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【群馬】『安全な山なのに…』 臼井さん遺体確認 登山客らから驚きの声2009年9月21日
「初中級コースの山なのに…」。下仁田町南野牧の荒船山中で発見された遺体が、人気漫画「クレヨンしんちゃん」の作者臼井儀人さん(51)=本名・臼井義人=と確認された二十日、この山を知る同町関係者や登山客から驚きの声が漏れた。地元の消防署員も「絶壁はあるが、ここ数年、遭難事故はなかったと思う」と話し、「何があったのか」と思いやっていた。 荒船山は複数の登山道があり、最短ルートで山頂まで約一時間半。登山道の所々に狭い場所はあるが際だった難所はなく、初中級コースとされる。小学校で登山することもあり、この日も子ども連れで登る家族の姿があった。夫婦で登山した埼玉県東松山市の男性(55)も「安全な山」と話していた。 ただ、遺体が見つかったのは幅約五百メートル、高さ約二百メートルの巨大な岩壁の下約百二十メートル地点。県警によると、この一角の「艫(とも)岩」にある展望台の西側から、転落した可能性があるという。下が見えないほど急峻(きゅうしゅん)で手すりもないため、この日、間際まで近づく登山客はいなかった。 展望台にいた登山者の一人は「岩壁から落ちるとは普通は考えられない。体調が悪くなったのか、好奇心が強かったのか」と不思議がっていた。 ◆『足場険しかった』県警機動隊遺体の収容には、県警機動隊と下仁田署の計三十五人が当たった。午前八時すぎに同署を出発し、現場に到着したのは午後零時二十分ごろ。現場責任者を務めた県警機動隊の星野修副隊長(54)は「想像以上に険しく、砕けた岩が敷き詰められたような足場で、斜面もきつかった」と話した。 星野副隊長によると、遺体は岩壁から約二十メートル離れた場所で見つかり、さらに約五十メートル下で布製リュックサックを回収した。リュックには財布や携帯電話が入っていた。周囲は木が生い茂っていたため、遺体を約三百メートル離れた、高さ約二十メートルの岩の上に運び、県警ヘリコプターに収容した。
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