ある夜、ジョウは路地裏で一人の少女と出会う。
少女はただ涙を流すだけで、何も喋ろうとはしない。
困ったジョウは、ライブエンジェルの隠れ家とも言うべき恵の住居へ彼女を連れていく事にした。
「…ハァ…ハァ…」
「楽にしてヨ。もうすグ、ボクのトモダチも来るからサ」
「……ハァ……ハァ……もう……」
「オ、喋っタ?」
「もう……ダメ……!」
がばぁっ!
「ワァ!?」
「ごめんなさいっ!あたし、もう我慢できない……!」
「そっカ、我慢してたから静かだったのカ。
いいヨ、えっちしてスッキリして、そしたらお話しよーネ」
「ありがとう……んちゅっ」
「んっ…」
「なっ……」
「……」
「何やってんのあんた達はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
***
その後、ジョウとのセックスを終えた少女は事の経緯を語り始めた。
彼女の名はタマミ。
タマミは、数日前に淫獣人に襲われ魔因子をその身に受けてしまった。
だが、何故か魔因子があまり活発化せず、身体は半獣人化したものの、人間としての理性を残したまま逃げてこられたのである。
検査の結果、外部に放出できるほどの魔因子を有していない事も判明し、頻繁に発情してしまう問題を除けば彼女はまったく無害な存在である事が分かった。
ひとまずは安全が保障されたタマミは、治療方法の模索も兼ねてしばらく恵の家に匿われる事となった。
勿論、発情した時の相手役を務めるジョウと共に。
そして、数日経ったある夜の事――。
***
情事を終えた二人は、ぐっすりと眠っていた。
(ジョウさん……やさしい人。こんな身体にされちゃったあたしでも、こんなに温かく抱いてくれる。
ああ、ジョウさん……好きになっちゃいます、ジョウさん……)
「目覚めよ、淫獣人・タマミ」
「――――!!」
「戻れ、タマミ。主の下へと」
「あ…る、じ……」
「そうだ、戻れ。お前のご主人様の下へ」
「ごしゅじんさま……そうだ、あたしの、ごしゅじんさまは……」
1.すぐに参ります、ご主人様……
2.ジョウ……さん……
1.
「はい……すぐに参ります、ご主人様……」
「それでいい……我が忠実なるペット、タマミよ」
***
忽然と姿を消したタマミを追って、ジョウたちは微かな魔因子反応を辿った。
そして、魔因子反応が突如膨れ上がると同時に、ジョウたちの前に二人の淫怪人が現れたのだった。
「タマミ!どうしたノ、タマミ!!」
「落ち着いて、ジョウ!」
「ジョウさん!この魔因子の強さは……もうタマミさんは、淫怪人に……」
「……ライブエンジェル?どうしてここに……そうか、この出来損ないの牝猫を隠していたのは貴様らだったのか。
道理でなかなか見つからなかったわけだ、忌々しい……」
「出来損ないとか言うナ!タマミをどうしたんダ!」
「どうした、とは愚問だな。人間を淫獣人に覚醒できるよう調教してやるのがこの私、淫獣軍直属の調教師たるレインの仕事だ」
「うにゃあ……レイン様、この卑しい牝猫を立派な淫獣人に調教して下さって、ありがとうございます……。
このタマミ、ダーククロスのため、ダークサタン様のために身も心も捧げますにゃあ……」
「タマミ…!チョージューテンソー!!」
***
「あはっ!!ジョウさん、さっきの交尾もすっごく気持ちよかったですよ!
これからもずーっとあたしとシてくれますよね!?ダークサタン様の下で!あははっ!!」
「タマミ!いい加減にしないト、ボク怒るヨ!」
***
「ふん、こんなものか……。並の淫怪人では歯が立たないだろうが、私が出張る程でもないな」
「うぐっ……!こ、こいつ、強い……!!」
***
ファルコン、ライオンがそれぞれ苦戦している中、ドルフィンは超高速サーチでタマミを救う方法を探していた。
(タマミさんがいなくなってから、ほとんど時間は経っていません。こんなに急速に魔因子が成長して、定着するはずはありません…!どこかにカラクリが……)
「分かりました!ジョウさん、その首輪です!タマミさんの身体に、その首輪から魔因子が流れ込んでいるんです!!」
「首輪……!?分かったヨ、恵!」
「タマミ、ちょっと我慢してネ!ライオンクロー!!」
「うぎっ!?ああぁっ!!?」
***
「ほう、カラクリに気付くとはな。思ったより優秀な装備をしている。
それに、エンジェルライオン……淫獣人の動きを見切り、咽元だけを一撃するとは……
ふふ、面白い。今日は見逃してやる。
いずれまた会う時には、お前を私のペットに加えてやろう」
一人ごち、闇に消えるレイン。
邪悪な気配が消えた後には、淫獣人から元の猫耳娘に戻ったタマミが静かに寝息を立てていた。
***
結局、半獣人化を治療する方法はすぐには見つからなかった。
だが、タマミはジョウの(実質的には恵)監督責任のもと、人間社会での生活を許される事となった。
「ウン、似合ってるヨ、タマ!」
「えへへ、ありがとうございます、ジョウさん!
それで、あの……今夜、部屋に行ってもいいですか?」
2.BADパターン
「ジョウ……さん……」
「……ちっ、既に主人と認識した相手がいるのか……仕方ない、ちと面倒だが……
淫獣人タマミよ、お前の主人を私の下に連れてくるのだ」
「……はい……」
***
「ネー、キミだれ?ボクなんで動けないノ?」
「我が名はレイン。ダーククロス淫獣軍直属の調教師、レインだ。
お前にはこれから私の部下になってもらう。暴れると面倒なので拘束している。よってお前は動けないのだ」
「動けナイ理由は分かったけド、ボク、キミの部下になんかならないヨ」
「それでは困る。お前を主人と認める可愛い牝猫が一匹、路頭に迷ってしまうぞ。
そして野良淫怪人はダーククロスとしても処分するしかない。どうだ?」
「タマミのこト…?うー、でも、ボクはライブエンジェルなんダ。キミたちの仲間にはなれないヨ」
「その点に関しては心配するな」
「アアッ!!な、ナニ、コレ…?」
「その首輪は、聞き分けのない淫獣人に着けるものと対になっていてな。
要するに、お前とタマミの魂を縛り付ける道具だ。
それを着けている限りは、お前の仕事はタマミの躾だけだ。
それ以外のことは考えなくて良いし、考えたくもなくなるだろうよ」
「ウ、ア……タマミ……シツケ、ル……」
「そうだ。後はよろしく頼むぞ新人。お前の手で、半端者な牝猫を立派な淫獣人になるまで調教してやってくれ……」
***
「んっ…ちゅぷ、ちゅぱ……」
「もっト奥まで、舌を伸ばス」
ピシィーーーーンッ!!
タマミの青黒い肌に、勢いよく鞭が打ちつけられる。
「あに゙ゃぁぁぁぁっっ!!!ごめんなさい、ジョウさん!!」
「何度言ったら分かル。ボクの事は『ご主人様』と……呼ベッ!」
バシィーーーンッ!!
「に゙ゃああああああああああっ!!申し訳ありません、ご主人様ぁぁぁっ!!!」
「分かったら、続けテ。上手く出来たラ、久しぶりに抱いてあげるヨ」
「あっ…ああっ!はいっ、頑張りますぅっ!!」
「……ふむ、大して期待はしていなかったが、なかなかどうして良い人材だったな。
あの牝猫の調教が終わったら淫怪人に改造するつもりだったが……このまま部下として育ててみるとするか……」