2009年9月21日 2時30分
特定の国会議員やその候補者の支援を目的とした政治団体で、全領収書開示や監査などが課される「国会議員関係政治団体」への届け出をしていない団体が、東京都選管の所管分で少なくとも21あることが毎日新聞の調べでわかった。設立時に適用を受けた税制上の優遇を返上して届け出義務の対象外になるのが特徴的なパターン。違法ではないが、識者は「制度の見直しを検討すべきだ」と指摘している。【真野森作】
国会議員や候補者が都選管に「被推薦者」の自己申告をしている政治団体のうち、国会議員関係政治団体への届け出をしていない団体を抽出した。08年の政治資金収支報告書で21団体のうち16団体は収入がゼロだったが、5団体は資金の出入りがあった。
下村博文衆院議員(自民党)を被推薦者とする「博友会」は、政治資金パーティーなどで約2500万円の収入があり、下村氏の資金管理団体などに計1850万円を寄付した。
博友会は92年の設立時、寄付者に対する課税上の優遇(寄付金控除)のある政治団体として届け出たが、07年に寄付金控除の適用を外す届け出を提出。国会議員関係政治団体への届け出義務のない団体になっている。下村氏の秘書は「寄付金を受け入れておらず、控除は必要ない。寄付金を受け入れている団体は(届け出で)透明化している」と話す。
鴻池祥肇参院議員(自民党)を被推薦者とする「祥志会」は、鴻池氏自身が代表だったが、代表を代え、寄付金控除の適用も外した。08年は鴻池氏が代表を務める「自民党兵庫県参議院選挙区第2支部」から400万円の寄付収入があった。鴻池氏の事務所は「法に沿って処理している」と話すが、代表を代えた理由の回答はない。
松原仁衆院議員(民主党)が被推薦者の「まつばら仁後援会」も寄付金控除の適用を外した。後援会の会計責任者は、控除の適用を外した理由を「国会議員関係政治団体への届け出を避けるため」と認めたうえで、「支持者から実費を集めてイベントを行う団体で収益はほとんどなく、監査の費用が賄えないから」と説明した。
▽政治資金オンブズマン共同代表の上脇博之・神戸学院大教授の話 国会議員関係政治団体については、詳細な報告義務を嫌って届け出を逃れていると思われるケースがある。国会議員は批判を受けることのないよう、自分が代表でなくても届け出を徹底させるよう努めるべきだ。監査や事務手続きが煩雑だという説明は許されない。税制上の優遇を受けていなければ届け出なくてよいとする制度も見直しを検討すべきだ。
国会議員の政治資金の透明性を強化する目的で、07年12月の政治資金規正法改正で導入された。届け出団体は、09年分から、情報公開請求に基づくすべての領収書の開示、人件費を除く1件1万円超の支出明細の報告、会計帳簿や政治資金収支報告書の監査--などが義務づけられる。(1)国会議員や候補者が代表である政治団体や選挙区単位の政党支部(2)特定の国会議員や候補者を推薦・支持する政治団体--は届け出義務があるが、(2)については寄付金控除の適用を受けていなければ届け出義務はない。