返済金猶予制度、苦しくなる金融機関には公的資金も=金融相
[東京 19日 ロイター] 亀井静香郵政・金融担当相は18日、ロイターなどのインタビューに応じ、法制化を進めている中小企業や個人による借入金の返済猶予(モラトリアム)制度によって経営が苦しくなる金融機関には、公的資金を注入すればよいとの考えを示した。
同制度の導入に向けた発言を受けた銀行株の下落については、金融界の体質がぜい弱なためとの見解を示し、国際的な議論が高まっている銀行の自己資本規制に関しては、当たり前だと述べた。
亀井郵政・金融担当相は、モラトリアムを実施する中で資金不足に陥る金融機関が出る場合には、公的資金を注入すればよいと述べた。「現在も地銀に資本注入している。返済猶予をしていなくても資金繰りに困っている金融機関もあり、ましてそういうこと(返済猶予)で資本注入しなければいけないところが出てくれば(資本注入)すればよい」と語った。「どの程度経営圧迫になるかどうかは分からないが、圧迫する場合は、国が責任を持って対応すればいい。日銀が役割を果たす場合も出てくるだろうし、政府がやる場合もあるだろう。いろんなバリュエーションがある」とした。
モラトリアムの実現可能性については「実現させる。3党合意もしている。事務方にも勉強しろと指示した」とあくまで実現への意欲を強調。一部の銀行には公的資金が注入されていることを踏まえて、「貸し手が困ってるときは政府が国民の税金で(資本注入を)やる。借り手が困ってるときに返済猶予するのは当たり前。それがおかしいというのはバランス感覚がない」と述べた。
亀井郵政・金融相によるモラトリアム発言以降、銀行株が下落したことについては「モラトリアムをやるから金融界が脅えるというならば、日本の金融体質が脆弱だということ」と指摘した。モラトリアム導入の必要性について、藤井裕久財務相が1927年の昭和金融恐慌時に発令されたモラトリアムに言及し「(今が)そういう状況なのか」と慎重発言をしたことに対しては「私がやることだ」と不快感を示した。
モラトリアムの詳細は今後詰めるが「本来ならば、たいへんなので少し返済を待ってくれという借り手がいたら、金融機関が猶予するのは普通のことだ。ところが実体的には力関係があるから、なかなかそうはいかず、借り手が苦しんでいる現実がある」と説明。こうした状況を解決するためにモラトリアムが必要だとし「そういう意味で実効性があるやり方を考えないといけない」と述べた。
業績回復の見込みがない企業に対する返済猶予も実施するのかどうかの判断は「そこらの仕組みをこれから検討しようとしている。個々の金融機関が恣意的に判断した場合、この制度の意味もなくなる」と述べるにとどめた。
亀井郵政・金融相は「なんでもかんでも国家が入って、私的な関係に介入すればいいとの考え方ではない。民間同士でうまくいくのが一番よい」との立場を示したが「現実において力関係その他で無理だから、国家が出て行かざるを得ない」と、制度導入への理解を求めた。「日本経済がきちんと立ち直ってドンドン借りた金が返せるという状況になれば、これは事実上必要なくなる」とも述べた。 続く...
金融界にはモラルハザードがある
亀井郵政・金融担当相は、金融界にはある面でモラルハザードが起きていると疑わざるを得ない事柄が相当あると述べた。
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