相馬学の映画コラム「ハリウッド・エンタメ映画至上主義!」。洋画、それもハリウッドの映画を中心に、注目すべき作品を独自の切り口で紹介していく。
第18回目の今回は、ゾンビ映画の巨匠ジョージ・A・ロメロの新作『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』を紹介する。一言でゾンビ映画と言ってしまえば敬遠されがちだが、ロメロ監督の作品は立派な社会派映画なのだ。
今週の紹介映画1 |
『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』 公式サイト:http://www.diaryofthedead.jp/ 監督:ジョージ・A・ロメロ 出演:ジョシュア・クローズほか 配給:プレシディオ 11月15日(土)池袋シネマサンシャイン、TOHOシネマズ六本木ヒルズ、銀座シネパトスほか全国順次ロードショー |
ゾンビ映画と聞いて、多くの人はいったい何を思うだろう? グロい、エグい、汚いホラーといった印象が強く、つい敬遠してしまう人も多いのではないだろうか。それはある意味正しいし、一方ではそういうゲテモノ(?)を好む筆者のようなホラー・ファンはうれしくなるだろう。
しかし、ゾンビ映画は本当にキモいだけのものなのだろうか? それが誤解であることを、11月15日より公開される『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』は教えてくれる。これはゾンビ映画の分野をリードしてきた鬼才ジョージ・A・ロメロの最新作だ。
まずはこの鬼才のフィルモグラフィーを振り返ってみよう。1968年に低予算で手がけたデビュー作『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』は初公開時こそ観客に無視されたが、その後ジワジワと評価を高め、今ではゾンビ映画の源流といわれるほどの古典として扱われている。
言うまでもなくゾンビは死者が甦り、人間の肉を求めてノロノロと歩き、噛まれた人間もまた同類となり、頭を撃ちぬかれると完全に死ぬクリーチャー。このルールを無言のうちに定め、後のすべてのゾンビ映画に影響を与えたのが、『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』なのである。