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 談論風発 :  「約束は守ってくださいよ」 民主公約不安はあるが…
鳥取県経済同友会特別顧問 高橋務

 16日の衆議院の開会に参集した民主党の新人たちの顔ぶれを見て、今さらながらに驚いた。これまでのイメージからすると、議員らしからぬ印象の人もいて、よくぞこれだけの人たちを探し出したものだと思った。

 しかしそれ以上の驚きと、不安を抱いているのが衆院選で民主党が掲げたマニフェスト(政権公約)だ。

 その骨格を最初に明らかにしたのは、ほぼ一年前の昨年10月に開かれた臨時国会。当時の党代表だった小沢一郎氏による代表質問および所信表明だった。

 「新しい生活をつくる五つの約束」として小沢氏が述べたその骨格は、衆院選で示されたマニフェスト(政権公約)にほぼ投影されている。その「五つの約束」を初めて聴いた当時は、正直いって「本当かいな」と首をかしげるしかなかった。

 それぞれの約束を見てみよう。

 第1の約束は、官僚の天下りと無駄遣いの根絶だ。一般会計と特別会計を合わせた国の総予算を組み替え、いわゆる「埋蔵金」も活用。政府資産も売却するなどして2009年度に4兆円、12年度には25兆円の新財源を生み出すとした。もっとも、選挙前に完成したマニフェストでは13年度に16兆8千億円と下方修正されている。

 公益法人への随意契約の見直しなどで、これだけの金額はひねり出せるのものだろうか。

 小沢氏はこの所信表明の中で、税金の使い方を変えることを担保するため、多数の与党議員が政府に入り、政治が役所をコントロールしていくと宣言した。組閣後の閣僚たちの動きを見る限り、とりあえず、政治主導の姿勢は色濃く出てはいるが、今後はどこまで貫き通せるかだ。

 第1の約束で生み出す財源の具体的な使い道が後段の約束に記されている。

 第2の約束では、年金加入者全員に年金通帳を交付し、「消えない年金」「消されない年金」へとシステムを改めるという。消えた年金は国が責任を持って全額支払うとしているし、悪名高い後期高齢者医療制度は廃止。医師の数は1・5倍にするそうだ。

 第3の約束が衆院選でも論議を呼んだ子ども1人月額2万6000円の子ども手当の創設や、公立高校の授業料無償化だ。

 第4の約束は、雇用の改善だ。パートや契約社員の待遇を正社員同様に均等化するほか、2カ月以下の派遣労働は禁止。中小企業の支援策と並行させながら、最低賃金の全国平均をなんと時給1000円に引き上げるそうだ。

 最後に約束したのが、鳥取県内でも選挙中、農業票をめぐって民主、自民が舌戦を展開した農家への個別所得補償制度などの産業振興策だ。

 1年前の小沢氏の話に対して感じた不安感は、いまだに変わらない。本当に約束通りになるなら、民主党様々(さまさま)だが、第1の約束による財源だけでこれだけ広範な政策実現は可能なのか。増税などをせず、無駄遣いの根絶だけで足りるのか。

 「言うは易(やす)く行うは難(かた)し」だが、そうならないことを祈っている。口にした約束は守ってほしい。

…………………………………

 たかはし・つとむ 公認会計士。元鳥取県経済同友会代表幹事。高橋会計事務所会長。同県中小企業再生支援協議会長なども務める。米子市在住。

('09/09/21 無断転載禁止)


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