この小説は、俺が勝手に、自分で作ったものです。過去の彼女の残された記事やブログを読んで、そして俺の予想、感想を含んで書いています。
しかし、彼女はもうプロシンガーなので、詳しいことは書きません(俺もあんまり知らないしw)。そのうち彼女本人から本でも出してくれるでしょう。きっと、多くの人々に夢と希望を与えるものだと俺は信じています、、、
1.旅立ち
2008年3月、HIMEKAことCatherine St-Ongeは、モントリオールの空港で一人とどまっていた。
未だに迷う心を振り切ろうと苦悩していた。
「日本で歌手になりたい」「夢をどうしても諦められない」「だけど、そんな事誰も果たした事ないし、やっぱり私は気が狂っているのだろか?」、、、様々な思いが頭をよぎる。
そう悩んでいるうちに、飛行機の出発時間が迫っていた。
「さあ、日本へ行こう、、、」
夢を叶える希望より、不安と苦悩の方が強かったのだろうか。彼女の目には悲壮感すら感じられた、、、
小さい頃からアニメが好きで、初めはディズニーアニメに、それ後日本のアニメに強烈に惹かれるようになった。そして、見終わったアニメの主題歌、エンディング曲を歌うのをとても好んでいた。
学校を終え、社会に出る。
毎日、普通に時間が過ぎていった。普通の生活、しかし社会で生きてゆくためには、無意味とも思える仕事でも働かなくてはいけない。
そんな日常の中で、唯一の楽しみはカラオケで日本のアニメソングを歌う事だった。しかも日本語で。
日本語は、日本のアニメに興味をもってから独学で勉強を始めた。
買って来た日本のアニメCDを何度も聞いて、歌詞カードを読みながら、一つ一つ単語を辞書で調べて、歌の歌詞をしっかり理解して歌うのが、彼女の喜びでもあった。
そんな日常を過ごす中で、彼女の心の中で”歌手になりたい”という夢がどんどん膨らんでいった。
もう歌える日本語のアニメソングは数百曲。彼女のアニメソングに賭ける情熱は、それはまるて、一つの宗教の信仰のように、日常を生きる中で彼女の心を支え、励ますものとなっていた。
彼女は一つの”試験”を試みようとしていた。「自分の歌はどの程度のものなのか?」「自分のアニメソングにかける情熱はどの程度のものなのか?」。その答えを探るべく、2002年7月、アメリカ、カリフォルニア州のロングビーチという街で開催された、アメリカ最大のアニメイベント「Anime EXPO」に参加した。
そのイベントに参加するために、一生懸命働いて貯めたお金が殆ど尽きてしまうほどで、一般の参加者が持つ”楽しみたい”という、そんな単純な動機で参加したわけではなかった。同じ趣味を持った多くの人々が互いに楽しむ為のイベント。そんな中、彼女のイベントに参加する姿勢、想いは他の人々とは対象をなしていた。
連日行われた選考予選。彼女は1次予選、2次セミファイナルを順調に通過して、最終選考へとたどり着いた。
実はそれまで、多くの人々の前で歌った事は皆無だったという。
いつもは一人でカラオケボックスで、大好きな日本のアニメソングを歌うのが常だった。
その為、多くの人々の前で歌う事に、極度の緊張、不安が交差していたが、歌い始めると、もうそんな不安は微塵も感じなかった。それはやはり彼女のもって生まれた天性なのだろうか?緊張と不安はアニメソングを愛するその”愛”で跡形もなく消え去っていたのだ。
自らの人生、情熱を賭けて日々歌ってきた日本語のアニメソング。
レベルの高い多くの参加者の中で、彼女の歌は一際輝いていた。
そしてファイナルを終えた。
彼女の全身全霊を賭けた挑戦は終わった。
終わった充実感、不安からの解放。
そしてその結果は、、、優勝!
その時初めて彼女は、夢が心の中で現実となったことを感じた。その現実とは、、、”歌手になりたい!”。
この時はっきりと心の中で形となって現れた。
この形となった心の中の夢を、今度は本当に現実の中で実現しなければならない!
彼女の、夢を追いかける人生がスタートした。
それは同時に、精神的、経済的、物質的苦難と苦悩の始まりでもあった、、、
Anime Expo 2002 (US.California)のKaraoke部門にて見事優勝