▽無症状なら自粛を
新型インフルエンザの流行に伴い、広島市内の医療機関で、感染を調べる簡易検査キットが不足している。患者の増加に加え、症状がなくても検査を受ける人が増えたのが原因。広島市医師会はビラを作成し、不要な検査の自粛を呼び掛けている。
佐伯区のながたこどもクリニックでは、キット約100人分をストックしているが、「10月に流行のピークが来れば、1週間で尽きる」と永田忠院長。医薬品卸へ注文を出しても、約3分の1しか届かないという。
広島市内の医薬品卸には、国内で初の死者が出た8月下旬から注文が急増した。サンキ(西区)は「メーカーの生産が追いついていない。出荷時期が見通せない商品もある」と説明する。
市医師会は「キットが全般的に入手困難になってきた」と警戒する。感染者と接触した社員には症状がなくても検査を受けさせる企業もあり、無症状での検査の増加が、キット不足を一層助長しているとみる。
作成したビラには、「無症状で健康な人は、保険診療としては検査できない」と明記した。「高熱患者さんや実際に感染した人などを優先せざるを得ない」と呼び掛け。症状がある場合も、ウイルス量が増える、発症からおおむね12時間後に検査を受けるよう勧めている。
ビラは15日に市医師会のホームページに掲載した。医療機関が印刷して、患者に配ったり、窓口に張り出したりしている。公衆衛生担当の森美喜夫理事は「重症の人の診察を遅らせないためにも、不必要な検査は自粛してほしい」と訴えている。(衣川圭)
【写真説明】小児科の診察室入り口に張り出されたビラ(広島市南区)
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