2009年9月20日8時28分
日本銀行の9月の企業短期経済観測調査(短観)は、輸出増加などで大企業・製造業の景況感が2期連続で改善するが、内需低迷で非製造業の回復力は弱い見通しだ。前回記録的な落ち込みになった設備投資計画は引き続き低調とみられ、景気が「二番底」となる恐れも意識されそうだ。
経営者の足元の景況感を映し出す短観は四半期ごとに発表され、9月短観は10月1日公表の予定。前回6月調査では、景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いた業況判断指数(DI)が、大企業・製造業でマイナス48になり、3月調査のマイナス58から2年半ぶりに反転した。
民間シンクタンクの9月調査予測では、大企業・製造業の業況判断DIはマイナス28〜マイナス40で、8〜20ポイントの改善を見込む。大和総研は「輸出の増加、在庫調整の進展、経済対策の効果で生産・出荷は2月を底に回復基調」と見る。
これに対し、非製造業の回復は鈍く、DIがさらに悪化するとの見方もある。第一生命経済研究所は「小売り・サービスで消費者の安値志向が強まって、競争が激化している。冷夏、インフルエンザという不安定要因も無視できない」と分析。BNPパリバ証券は「製造業の人件費カットで個人消費が抑えられ、内需依存度の高い非製造業の足を引っ張る」と指摘する。
先行きの心配材料の一つが、景気回復を先導する役目の設備投資だ。6月調査では、大企業・製造業の09年度の設備投資計画が前年度実績比24.3%減。6月調査としては、74年の調査開始以来最大の落ち込みだった。
9月調査でも「大幅な減少には変わりなく、設備投資の低迷を示すものになる」(野村証券)との見方が大勢。ニッセイ基礎研究所は「6月調査よりも悲観的な数値が出ると、市場は二番底のリスクを強く意識する」と警戒する。