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社説

日米密約 徹底調査で全容解明を(9月21日)

 真相がようやく国民の前に明かされる。そういう期待感を抱かせる展開だ。

 岡田克也外相が核持ち込みや沖縄返還などに関する日米外交密約の調査を外務事務次官に指示した。11月末までにと期限を切った大臣命令である。

 調査は鳩山由紀夫首相が衆院選で約束していた。歴代の自民党政権が否定してきた秘密合意の存在を公式に確認し、全容を解明する狙いだ。早速着手した姿勢を評価したい。

 外務省は詭弁(きべん)を積み重ねてきた過去の対応を反省し、誠実に作業に当たらねばならない。調査の対象は次の4点に関する密約だ。

 ▽日米安保条約改定時(1960年)の核持ち込み▽同改定時の朝鮮半島有事の際の戦闘作戦行動▽沖縄返還時(72年)の有事の際の核持ち込み▽同返還時の原状回復補償費の肩代わり。

 外相は「密約はかなりの確度で存在している」とみている。

 これまでに存在を裏付ける米側公文書の発見や両国関係者の証言が多数あり、もはや疑いようのない状況になっているからだ。

 日本側の当事者である外務省元高官の実名証言も相次いでいる。

 元アメリカ局長の吉野文六氏は2006年に、北海道新聞社の取材に対し原状回復費肩代わりの「沖縄密約」があったと言明した。

 元事務次官の村田良平氏は今年6月、核を搭載した米軍艦船の立ち寄りに関し、安保条約上の「事前協議」の対象外とする密約を「文書で引き継いでいた」と話している。

 岡田外相によれば、精査が必要となる外交文書はファイルで3200冊以上になる。外部の有識者委員会を設け、元高官からの聞き取りも行う予定だ。徹底した調査を実施してもらいたい。

 核持ち込みの密約は、国是の非核三原則を空洞化させるものだ。

 だが、そればかりではない。政府が主権者である国民を長年にわたり欺き続ける行為は、民主主義の根幹にかかわる重大問題だ。

 外交に機密は避けられないとしても、一定の期間が経過すれば公開することが前提でなければならない。

 民主国家で当然あるべきこの原則が、政権交代によって初めて具体的に動きだしている。

 来日したキャンベル米国務次官補は、核持ち込みの密約は「歴史的事実」だとの見方を示した。米政府の現役高官による発言である。

 あとは日本政府の回答を待つばかりとなった。

 外交は国民の理解と信頼なしに成り立たない。開かれた外交の実現に向け第一歩を踏み出すことができるか、調査の結果にかかっている。

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