きょうのコラム「時鐘」 2009年9月21日

 夏に沖縄へ行って来た。経済の落ち込みが激しく平均所得も低い、学力テストも低ランクの県である。ところが、街には子ども連れの若夫婦が目立っていた。出生率の最も高いのが沖縄である

長寿県でもある。100歳以上の長寿者が全国で4万人を超えたが、人口比でみても、比較的高い北陸の数字を遙かに超える。子どもの多い社会は、お年寄りにとっても過ごし易いに違いないと思わせる沖縄であった

所得は多いに越したことはない。勉強もできればできるほどいい。だが、大事なことを忘れてしまってはいないだろうか。長寿高齢策と少子化対策は別々に進んでいるように見える。この2つを絡み合わせることが大事だろう

私事で恐縮だが、老母の認知症が進んで、息子に「あんただれ?」と言う状態になったが、幼いひ孫が見舞いに行くと、普段見せない笑顔になる。敬老の日のプレゼントは生命あふれる子どもの笑顔が何よりだ。幼児と高齢者が触れあう場がもっとあればいい

老いた親に明日の自分の姿を思い、幼子には己の来た過去を見る。人間の人間たるゆえんを思う日にしたい。