を満たす。
締結は違法であるから,同意要件を満たす。
社が独禁法違反を犯せば,同社に対する社会的信頼は失われるばかりか,投資家による信頼も失わ
れ,会社の業績及び会社の株価は必要以上の打撃を被ることは十分考えられ,その信頼・株価の回復
は容易ではなく,その点に著しい損害が生じるおそれがあるといえる。
が違法なわけではない。よって,同手段はとれない。
を行っている。この50個の議決権はいかに扱うべきか。
あるから,このような議決権行使は無権代理であって無効であると考えられる。
Zに委任状を交付している点ではZが反対の意思を表示している以上反対しているものとして扱われる。こ
の点で,矛盾が生じている。
らは問議に付すべきものであって,それを無視するのは許されない。よって,その点に違法があるといえ
るから,同要件を満たす。
る・・・)
乙の罪責
1 乙が80万円をAの口座からBの口座に送金した行為について業務上横
領罪(252)が成立しないか。乙に「占有」が認められるかが問題となる。
横領罪の本質(委託信任関係に反して本権を侵害すること)
↓
事実上の占有のみならず濫用のおそれのある支配力(法律上の占有)で
足りると解する
↓
本件では,乙に事実上の占有がないだけでない。さらに,乙は甲の部下
で営業を担当する事務員にすぎず,会社の資金の管理などの権限は一切
与えられておらず,その事務に裁量は認められない。よって,乙には口
座の資金に対する濫用のおそれのある支配力を有しているとはいえな
い。
↓
よって,乙に同罪は成立しない。
2 では,同行為について,電子計算機使用詐欺罪(246条の2)が成立しな
いか。
以下,要件のあてはめ(「虚偽の情報」については,架空の業務の受注に
よりAからBに支払のために送金する情報が虚偽であるとしました)。
↓
よって,同罪が成立する。
3 Aの口座から120万円を引き下ろしてそれをポケットにいれた行為に
ついて窃盗罪(235条)が成立しないか。
以下要件のあてはめ(120万円の占有については銀行に認め,引き出
す権限がないにも関わらずA口座から現金を引き出す行為が銀行の意思に
反してその占有を侵害しており,「窃取」にあたる)。
よって,乙に同罪が成立する。
4 次に、120万円を自己の借金返済のために業者に振り込んだ行為につい
ては,前述の窃盗において評価されつくしていることから別途財産罪は成
立しない。
5 乙が甲と共に強盗に襲われたことにして甲が警察署に電話をかけ警察を
出動させたことについて,偽計業務妨害罪の共同正犯(60,233条)が
成立しないか。
(1) この点,同条の「業務」に権力的公務が含まれるか問題となるも,権力的公務であっても偽計に対しては無力であることからその業務を保護する必要性があることから,権力的公務も同条の「業務」に含まれると解される。よって,本件の警察の業務も「業務」にあたる。
(2) そして,乙がトランクの中に閉じ込められたことにして,強盗にあったふりをし,甲が電話することで,警察を錯誤に落としいれるという「偽計」によって,警察に無駄な出動をさせてその本来の業務を「妨害」している。甲,乙はそれぞれ共謀して一部実行を行っていることから同罪が成立する。
6 罪数処理
上記の窃盗罪と電子計算機使用詐欺罪はともに銀行に対するもので場所
的・時間的接着性が認められるものの,侵害態様が異なることから包括一
罪とは評価できず,併合罪となる(45条前段)。これらと偽計業務妨害罪
の共同正犯(60.233条?)とは併合罪となる。
甲の罪責
1 乙に対してA口座からBの口座へ資金を送金することを指示して,Aのカ
ード等を渡した行為について,業務上横領罪が成立しないか。
(1) 甲には,ATMの現金について「占有」が認められるか。
ア 前述のように同条の「占有」とは,事実+法律上の占有
イ これを本件についてみるに,貸金業を営むAに雇われているもの
の,新規貸付の条件の決定,顧客との契約の締結を行うだけでな
く,同銀行の鍵を預かり,資金の管理等もAから任せられていた。ま
た,Aは事務所に表れても,Aの通帳に目を通すにすぎず,実際に資
金面の収支を確認すことなどは行っておらず,資金管理はほぼ甲ま
かせの状況にあった。
さらに,Aカードの番号を知っているのは従業員では甲だけであ
り,甲はいつでも任意にAの口座から資金を引き出せる状況にあっ
た。
以上からすれば,甲は(委託信任関係に基づいて)Aの口座から現
金を引き出すべくATMの現金に対して濫用の恐れのある支配力を有
していたといえる。
(2) では,甲の同行為は「横領」行為だといえるのか。
ア 横領罪の本質
↓
不法領得の意思をもって所有権しゃでなければできない行為を行う
ことをいい,不法領得の意思とは,所有権者として振舞う意思をい
うと解する。
そして,背任罪の横領罪と同様に背信する点にその本質があるこ
とからすれば,その区別は,横領罪の本質から,権限逸脱した場合
が横領行為であり,権限濫用の場合が背任行為であると解する。
イ これを本件についてみるに,何も知らない乙に対して,A口座から
B口座へ200万円を送金するように指示し,それに際してAのカー
ドの暗証番号を教えれば,それにより送金のなされる可能性は高く,
実質的には口座の現金を処分したに等しい。Aは架空の取引でBの利
益を図り,ひいては自らを利するために送金を指示しているのであっ
て,この点に所有権者として振舞い,所有権者ではなければできない
行為を行っているといえる。また,これはAの権限の範囲では許され
ない行為であって,権限逸脱行為である。
よって,甲の同行為は横領行為であるといえる。
(3) 以上より,甲には業務性も認められることから,甲には同罪が成立する。
2 甲は乙に対して口座間の送金を指示するという横領行為を行い,これに
より乙は上記のように窃盗行為と電子計算機使用詐欺行為を行う故意を生
じ,それらの罪を犯していることから,この点にこれらの罪の教唆(62条
2項)が成立しないか。同罪の故意を甲が有しているといえるかが問題と
なる。
(1) 故意責任の本質→法定符号説
(2) 本件では,横領行為は信任委託関係に反して本件を侵害するのにたいして,窃取行為は意思に反して占有を侵害するのであって,行為態様がことなり重なりあいが認められない。また,電子計算機使用詐欺は,虚偽の情報を機械に与え虚偽の情報を与え虚偽の電磁的記録を作る点で行為態様が横領と異なるから,重なり合いが認められない。よって,甲にこれらの罪の故意は認められないことから同罪は成立しない。
3 乙とともに警察を出動させた行為については前述のように,偽計業務妨
害罪の共同正犯が成立する。
4 罪数処理
業務上横領罪と偽計業務妨害罪の共同正犯は併合罪となる。
以上
設問1
1 写真撮影が強制処分にあたればそれについての令状を得ていない以上、違法
となりうる。では、本件の写真撮影は強制処分か。
(1)強制処分法定主義+令状主義の趣旨
↓
重大な利益侵害説(意思の侵害はこの一つの考慮要素と解する)
(2)ア 写真①
社内の壁⇒社内の一部、壁のメモ、プラ権侵害⇒強制処分
イ 写真②
A名義の通帳、表紙・印字、立会人Bの反対⇒反対意思、残高など通常公
開されたくない、プラ権侵害
⇒強制処分
ウ 写真③
A名義の通帳、表紙・印字⇒上記に同じ⇒強制処分
エ 写真④
パスポート⇒顔写真、個人情報、公開されなくない情報、プラ権侵害⇒強
制処分
印鑑⇒届出印、銀行取引で重要、公開されたくない、プラ権侵害⇒強制処
分
はがき⇒個人情報、住所など公開されたくない、プラ権利侵害⇒強制処分
名詞⇒公開するのを前提、プラ権の保護薄い⇒任意処分
2 もっとも、本件では令状に基づく捜索差押えであるから「必要な処分」(222条1
項・111条1項)にあたり、必要かつ相当な処分であれば合法である。どうか?
(1) 写真①
1/12△フトウ⇒被疑者のM埠頭との発言から殺人・死体遺棄事件関連濃
厚、壁は差押えられない⇒必要かつ相当な処分
(2) 写真②
T.Kとの書き込み、30万、鉛筆⇒被疑者への報酬の可能性濃厚、鉛筆な
ので消える⇒現物差押えても、なお写真による証拠保全の必要あり。
(3) 写真③
あやしいところない、証拠物も差押えてない⇒関連性ない物を写真撮影する
ことで実質的な差押えは許
されない⇒必要かつ相当な処分とはいえない。
(4) 写真④
パスポート、名刺、はがき⇒差押えする代わりに乙野花子の名義確認⇒必
要かつ相当な処分
印鑑⇒差押さえする代わりにAの印鑑とAの通帳の届出印の符号⇒必要か
つ相当な処分
3 以上より、写真③については、その法的性質が検証であって、検証令状がなく
違法。
設問2
1 裁判官の心象形成は立証趣旨により拘束されない。よって、当該証拠により立
証される事実との関係でその証拠能力は問題にされるべきである。以下、本件
実況見分調書の各部分について個別に議論する。
2 実験車両を甲が指している場面の写真(以下、Aとする)、岸壁にぶつかって止
まっている車両の写真(以下、Bとする)、車の落下した写真(以下、Cとする)、車
両の損傷位置のわかる写真(以下、Dとする)
(1) Aの下には「私は~~停止させました。」との記載がある。これらを合わせて
考えると、この部分は停止させた車両の位置の状況を示すにすぎないことか
ら、現場指示と考えられる。
(2) Bの下には「車は~~止まりました。」とあり、これらを合わせて考えると、こ
の部分は、車の停止した状況を示すにすぎず、現場指示と考えられる。
(3) Cの下には「車は~~転落しました。」とあり、これらを合わせて考えると、こ
の部分は、車の転落した状況を示すにすぎず、現場指示と考えられる。
(4) Dの下には「車の底~~。」とあり、これらを合わせて考えると、この部分は、
車の損傷の状況を示すにすぎず、現場指示と考えられる。
(5) 以上現場指示は、捜査官Pによる五感の感知による状況の把握の報告と一
体となっており、実況検分調書の一部となっているといえる。
(6) もっとも、当該部分は実況見分についての捜査官Pの供述を録取した供述
証拠であることから、このような証拠は伝聞証拠にあたり、証拠能力が認めら
れないのではないか(伝聞法則、321条1項)。
↓
伝聞法則の趣旨+伝聞証拠の定義+要証事実との関係で決まる
↓
本件供述はあたる。原則として証拠能力なし。
(7) しかし、例外論⇒321条3項類推論へ⇒肯定⇒Pを証人尋問して・・・「真正
に・・・」とは名義のみならず・・・⇒そうすれば証拠能力OK。
3 甲が人形・・・引きずってるいる場面の写真(以下、Eとする)、甲がサイドブレー
キ・・・レンジにした場面の写真(以下、Fとする)、甲が後部バンパーを持ち上げ
る場面の写真(以下、Gとする)
(1) Eの下には「私は助手席の・・」との記載があり、これを合わせて考えれば甲
が死体遺棄の犯行を自白している現場供述にあたる。
(2) Fの下には「私はドライブを・・・」との記載があり、これを合わせて考えれば甲
が死体遺棄の犯行を自白している現場児供述にあたる。
(3) Gに下には「私は後部バンパーを・・・」との記載があり、これを合わせて考え
れば甲が死体遺棄の犯行を自白している現場供述にあたる。
(4) 以上より、これらの部分は甲の死体遺棄の犯行の自白にあたることから、こ
の部分については、322条1項の要件を満たせば例外的に証拠能力が認めら
れる。本件では、特に任意性に問題がるような事情が見つからないこから証能
力が認められる。
4 上記のように、本件の実況見分調書は321条3項、322条1項の要件を満た
せば証拠能力が認められる。