クロの野望
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設問1

 Xに対する本研究の中止命令は,Xの遺伝子治療研究の自由を侵害し違憲とならないか。

1 人権の保障及び侵害

(1) Xの主張

  Xの行う遺伝子治療研究の自由は、遺伝子治療という高度に学問的な内容の実践行為であって、学問の自由として憲法23条により保障される。大学はXのCを被験者とする治療に問題が発生したことを理由としてXに遺伝子治療研究の中止を命じ、それによりXは研究を行えなくなっていることから、Xの遺伝子治療研究の自由は侵害されている。

(2) 大学の主張

  Xの行遺伝子治療研究の自由は、遺伝子という人間の核となる要素を扱うもので、高度な危険を有していることから学問の自由として保障することはできない。よって、23条のらち外のものとして同条により保障されているとはいえない。

(3) 自己の見解

  確かに、学問の自由は高度な危険性を有する点はある。しかし、人類が生存していらい火を手にし核兵器を有するようになったように人類は常にその危険と背中合わせにしながらその発展を遂げてきたのである。高度な危険性を有するからといって高度な研究の自由を否定することはできず、その学問的研究の価値をからしてXの遺伝子治療研究の自由は、23条により学問の自由として保障されていると解される。その点で、大学の中止命令はXの同自由を侵害している。

2 違憲審査

(1) 審査基準

 ア Xの主張

   学問の自由は精神的自由権であって・・・(二重の基準論)。そこで、明白かつ現在の危険の法理を審査委員会規則第8条に読み込み、その限りで合憲とすべきであると解する。

 イ 大学の主張

   同研究は高度な危険性を有することから規制の必要性が大きいだけでなく、その専門性から大学の判断に裁量が認められる。そこで、合理的関連性の基準を同規則に読み込み、その限りで合憲とすべきであると解する。

 ウ 自己の見解

   確かに、同研究は高度なものであって危険性ゆえの規制の必要性も大きく、大学側にはその専門性から裁量的判断を尊重する必要性も感じられる。しかし、一方で、学問の自由の重要性や、過去の歴史からするに弾圧の対象にされやすい事情を鑑みれば、安易な規制を許すべきでない。

   そこで、LRAの基準を同規則8条に読み込み、その限りで同規則を合憲と解釈すべきであると解する。

   具体的には、同条の「重大な事態」とは、遺伝子治療臨床研究により重大な不都合が生じ、それが客観的かつ明確に重大な不都合が発生する相当の蓋然性が客観的に認められる場合をいうものと解する。また、「必要な措置」とは、そのような重大な事態の継続を解消するために必要最小限の手段をいうものと解される。

(2) 「重大な事態」

 ア X

   Cに対して遺伝子治療を行った結果Cは重体に陥り治療の継続が困難になっていることはCにたまたま生じたものであって、遺伝子治療臨床研究により重大な不都合が生じているとはいえないし、また、客観的かつ明確にそのような不都合が認められるとまではいえない。

 イ 大学の主張

   Cは重体に陥っているのであって、Xが行った遺伝子治療に起因することは明からであることからXの遺伝治療研究の継続には重大な不都合が認められるし、それは客観的かつ明確な不都合である。

 ウ 自己の見解

   Cの治療がXの遺伝子治療に基づいているものであって、それによりCは重体に陥り治療の継続が困難になっている以上、Xの遺伝子治療研究に問題があるとの強い推定がはたらくことから、Xの研究継続には新たな被害者を出す重大な不都合が認められ、それは客観的かつ明確に認められる不都合である。

   よって、「重大な事態」が生じていたといえる。

(3) 中止命令という手段

 ア Xの主張

   Cが重体に陥ったことはC自体に問題が生じている可能性も高く、Xの遺伝子治療研究自体に問題が生じているとは必ずしもいえない。それにもかかわらず研究の一律的な中止を命じるのは必要最小限の手段とはいえない。

 イ 大学の主張

   CはXの遺伝子治療研究に基づいた臨床実験を行って重体に陥ったことからすれば、Cの研究を中止にさせることで重大な事態の継続を解消することができるのであって、他の勧告などの手段ではその目的を達することができない。よって、研究命令の中止は必要最小限度の手段であるといえる。

 ウ 自己の見解

   確かに、Xの研究を中止させれば重大な事態の継続を解消することはできる可能性は高い。しかし、Cの重体が、Xの遺伝子研究自体に問題があるのか、C自体に問題があったのかを明らかにせずにXの遺伝子研究を一律に中止するのはXに対する必要最低限度の制約とはいえない。また、Xの遺伝子研究に問題が生じていたとしても、遺伝子研究の問題のある部分だけを中止することは可能であって、それを吟味することなく一律にXの研究を中止するのは必要最小限度の規制とはいえない。

  よって、本件のY大学により中止命令は違憲である。

3 部分社会の法理

  大学のXに対する中止命令は大学内の問題であり、大学の自治を尊重して司法審査を行わないという考え方もある。しかし、私は、それではXの裁判を受ける権利(32条)を著しく侵害する可能性があることから、そのような考えは採用すべきではないと解する。

 

設問2

 遺伝子情報保護規則6条はXの遺伝子情報を公開する自由を侵害していることから違憲となり,その結果,停職処分も違憲とならないか。規則6条の違憲性を検討する。

1 人権の保障及び侵害

 ア X

   遺伝子情報を公開する自由は、遺伝子情報という通常一般人にはわからない高度な情報を知らせるもので、公開される者の知る権利の観点からも重要であるから21条1項により表現の自由の1つとして保障される。同規則6条1項、2項はその公開を一定限度で規制していることからXの遺伝子情報を公開する自由は侵害されている。

 イ 大学

   遺伝子情報は、個人にとって重要なものであって、プライバシー保護の要素が強い。ゆえに、そのような情報をみだらに公開するような自由は21条では保障されていない。

 ウ 自己の見解

   確かに、遺伝子情報は個人にとって重要なものであって、そのみだらな公開はプライバシー保護の観点から規制の必要はある。しかし、遺伝子情報は通常の人間には知ることのできない情報であって、知る権利の観点からその公開は一定の意義を有するというべきである。よって、遺伝子情報公開の自由は21条1項により表現の自由の1つとして保障されると解する。

2 違憲審査

(1) 審査基準

 ア X

   遺伝子情報公開は精神的自由の側面・・・・(二重の基準)。そこで、明白かつ現在の危険の法理によりその合憲性を判断すべき。

 イ 大学

   プライバシー侵害の危険性が大きいことからその公開にあたり規制の必要性は高い。そこで、合理的関連性の基準によりその合憲性を判断すべき。

 ウ 自己の見解

   確かに、遺伝子研究の精神的自由的側面の重要性はある。しかし、遺伝子という情報が個人にとって重要なものでプライバシーを保護する必要性が非常に高いことからすれば、その規制の必要性は大きい。

   そこで、合理的関連性の基準を採用するべきと解する。具体的には、①目的が重要で、②規制手段が目的と合理的関連性を有することが必要であると解する。

(2) 目的

  目的は、・・・・・・・・・・・・・・・・(省略)。よって、重要である。

(3) 手段

  手段は・・・・・・・・・・・・・・・・(省略)。よって、合理的関連性が認められる。

   よって、同規則は合憲であることからXの停職処分も合憲である。

 

 

 

第1問
第1 XのY社に対する労働契約上の地位の有無
1 平成13年4月労働契約→3月1日付けで解雇。そこで,当該解雇が解雇権の濫用(労契16条)にあたらないかを検討する。
2 「合理的な理由」
(1) 解雇事由限定の話→限定説→本件の配転命令が無効であるような場合であれば就業規則37条の該当事由にはあたらない。そこで以下,配転命令の効力を検討。
(2) まず,配転にあたり個別合意が必要なのか。
不要説
(3) そうだとしても,配転命令の濫用とならないか(労契3条5項)。
 ア 3類型明示(配転必要性なし,著しい不利益,違法な目的)
 イ 配転の必要性なし
   否定
 ウ 著しい不利益
   否定(かなり厚く論じた,代替的な手段が存在するなど)
 エ 結論として濫用なし。
(4) 即日解雇(労基20条1項)は有効なのか。
相対的無効説→本件では有効
(5) 以上から,就業規則37条1号・5号に該当し,解除に客観的な合理的理由がある。
3 「社会通念上相当」
(1) 解雇するほどの重大性
否定
(2) 解雇回避の努力
否定(かなり厚く論じる)
(3) 労働者に宥恕すべき事由
肯定
(4) 以上より,社会通念上,解雇という手段が相当とは言えない。
4 よって,解雇は無効であって,Xは労働契約上の地位を有する。
 
第2 XのY社に対する賃金支払い請求の可否
1 2月分
  前述のように配転命令が有効であることから,これに従って労働しないXにはその帰責事由が認められ,かつ,労務の提供がないことから,2月分の賃金の請求はできない。
2 3月分
  3月分については,Y社の解雇通知を起点として労務の提供が社会通念上不可能になっ
ており,Xに当該履行不能についての帰責事由はないことから,危険負担の問題となる。この点,解雇できないにも関わらず解雇通知をしているY社側に帰責事由があることから,Xは3月分についての賃金を請求できる余地がある(民法536条2項)。しかし,本件では,3月10日に30万円が入金されており,これが実質的に即日解雇に合わせて3月分の給料の支払いであると考えられることから3月分の給料については請求できない。
3 4・5月分
(1) 4・5月分についても3月分と同様に請求できる余地がある。もっとも,本件では,Xはアルバイトにより合計28万円の中間収入を得ていることから,この中間収入が控除されるかが問題となるも,当事者の公平の観点から控除されるものと解される(民法536条2項)。
(2) もっとも,労働者の生活上の安定を図る趣旨から全額の控除を認めるのではなく,休業手当(労基26条)の支給基準以上の控除は認めるべきではないと解する。
(3) よって,本件においては,本来の4・5月分の給料が30×2=60万であり,その休業手当は36万円であることから,中間収入のいつ控除できる範囲は限定されて24万円については控除が可能である。
したがって,結果的には60-24万で36万の請求が可能である。
 
第3 XのY社に対する退職金支払い請求の可否
   前述のようにYの解雇は無効でXはY社の労働契約上の地位を有することから退職金105万は請求でない。
                                                     以上
 
 
 
第2問
 
設問1
1 Xらは平成20年10月1日付で6か月間の雇用期間を定めて有期雇用契約を締結して
いるものの,Yはその雇用期間の経過に伴って契約の打ち切りを行っている。では,この
ような有期雇用の打ち切りは無制約に認められるのか。
(1)     合理的期待説
(2)     本件では,更新,従来の更新拒絶がない,半導体製造において不可欠,時間外労働などの事情を考慮して,合理的期待を認定。
2 解雇権の濫用(労契16類推)があるといえるか。
(1)     整理解雇4要件の論証
(2)     必要性
売上高の減少,回復の見込みない,半導体製品などから肯定
(3)     解雇回避努力義務
雇用打ち切りをいったん断念,内部留保,債務超過ない,正社員の労働時間の短縮,賞与カットなどの事情から否定
(4)     解雇者選別の公正
比較的単純な作業,期間工などの事情から肯定
(5)     説明・交渉の有無
2回にわたる説明会,雇用打ち切りの経緯説明などの事情から肯定
 (6) 以上から,打ち切りは無効である。
 
設問2
1 懲戒処分の効力
  懲戒事由に該当するとしても,本件のストライキが正当なものであればその違法性が
阻却されることになる。では,本件のストライキが正当なものといえるか。
(1) 目的
期間従業員の雇用問題と正社員の人員整理計画の有無は義務的団交事項(労組7条2項)といえるのか。
   期間従業員は労働契約そのものなのでOK。さらに人員整理は経営事項の側面もあるが,労働者の労働条件に直結するものとして義務的団交事項にあたる。
   ↓
   目的は正当
(2) 態様
5月10日のみ,全日ストライキ,などの事情からストライキの態様の相当性を肯定
(3) 主体
部分ストでN組合の方針のもと45名の組合員が実施しており主体の正当性OK
(4) 手段
団体交渉を事前に行っておりOK
(5) 以上から,ストライキは正当なものであるから,本件のRへの出勤停止10日間,Sへのけん責は無効である。
2 賃金カットの効力
(1) ストライキを行った45名
ノーワーク・ノーペイの原則から賃金カットは有効
(2) その他の120名
 ア 労務の提供が履行不能になっており,かつN組合ら120名には当該履行不能について帰責事由はないことから,危険負担の問題。この点,使用者であるYに帰責事由があるといえるか。
   ストライキは使用者の制御できるような事項ではなく,使用者に帰責事由は認められない。
   よって,危険負担の債務者主義(536条1項)により120名は賃金請求できない。
   したがって,賃金カットは有効。
  イ もっとも,休業手当(労基26条)を請求できないか。
(1) 論証
(2) 本件のストライキは使用者にとって,管理可能性がなく労使の対立の結果であって使用者にとっ
て防ぐことのできないものであるから,使用者にとって不可抗力によるものであって,使用者側に起因する経営・管理上の障害とはいえない。これは,本件のような部分ストにおいても同じである。
よって,休業手当は請求できないことから,全額の賃金カットは有効である。
                                                  以上
 
 
設問1
1 考えられる法的手段
  Fらが本件建築物の建築を阻止するためには、EがAに対して行った建築確認の取消訴訟(3条2項)を提起することが考えられる。建築確認は建築基準法の仕組み上(建基法6条参照)、それにより建築工事の続行を可能にする法的効果があると考えられることからこれを取消すことで、建築の続行を阻止するのに有効である。
  また、取消訴訟を提起して工事が続行して建物が完成してしまえば、建築確認を取消しても建物の除去の効果が建築基準法の仕組み上認められるとはいえないから(建基法6、9条参照)、訴えの利益が失われてしまう。そこで、建物続行による建物完成を防ぐべく執行停止の仮処分の申立ても取消訴訟にあわせて行うべきである(25条)。
  さらに、訴えの利益が消失した場合に備えて人格権に基づく工事の差止め訴訟も提起すべきである。
2 訴訟要件(取消訴訟)
(1)     処分性,訴えの利益などその他の訴訟要件は認められる。
(2)     では,FGHIに原告適格(9条1項)が認められるか。
 ア 原告適格の論証(判例のやつね,考慮要素については個別にあげずに9条2項を解釈規定として考慮すると書いた。)
 イ F
    建基法1条,安全条例4条2項3項(特に3項)から10Mという近接したマンションに居住するFの安全も法律上の保護にあたいする利益であって,公益には吸収されないと認定(実際の答案では結構ぐだぐだ書いてる,以下同じ)。
    よって,原告適格が認められる。
 ウ G
   建基法1条,安全条例4条からは,近接するマンションの財産権自体を個別に保護しえいるとは考えられないとして,公益に吸収される利益として認定。
   よって,原告適格は認められない。
 エ H
   建基法1条,安全条例27条4号から児童室などに通う児童の身体の安全について法律上の保護されており,公益に吸収されないと認定。
   よって,原告適格は認められる。
 オ I
   建基法1条,安全条例4条2項3項(特に3項)から近接した周囲の住居者の安全については法的に保護に値するもの,それ以外は法律上の保護が認められない。本件のIはFと異なり,500M,本件の土地に近接しているとはいえず,相応の距離があることから,Gの住居上の安全は公益に吸収される利益だと認定。
   よって,原告適格が認められない。
3 仮の救済(執行停止)
(1)     執行不停止の原則(25条1項)→実益論じる→効力の停止と認定
(2)     「重大な損害を避けるため緊急の必要」
 ア 解釈規定として25条3項を考慮すると指摘
 イ 火災,交通事故など身体・生命にかかわるもので事後的な手段ではその利益の回復は困難であることとから,同要件を満たす(これももう少しグダグダ書く)。
(3)     「公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれ」
本件ではない。
(4)     「本案について理由ない」とはいえないこと
以下のように理由はある。
 
設問2
1 違法事由
(1) 道路の幅員問題(安全条例4条2項違反)
遮断機について常に上げ下げが可能であるとは言えないことから非常時に問題がある。また,上げても3Mしか幅員がとれないことから,実質的に同項の要件を満たさないとして違法
(2) 駐車場の入口問題(安全条例27条4号違反)
4号に児童室が含まれるか→趣旨から子供の利用者が相当数あつまる可能性がある場合には含まれる→本件においては,座席10人,専用出入口,図書館と併設などの事情から,子供が複数利用する可能性があることを認定し,4号の「その他これに類するもの」に児童室が含まれることを認定して,10Mしか離れていないことを指摘して違法とした。
(3) 説明会の開催問題(予防条例6条違反)
 ア 情報開示が不十分,質問の機会を与えない,一方的に終了を宣言などの事実を指摘して,充分な説明を行わないことで同条違反を認定。
 イ もっとも,このような手続き違反が別途独立に違法事由となるかが問題となるも,重要な手続き違反については違法事由となるものと解する。本件では,説明は不服申し立ての便宜を与える上でも重要なものであるから,別途独立に違法事由になると指摘。
(4) 公聴会の開催問題(行手法10条違反)
条文上義務ではないから適法と認定。
2 Fの主張できる違法事由
 ア 10条1項の指摘
 イ 駐車場の出入り口の問題は,そこに通う児童などの身体の安全を保護する趣旨であることからして,Fの
     法律上の利益と関係ないとして,否定。道路の幅員と説明会については,Fの住居の安全に関係するとして
     肯定。
 
 
 
設問1
1 Xの主張する事実は、YがXに対して建物買取請求権(借地法4条2項)を行使したという事実(以下、当該事
 実とする)であって、これについては、証明責任の分配に関する法律要件分類説を前提にすると、Yにとって
 有利な法規の効果発生を基礎付ける事実であって、Yが証明責任を負い、かつそれにともない、Yが主張責
 任(弁論主義第1テーゼ)を負うことになる。本件において、同事実の主張は本来抗弁にあたるものであり、ま
 た、主要事実であることから弁論主義の適用がある。
 そして、裁判所が同事実について、証拠調べをすることなく、判決の基礎ときできるには、当事者が当該事実
 を主張し、かつ、それについて自白が成立することが必要である(弁論主義第2テーゼ、179条)。
 以下、それぞれの場合について検討する。
2 (ⅰ)
(1)       当該事実の主張は主張責任を負うYではなく、Xによりなされている。この場合にも、裁判所は事実の主張があったものとして扱えるか。主張共通の原則が問題となる。
 ア 主張共通肯定説
 イ 本件ではOK。
(2)       もっとも、自白は相手方の主張する自己に不利益な事実の承認であるところ、Yは当該事実を否認しており、自白は成立しない。
(3)       よって、裁判所は証拠調べをすることなく判決の基礎とできない。
3 (ⅱ)
(1)       当該事実は、Xが主張しているものの、Yが援用していることから、事実の主張は認められる。
(2)       また、自白は相手方がし証明責任を負い、かつ相手方の主張する自己に不利益な事実の承認であると解されるところ、当該事実についてXが主張するだけでなく、証明責任を負うYが当該事実のXの主張を援用していることから自白が成立する。
(3)       よって、裁判所は証拠調べをすることなく判決の基礎とできる。
4 (ⅲ)
(1)       当該事実はXが主張している以上、主張共通の原則から、事実の主張については認められる。
(2)       もっとも、Yは当該事実について争うことを明らかにしておらず、Yが当該事実を援用するかについては(ⅱ)とことなり明らかでない。
そこで、弁論の全趣旨を考慮して、Yが後続の審理において当該事実を争ったものと認められないときには、当該事実について擬制自白が成立する(159条1項)。
(3)       よって、擬制自白が成立する場合には、裁判所は証拠調べをすることなく判決の基礎とできる。
設問2
1 小問(1)
(1)       訴えの利益とは、当該請求に紛争解決の実効性があることをいう。
(2)       本件においては、第1訴訟と第2訴訟の訴訟物は同一であって、Xは第1訴訟において勝訴判決を得ており、特に時効の中断などの利益がないにもかかわらず、さらに同一の訴訟を行うことは、紛争解決の実行性がないというべきである。
2 小問(2)
(1)       既判力の時的限界
ア Xが第2訴訟で主張する本件賃貸借契約の解除の事実は、第1訴訟でも主張することが可能であったものである。
この点、既判力の根拠は、紛争の蒸し返しの防止と手続保障による自己責任にあるところ、前訴の口頭弁論終結時までは事実の主張が可能であることから、その時点までに手続保障があるといえ、口頭弁論終結時までに主張可能な事実については、遮断効が作用するものと解される。
  イ これを本件についてみるに、第1訴訟と第2訴訟の訴訟物は同一であって、Yの主
張する本件賃貸借解除の事実については前訴の口頭弁論終結時までに主張可能だったものである。よって、第2訴訟でYが当該事実を第2訴訟で主張するのは、遮断効が作用して許されない。
(2)       既判力の客観的範囲
 ア 判決の効力は主文について生じる(114条1項)。この点、第1訴訟の判決における「本件建物の代金5
  00万円の支払いを受けるのと引換えに本件建物を退去して」の部分については、執行条件を明示する  
  ものであることから、既判力は生じない。しかし、前述の既判力の根拠からすれば、当該執行条件の部
  分についてもXYは争っていたのであって、この部分についても紛争蒸し返し防止の必要性と自己責任が
  認められるというべきである。
   そこで、当該執行条件についても既判力に準じる効力が発生するものと解される。
 イ よって、当該執行条件そのものに既判力に準じる効力が生じ、Xは遮断効により、本件賃貸借契約解  
  除の事実を第2訴訟で主張できない。
3 小問(3)
(1)       訴えの利益
第1訴訟と第2訴訟は訴訟物は同一であるものの、執行条件が異なってくることからすれば、新たな訴えの必要性があり、第2訴訟に紛争解決の実効性が認められる。
(2)       既判力の時的限界
 ア 既判力の根拠からすれば、前訴において主張することが期待できない事実については、その手続保
  障がないことから、遮断効は作用しないとい解するべきである。
 イ これを本件についてみるに、XはAを相続しており、事情をよく把握できなかっただけでなく、本件賃貸借
  契約解除に関する内容証明郵便はAの亡き兄Cのところに存在しており、Xがその存在を把握するのは
  困難なものであって。
   よって、Xは第1訴訟において本件賃貸借契約解除の事実を主張するのは困難であって期待できない
 ものであったことから、第1訴訟の遮断効は作用しない。
(3)       既判力の客観的範囲
 ア 判決の効力は主文について生じ判決理由中の判断には生じない(114条1項)。この点、既判力の生じ
  る範囲を主文に限定する趣旨は審理の迅速性・弾力性を確保するところにあり、執行条件すぎない建物
  退去の部分についてまで、既判力に準じる効力を認めると同趣旨が害される。
 イ よって、判決に準じる効力は認められない。
(4)       信義則
本件において、YのもとにはAからの内容証明郵便が到達していたはずである。にもかかわらず、Yの遮断効の主張を認め、Xの主張に遮断効を作用させるのは信義則に反する(2条)。
                                                           
                                                           以上
 
 
設問1
1 売買契約(555条)は,契約の申込みと承諾をもって成立する。本件においても事実5記載の注文書をAの担当者がXに送付したのが申込みであり,それにたいしてAが注文請書を送付した行為が承諾にあたる。
 もっとも,本件では,AY間の事前の話合いでは,SP112を目的物として売買契約を締結することにしているにもかかわらず,実際には,注文書・注文請書ともに売買の目的物をSP122と記載している。売買の目的物についてはどちらの目的物を対象として成立しているであろうか。
 この点,契約の合意については,明確性の観点から,外形的な意思を基準とすべきであると解される。
 よって,本件でも契約の目的物は,注文書・注文請書にあるようにSP122であると考えられる。
 もっとも,以下のようにこの原則は変容を受ける。
2 本件においては,AXともに売買の目的物をSP112と内心では考えているにも関わらず外形的にはSP122と表示しており,この点に内心とその外形的表示に齟齬が生じており,「錯誤」がある(95条)。
 このように,双方ともに錯誤に陥っている場合にまで,外形的な意思を基準として契約を成立させるのは,当事者の合理的意思に反して不当な結果となる。
 そこで,このような双方に錯誤があるような場合には,例外的に内心の効果意思を基準として契約を成立させるものと解する。
 よって本件においては,AYともに錯誤があることから,売買契約の目的物は内心の効果意思どおりSP122である。
 
設問2
(1)①
本件の売買契約に基づき動産甲を引き渡した事実は,証明責任による法律要件分類説を前提に考えると,即時取得(192条)を主張するYにとって有利な法的効果を発生させる法規の事実であって,Yが当該事実について証明責任を負っているものと解される。
そして,主張責任は証明責任を負うものが負うことになることから,本件の引き渡しの事実について証明責任を負うYが当該事実の主張責任も負うべきである。
 よって,Yが本件の動産甲の引き渡しの事実について主張立証する必要がある。
(1)②
Yが①の引き渡しを受ける際,A社がY社に代金全額を弁済していない事実を知らないという事実は,反対に,代金全額を弁済していない事実を知っていれば,取引の慣行から所有権留保なりYが代金を確実に獲得するためにAに動産甲の所有権を完全には移転させていないことは容易にわかることからしても,YがAの動産甲の所有権を疑わずに信じていたという事実を表すものである。
 即時取得において,「善意」とはその物の占有者がその物の権限を持つことを疑いなく信じることをいうことからすれば,当該事実はその善意を立証する事実である。
 この点,即時取得においては,186条により物の占有者は善意で占有するものと推定されることから,これにより,即時取得を争うXがYの悪意について立証責任を負うことになる。善意であることについてYは証明責任を負わない。
 よって,Yは当該事実について主張立証する必要はない。
(2)①
 Yが,AがXとの売買により目的物を調達することを知っていれば,Yが金属製の食器を製造する事業を営む会社であって,Xが機会を製造して販売している事業を営む会社であることから関連する業界として,AX間の契約において所有権留保などの特約があることは通常可能であることから,動産甲を取得するにあたり,Yにその点についての調査義務を生じることになる。
 それにも関わらず,Xはその調査を行っていないことから,この点にYにはAに動産甲の所有権があると信じることについて過失があることになる。
 よって,当該事実は,Xの過失を根拠づける事実として評価される。
(2)②
 確かに,手形で代金を支払われることを知っていれば,Xの過失を根拠づける事実のようにも思える。
 しかし,即時取得においては,悪意・有過失の有無については,その動産の引き渡し時において判断されることになる。なぜなら,即時取得は,占有に公信力を認めることで取引の安全をはかる制度であることから物の占有の取得時に悪意・有過失を判断すれば十分だからである。
 これを本件についてみるに,平成20年2月15日に動産甲の引き渡しを受け,その後に平成20年2月20日になって当該手形の事実を知っているのであるから,当該事実によりYに過失があるといてもそれは即時取得の成否において考慮されるものではない。
 よって,本件の事実は特別に意味にあるものとしては評価されない。
 
設問3
1 法的根拠
  不当利得返還請求権(703条)
2 理由
  同条の要件を満たせば動産甲の使用料相当額の支払いが可能であることから,同条の要件を満たすかを検討する。
(1) 「他人の財産によって利益を受け」
 ↓
XがAとの契約を解除してもその効果をYに対して主張できなければ,同要件を満たしているとは言えない。この点,解除の効果は遡及効を有すると考えられるものの,「第三者」に対しては効力を主張できない(545条1項但書参照)。本件においては,XはAとの契約により動産甲を取得ししているものの,AY間の契約の目的物となった物そのものを移転することでYが解除を主張できなくなるのは不当であることから,Yは「第三者」にはあたらず,XはYに対して解除の効果を主張できるものと解される。
 よって,YはXの所有する財産である甲によって使用利益という利益を受けているといえる。
(2) 「他人に損失」
 ↓
Xは動産甲の所有権を有しているにもかかわらず,Yがそれを使用していることでそれを使用できず,使用料相当額の損失を被っているといえる。
(3) 「利得の存する限度」
 ↓
Xは動産甲を使用することで合金を素材とするコップを製造しており,利得が現存しているといえる。
(4) 「法律上の原因なく」
 ↓
Xが解除権を行使するまでは,AY間の契約はなんら問題なく成立していることから,Yも甲動産の使用については正当なものだったはずである。しかし,Xが解除権を行使したことで,Yは正当に動産甲を使用する権限を失ったというべきである。また,Xは額面額740万円の手形が行使できなくなっており,代金のほとんどを受けられずにかつ動産甲の使用まで認めないというのではXを著しく害することになる。
 そこで,解除の時点よりYの甲動産の使用を認めるが実質的な公平に反する結果となることから,法律上の原因を欠くものとなる。
(5) 以上より,Xは同要件を満たすことから同権利の行使が可能である。
3 いつからの請求ができるのか
  上記のように,Xが留保していた解除権を行使した時点より,Yの使用は不当なものとなることから,Xは平成20年5月2日に解除権行使の書面がYに到達したときよりYにその時点からの甲動産使用利益の請求が可能である。
                                                        以上


 
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