マンション選びの基準のひとつにしたいのが「資産価値」。特に結婚や出産など、ライフステージが変化しやすいシングル&ディンクスは特に気にしたい条件だ。今回は具体的な街のデータをもとに、「資産価値の高い街の条件」について考えてみた。
■ アドバイスしてくれた人
プロフィル
マンションをはじめ、不動産全般の市況を調査・分析する不動産専門の情報サービス会社「東京カンテイ」の市場調査部上席主任研究員。市況レポート「kantei eye」の編集長でもあり、「資産価値」のエキスパートとして、各メディアにひっぱりだこ
東京カンテイホームページ→http://www.kantei.ne.jp/
貸したらどうなる?—資産価値の目安になる「マンションPER」
今年7月30日、東京カンテイから資産価値の目安となる「2009年マンションPER(収益力)」が発表された。
「マンションPER」とは、新築マンションの価格が月額賃料の何年分に相当するかを駅別に算出したもので、マンション価格÷(月額賃料×12カ月分)で表される。つまり、買って賃貸に出した場合、何年で回収できるかという「収益力」を示している。例えば「PER=25.50」なら、その駅の新築マンションの平均価格はその駅の賃料相場の25.5年分に相当し、買って賃貸に回したら25.5年で回収可能という計算になる。つまり、マンションPERの値が小さければ小さいほど、収益性が良く「資産価値が高い街」ということになる。
「新築マンションは、価格急上昇期のミニバブルからリーマン・ショックをきっかけに突然急落したことから分かるように、金額が大きくて非常に上下しやすいものです。しかし一方、家賃はほとんどが月額10万円前後と少額でしかも変動が少ないんです。だから“貸したらどうなるか”ということが、その街のマンションの持つポテンシャルを探るひとつの目安になると思います」と東京カンテイの中山さん。
実際に、シングル&DINKS向けマンションを見てみる
2年連続「品川」が収益力NO.1
2009年首都圏のマンションPER(収益力)の上位12の駅は下表の通り。参考までに昨年の顔ぶれも欄外に掲載した。品川は昨年に引き続きトップだ。しかもマンションPERは15.10→8.43と劇的に収益性があがった。ただし、それにはカラクリが。品川と明治神宮前のトップ2と12位の「川口元郷」(★印)は、実は「定期借地権」の新築マンションが供給された駅なのだ。定期借地権とは土地を地主から50年以上の契約で借り、そこに建物を建てるもので、土地に所有権がないため、通常分譲価格が3割程度安く抑えられるメリットがある(※補足参照)。つまり市場価格よりも安く分譲されるため、収益性がアップしたというわけだ。
そのほかの特徴としては、「勝どき」や「有明テニスの森」など、都心へのアクセスがいい好立地な街や、「八潮」や「流山おおたかの森」など、郊外で分譲価格が比較的安いものの、新線効果で開発が進み、賃料がやや高めに設定される街がランクインしている。
全体の傾向でみると、首都圏平均のPER(収益力)は「25.40」で前年の26.39と比較すると、収益力が改善している。「新築マンション価格の調整が行われ、分譲価格がやや下がってきたことで、収益性が回復したんですね。さらにこの傾向は強まるのではないでしょうか」(中山さん)
※定期借地権の解説補足・・・契約時に保証金または権利金を払い、契約期間中は基本的に毎月地代を払う。契約期間が終われば、建物を取り壊し、更地にして地主に返す仕組み
■表1 首都圏新築マンションPER(収益力)上位12駅


実際に、シングル&DINKS向けマンションを見てみる
「高価格でも高賃料」か「低価格なわりに優良賃料」な街か
新線や再開発によって、交通面も生活面も利便性が良くなれば、資産価値は高まる。良い例は浦安や海浜幕張など京葉線沿線。先物買いで狙うのもアリ
具体的に見ると、「収益力の高さ」には、2種類ある。ひとつは「高価格」で「高い賃料」が得られる街。例えば、70m2で5000万円以上でも賃料が20万円以上と高水準なら収益性は高い。もうひとつは、価格が安いわりに、そこそこ賃料が得られる「低価格&優良賃料」な街。賃料は70m2で10万円台前半でも分譲価格が3000万円未満なら、収益性は高くなる。
ちなみに「高価格&高賃料」な駅は、代々木公園、春日や月島、神保町や人形町など、都心エリアが多い。「低価格&優良賃料」な駅は、海浜幕張やつくばエクスプレスなど、地域開発によって価格相場と賃料水準のバランスがいいエリア。全般的には都心よりも千葉や埼玉など郊外だが都心へのアクセスのいい駅が多い。
「資産価値が高い=都心エリア」と思いがちだが、「収益性」という観点からみれば、あまりにも分譲価格が高すぎる都心エリアの収益力は決して良いとはいえない(例えば、代官山のPER値は34.79、六本木は33.08)。また、閑静な住宅地として人気が高い街も、高い分譲価格に見合った賃料は得られないため、収益性は良くない(例えば、高輪台のPER値は35.71、浜田山は34.28)。「分譲価格は安いが、そこそこ賃料相場はよい」という物件のほうが割安感があり、案外狙い目といえるかも。
