「大相撲秋場所8日目」(20日、両国国技館)
横綱朝青龍が関脇琴奨菊を上手投げで退け、ストレートで勝ち越しを決めた。全勝で並んでいた大関琴光喜が敗れたため、単独トップに立った。初日から8連勝で単独トップに立ったケースは、横綱昇進後としては9例あり、すべて優勝。4場所ぶりのVへ優位に立った。横綱白鵬は玉乃島を送り出して1敗を守った。
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荒技“けり出し”の翌日は豪快な上手投げだった。上手を切られた朝青龍は、琴奨菊を突き落としで揺さぶった。相手の体勢が崩れた瞬間、右前まわしに手をかけて上手投げ。引っかかった右手のつめを少し気にした後は口を真一文字に結び、勝ち名乗りを受けた。
安定感はなくとも、勝ち続けるのが朝青龍の強みだ。前日の白鵬-琴奨菊戦を研究したことを明かし「昨日の横綱戦を見た。胸を合わせて、左から攻めることを考えた」と自画自賛。「立ち合いで止めると流れに乗ったね。先に攻めて攻めていくっていう感じ」と満足げに振り返った。
左ひじ、右ひざのけがを不安視されながらも前半戦を8連勝で乗り切った。6日目に白鵬が負け、並んでいた琴光喜にも土がついた。「1敗(差)は大して変わらないから」と無関心を装ったが、全勝ターンで単独トップに立った場所はV率100%。データも後押ししている。
千秋楽の27日には29歳の誕生日を迎える朝青龍だが、自分よりも優勝をプレゼントにしたいと考えている人がいる。付け人頭の輝面龍だ。2日後の29日に40歳になる兄弟子については、「昔のお相撲さんの雰囲気がある」と一目置く存在。優勝賞金でささやかなプレゼントをすると周囲に伝えているという。
横綱としての勝ち星は433勝となり、曙を抜いて単独5位に。今場所優勝すれば、北の湖に並ぶ24度目の賜杯となる。「攻めて攻めて、後は体に任せて。まだ次はあるから」と星勘定を封印した朝青龍。4場所ぶりの頂点へ、存在感は増すばかりだ。