これ買いました16年6月
16.6.30 奥村愛子の「蝶」という唄の蝶の語義に違和感がある。
沢知美 東京ミッドナイト |
EP コロムビア SAS1194 | 典型的プレ演歌。あばずれ歌謡。一番歌謡に勢いの有った時代らしいその時代の凡曲。だだしビートはなかなか効いている。B面は城野ゆきや津々井まりを思わせるジャズ流れの女優歌謡。でもこの人歌手だったと思うのだが。唄は上手いです。 |
一条るり子
股旅ロック |
EP テイチク 47164 | A面は聴取済み。ロックです。ほんとに。いやまあ半分ロックじゃないけど。B面は地味な中道演歌だがサビのベースラインがかっこいい。 |
入江魔子
あのひと二人づれ |
EP RCA JRT1227 | エコープロ所属。イントロは「浮世絵の街」だが本編は小柳ルミ子の路線というかそのまま。サビだけが端唄風になるのだが唐突かつ淡泊なのでアイデアがあまり生きているようにも思えない。B面も日本情緒路線だが、この時期特有のグルーヴがある。こっちの方が曲としては出来がいい。 |
浜麗子
三ノ宮ブルース |
EP キング BS878 | 現役歌手。栄光の昭和四十八年歌謡。聴いていると不安になってくるブルース歌謡。古都清乃の「和歌山ブルース」に近しいが、さらに一昔前のモダンの感覚が見えて美しい。再発もあるらしい。ぼちぼちといったところか。B面は正統派ラテン歌謡。レキントギターとボンゴをフィーチャーしたビッグバンドサウンドのタンゴに栄える詩がいい。闇をつんざくような歌唱にも気合いが入っているのに、メロディーが今ひとつ盛り上がらないのが何とも惜しい。ベテラン吉田矢先生なのに・・・。まずまず。 |
葉山ユリ 大人同士 |
EP キング BS1558 | 鈴木邦彦作品。ピアノとチェンバロの使い方がお洒落な、愁いを含んだ七十年代アイドル歌謡。一部でボーカルがメロディーをとっ放す所に情緒がある。B面はもっとアイドル歌謡のど真ん中だが、何となくエロを感じさせる詩などにアイドルというものの確立期ならではの試行錯誤を感じる。 |
小川たつお
ユミちゃんは流れのストリッパー |
EP キャニオン AV9 | 早川義夫が軽くなったようなボーカルによって歌われるブルーグラス系貧乏フォーク。ヤクザの愛人のストリッパーとの儚い愛の喜悲劇を情緒と軽みと絶望で歌う。坊主憎けりゃ袈裟まで憎い歌謡。B面はピアノをフィーチャーし「ヴィーナス」を下敷きにしたダッチ・ビート風歌謡で、これもボーカルの声質のせいかジャックスっぽい。一応コミックソングだと思うが単なる社会派プロテストソングなのかも知れない。そういう微妙な曲。もしジャックスに普通のGSと同じ感覚があればこんな感じになったのだろうという感じがして楽しい。音がもう少し厚かったらDJプレイにも耐えられそうな曲。 |
ロウィナ・コルテス
あのね |
EP 東芝 ETP10271 | 谷山浩子作品。名前はフィリピン系だが香港渡りのアイドルらしい。典型的なアイドルポップだが愁いも清楚さも元気もあって曲としてはかなり良い。ただ発音がやたらに良くて外国人が唄っているという情緒にはやや欠けるのが何とも惜しい。B面はタイトルこそ「夢のロックンロール」だが、ポップの色がかなり強い。英語の発音がよく、妙な情緒がある。というかこの人歌うまいよ。 |
山本ゆかり
私マイルワ |
EP トーラス 07TR1065 | 実は大陸歌謡。ボーカルは上手いとは言わないが当たりが強く、難しい唄い回しを何とかこなしていて手に汗握る。フュージョンが編曲の下敷きになっているようだ。B面は明らかに際物だが意表をついた転調や前が予測できないメロディーが続き、その上ボーカルにロック的な根性が垣間見られる意外に上玉の作品。どうでもいいがプロフィールに「趣味・歌うこと」・・・それはあなた、仕事なのでは。 |
小幡洋子
南国人魚姫 |
EP 徳間 7JAS54 | 「魔法のスターマジカルエミ」の挿入歌。声優歌謡の奔り。昭和最末期としては牧歌的とも言える古典的な作りのアイドル歌謡。B面は時流にあった本人作詞の軽いロック曲。こっちの方があっているが、いかにもで破天荒さに欠ける。 |
ミュージカルぼーいず
これでいいのネ |
EP ユピテル YS56 | 「ケイコタンのラブコール」で有名なボーイズグループ。鈴木英明作曲、しかもジャンボ具志けん編曲。ほぼ志村としおのソロ。コーラスは女性コーラスが肩代わりしていてムードコーラス的にはガッカリ。サザンクロス風の真面目な曲。B面は望月けん一のソロ。ホスト的なボーカルを効かせたハッピー&ブルー風でこっちの方がより所謂ムードコーラス的。何れにしてもどちらもムードコーラスのカタルシスが足らない。 |
16.6.23 痴漢がしょっぴかれるのを見た。
岡晴夫 幻のオンステージ |
LP キング SKD502 | 歌謡曲にとって最初のパンク的存在がこの人。最初にストリートの感覚を歌謡曲に持ち込んだという功績は計り知れない。自分が歌謡曲を聴くきっかけになった人でもある。ちなみにどうでもいいが私の歌い方はこの人の晩年の歌い方にもの凄い影響を受けている。で、そのライヴ盤。えええええええ。だって昭和45年に亡くなってるんだよ、この人。昭和37年名古屋での新春コンサートの様子を収録したもので、ベスト盤的な選曲がなされている。このコンサートがきっかけでキングレコード復帰が果たせたと解説に書いてある。獅子てんや瀬戸わんやの司会進行と加藤章とスイング・ハーモニーのビッグバンド演奏を従えて、ドドンパにアレンジされた「東京シャンソン」でスタート。どうでもいいがなんとかシャンソンというタイトルの歌謡曲にシャンソンっぽい曲が少ないのは何故なんだろう。全盛期の瑞々しさはお世辞にも回復しているとは言い難く、病後の痛々しさも伴うが、軽妙さは失われず、この人を初めて聴いた時の衝撃が甦った。おれの母屋というのはやっぱりこの辺なのだなぁ。 |
おかわりシスターズ
虹色のカノン |
EP フォーライフ 7K171 | おニャン子クラブの露払い。ラストシングルだったはず。薬師丸ひろ子とかあたりソニーのアイドルっぽい曲。いかにも80年代中盤の音。アイドルとしては情緒を損なわない程度に上手いので聞きやすいが、中庸。B面はアイドルとしては有りの埋め草のバラード。 |
リック&ボビー
夜の貴公子 |
EP ポリドール DR1538 | 男性デュオムードコーラス。ポリドールのソフトジャケって何かいいよね。タイトルも良い。ビートを効かせたグルーブ歌謡風の演奏にまったりとしたユニゾンコーラスが載る。千葉紘子「折鶴」風の曲。B面は更にホーンとベースの使い方がよく考えられたビートを強調した曲でR&Bを極々和風に消化。リフとか聴いてるとはつみかんなの「恋のタッチ・アンド・ゴー」をスローにしたような感覚に陥る。フォーカスブラザーズに近しいもの感じる。なかなか佳曲。 |
バズーカ
ファンキー・ダイナマイト |
EP キング AM248 | チャカポコしたギターをフィーチャーしたスローテンポでファンキーな正統派洋楽ディスコ。歌詞は合いの手とコーラスが軽くダイナマイトと被さる程度のほぼインスト。ヒット曲だし特に感想なし。B面は「パート2」といかにも。長いがホーンとピアノが前面に出ているぐらいで殆ど印象変らず。 |
ニューヨーク2001オデッセイ・グループ
ディスコ総決算’78 |
EP 徳間 BMA1012 | 洋盤を装ったでっち上げ企画ものディスコ。「悲しき願い」「燃えるカルフォルニア」「ステイン・アライブ」などをメドレーで繋げていくがお世辞にも上手く繋いでいってるとは言えない。もとがディスコ曲ばかりなので各曲のアレンジも新味なし。単なる女性コーラスによるさわり集になっている。最後が「未知との遭遇」で終るのだけは面白いがもの足らず。B面は「ネイビーブルー」のディスコバージョン。これも面白みに欠ける。英語の発音がかなり和風なのが微笑ましい。しかし解説の比較対照が「ソウルこれっきりですか」なのは何とも泣ける。 |
16.6.22 おおお、七時に帰れた。凄い。
吉幾三 吉幾三のおもちゃ箱〜TVアニメ・CM&コミック集〜 |
CD 徳間 TKCA726941 | 吉幾三ノベルティソング集。タイトルは忘れたが交通安全の奴が入っていないので減点だが、昔の歌謡スターの魂を出来るだけそのまま受け継いでいこうとしているのはよく解る。やっぱり歌唱の壷の付き方の巧さはその辺の有象無象とは段違い。感心する。そういや自力で買った最初のレコードが「俺ら東京さ行ぐだ」で、「俺はぜったい!プレスリー」は何故か当時から知っていたこともあって、次に「雪國」を聞いたときにはあまりの落差にひっくり返ったな。ちなみに「雪國」がチェッカーズの某曲とよく似たコード進行なのは秘密だ。当時からその気には気付いていたが、ここでもフォークからムード歌謡まで自分流に引きずりおろしてものにする天賦の才を感じる。おじさんもの2作がリズムものと言うこともあって、のりがよいが、全般的には薄目かな。もっとぶっ飛んだ曲があったような気がする。買っといてなんだが、これ平積みにするほど売れないと思うよ、タワーレコード渋谷店さん。 |
V.A.
赤坂レア・グルーヴ |
CD ポリスター MTCH1089 | 赤坂に本拠のある日音を原盤会社に、テイチクとコロムビアを発売元にした貴重音源を使った和モノ・レア・グルーヴ曲集。コモエスタ八重樫氏選曲と言うこともあってかつてのハイパノラミックシリーズ、取分け「トーキョールック」の雰囲気に近い。解説皆無もこれはそういう仕様なのだからしょうがない。いかにもテイチクらしいとろくさグルーヴものとボッサもののインストが殆どを占める。ボサノバものでは完全に周り特にチェンバロが主役の尺八を食っている山本邦山の2曲が出色。注目の東京キューバンボーイズによるフォー・ナイン・エースのカバー「ウォーキン・ザ・バルコニー」は完全にラテン・ダンス・ナンバーに転化しており、管アレンジが見事。職人芸の最強のラテンビッグバンドのセンスが光る。自分の四番目に好きなエレキバンド・ザ・サンダースは妙なトロ臭みと薄っぺらさがなくなっており、音楽としては上等になったのかもしれないが物足りない。音や技術の進歩が感動の進歩に結びつくとは限らない。つい最近アルバム全曲丸ごとCD化されたジミー竹内の3曲は入れ替えた方がよかったかもしれないが、この時代のジャズの素養のあるドラマーの魅力が存分に伝わる大変BGMにするに優れた一枚。 |
16.6.19 テレビニュースに出たらしい。
モコ・ビーバー・オリーブ わすれたいのに+5 |
CD 東芝 TOCT6981 | 当時のニッポン放送の人気パーソナリティ3人によるポップスの名盤の旧譜。シングル、アルバムひっくるめた東芝での全音源を収録してある。所謂英国のガールポップグループをなぞったような音源。アルバム部分は全て洋楽ヒット曲のカバーでいかにも東芝的な音のオーケストラにのって儚いコーラスの花が咲く。追加されたシングル曲は全てオリジナルだが結局「海の底でうたう唄」が一番出来がいい。自分の解釈としては十分サイケデリックな楽曲なのだが、普通にはソフトなバラードというだけなんだろうな。どうでもいいがこのシリーズの解説の愛の無さは読んでいて泣ける。ぼつぼつ。 |
秘密博士とエンペラーズ
ポマードとグラサン |
CD ポリスター MTCD1038 | ムードコーラス研究の第一人者でDJとしても活躍するデザイナーによる歌謡曲カバー集。横山剣の影響が強く感じられる。この人とはムードコーラス自体の解釈(演歌もだが)が全然違うんだなというのはよく解った。非常にロック的な部分を拡大解釈したカバーで演奏歌唱ともワイルドさを前面に出している。意図は解るが、自分はムードコーラスの音楽の根底はロック的な部分も認めないと言うことはないが、それはあくまでも従で、突き放したクールさこそ第一とされねばならないと思う。そういうことでどうも素直に心に入らない。あと自分にとっては演歌は歌謡曲から最も遠いところにあり、根本的に相容れないところがあると思っているが、ここでは地続きな解釈をされているのもしっくりと来ない原因になっているようだ。もっとも「幻のブルース」の解釈はボサノバムーチョよりは自分の思うところに近いと思うが。何れにしてもこれがムードコーラスの今の時勢の解釈だというのならしばらく口をつぐんで回天を待とうと思う。 |
V.A.
男宇宙 |
CD ソニー MHCL379 | 湯浅学監修による一癖ある男達の一癖ある楽曲集(楽曲じゃないのもあるけどな。)。昭和38年から平成9年まで幅広い録音年代の楽曲だが違和感は其程ない。個人的にはこういうものを解るほど成熟していないので何とも言わないが、楳図かずおの才能の豊かさには畏れ入るばかり。一節太郎の「浪曲子守唄」が一般売りオムニバスCDに収録されているのは実は珍しい。 |
V.A.
レッツ・ゴー・ビート・キャラバン |
CD キング KICS378 | リアルタイムで出たキングのGS(と一部周辺アーティスト)のオムニバスアルバム二枚を一緒にしたもの。但しバージョン違いまでは押さえられていない。これでCD化されたGSの曲は全てCDで揃えた。ちなみに最後のハードルはレオ・ビーツ「恋に生きる」。レコードは持ってたけど。 |
V.A.
おバ歌謡 |
CD 東芝 TOCT6981 | 異常な売れ行きを見せるライトな編集方針の珍曲集。最近再発された曲も多いが、初CD化曲も半分の六曲を占める。特に言うことはない。全体的に食い足りないが、曲数の少なさとか本当に80年代の作り飛ばした珍歌謡曲コンピを念頭に作っているとしたらいい仕事だ。オリコン上位に食い込む可能性あり。 |
2Who’s/石坂浩二
とのさまガエル |
CD+DVD ポニーキャニオン PCBP51180 | みんなのうた。スーパーファミコンのゲームのBGMのような平坦な曲をバックに、囁くようなボーカルと石坂浩二のツッコミが延々と続く、無常と永遠を感覚的に知らしめるシュールな佳曲。こういう退廃的な歌こそ歌謡の本道だろう。ビデオクリップ付。 |
ザ・リバティーズ
渚に消えた恋 |
EP コロムビア LL10103J | 俳優上がりの名バンド・トニーズの後身にしてファイヴ・ジャックスの前身による唯一のシングル。サベージとは別曲。初めて聞いたB面は加山雄三風バラードで、なんとも微妙だが、トニーズ時代の曲のリメイクなのでしょうがないといえばしょうがないものの、何れにしても昭和44年に出すような曲ではない。サビではのちに演歌路線に行く布石がちょっとだけ顔を出す。ちなみにA面は一言で言えばヴィレッジ・シンガースを泥臭くしたような曲。ああ、にもかかわらずグループサウンズは何とも言えない情緒があるんだよな。 |
秘1 | CDR | 「ポマードとグラサン」の限定オマケ。自主制作ムードコーラスをミックスしたものらしいが、正直に言って、余計な手は加えずそのまま収録してほしかった。冒頭の「哀愁のヨーロッパ」を大胆に取り込んだ「くちなしの花」やら「涙の高砂や」など貴重音源が使われているのに、加工の切り口がいけ好かなく、何とも頂けない。ムードコーラスの聴取者としてこれを喜んで聞けるという人が主流なのかもしれないが、少なくとも自分は聞き進むほど失望した。(追記・いや、まあ、始めからこういうものだと解っていて聴いていたら納得も出来たんだろうけれども、自分は無加工の音源が聞けると思い込んでいたのでこういう表現に云々。) |
16.6.5 夜は寝るペし。
V.A. 懐かしきロカビリアンたち |
2CD キング KICS2458/9 | 日本の男性ロカビリー歌手オムニバス。山下敬二郎とミッキーカーチス関連は再吹き込み企画アルバム「ロカビリー三人男」(編曲・大野克夫)だが、それ以外はすべて当時の音源で平尾昌晃、ほりまさゆき、紀本ヨシオ、リリオ・リズム・エアーズら。キングのロッカビリー歌手は所謂ロカビリーの全盛期に活躍したのは平尾昌晃ぐらいで、後はエレキ時代に半分かかっている歌手が多いのだが、ここでもロック・コンボの音はあまり見られず、厚いオーケストラやエレキコンボの音が目立つ。中でも寺内タケシのギターが大暴れするほりまさゆき「ジェニジェニ」は破壊力抜群。他も「キープ・サーチン」とか「浮気なスー」とか「片目のジャック」とかこのバージョンは初めて聞いたにしろ、オリジナルからして好きな曲が多く、出来もがっかりするようなものはなく、愉しんで聞けた。最初日本語、後半英語というパターンが殆ど。結果として大野克夫編曲のものはその後の時代を通過したことを如実に反映した音になっており、ロカビリーとかエレキ時代のソロ歌手の情緒を求める分からすると非常に浮いており、個人的にはリアルタイムの楽曲だけで押し通して欲しかった。なお、鹿内タカシの「ロック・アラウンド・ザ・クロック」は大野克夫編曲とのクレジットがあるがもちろん間違い。ブルーコメッツをバックにした「カルトGSコレクション」収録の物と同じ音源。 |
ザ・ピーナッツ
オン・ステージ |
CD キング KICX7098 | キングクリムゾンを買う買うと言っていたが取り敢ずその手の曲が理解できるか試すために買った。ピーナッツのかなり後期のライヴ盤。「対自核」とか「エピタフ」とか。オリジナルもしてるが。結論からするとキングクリムゾンとかは俺には向かない。オリジナルやポップスメドレーの出来は良いし問題の「エピタフ」にしても歌唱とか演奏とかは上質なんだが、どうにも曲の方が耐えきれない。飄々とした岸部シローの司会がいい味。なお、バッキングでもの凄いうねりを上げているギターは元スウィングウエストの故・山本(梁瀬)とおる。 |
ザ・ピーナッツ
レア・コレクション |
CD キング KICS2451 | 共演曲を多く含むレア・トラック集。共演曲以外ではアポロンのテープ音源、ドイツ盤、モスラものなど。「ワン・ツー・スリー」は音がとにかく粗い粗い粗い。ブルコメの偉大さが解る。「カム・トゥゲザー」は音のせいか後もう少しでグルーヴものになりそうなのに惜しい。ビートルズの「アンド・アイ・ラヴ・ハー」(ここでは「ヒム」)のボサノバぶりも流石ピーナッツ。ドイツ盤3曲も全く謙遜なくピーナッツ節に仕上げているのはピーナッツにも現地スタッフにも頭が下がるが、「ナガサキ・ボーイ」はベースの動き方も相まって、弾け方が漲る生命にあふれ、一方で悲しみや儚さも滲んでくるのは名人技。ブルコメとの共演「小さな幸せ」はもちろんワイルドワンズのカバーだが、コード進行が同じなのをいいことにハミングで「星に願いを」(同じ佐々木勉作品)と「想い出の渚」(ワイルドワンズの前作)をやって絡めて来るという目から鱗の落ちる編曲がブルコメらしいひねくれ方で思わずニヤリ。音がクリアでないのが惜しい。「お国自慢だ!ピーナッツ」に何故か漏れた「よさこいボサノバ」は、フォーメイツとの掛け合い入りの「よさこい節」をボサノバでやったものであるが、やや流麗さに欠けるがアウトロを全く違うところから持ってきたりなど工夫が楽しい。宮川泰と萩原哲晶の職人技が眩しい。最後は元夫君沢田研二作品で締め。 |
V.A.
昭和カヴァーズ・ヒッツ〜フォーク&ポップス |
CD キング KICS2452 | 往年の名歌手達が当時他の歌手の持ち歌を歌った音源を集めたもの。小山ルミによる「北国行きで」が抜群。ドラムの音の作り方が感動的。オリジナルに比べると表面的なパワーは後退しているが、腹の据わり具合は凌駕。結果として女性の強さをうまく表現しており、強がりが表に出てくるオリジナルとよい対称になっている。この人はデビュー曲はそうでもないが流石その後GSリボルバーを引き連れて歌い倒していただけに鍛えられ方が尋常でない。小柳ルミ子「今日の日はさようなら」は文句無しの名唱。クラシック音楽の基礎が露出しており、根が実はジャズの森山良子のオリジナルとこれまた聴き比べが面白い。GSもの2曲の初CD化も注目。タイガースと伊東きよ子「花と小父さん」はシャープファイブをバックにした「若さで歌おうヤァヤァヤング」出演時のライヴ音源。シャープファイブの耽美で職人的な演奏テクニックも泣けるが、一番で岸部おさみがとるリード・ボーカルが伊東きよ子と調和しているのも素晴らしい。もっとも二番はみんなで合唱という感じ。ブルコメ「悲しみは駆け足でやって来る」はずぶずぶな歌謡曲っぷりを発揮しているがここでもブルコメ節は死なず。オーケストラも控えめで、そつのない割に著しく個性的な演奏にグループサウンドの総親玉としての意地を感じる。ほかにピーナッツの「さよならをするために」は元々好きな曲ということもあるが、あたりの強さがビリーバンバンのオリジナル以上に憂鬱な気分を描いていて奮戦。草刈正雄「結婚しようよ」が激しく浮いている。 |
V.A.
ザ・ルイルイ・コレクション・バイ・ザ・ノース・ウエスト |
CD ジャーデン JRCD7011 | 購買予告を他のサイトでしたルイルイのバージョンだけを集めたCD。定番のキングスメン、レイダースのほかミステリー・バンド、フィーリーズ、ワシントン大ハスキー・マーチング・バンド等11の演奏を収録。知らん人ばっかりだが解説一切無し。キングスメン以外はシアトル録音とのことだが、年代は20年以上の幅がある。ロウなミステリーバンド以下ジャズだったりロックだったりR&Bだったりはするが想像内の演奏が多かった。定番のレイダース、キングスメンは共にライヴ音源と少し捻ってある選曲が憎らしい。メロウドラマティックスのバージョンはオールドスタイル人力テクノ。いかにも80年代(70年代末かもしれないが)らしいディスコ的な演奏でボコーダーとシンセサイザーを大フィーチャーし、時を超えて愛され続けるこの曲の生命力とその多様なアウトプットの有様を見せつける。このCDでは最新録音のワシントン大ハスキー・マーチング・バンドの録音は所謂バカ音源。本当のマーチングバンドがマーチに「ルイルイ」をアレンジ。チアー風の大合唱が徒者ならぬ雰囲気を醸し出す。 |
V.A.
!狂熱のエレキ・ギター合戦! |
LP ポリドール SLJM1211 | 事実上本体入手。多田正幸とワゴンスターズ、川合洋二とフリーランサーズ、宮ユキオと野獣会オールスターズ、ザ・フレッシュメン、東京ビートルズ、岡田朝光とザ・キャラヴァン、スイング・ウエストという伝説的バンドが定番エレキインスト曲をやっているのを各2曲収録。単なる自慢だ。解説の「ベンチュアーズ」という表記が時代を偲ばせる。ワゴンスターズのドラムのリズムの取り方がえらくおかしいと言うこと以外はそれなりの出来。圧倒的に出来が良いのはザ・フレッシュメン。世界に出しても恥ずかしくない素晴らしいグルーブ感を生み出している。ジャケット裏の解説の文脈が混乱するほどの名演。フリーランサーズもドラムを前面に押し出したアレンジで、多少野暮ったいがこれぞエレキというリバーブがかった演奏が嬉しい。野獣会オールスターズも緊迫感がない代りに歯切れの良さがオリジナルを超えていたり、キャラヴァンが早くもオルガンを柱にした演奏をしたりしていて油断ならない。悪いと言うほどではないが、東京ビートルズは特徴なく、スイングウエストはやや淡泊。 |