きょうのコラム「時鐘」 2009年9月22日

 オバマ米大統領は弁護士出身である。クリントン国務長官も有能な弁護士だった。米政界には法律家出身の雄弁家が少なくない

オバマさんの登場で注目される今週の国連で鳩山首相も国際デビューする。法律家出身ではないが、米国で学位を取った博士だから、英語の演説も楽しみだが、どうやら日本語でいくらしい

日本人はアメリカ帰りで英語を話すエリートには弱い。4代にわたる政治家の家系で知られる鳩山家の「初代」鳩山和夫氏は、明治の初期に米国留学の経験をひっさげて登場した弁護士界の草分けだ。ひ孫の由紀夫氏はそのDNAを受け継いでいる

明治の弁護士は代言人とも呼ばれた。「三百代言」という詭弁(きべん)を弄(ろう)する怪しげな人物を指す言葉もある。代言人の中には、安い料金で仕事を受ける偽者もいて、そんな言葉を残したと言われる

日本の首相が国連で言っておくことは山ほどある。環境、対テロ支援、経済安定。根拠のない絵空事は言えない。できないことをできると約束すれば国際的な「三百代言」になる。世界の雄弁家が相手だ。一世一代の熱弁を期待する。