理事で、ソウル大学の病院に在職する河鐘遠氏は、学会が調査した人数は「氷山の一角」にすぎず、実際に中国で臓器移植を受けた韓国人患者はもっと多いだろうと述べた。

 臓器提供者は20代、30代の若者

 「影視図書週報」の報道によると、患者の間では、これらの「品質極上」の臓器提供者は、20代、30代の若者が中心で、身元は分からないという情報が流れているという。すでに数万人の外国人が中国で臓器移植を受け、臓器は死刑囚から摘出されたものだと説明されている。

 大紀元記者は、瀋陽陸軍病院総院、瀋陽軍区空軍中心病院、北京朝陽医院など、腎臓移植手術を受けたいという理由で調べたところ、腎臓の提供元は、極一部は親族の提供だが、そのほかは全て囚人から、しかも生きた体から器官を摘出するという。これらの病院の医者によると、中国の病院では、腎臓の提供元はほとんど囚人から、全て生きた体から摘出するものという。腎臓の質を保証でき、全て健康な若い人からだという。一人の医者は、提供者は、死刑囚のみではないと答えたが、詳細は本人と病院の責任者しかわからないという。

 腎臓器官移植の手術件数は多く、日本、韓国などの海外から来た患者も多いという。手術の成功率は、90%以上で、料金は6万から12万人民元(日本円90万〜180万相当)。患者が病院に入院してから、何日間も待たずに素早く手術が受けられるという。

 「四六三病院」のある医者によると、当院では腎臓移植手術は平均毎月10数例以上あるという。

 中国ではいったいどこからこんなに大勢の20代、30代の死者が集まるのか。この年代はほとんどが「一人っ子政策」の下で生まれた若者で、両親は亡くなった唯一の我が子の臓器を売り出したりするだろうか?疑問は多く残る。

 臓器売買で大儲けした「病院」

 「影視図書週報」には、天津市第一総合病院は臓器売買で大儲けした「病院」の1つとしてリストされている。この病院の移植外科学部のもうひとつの名称は「東方臓器移植センター」であり、世界最大の臓器移植機構ともいえる。看護主任の李蓮氏は取材で、「2002年から大勢の韓国人患者を受け入れ始め、病院の入院施設では対応できなくなり、付近の別の病院の病室や、近くのホテルの2つのフロアーを借り切った。しかし、それでも足りないため、近いうちに約 500人の患者を収容できる入院棟の新しいビルが完成し、2006年5月から使用可能だ」と「商売繁盛ぶり」を語っている。

 同紙によると、「2004年末まで、この病院は計1500例の肝臓移植や、800例の腎臓移植を成功させ、角膜移植もしている。2004年だけで、900例近くの肝臓と腎臓移植を成功させた。移植中心の医療主任・瀋中陽氏によると、2005年1年間で650例の肝臓移植を行った」。「この病院では、2005 年12月16日からの2週間で53例の肝臓移植をした。情報筋によると、最も多いときには、一日24例の肝臓と腎臓を移植した」という。

 2週間に53例の移植、一日に24例の全体肝臓と腎臓移植を行うには、この病院の臓器移植だけで、53人の臓器提供者が2週間の間に死亡し、ある日では24人の臓器提供者が死亡しなくてはならないことを意味する。いったいどこからこんなに大勢の臓器提供者が集まるのか。

 当病院が退院する移植患者に提出する記録表には、臓器提供者の死因は一律「急性脳挫傷」と書かれている。記者がなぜ臓器提供者の死因が全部同じなのかと質問したところ、当病院の移植責任者の瀋中陽・医療主任は、言葉を濁し、明確な答えを避けている。

 臓器は大量虐殺されている法輪功学習者のものか

 移植患者の家族によると、早いときには1日、2日待つだけで適合する臓器が見つかるという。臓器提供者はいったいどこから集まるのか。外部の人は疑問を抱き続けている。

 なぜ2002年から中国での臓器提供者が急激に増加したのか、こんなにたくさんの臓器を提供する死者はいったいどこから集まったのか。中国人の考え方からすれば、ほとんどの人が死後の臓器提供に同意しないはずだ。

 政府側の発表では、臓器は死刑囚からだという。中国衛生部の副部長・黄潔夫氏は2005年7月、国際社会に対し「中国の臓器提供者はほとんど死刑囚である」と発言した。

 しかし、上記の中国紙の報道では、「世界の臓器移植中心地である中国において、国内の肝臓移植の臨床経験と理論に関する論文は国際医学界に認められていない。その主要な原因は、論文の作成者が臓器提供者の身元を明かせないからだ」と報じた。このことから、中国衛生部の副部長が嘘をついていることがわかる。

 ハーゲンス氏が製作した人体標本の中には、8ヶ月の胎児をお腹に抱えた若い妊婦があり、論議を呼んでいる。中国の法律では、妊婦を処刑できないと定められている。例え交通事故で亡くなったとしても、遺族が2人の身内の遺体を人体標本にすることに同意するはずがない。違法収監された法輪功学習者としか考えられないとの説が浮上している。

 1999年7月20日、中共政権は全国約1億人の法輪功学習者に対する集団迫害を開始した。江沢民前総書記が指揮する下で、法輪功学習者に対し、「名誉を貶し、経済力を絶ち、肉体を消滅させる」「法輪功学習者を殺しても、責任はない。自殺とすればいい」との内部通告が伝達されている。

 最近報道された、中共政権に追われ米国に逃亡した中国人ジャーナリストR氏の証言により、臓器摘出のために法輪功学習者を殺害する大型秘密収容所が東北部の瀋陽市蘇家屯地区に存在することが明らかになっている。R氏と連携する内部情報筋によれば、この秘密刑務所には東北地区の法輪功学習者約6千人が監禁されている。そのほか死体を処分する焼却炉が設けられ、臓器を摘出する専門医が多く駐留している。法輪功学習者は生きたまま刑務所から出ることがなく、殺害された後、臓器が摘出され、死体は所内で焼却されるという。 

 この秘密収容所が設置されている病院の元スタッフ(現在海外に在住している)と自称する女性が最近、弊社にさらに詳細な内部情報を提供し、数千人の法輪功学習者から臓器が摘出されていることを証言した。

 法輪功関連サイト「明慧ネット」」3月19日付の報道で、大量の法輪功学習者が集団に東北部に送られて行方不明のままとの証言が報じられている。ある証言者によると、2001年1月上旬、法輪功の冤罪を訴えるため、彼は北京に向かったが、公安当局に逮捕され、大勢の法輪功学習者と一緒に監禁された。ある日の午前3時、緊急集合を命じられ、1人の警官は怪しげな表情を浮かべながら、「法輪功の修煉を放棄しなければ、おまえたちを2箇所の『良い所』に送ってやる。1つは『馬三家教養院』(法輪功学習者に対する残虐な監禁、拷問で悪名高い東北部の大型収容所)、もう1つは…うん、言えないな」と漏らした。全国各地で逮捕された法輪功学習者は40人乗りのバス60台に乗せられ、東北部に出発した。その後大半の人の消息が途絶え、行方不明になったという。もう1人の証言者によると、2000年末ごろ北京の収容所に監禁されたとき、警官に自分の名前を絶対に明かさない大勢の法輪功学習者が2日ごとに大型バスで東北部に送られたと証言している。当時の警官は「東北部のあるところに送り届け、おとなしくさせてやる」と漏らしたという。 

 一方、臓器摘出のための大型秘密収容所の存在が暴露される以前から、「明慧ネット」では、中共警察に殺害された法輪功学習者の遺体に、臓器が摘出された痕跡があることを、実例を挙げて報道していた。以下は報道されたいくつの事例:

 王斌氏(男、享年44歳)は、黒竜江省に在住する法輪功学習者、生前は大慶油田の探査開発研究所のコンピューター・ステーションのソフトエンジニアだった。2000年9月24日大慶市男子労動教養所で警官・ヒョウ喜などから酷刑拷問を受け死亡した。死後心臓や、脳組織などの臓器が摘出された。 王斌氏の遺体に臓器摘出の跡が残っている

 黒龍江省ハルピン市第三火力発電所に勤務する技術者・任鵬武氏(男、享年33歳)は、法輪功の冤罪を訴えるビラを配布したとして、呼蘭区の第2看守所に監禁された。5日後の21日、公安当局は家族に任鵬武氏が死亡したと通告した。遺体の損傷が激しいため、家族は写真撮影しようとしたが、警官に禁止された。その後家族の同意を得ずに、死者ののどから下半身までの臓器は全部摘出され、強制的に火葬した。

 カク潤娟氏(女、享年28歳)は、広州の柯子嶺の住民だった。 2002年2月25日広州白雲区の警官に違法逮捕され、22日後に旦那さんには同氏が死亡したと通知された。遺体と対面したときに、あまり損傷が激しいため、家族は本人であると確認できなかった。その後、2歳の息子の血液を検査した結果、遺体はカク潤娟であることが確認された。内情を知る人の証言によると、カク潤娟は生前様々の酷刑を受け、さらに黄色い薬物のようなものが大量に鼻から管で強制注入され、激しい嘔吐を繰り返したという。死後警察は家族の了解がないままで、遺体を解剖し、内臓の一部を取り出した。状況から判断すると、薬物の実験台にされた可能性が高い。

 楊麗栄氏(女、享年34歳)は、河北省保定の定州市住民だった。法輪功の修煉を放棄しないため、毎日警官が自宅に現れ、一家を脅迫・騒乱し続け、さらに高額の罰金が徴収され、本人は3回も洗脳センターに収監された。2002年2月8日夜警官は楊家を違法家宅捜索した。次の日の早朝、夫は楊麗栄氏の首を絞め、殺した。当時10歳の息子さんは一部始終を全部目撃した。夫の自首の通報を受け現場に駆けつけた法医学者は、その場で遺体を解剖し多くの臓器を摘出し持ち去った。目撃者の証言によると、臓器から熱気が立ち上り、血は当たりの地面を赤く染めたという。

 左志剛氏(男、享年33歳)は、駐中国フィリップ社子会社に勤務する電気製品の修理技師で、河北省石家荘市中山路の瑞光コンピュータ会社に在職していた。2001年5月30日、左氏が結婚する前日に、警官に違法逮捕され、一夜で死亡した。公安当局は首吊り自殺と説明しているが、左氏は身長172センチで、自殺場所とされている刑務所の扉は160センチの高さだった。遺体には激しい損傷があり、背中の腰あたりには2つの正方形の大きな穴が開き、臓器が取り出された模様。遺族は納得しないため、いまだに遺体は火葬されていない。

 楊瑞玉氏(女、享年47歳)は、福州市台江区の房産局に在職していた。2001年7月楊氏は仕事場で違法逮捕され、三日後死亡した。遺族と同僚らは遺体に接近することが禁止され、福州市公安局のパトカーに乗せられ、火葬場に運ばれ、火葬された。関係者は死者の腰の後部には拳の大きさの穴が開いていると目撃した。

 孫瑞健氏(男、享年29歳)は、武漢体育学院を卒業した後、福州市で就職した。2000年11月直訴するために北京に出向かい、公安当局に逮捕された。 12月1日家族は同氏が走行中の列車から飛び降りる際に死亡したと告げられた。最初には、当局は遺体との対面を禁止したが、最後に遺体と会わせたときに、腹部や胸部はすでに解剖されていた。体には拷問を受けた傷跡が鮮明に残っている。

 王行塁氏(男、享年35歳)は、山東省臨沂市の燐酸肥料・工場に勤務していた。2001年8月21日、法輪功の冤罪を訴えるスローガンを書いたため、公安当局に逮捕され、16日後に死亡した。死後三日後に、陽谷県公安局は家族に知らせた。内情を知る人は、王氏は酷刑拷問で死亡し、解剖された後、県医院に搬送されたと漏らした。県医院のある医者もこの情報の信憑性を証明し、臓器が取り出された可能性を示唆した。一方、陽谷県公安局などは「明慧ネット」記者の電話取材を拒否した。

 広州市白雲区戒毒所(麻薬常用者を更生される施設)に収監されていた人が提供した情報によると、同収容所内では、法輪功学習者も多く監禁されている、警官は常に麻薬者に法輪功学習者を暴行するよう命じ、所内の医者はその都度に腹部や、腰、目を殴らないように強調した。「腰を絶対に殴るな、腎臓には大事の用があるからだ」という。一緒に監禁していた東北地区に在住する法輪功の中、青年男性は、ある日連れ出されたが、二度と戻らなかった、地方の法輪功学習者は逮捕され、殺されても、家族が知らないため調べる術もないという。

中共が認めた?臓器移植法起草中

2006/03/22 大紀元

 【大紀元日本3月22日】瀋陽市蘇家屯集中収容所で生きている法輪功学習者から臓器が摘出され、遺体が焼却処分されているというショッキングな事件がこのほど報道されたが、中共政府は3月13日、臓器移植に対する管理を強化するため、全人代で「臓器移植法」を起草中だと発表した。同事件を裏付けるような法案作成に、内外から批判が高まっている。

 専門家によると、蘇家屯秘密収容所のことは、中共の上層部が知らないという可能性は極めて低いという。また、当局は法案を起草中だと発表したが、それは国際社会からの非難を避けるためであると分析している。

 米国で出版されている中国民主化運動情報月刊誌『北京之春』の編集長で、評論家でもある胡平氏は「非常に驚いた」と述べ、国際赤十字に中国で調査を行うよう呼びかけた。

 日本の某報道機関や、駐日本中国大使館が設立した通信会社などに勤務していた中国人ジャーナリストR氏は大紀元の独占取材で、中国瀋陽市蘇家屯に秘密収容所があり、一時期には6000人もの法輪功学習者が監禁されていたと証言した。R氏によると、生きて出所できる者は一人もおらず、収容所には大勢の医師が常駐しているという。

 一週間後、同収容所にかつて勤務していた内部関係者は、蘇家屯秘密収容所は実は瀋陽市蘇家屯区雪松路49号にある遼寧省血栓中西医結合医院に設置されていると証言した。

 この証人の前夫は、2001年から当収容所で、執刀医として生きている法輪功学習者から臓器を摘出していたという。学習者の大部分は腎臓、肝臓、角膜などを摘出された後、焼却された。現在、約2千人の法輪功学習者が監禁されている。彼女は、法輪功学習者からの臓器摘出は未だに行われていると確信している。また、臓器売買から経済利益を得たのはこの病院の上層部だけでなく、中共衛生部関連の官僚たちも絡んでいると指摘した。

 米国のコロンビア大学の李天笑博士は、(もし本当であれば)蘇家屯秘密収容所の残酷さは第二次世界大戦時のアウシュビッツ強制収容所を超えていると述べた。あの時、ナチスは毒ガスでユダヤ人を殺戮した後に死体を燃やしたが、中共は生きている人から臓器を摘出後、遺体を焼却処分している。李博士は、正常な人なら、この極悪非道な国家犯罪に、驚かずにはいられないと漏らし、中共にもし、少しでも良心が残っているのであれば、この件を徹底的に調査し、国際社会に結果を公表すべきだと付け加えた。

 胡編集長は、赤十字を含めた国際社会が必ず調査に行くべきであり、真相を究明しなければならないと強調した。更に、他にも内情を知る医師がいるはずであり、もっとたくさんの医師が真相を明かすよう呼びかけた。

 さらに胡編集長は、ブッシュ大統領は訪米を予定している胡錦濤・中国国家主席に対して、中国の人権問題の改善を促すべきだと主張した。

中国の秘密刑務所、生きた人から臓器を強制摘出

2006/03/17 大紀元

 【大紀元日本3月17日】法輪功への集団迫害を調査する国際組織「追査国際」は15日、中国瀋陽市蘇家屯地区にある秘密刑務所で法輪功学習者の臓器を強制摘出し売買する事件の真相の一部を纏めた調査報告書を公表した。そのなかで、瀋陽市蘇家屯地区の人体臓器の闇市場の存在とその詳細を暴露し、中共政権最高指導部は背後の黒幕であることを指摘した。

 それによると、蘇家屯地区では臓器提供対象とされる法輪功学習者を監禁する大型秘密刑務所、適合検査と臓器摘出する病院、臓器が摘出された後の死体を処分する焼却炉、移植する病院(必ず蘇家屯地区にあると限らない)などが綿密な連携を保って行われているという。

 調査報告によると、秘密刑務所は蘇家屯地区の某病院の近くで、すべての施設は地下にあり、防空壕などの地下建築を改築したものである。少なくとも1つの出口は当病院の裏門に設置している。秘密刑務所は外界から完全に遮断され、地上からは状況を把握できない、常に厳戒警備の状態で、地下商店などの生活必需施設も完備している。

 6千人以上の法輪功学習者がこの秘密刑務所に監禁されているという。内部情報筋によると、彼らは二度と刑務所から出ることはできないという。臓器移植のタイミングに合わせ、生きたままで臓器が摘出され、遺体は刑務所内の焼却炉で処分される。全過程があまりにも残忍であるため、関与した医療関係者の多くは、睡眠障害、悪夢などの症状に見舞われ、精神状態が異常に陥り、中には風俗に浸りストレスを解消する人や、自殺者も出ているという。被害者の家族は彼らの行方を調べることもできない。全過程において証拠が完全隠ぺいされている。

 また、同報告書は、この秘密刑務所の設置と運営を中共政権最高指導部が直接かかわり、臓器を移植する軍と地方の病院や遼寧省と瀋陽市の政府高官などは内情を知り尽くしており、側面から運営にかかわっていると指摘した。

 「追査国際」はこれからも調査を継続し、段階的に調査結果を公開すると表し、また情報提供を呼びかけると同時に、重要証拠提供者の海外脱出や、亡命申請に協力すると承諾した。(記者・ソーニー)

「九評」シンポジウム:蘇家屯・臓器売買事件の信憑性について(1)

2006/03/14 大紀元

 【大紀元日本3月14日】オーストラリア大紀元時報は3月11日、シドニーで「九評(共産党についての九つの論評)」シンポジウムを開催した。参加者らは、最近暴露された中国蘇家屯での臓器売買事件に強い関心を示し、質疑応答の時間には、白熱の議論が展開された。

 参加者からの質問:蘇家屯事件、鳥インフルエンザ事件について、何故主流メディアは報道しないのか?大紀元の報道の信憑性を疑うが

 自由主義法学家・袁紅氷氏は、グローバルなウェブサイトおよび新聞が、ある事件をトップニュースで報道した後、72時間が経過すると、米国内の事件の場合、政府当局がまず事実を明らかにすると述べた。もし蘇家屯のような集中収容所が存在しなければ、米政府は報道したメディアに対して責任追及をするだろう。蘇家屯事件の報道が発表されてから既に72時間が経っているが、未だに中共が沈黙を守っているということは、これらの報道内容が事実であると確信できると述べた。

 同氏は、SARS発生当時、北京当局がWHOの検査を逃れるために、多くの救急車にSARS患者を乗せて、町中を走り回っていたことに言及した。当時の衛生部長・張文康氏は記者会見で、北京は最も安全であり、北京にSARSは発生しておらず、中国は安全であると発表している。ここまでウソをつく政府に対して、証拠に基づいて原則上有罪であることを確定できると示した。

自由主義法学家・袁紅氷氏(大紀元)

袁氏は、1959年から1961年の間、中国大陸で4000万人が餓死したことについて、中共が対外的には、3年間の自然災害によるものであると言い切ったことに言及した。しかし、当時の気象記録調査によると、その3年間の気候は非常に穏やかだったことが分かっている。小規模の自然災害はあっても、全国的な悪影響には及ばなかったという。実際、多くの人が餓死した原因は、毛沢東が史上最大規模の集中収容所である「人民公社」を建設したからである。袁氏は、今回の蘇家屯事件について、中共が否定しないことは、事実だと断定できると指摘した。

中国問題学者・陳弘シェン博士(大紀元)

中国問題学者・陳弘シェン博士は、大紀元以外の主流英語メディアがじきに報道することは期待できるが、中国語の新聞は報道しないかも知れないと述べた。なぜなら、殆どの中国語新聞社は親中であり、中共の圧力を恐れるためであると分析した。また、陳博士は、SARS発生当時、上海当局は対外的に4人のSARS患者および1人がSARSに似た症例で発見されたと発表したことに言及した。しかし、当時、同氏が中国上海に在住する豪州の友人に電話で尋ねたところ、友人の会社の従業員140人のうち、既に3人が、SARSに似た症状が出ていたという。同氏は、それらの会社は中共の統計対象には入っていなかったのだろうと述べた。

世界平和連盟大使・トレイシー氏(大紀元)

世界平和連盟大使・トレイシー氏によると、第二次世界大戦の終わり頃、米兵がナチス集中収容所へ到達するまで、収容所を暴いたメディア報道はなかったと述べた。しかし、集中収容所は確実に存在し、中で経験した残虐な扱いは、多くの米兵を苦しめた。トレイシー氏は、独裁政権がいかに新聞および情報を厳しく封鎖していることを指摘した。

 参加者からの質問:報道の顔写真は何故ぼかすのか?何故大紀元だけが報道しているのか?報道内容の信憑性は?

 質問に対し袁紅氷氏は、中国には思想の自由、言論の自由、新聞の自由がなく、情報提供者の身の安全を守る必要性があると述べた。現在中共の刑務所にはまだ多くの政治犯、良心的囚人および思想犯が監禁されており、有名なのは張林氏、師濤氏、鄭怡春氏、楊天水氏などである。最近では、貴州でも、海外で文章を発表したとしてある記者が重刑を科されている。中共は国家テロ主義を極め、民衆の思想および言論の自由を抑圧しているが、大紀元が内幕を暴露する時は、情報提供者の身の安全を考慮し、顔をぼかしていると説明した。

 また、袁氏は何故大紀元のみ報道しているのかについて、大紀元はニュースをキャッチする能力が他のメディアより優れているからであると述べた。

 袁氏はさらに、信憑性について実証すべきであると強調し、ネット上で提案されたように、直ちに国際調査グループを結成し、蘇家屯へ派遣する必要があると述べた。しかし、同氏は、中共が国際調査グループの捜査を受け入れる度胸があるかは疑問であると述べた。(続く)

法輪功学習者から臓器摘出、中国の臓器売買の実態

2006/03/11 大紀元

 【大紀元日本3月11日】中国は今、世界最大の臓器売買の闇市場と化している。これまで国際メディアの報道や医療関係者、被害者遺族の証言などにより、刑務所で囚人や法輪功学習者を殺害し、臓器を摘出する真相の一部が暴露されている。米国に逃亡した中国人ジャーナリストR氏の証言によりこのほど、臓器摘出のために法輪功学習者を殺害する大型秘密刑務所の存在が明かされ、ナチスよりも残酷な迫害実態が暴露された。一方、台湾の「明慧ネット」も複数の法輪功学習者が殺された後、臓器摘出された疑いがあると報じた。米国や欧州連合(EU)、国際人権団体なども中共の組織的犯罪行為を厳しく非難している。

 中国人ジャーナリストR氏が瀋陽市近郊の蘇家屯地区にある大型秘密刑務所の存在を明かした。この刑務所は非常に辺鄙な所に位置し、周辺は樹木に囲まれているという。同氏が独自の情報ネットワークで入手した内部情報によると、この刑務所の情報が外界に漏れないように、中の施設はすべて長期服役囚により建設された。高い外塀にはワイヤネットの電気柵が綿密に敷かれ、鉄門は閉ざされたままで、出入りする人はほとんどなく、通る車もワゴン車だけである。刑務所の存在が闇に包まれ、外部から完全に遮断されていて、看板も掲げていない。

 R氏と連携する内部情報筋によれば、この秘密刑務所には東北地区の法輪功学習者約6千人が監禁されている。そのほか死体を処分する焼却炉が設けられ、臓器を摘出する専門医が多く駐留している。法輪功学習者は生きたまま刑務所から出ることがなく、殺害された後、臓器が摘出され、死体は所内で焼却されるという。

 周辺地区の住民によると、刑務所の正体を知らずに、周辺あたりには人の気配がなく、毎日煙突から白い煙が見え、非常に不気味な雰囲気が漂うため、住民は恐怖のあまり、ここには近寄らないようにしているという。

 別の目撃者の証言によると、蘇家屯地区に通じる道路には、障害物が設置され、車が通れないようにしているという。

 一方、瀋陽市一部の私立病院や医療機構の関係者の間では、蘇家屯の秘密刑務所で法輪功学習者の臓器を入手できるとの情報は密かに流れている。しかし、公ではだれも口を固く閉ざしている。

 中共政権は法輪功への集団迫害をすでに6年以上続けてきた。全国で数十万人の学習者が監禁され、ナチスよりも残酷な拷問を受けている。江沢民前総書記が指揮する下で、法輪功学習者に対し、「名誉を貶し、経済力を絶ち、肉体を消滅させる」「どんどん拷問をし、死んだら自殺だ」「身元を確認せず、火葬できる」などの政策が政権内部で通達され、6年間大勢の法輪功学習者が謎のままで殺害された。

 以下に公表する法輪功学習者の臓器が摘出された疑いがある実例は、台湾の「明慧ネット」で報道されたもので、恐らく氷山の一角にすぎない。

 王斌氏(男、享年44歳)は、黒竜江省に在住する法輪功学習者、生前は大慶油田の探査開発研究所のコンピューター・ステーションのソフトエンジニアだった。2000年9月24日大慶市男子労動教養所で警官・?喜などから酷刑拷問を受け死亡した。死後心臓や、脳組織などの臓器が摘出された。

 黒龍江省ハルピン市第三火力発電所に勤務する技術者・任鵬武氏(男、享年33歳)は、法輪功の冤罪を訴えるビラを配布したとして、呼蘭区の第2看守所に監禁された。5日後の21日、公安当局は家族に任鵬武氏が死亡したと通告した。遺体の損傷が激しいため、家族は写真撮影しようとしたが、警官に禁止された。その後家族の同意を得ずに、死者ののどから下半身までの臓器は全部摘出され、強制的に火葬した。

 カク潤娟氏(女、享年28歳)は、広州の柯子嶺の住民だった。 2002年2月25日広州白雲区の警官に違法逮捕され、22日後に旦那さんには同氏が死亡したと通知された。遺体と対面したときに、あまり損傷が激しいため、家族は本人であると確認できなかった。その後、2歳の息子の血液を検査した結果、遺体はカク潤娟であることが断定された。内情を知る人の証言によると、カク潤娟は生前様々の酷刑を受け、さらに黄色い薬物のようなものが大量に鼻から管で強制注入され、激しい嘔吐を繰り返したという。死後警察は家族の了解がないままで、遺体を解剖し、内臓の一部を取り出した。状況から判断すると、薬物の実験台にされた可能性が高い。

 楊麗栄氏(女、享年34歳)は、河北省保定の定州市住民だった。法輪功の修練を放棄しないため、毎日警官が自宅に現れ、一家を脅迫と騒乱し続け、さらに高額の罰金が徴収され、本人は3回も洗脳センターに収監された。2002年2月8日夜警官は楊家を違法家宅捜索した。次の日の早朝旦那さんは楊麗栄氏の首を絞め、殺した。当時10歳の息子さんは一部始終を全部目撃した。旦那さんの自首の通報を受け現場に駆けつけた法医学者は、その場で遺体を解剖し、多くの臓器を摘出し、持って行かれた。目撃者の証言によると、臓器から熱気が立ち上り、血は当たりの地面を赤く染めたという。

 左志剛氏(男、享年33歳)は、フィリップ駐中国子会社に勤務する電気製品の修理技師で、河北省石家荘市中山路にある瑞光コンピュータ会社に在職していた。2001年5月30日、左氏が結婚する前日に、警官に違法逮捕され、一夜で死亡した。公安当局は首吊り自殺と説明しているが、左氏は身長172センチで、自殺場所とされている刑務所の扉は160センチの高さだった。遺体には激しい損傷があり、背中の腰あたりには2つの正方形の大きな穴が開き、臓器が取り出された模様。遺族は納得しないため、いまだに遺体は火葬されていない。

 楊瑞玉氏(女、享年47歳)は、福州市台江区の房産局に在職していた。2001年7月楊氏は仕事場で違法逮捕され、三日後死亡した。遺族と同僚らは遺体に接近することが禁止され、福州市公安局のパトカーに乗せられ、火葬場に運ばれ、火葬された。関係者は死者の腰の後部には拳の大きさの穴が開いていると目撃した。

 孫瑞健氏(男、享年29歳)は、武漢体育学院を卒業した後福州市で就職した。2000年11月直訴するために北京に出向かい、公安当局に逮捕された。 12月1日家族は同氏が走行中の列車から飛び降りる際に死亡したと告げられた。最初には、当局は遺体との対面を禁止したが、最後に遺体と会わせたときに、腹部や胸部はすでに解剖されていた。体には拷問を受けた傷跡が鮮明に残っている。

 王行塁氏(男、享年35歳)は、山東省臨沂市の燐酸肥料・工場に勤務していた。2001年8月21日、法輪功の冤罪を訴えるスローガンを書いたため、公安当局に逮捕され、16日後に死亡した。死後三日後に、陽谷県公安局は家族に知らせた。内情を知る人は、王氏は酷刑拷問で死亡し、解剖された後、県医院に搬送されたと漏らした。県医院のある医者もこの情報の信憑性を証明し、臓器が取り出された可能性を示唆した。一方、陽谷県公安局などは「明慧ネット」記者の電話取材を拒否した。

 広州市白雲区戒毒所(麻薬常用者を更生される施設)に収監されていた人が提供した情報によると、所の中では、法輪功学習者も多く監禁されている、警官は常に麻薬者に法輪功学習者を暴行するよう命じ、所内の医者はその都度に腹部や、腰、目を殴らないように強調した。「腰を絶対に殴るな、腎臓には大事の用があるからだ」という。一緒に監禁していた東北地区に在住する法輪功の中、青年男性は、ある日連れ出されたが、二度と戻らなかった、地方の法輪功学習者は逮捕され、殺されても、家族が知らないため調べる術もないという。

 米下院は昨年12月、中共政権の労働改造制度を非難する「労働改造譴責法案」可決した。草案を作成した共和党議員フランク・オルフ氏は、中共政権の囚人を利用した臓器売買を厳しく批判した。米国の労働改造基金会の関係者は「多くの患者が移植を受けるときに、だれもが臓器提供の合法性を考慮していない」と指摘、欧州議会も1998年、中共の臓器摘出事実に震撼、「これは国際基準に照らしても、深刻な人権違反、一種の犯罪行為」と厳しく非難した。(記者・文華、季達)

中国で臓器移植 2年間で日本人7人が死亡

2006/03/01 大紀元

 【大紀元日本3月1日】日本政府は、ここ2年間で、中国で臓器移植手術を受けた日本人7人が死亡したと発表した。26日に発表された報告によると、日本人7人の年齢は30〜50歳で、2004年から今年2月の間に上海、瀋陽、山西で手術後に死亡した。

 厚生労働省の研究班は、7人の臓器移植による死亡事故を個別に検証し、来月末に報告書を提出する予定。

 また、共同通信社2005年12月31日付報道によると、2004年1月から2005年12月の間に、瀋陽、上海、北京3箇所の病院で108人の日本人が手術を受けていた事が明らかとなっている。

 中国死刑囚の臓器を移植

 中国での臓器移植は日増しに進歩しているが、多くの臓器は死刑囚からの提供であることから、倫理的な問題が指摘されている。

 中国遼寧省瀋陽市で臓器移植手術を請け負う「中国国際器官移植支援センター」のデータよると、2004年1月〜2005年12月の間に、移植された臓器のほとんどは死刑執行された人物のものであることわかった。

 中国社会の法体制は西洋社会に比べて整っておらず、中国刑務所に収監されている人の中には冤罪や政治犯が多い。刑務所内では看守による虐待で死亡するケースも少なくない。死刑囚の家族は死刑執行に使用する銃弾費を請求され、体の臓器は売買されているといわれている。

外国人への移植自粛指示、取材拒否も 中国

平成18(2006)年02月28日 The Sankei Shimbun

 中国国内で日本人を含む外国人に対する臓器移植手術が急増している事態を受け、中国衛生省が各地の移植実施病院に「外国人に対する移植手術を控える」よう自粛を指示する内部通知を文書で出していたことが二十八日分かった。複数の医療関係者が明らかにした。同関係者は、中国ではドナー(臓器提供者)の大半が死刑囚である点など人権上の問題が指摘されていることを挙げ、「中国政府は国際的イメージが悪くなることを懸念している」と述べた。

 内部通知は今年一月に出され、「臓器が足りないので、外国人への移植手術は控える」よう要請。さらに、移植に関して(1)外国人記者の取材を拒否(2)取材には許可を必要−とすることも義務付けた。ただ、衛生省は通知で「完全な中止」は求めておらず、各病院では現在も外国人への移植手術が続いている。通知は、外国人への移植手術が実施されている遼寧省瀋陽市や上海市などの大規模病院を対象に出されたもようだ。

 中国では二〇〇一年以降、瀋陽や上海などの病院を紹介し、通訳や付き添いで支援する複数のサポート組織を通じて腎臓や肝臓、心臓移植を受けた日本人が百八十人以上に上ることが判明。このうち移植実施が集中した〇四年以降に七人が手術直後に死亡している。

 世界中でドナー不足が深刻化する中で、日本のほか、欧米諸国や韓国、インド、イスラエルなど各国の患者が臓器を求めて中国に渡っている。中国当局が外国人を対象にした移植の完全中止に踏み切れば、移植を必要とする患者の間に混乱が生じる可能性が高い。(北京=時事)

中国当局が調査、規制も 邦人ら対象の臓器移植

2006/02/27 中国新聞

 【北京27日共同】中国衛生省が、同国内で日本人など外国人への臓器移植が増加していることを踏まえ、移植を行ってきた医療施設を対象に、実態把握のための調査に乗り出したことが27日、分かった。

 日本ではドナー(提供者)不足を背景に、安価とされる中国での臓器移植に関心が集まりつつあるが、中国側には「中国人の臓器を外国人に優先的に提供しているとの印象を与えかねない」との懸念があり、同省が何らかの規制に乗り出す可能性もある。中国の医療関係者らが明らかにした。

 対象の病院は明らかになっていないが、日本人の移植希望者を多数受け入れている上海の大学付属病院など、複数の医療機関の担当者から事情を聴いているもようだ。

心臓や肺などの脳死移植に保険適用へ

2006年01月12日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 厚生労働省は11日、2006年度の診療報酬改定で、心臓や肺などの脳死移植について、保険適用する方針を決めた。

 1997年の臓器移植法施行後、40例に及ぶ脳死移植が行われ、通常の医療として普及が進んだと判断したため。心臓や肺移植の場合、患者の自己負担とされた250〜300万円にのぼる手術費用も保険給付の対象となることで、患者の経済的負担が軽くなり、移植医療の普及を後押ししそうだ。

 同日、厚労相の諮問機関・中央社会保険医療協議会(中医協)で方針が示された。中医協で認められれば、4月から実施される見通し。今回新たに保険適用の方針が示されたのは、心臓や肺、肝臓の脳死移植と、すい臓移植。わが国では、混合診療が原則認められていないが、優れた効果があり、安全性も確認された新しい医療については保険適用までの過渡的措置として、医療費の一部を保険給付の対象とする「高度先進医療」の制度がある。今回、対象となる心臓移植などはいずれも高度先進医療の適用を受けており、移植手術費用を除いた検査や投薬、入院などの費用は保険で賄われていた。

 厚労省の試算では、保険適用されると心臓移植の総費用が1か月で1000万円かかった場合、負担が一定額を超えると保険給付が受けられる「高額療養費制度」の適用も受けられるため、患者の自己負担額は約17万円で済むことになるという。臓器移植で保険適用の対象となっていたのは、既に2600件以上行われている生体肝移植のほか、腎臓や角膜移植だけ。

 日本移植者協議会の大久保通方(みちかた)理事長の話「保険適用によって、移植医療が日本の医療の中で特殊なものではなくなる。誰もが移植を受けられるようになるべきだと、厚生労働省がメッセージを送ったものだと考える」

日本人108人が中国で臓器移植 過去2年間、ドナー大半は死刑囚

2005/12/31 The Sankei Shimbun

 日本人を主な対象として中国での臓器移植を支援している遼寧省瀋陽市の現地法人「中国国際臓器移植支援センター」は31日、日本人計108人を2004年1月から05年12月までに受け入れ瀋陽、上海、北京の3病院で移植手術を実施したことを明らかにした。ドナー(提供者)のほとんどは死刑囚という。

 センターのスタッフは約50人で、10人は日本人。日本国内では厚生労働省の許可を得た日本臓器移植ネットワーク以外の組織による臓器あっせんは、臓器移植法に抵触する恐れがあるため、インターネットを通じ、中国での移植に関する情報を日本語で提供している。

 センター関係者は臓器移植について「これまでに150例前後は行われていると思う」と指摘。多くは末期患者とされ、中国で移植手術を受ける背景には、日本国内のドナー不足があるという。

 待機中の臓器移植希望者は日本国内で5人、上海の病院で5、6人ほどいるとしている。

 支援センターの話によると、過去2年間で97人に腎移植を行ったほか、9人に肝移植、2人に肝臓と腎臓の同時移植を実施。腎移植の成功率は100%、肝移植は末期状態の患者2人が死亡したが、手術に問題はなかったとしている。

 費用は、腎移植が600万―750万円、肝移植が1300万―1800万円など。日本よりも全体的に割高だが、欧米よりも安く、20―30歳代の健康な臓器の提供を受けられるとしている。

 中国衛生省は最近、中国国内のドナーについて「大多数が死刑囚」と初めて認めたばかりで、04年に実施された肝移植約2700例、腎移植約6000例のうち95%は死刑囚からの提供とされる。(共同)

中国、死刑囚から移植用臓器を採取

2005/12/14 大紀元

 【大紀元日本12月14日】中国衛生部はこのほど、中国で現在移植に使用されている臓器の多くが死刑囚から採取したものであることを認め、今後関連法案の改正に取り組む方針を明らかにした。香港星島日報が報じた。

 報道によると、中国政府は死刑囚の臓器を採取していることを初めて認め、死体移植(臓器移植の95%)のドナーのほとんどが死刑囚だという。

 また、中国のある化粧品会社は死刑囚の遺体から採取した皮膚を化粧品の原料として使用し、ヨーロッパに販売しているという。この会社のエージェントの話によると、死刑が執行された死刑囚の遺体から皮膚を取り、コラーゲン蛋白を抽出し、リップとスキンケア用品に使用されているという。

 中国の死刑に関する統計は公表されていないが、アムネスティー・インターナショナルの調べによると、2004年の中国における死刑執行件数は、少なくとも3600件。毎年1万件近くの死刑が執行されているとする説もある。

家族の借金返済のために臓器を売ろうとする若者

2005/10/29 Gulf Newsドバイ日和

 26歳のUAEナショナル、モハメッドは今、自分の内臓を売ろうとしている。腎臓や肝臓に比べて、心臓が最も高く売れるだろう、という。彼は、家族が抱える借金をDh60万(約1,800万円)を返済するまで、内臓を全て売ってもいいと考えている。

 モハメッドの父親は、1985年にドバイに土地を買うために銀行からDh15万(約450万円)を借りた。さらに、海運事業のためにDh3万(約 90万円)を借りた。その後、父親に土地を売った人が法的な所有者ではなかったことが判明し、まもなく一家はその土地を失った。その後、事業が失敗した。緊急の医療費も必要になり、一家の借金はDh60万に膨らんだ。

 モハメッドは、友人やインターネット、口コミを通じて臓器を買ってくれる民間団体を探している。買い手が見つかれば、海外に行って臓器を摘出する手術を受けるつもりだという。

 UAEでは臓器の売買は違法で、国内の外科医は決して売買された臓器を移植に使用しないという。移植目的の腎臓・肝臓・心臓・肺などの臓器の売買は大半の国で禁止されているが、インド、トルコ、イスラエル、中国などでは臓器売買の闇取引が盛んに行われている。

 臓器を売る者の多くはひどい貧困に苦しんでいる。彼らは何も売る財産がないため、身体の一部を売るしかないのだ。一番高く売れる心臓を売りたいと強く願うモハメッドを、誰も止めることができない。

 一部の地域では公然と臓器売買が行われているというし、貧しい地域では一生に稼ぐ金額よりも高値で臓器が売れることもあるらしい。しかし、繁栄した国でもこのように、臓器を売るほどまで深刻な貧しさに苦しむ人がいることは衝撃的である。臓器を売るよりも他に、もっと健全で地道な方法もあるとは思うのだが・・・。

中国:死刑囚の皮膚で化粧品作り、欧米にも輸出

2005/09/15 大紀元

 【大紀元日本9月15日】英国紙「ガーディアン」の報道によると、中国の化粧品会社が処刑された死刑囚の皮膚を利用して化粧品を開発し、香港経由で欧米に向けて輸出している。また、堕胎された胎児の組織からコラーゲンを製造する研究も進めているという。

 同紙によれば、記者が香港の業者を装い、ある中国化粧品会社の代理店と接触した。会社の名前は明らかにされていないが、黒龍江省を拠点に、全国各地に工場を設けている会社だという。代理店はおとりの記者に対し、「中国で処刑された死刑囚の皮膚から、唇や肌のしわ治療に有効なコラーゲンを開発している。製品の一部はすでにアメリカや、英国と欧州に輸出された」と語り、「死刑囚の皮膚は以前から使用してきた。中国では日常茶飯事だ。以前はもっと安かった。裁判所にも上納金を納めているし、政府からは控えめに進行するよう指導された。決して驚くべきことではない」と記者に強調した。

 この代理店からの情報によると、この化粧品会社は死刑囚や胎児の皮膚を利用して、様々な研究を行っている。皮膚は黒龍江省のバイオテクノロジー関係の企業から仕入れ、中国国内のほかの地区で研究開発しているという。

 問題のコラーゲン化粧品の流通経路や販売状況などについてはまだ把握できていない。中国での関連開発の進行状況も不明だという。

 中国死刑囚数は、全世界の合計の9割強を占める

 中国で処刑される死刑囚の数は、他の国の合計よりも多い。昨年世界で執行された5500件近い死刑のうち、約5000件は中国で行われたとの集計結果もある。

 中国での死刑執行は、見せしめ効果以外に、死刑囚の体はまさに宝の山である、全身の臓器が摘出され、裏売買されているという。2001年6月米国へ亡命した天津武装警察医院の王国齊(音訳)医師は、アメリカ議会で証言したことによれば、処刑場や火葬場で、銃殺処刑されたばかりの死刑囚から皮膚や目の角膜を摘出したことを100回以上経験してきたという。時に死者の心臓がまた鼓動しているのに、摘出が行われたこともあると明かした。

 1998年、欧州議会は中国共産党のこの野蛮な行動に対し、関連決議を通過させ、「これは犯罪行為である。国際社会の犯罪者の人権を尊重する保護規定や、身体の不可侵条例に厳重違反している」と強く非難した。

 問題のコラーゲン化粧品による感染の危険性

 コラーゲンは皮膚や骨、軟骨などの結合組織を構造する繊維性たんぱく質。今回のようなケースは倫理上の問題だけではなく、感染の危険性も指摘されている。欧米ではコラーゲンを原料とする化粧品の販売が禁止されておらず、医学界と政治家らは、この問題に懸念を示している。

 皮膚科専門医の香港医学会副会長・史泰祖氏は、「本来コラーゲン成分は、主に牛から採取されていたが、狂牛病問題で、植物から採取するようになった。死刑囚の遺体からコラーゲンを採取する手法は、道徳倫理上と衛生安全問題上では受けがたいことだ。血液も同様だが(中国では血液が売買されている)、人間の体と臓器まで商品化されると、大きな社会問題を引き起こす」と怒りをあらわにした。

臓器売買あっせん巨額授受3人拘束

2005.09.12 中央日報パク・ソンウ記者

ソウル警察庁捜査科は臓器売買をあっせんして巨額を受け取った疑い(臓器など移植に関する法律違反)でユン某氏(47)らブローカー2人と前職看護師のシン某氏(44)ら3人を拘束したと11日、明らかにした。

警察はまた、彼らから金を受け取り、臓器を売買したチェ氏(38)ら臓器売買者45人を書類送検した。

法的に臓器寄贈は「純粋無償寄贈」のみ可能で、有償は禁止されている。

警察によるとブローカーのユン氏らは全国の駅やバスターミナルのトイレに臓器売買広告ステッカーを貼り、2001年11月、これを見て連絡したパク氏(32)の腎臓をユン某氏(62)にあっせんし、3千万ウォン(約320万円)を受け取るなど54人に腎臓売買をあっせんし6億5千万ウォンを受け取った疑いだ。

中国で腎移植男性に聞く 自己責任で決断 長い闘病、限界

2005/03/27 The Sankei Shimbun 東京朝刊から

 「今の日本の法律や移植システムに殺されるのは納得できない。だから自己責任で決断した」。中国・広州市の「クリフォード病院」が日本の患者への腎臓移植に向けた窓口開設を計画している問題で、昨年夏に中国に渡り、この病院で移植を受けた40歳代の男性が産経新聞の取材に応じ、心情を語った。死刑囚の人権問題を指摘する声もあるが、5年間ドナーを待ち続け、体力の限界で下した決断だったという。一問一答は次の通り。

 −−いつクリフォード病院で移植を受けたのか

 「仕事を片付けて昨年7月に中国に渡り、8月に手術を受けた」

 −−どうやってクリフォード病院を知ったのか

 「クリフォード病院の日本支部設立を推し進めている日本クリニックが作ったパンフレットで知った」

 −−死刑囚を臓器提供者にする「死刑囚ドナー」をどう思うか

 「クリフォード病院は、腎臓を提供してくれたドナーについては一切、答えない。だから死刑囚かどうかは分からない。だが、中国の法律で裏付けられたドナーであることは間違いない」

 −−死刑囚の人権問題を主張する声もあるが

 「中国の法律に抵触する行為ではないので、日本人や日本の政府がとやかく言う問題ではないと思う」 

 −−それでもかなりの決断がいったでしょう

 「5年間、ドナーを待った末の決断だった。ただ、ひたすらドナーを待つより、一度にきっちりと決めた方がいいと考えた。その国の法律に違反してまで腎臓の提供は受けたくはないが、違反でなければ、自己責任でやればいい」

 −−5年間の透析生活も大変だったでしょう

 「長い透析生活で、精神的にも肉体的にも限界に来ていた。もし、半年か1年、移植が延びていたら、透析の合併症で移植手術に耐えられない体になっていた。そうなっても、国は面倒をみてくれない。この気持ちは私のような病気(慢性腎不全)になった人でなくては分からない」

 −−日本の臓器移植法や移植システムについてはどう思うか

 「はっきり言って、今の移植法は私たち患者を守ってはくれない。このままでは週4、5回、1日4時間も人工腎臓(透析装置)につながれる患者を増やすだけだ。倫理観がどうのこうのと言っても始まらない」

 −−かなりの費用がかかったようですが

 「治療行為やその他の費用として支払った。お金を出したからと言って臓器売買には当たらないし、その意識も全くない」

 −−クリフォード病院を選んだ理由は

 「腎移植にかなりの経験のある医者がいたし、病院のセキュリティーもしっかりしていたので」

 −−移植はどのように進められたのか

 「透析の合併症を改善しないと手術できないと言われ、入院してから移植するまでは、肺や心臓の精密検査を行い、肺結核とがんも徹底的に調べた。同時に中薬(中国伝来の薬)で体質を改善し、体力も付けた」

 −−どのくらいでドナーが現れたのか

 「2週間経過した時点で、一度、ドナー情報があったが、適合性の問題からパス。その1週間後、適合率90%のドナーが現れ、移植手術に踏み切った。最初に3週間かかると説明された通りになった。クリフォード病院は、腎臓が回ってくる優先順位が高い」

 −−移植を受けた感想は

 「尿が出る喜びを知った。人生観も変わった」

 <「日本クリニック」> 中国系米国人によって1992年に米国で設立された。米国内に日本人向けの8カ所の診療所(シカゴ、アトランタ、サンディエゴなど)を持ち、独立採算経営のもとに医療ネットワークを結んでいる。総スタッフ50人(うち医師20人)で、日本人、あるいは日本語が話せる米国人や中国人らが医師として勤務する。

腎移植 中国の病院、都内に窓口 開設準備 渡航手術2例実施

2005/03/27 The Sankei Shimbun 東京朝刊から

 中国の病院が、日本に支部(事務所)を開設して日本人の腎臓病患者(レシピエント)に情報を提供し、中国で腎臓移植手術を行う計画を進めていることが、関係者の話で分かった。腎臓を提供してくれるドナーが見つからず、長年、人工腎臓(透析装置)で透析治療を続けている患者にとって選択肢が増える。しかし、中国のドナーは死刑囚といわれ、日本臓器移植ネットワークを介した善意のドナーとは違うだけに大きな波紋を呼びそうだ。

 関係者によると、日本に支部を出す計画を進めているのは、カナダ系華僑が経営する中国広東省広州市の「クリフォード病院」。二〇〇三年に中国政府から腎移植手術ができる「腎臓移植医療項目技術準入」に認可され、中国臓器提供センターから腎臓を譲り受け、年間、中国全体の腎移植(年間、五千件)の4%に当たる二百件の腎移植を行っている。

 クリフォード病院は、早ければ今年夏にも、東京都台東区秋葉原に支部となる事務所を置く計画で、現在、事務所の設置費、運営費、人件費の見積もりを詰めている。昨年の六月と七月には、四十歳代男性と六十歳代女性の日本人患者が、中国に渡ってクリフォード病院に入院して腎移植手術を受け、成功して帰国している。

 クリフォード病院の日本進出を推し進めているのが、米国内に八つの診療所を持ち、日本人の駐在員や旅行者らを対象に治療行為を行っている米国の「日本クリニック」。中国の臓器移植は、技術面や衛生面で問題のある病院が多いと指摘されているため、平成十五年七月から半年かけ、この日本クリニックの日本人スタッフが、クリフォード病院について、腎臓の入手方法や手術内容を詳しく調査した。その結果、スタッフや設備、技術の水準は高く、問題なく、腎移植手術ができることが判明した。

 日本クリニックはすでに、年間、五十人の日本人が、腎移植手術を受けられる枠をクリフォード病院と結んでいる。中国人だと、二百万円前後だが、日本人がクリフォード病院で腎移植を受ける費用は、渡航費や入院費、通訳料などすべて含んで八百万円から九百万円かかる。

 入院は手術前と後を合わせ、平均六十日というが、HLA(白血球の型)や血液型の合ったドナーが見つかるまでに一週間から四週間はかかる。

 百パーセントの生着率(移植した臓器が機能して移植手術が成功する率)を確保するため、ドナーを三十歳代から二十歳代という若い人に限定。しかも腎臓は摘出後、十二時間以内でレシピエントに移植される。

               ◇

≪波紋呼ぶ「死刑囚ドナー」≫

 問題は「臓器売買」と並んで批判される死刑囚をドナー(臓器提供者)にする「死刑囚ドナー」をどう考えるかだ。

 一九九八年六月、米連邦議会の下院公聴会で、中国の「死刑囚ドナー」の実態について証言した岡山大の粟屋剛教授(生命倫理)によれば、中国では最高人民法院などの規定で、死刑囚から臓器を取り出して患者に植え付けることが認められ、一説では、移植される臓器の九割以上が、死刑囚からの摘出とまで言われる。

 粟屋教授は九五年から九七年にかけ、計五回、中国で現地調査を行い、入手した資料やリポートをもとに論文や著書を発表している。

 粟屋教授によると、中国では一般人からの臓器提供はほとんどなく、「死刑囚ドナー」のメリットは(1)多くの死刑囚は若く、健康(2)麻薬歴や肝炎、HIVの事前チェックができる(3)あらかじめ死亡の日時や場所が分かり、移植を受けるレシピエントの選定や待機が簡単−があげられている。粟屋教授は「ドナーの需要が、死刑執行数を増加させ、毎年、銃殺や薬物注射によって数千件の死刑が行われているとのリポートもある」とも語る。

 「死刑囚ドナー」を正当化する根拠が、「死刑囚は死ぬ。だが、死刑囚の臓器によって助かる患者がいる。死刑囚は社会に害悪を及ぼしたから、臓器提供は、最後の社会への償いだ」という実利主義で、中国政府は「死刑囚やその家族の同意があれば問題ない」としている。

 しかし、粟屋教授は「同意がきちんと得られているかは分からない。死刑囚は特殊な状況下にいるので、自由な同意を得られず、同意が得られたと言っても人権上の問題はなくならない」と指摘する。

 ただ、昨年一年間に日本で腎臓を移植できた患者数は、日本臓器移植ネットワークに登録された腎移植希望患者数のたった7%に過ぎない。脳死移植に至っては、三十六件しか行われていない。

 移植件数の少ない日本の現状から判断すれば、「医療技術のしっかりした中国の病院での腎移植は、歓迎できる」と肯定する患者関係者もいる。

 それだけに「死刑囚ドナー」の是非は、最後は患者自身が判断するしかないのかもしれない。(木村良一)

               ◇

 【クリフォード病院】2002年9月、新興住宅街の中に広州中医薬大学との医療提携で設立された総合病院。中国名は「祈福医院」。240床。総スタッフ500人。一般病棟は地上20階(地下1階)建て。西洋医学をベースに、中薬(中国伝来の薬)を用いた中医学を導入。03年12月、病院のランク付けを審査する米国の医療施設認定合同機構(JCAHO)傘下の「ジョイント・コミッション・インターナショナル(JCI)」から認定を受けた。

米の移植用人体組織、細菌感染の恐れ…厚労省注意喚起

2002年08月16日 Yomiuri On-Line

 【ワシントン15日=館林牧子】死後提供された人体組織を移植用に加工する米国最大の会社「クライオライフ」に対し、米食品医薬品局(FDA)は14日、人体組織が細菌感染している危険があるとして、出荷した組織の一部回収を命じた。同社は日本にも輸出しており、厚生労働省は医療機関に注意するよう呼びかけている。回収命令の対象は、昨年10月3日以降に取り出した軟骨、じん帯、腱(けん)などの軟組織。

 FDAによると、同社の軟組織を移植し、ひざの外科手術などを受けた患者27人が重い感染症を発症、1人が死亡。死亡した患者と、同社が保管していた組織提供者の遺体から同じ細菌が検出された。心臓弁を移植された患者にも感染症による死者が出ている。

 FDAと疾病対策センター(CDC)が立ち入り調査したところ、同社はFDAの定める感染症予防対策を怠っていたことが判明。感染源となった提供者の遺体は、死後19時間、冷蔵されないまま放置されていた。

 日本では、臓器移植と違い、組織移植には法規制がない。人体組織は医師が個人輸入しており、実態は不明だ。関係者によると、同社から少なくとも心臓弁と血管が年間20―30点輸入されているという。

子供の臓器売買発覚 英リバプールの小児専門病院

2001.01.27【ロンドン26日=共同】The sankei Shimbun

 英国リバプールの小児専門病院で、手術中に摘出した臓器を病院側が保護者に無断で製薬会社に“売却”していたことが分かり、保健当局が調査を進めている。

 この病院は一九九一年から九三年の間、心臓手術の際に摘出した胸腺(せん)を製薬会社に提供、見返りに金銭を受け取っていた。胸腺は免疫に関する重要なリンパ性器官で「新薬などの研究」に使われたという。

 保護者は手術の同意書には署名していたが、臓器の譲渡は知らされていなかった。病院側は、提供件数や、受け取った謝礼の額は明らかにしていない。

 病院内では、摘出したはずの胸腺が手術後に不明になることが相次ぎ、「ひそかに売却しているのではないか」とうわさになっていた。

 病院側は製薬会社名の公表を拒否しているが、英メディアによると、フランスの製薬会社アベンティスの子会社アベンティス・パスツールとみられる。

 英国では複数の病院が死亡した患者から無断で臓器を摘出、大量に保存していたことが発覚して問題になっている。しかし手術で摘出した臓器の売買が発覚したのは初めてで、フットン保健担当閣外相は「恐るべき事実であり、なるべく早く真相を究明すべきだ」と語っている。

臓器売るため連続殺人、女医と夫を逮捕 ウズベキスタン

2001.01.06 asahi.com

 5日のインタファクス通信によると、ウズベキスタンのブハラで、女性外科医とその夫の大学教授が大量連続殺人と臓器密売の疑いで検察当局に逮捕された。夫婦の自宅近くから5人分の遺体の断片が埋められているのが発見された。

 調べによると、夫婦は旅行会社を設立し、海外移住の手助けをすると称して顧客を募集。1件あたり約200ドルを徴収した上、その顧客を殺害し、臓器を密売していた。臓器は主に、モスクワから来た客に売っていたという。

 家宅捜索では60人分以上のパスポートと多額の現金が見つかっており、殺害された犠牲者の数はさらに膨らむと見られている。

ジャンボ鶴田さんが死去

2000年05月16日 共同

 全日本プロレスのエースとして活躍した元プロレスラーのジャンボ鶴田(じゃんぼ・つるた=本名鶴田友美=つるた・ともみ)さんが13日午後5時(現地時間午後4時)、マニラ首都圏ケソン市の国立腎臓(じんぞう)研究所で肝臓移植手術を受け大量出血に伴うショック症状で死去した。49歳だった。

「バングラで腎臓移植受けられる」詐欺容疑で業者を告訴

January 28, 2000

 バングラデシュで腎臓移植手術を受けられる、と持ちかけられ手術費用などをだまし取られたなどとして、腎臓病患者4人が28日午前、東京都世田谷区の医療器具販売会社「コスモメディカル」の実質的経営者(66)ら6人について詐欺と業務上横領の疑いで警視庁に告訴状を提出した。

 告訴状などによると、この経営者らは1996年ごろ、東京都内の男性(34)ら患者4人に「バングラデシュで腎移植が可能だ」「ドナー(提供者)が見つかったので契約金を振り込んでほしい」などとうそをつき、手術費用などとして計約4700万円をだまし取るなどした、とされる。

 経営者はテレビ番組に出演し、「バングラデシュで手術ができる」などと発言したため、手術を希望する患者の問い合わせが相次いだという。同社は13人から1億5000万円以上を受け取っているが、いずれも手術は行われておらず、うち4人に計約3600万円しか返金していない。ただ、13人とは別に手術を受けた患者が1人いるという。

生活苦で腎臓「安売り」

1999年12月23日 共同通信社

 1990年のクウェート侵攻以来、長期の国連制裁などで経済苦境が続くイラクの首都バグダッドが中東の「腎臓市場」と化している。生活苦から腎臓を移植用に提供して生活費に充てる市民が増えたため。中東各地の患者らが、安価な腎臓を目当てに遠路を続々とイラク入りしている。移植希望の患者家族らによると、イラクでの腎臓移植費用は手術・入院費を入れても7000〜8000ドル(70〜82万円)。

まん延する臓器売買

1999年11月05日 【ワシントン共同通信社】

 移植医療の普及に伴って世界の貧困地域を中心にまん延する腎臓(じんぞう)などの臓器売買を監視する組織「臓器監視(オーガンズ・ウオッチ)」を米国の研究者らが8日、発足させる。売買の実例を集め、各国内や国際間の売買を禁止する運動に役立てる目的だ。

海外での腎移植持ちかけ1300万円詐取 元業者を逮捕

October 09, 1999

 フィリピンでの生体腎移植手術を持ちかけ、患者から約1300万円をだまし取ったとして、大阪府警国際捜査課と淀川署は9日、大阪府摂津市別府2丁目、元臓器移植あっせん業、安楽克義容疑者(41)を詐欺の疑いで逮捕した。安楽容疑者にはこの患者以外にも、4人から計約6000万円をだまし取った疑いがあり、府警は裏付けを進める方針。

 調べによると、安楽容疑者は1997年3月ごろ、神戸市内の男性患者(55)に対し、「臓器移植法が成立すれば海外での生体腎移植手術が難しくなる」などと説明し、フィリピン・ケソン市の病院での生体腎移植手術のあっせんを持ちかけ、あっせん料として受け取った約1300万円をだまし取った疑い。安楽容疑者は手術予定日の6月を過ぎても「執刀する予定の医師の都合がつかない」などとうそをついて手術を再三、延期。8月下旬ごろ大阪市淀川区の事務所を閉鎖し、患者との連絡そのものを絶っていた。

 安楽容疑者は96年10月ごろ、フィリピン人ドナー(臓器提供者)に謝礼を払って確保した腎臓を、現地の病院で日本人患者に移植するためのあっせん会社「KSネットワーク」を大阪市内に設立。1部上場企業約450社の厚生部門にダイレクトメールを送り、1人当たり1200万―1800万円のあっせん料で患者を募集していた。

 97年10月に施行された現行の臓器移植法は、営利目的での臓器の提供、あっせんを禁じている。しかし、ネットワーク社が設立された当時は明確な規定が整備されていなかった。大阪府は、安楽容疑者の事業に対し、「法施行をにらんだ悪質な駆け込み勧誘」にあたるとして中止を再三、指導していた。

 関係者によると、安楽容疑者はネットワーク社設立前の96年1月から97年4月にかけて、静岡県のスーパー経営者や北海道の会社員ら4人から約1億4000万円を受け取り、フィリピンでの手術を実際にあっせんしていた。しかし、今回の患者も含めた計5人については、あっせん料を受け取ったままにしていた。府警には、患者らから「だまされた」という届けが出されていた。

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