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チャーチモード |
2004.8.29 |
チャーチモード、日本語では教会旋法と言う。中世、教会音楽で使われていたスケールなのでそう呼ばれている。 チャーチモードは全部で7種類ある。ロック、特にハードロックを弾く人間にはあまり馴染みは無いと思うが、このうち実は3つは無意識に我々ロックギタリストも使っているのだった。今回はそれを説明しよう。なぁに難しく考える必要は無い。本サイトは理論ばかりの入門書ではないし、オレ自身チャーチモードについては良く理解していないのだから。 まず簡単な知識から身に付けよう。チャーチモードで誰でも必ず使うスケールは2つ、アイオニアンスケールとエオリアンスケール。これは前者は単なるメジャースケール、キーがCだったらドレミファソラシドの事を言い、後者は勘の言い方はお気付きになると思う。そう、ナチュラルマイナースケール、キーがAmだったらラシドレミファソラである。 そして残る1つ、これが今回の目玉であるドリアンスケール。大概のスケール本はドリアンスケールの例としてDドリアンを挙げていて、参考譜面にはDmである事が多い。チャーチモードにはフリジアンスケールと言うのもあり、これもスケール本には例としてEフリジアン、参考譜面もEmがコードになっている。 こんな書き方をしているから初心者の多くはドリアンスケールとはDドリアンの事で、Dmがコードのときにしか使えない、フリジアンスケールはEフリジアンを意味し、Em時にしか使えないと思ってしまう。 ある意味間違いではない。ドリアンスケールはメジャースケールの第2音をルートにしたスケールでフリジアンスケールはメジャースケールの第3音をルートにしたスケールを意味する。しかしスケール本の多くはキーがCであった場合しか書かれていないから混乱、誤解してしまうのだ。つまりキーがAであった場合はドリアンスケールはBドリアンになり、フリジアンスケールはC#フリジアンスケールになるのだ。 オレの実のところフュージョンにはまり出した頃にこのチャーチモードに出会って、ドリアンはDmでフリジアンはEmでしか使えないと勝手に思い込んでいて「なんだよ、所詮中世の音楽は今の世の中じゃ通用しないんだな」と思っていた口。 ここまではご理解していただけたろうか?。なんとなくで十分。覚えるのはここから。ドリアンはメジャースケールの第2音をルートにする等と考えずに、
1、ドリアンスケールは主にマイナーコードで使われる と覚えて欲しい。例を示そう。図1はCナチュラルマイナースケールで、図2がCドリアンスケールだ。
図1 Cナチュラルマイナースケール
図2 Cドリアンスケール ※1と※2の点線矩形内はCmの第1ポジション、これの赤い丸が第6音、図1と図2を比較して頂くとこの第6音が図2では半音上がっているのが判るだろう。後は単純、Aナチュラルマイナーだろうが、Bナチュラルマイナーだろうが、単にそのスケールの第6音を半音上げればそれぞれのドリアンスケールになってくれる。 また図2の※3を見るとふと気付く事はなかろうか?。なんとこれはGナチュラルマイナースケールの第1ポジションと同じではないか。つまり、CドリアンスケールとGナチュラルマイナースケールは全く同じ音が使われるという事。 と言う事はそれぞれルートを3音半上げて、
・AドリアンスケールはEナチュラルマイナースケールである と言う事になる。つまりコードがCmでCドリアンスケールを使うと言う事は、コードがCmなのにGナチュラルマイナースケールを使っている事を意味するのだ。 では参考音源を紹介しよう。キーはCm。従ってCドリアンスケール(Gナチュラルマイナースケール)を使っている。コードはCm7とCm6を交互に織り交ぜている。
今回は出血大サービス。上記のカラオケをMIDIファイルで提供しちゃおう!。キーはCmだからCドリアンを使う事になる。 不思議とこのカラオケでCドリアンスケールに基づいてギターを弾いていると、Cナチュラルマイナースケールで弾こうとすると違和感を感じる。とにかくCドリアンスケールとCナチュラルマイナースケールの違いをこのカラオケで体感して頂きたい。 ちなみにこのドリアンスケールの第6音はブルーノートスケール(コチラを参照の事)の重要な音として含まれているので、特に「今ドリアンスケールで弾いている」と思わなくてもブルーノートスケールの一部を使っていると言う意識でもいいかと思う。 しかし例えばドリアンスケールをブルーノートスケールの一部と解釈して演奏するのと、4音上のナチュラルマイナースケールと考えて演奏するのとでは必然的にフレーズが異なってくるので、ルートを4音上にずらしたナチュラルマイナースケールを使って弾いていると言う意識を持って弾くのも一興だ。 仲間や見知らぬ人とセッションなんてやらかした時にマイナーコードの部分でこれを使い、ちょっと音楽を知った仲間から「おっ、ブルーノートだね!」と言う言葉には「4音上のナチュラルマイナーだよ」なんて口が裂けても言ってはならぬ。「ブルーノート?、ああ、6thの音の事ね、いやいや、これは厳密にはドリアンスケールだよ」と言う台詞がいかにも音楽人っぽくてカッコイイ。
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