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三十三間堂、落書き防ぎに興ざめベニヤ…許可なく

9月20日14時3分配信 読売新聞

三十三間堂、落書き防ぎに興ざめベニヤ…許可なく
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内壁に落書き防止のベニヤ板がはめ込まれた三十三間堂
 1001体の千手観音像を安置する京都市東山区の国宝・三十三間堂(蓮華王院)で、堂内の板壁に増える落書きを防ぐため、壁の大部分にベニヤ板をはめ込んでいることがわかった。

 窮余の策だが、寺側は事前に文化庁の許可を得ていなかった。京都府教委は、文化財保護法に触れる恐れもあるとして調査に乗り出す。

 寺によると、8月上旬、千手観音像の背後にある西側の内壁と、横にあたる北側の内壁の柱の間に赤茶色に塗ったベニヤ板計33枚をはめ込んだ。くぎなどは使わず、取り外し可能という。

 三十三間堂は、鎌倉時代に再建されたもので、本来はヒノキの板壁。修学旅行生らが名前などを刻んだ傷があった。特に南側内壁の落書きが多く、寺は2005年にベニヤ板4枚で覆っていたが、ほかの壁で目立つようになったという。

 堂を管理する妙法院の木ノ下寂俊執事長は「落書きがあると、さらに増えるので覆うしかなかった。ただ、文化庁に申請しなかったことは問題だった」と話す。

 同法は、文化財の現状変更や保存に影響する工事の際は、各都道府県教委に相談のうえ、文化庁の許可を得るよう定めている。府教委は「文化庁と協議し、処置が文化財の保存に影響を与えるなら、取り外しなどを指導する」としている。

 文化財保存に詳しい三輪嘉六・九州国立博物館長(文化財学)の話「どこの寺社も落書きには、苦慮している。防ぎたい思いは理解できるが、文化財を本来の姿で見せることにも配慮が必要ではないか」

最終更新:9月20日14時3分

読売新聞

 

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