2009年9月21日3時3分
鳩山由紀夫首相は、11月中旬に予定されるオバマ米大統領の初来日までに、海上自衛隊によるインド洋での給油活動をやめた場合の代替案として、民生支援を軸にしたアフガニスタン支援の基本方針をまとめる意向を固めた。首相官邸と外務省が、代替案の検討に着手した。
首相は21日、国連総会での演説やG20(金融サミット)出席のため米国に向けて出発し、23日にオバマ氏と初の首脳会談を行う予定。ここでは「信頼関係の構築」を最優先し、個別の懸案には踏み込まない見通しだ。しかし2度目となる11月の会談では、アフガン支援の日本の方針を示す必要があると判断した。
首相は18日、アフガンに軍隊を派遣しているイタリアのナポリターノ大統領と会談した際、「農業支援はじめ、経済や社会を安定させる支援を展開したい」との考えを示した。アフガンでは武装解除された人が、仕事がないため反政府勢力に戻る例が多い。政府は雇用創出につながる支援を重視しており、国際協力機構(JICA)がアフガンに設けた職業訓練校やNGOへの支援拡充を検討する。
一方、復興支援などのための自衛隊派遣については、岡田克也外相が20日のテレビ朝日の番組で「日本がアフガンに評価されているのは軍隊を出していないからだ。アフガン本土に自衛隊を出してくれと米国から言われているわけではない」と述べ、否定的な考えを示した。
インド洋での給油活動は、根拠法の期限が切れる来年1月以降は延長しないというのが民主党の基本方針だ。ただ給油活動は「テロとの戦い」の中で、日本の対米協力の象徴となってきた。アフガンの治安は悪く、鳩山氏が代替案として想定する民生支援がすぐに動き出す保証はない。代替案が実現しないまま給油活動の中止に踏み切った場合、対米関係に悪影響が出ることへの懸念も閣内にはある。