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無意識に使っているモード |
2004.12.21 |
まずは次のピアノ音源をダウンロードしてお聴き願いたい。これはCmaj7とG7を4小節毎に繰り返しているだけのコード進行だ。これでちょっくらモードしちゃおうと言う訳だ。 maj7thコードにはアイオニアンスケール(Cメジャースケール)かリディアンスケールがマッチし、7thコードにはミクソリディアンスケールかリディアンフラット7スケールがマッチする。これがまだ理解出来ていない方はもう1度前話に戻って復習しよう。 今回はCmaj7とG7の2つのコードがあるので、Cmaj7ではCアイオニアンスケール、G7ではGミクソリディアンスケールを使えば良いと言うのはなんとなく判る筈だ。 Cアイオニアンスケールはご存知ドレミファシラシド。ではGミクソリディアンスケールはどの7つの音を使うのか。ミクソリディアンスケールはメジャースケール7番目の音がフラットしているだけ、だからドレミファソラシ♭ ドだ!、と考えるのは早計。これはCミクソリディアンスケールだ。 今回使うのはG7に対するGミクソリディアンスケールなのでGメジャースケールの7番目の音がフラットしている事になる。Gメジャースケールはソラシドレミファ# ソだから、第7音をフラットにする、答えはソラシドレミファソとなる。
ここまで全く理解出来ていない人、失礼ながらあなたは全くギターと言う楽器を判っていないし、小、中学校で習った音楽の基本そのものも理解していない事になる。残念ながらオレはこういう人に物を教えられるセンスを持ち合わしていない。 おやっ、不思議に思わないか?。Cアイオニアンスケールはドレミファソラシド、Gミクソリディアンスケールはソラシドレミファソ、これってスタート位置が違うだけで全く同じ音を使っているじゃないか!。そう、その通り。CアイオニアンスケールとGミクソリディアンスケールは中身は同じなのだ。 つまり、このMIDI音源、わざわざCアイオニアンスケール、Gミクソリディアンスケール等と考える必要はなく、単純に「Cメジャースケールを使えばいい」と言う結論が出される。モードとはこういうもので、転調でキーが変化しない限り、型にはまったコード進行であれば、キーコード(この場合はCメジャー)に対するスケールだけを考えていれば良いのである。 実はこれがモードを難解にしている要因の1つでもある。だったら何故モードと普通のスケールの区別するのだろうか?、こういう疑問が湧いてしまうのだ。コード理論やモードの話を書くに当たって、図書館で複数の音楽理論書に目を通してみたが、不思議とこれに対して明確な回答がなされているものは無い。 どうやら理論書の著者はこの手の事はどうでもいいと思っているのか、初心者に教えても理解不能と踏んでいるようだ。 ここからは推測、解釈でしかないので、間違っているかもしれないが、悪しからず。 なるほど、確かにCmaj7〜G7と言うコード進行ではモードを意識する事無く、普通にCメジャースケールを使えばいい。ではG7と言うコードだけを取り出して、G7だけで成立している曲があったとしよう。 この時「どのスケールを使うの?」と尋ねられた時「Cメジャースケールだよ」と答えるか?。音楽理論、コード理論に精通している人間ならそれで納得するが、そうでない人間には何故コードがG7なのにCメジャースケールを使うのか?、と首を傾げてしまう。よって「Gミクソリディアンだよ」と言う。便宜上、その言った方が理解し易い。 TOTOの名曲、Rosana、これはFがキーだが、ギターソロ部分のコードはGmである。この部分のバッキングだけを聴くとGmの響きしかないので普通に考えるとGナチュラルマイナーを使いそうだが、スティーブ・ルカサーはきっちりここでGドリアンスケールを使っている。FメジャースケールとGドリアンスケールの中身は同じだが、これもバックがGmコードなのに「Fメジャースケールを使う」と表現するのはおかしい。 以前にも述べたがアドリブの基本はルートに始まりルートに終わる。GドリアンスケールならGで始まりGで終わるが、ここでFメジャースケールを使うと言われると感覚的にFで始まりFで終わろうとしてしまう。バックでGmが鳴っているのだからこれではしっくり来ない。やはりGドリアンを使うと宣言した方が正しい。 またMaj7thコードではCアイオニアンスケールの他にCリディアンスケールが使え、7thコードはミクソリディアンスケールの他にリディアンスケールフラット7が使える。そんな時「コードがCmaj7の時はCメジャースケールの4音を#させた音を使って、G7の時はCメジャースケールの4音を#、そして7音をフラットさせた音を使うんだ」と言うよりも「Cmaj7ではCリディアン、G7になったらGリディアンフラット7を使うんだ」と表現した方が便利である。 これはマイナーコードでも同じでCm6と言うコードがあった場合、Cエオリアンスケール(Cナチュラルマイナー)よりもCm6の6th音がスケール音に入っているCドリアンスケールを使う方が好ましい。これも「Cナチュラルマイナーの6音を#させたスケール」と言うよりも「Cドリアンを使う」と言った方がいい。 そして音楽理論からすると誤りだろうが、オレは7thコードでも平気でリディアンスケールを使う。コードのフラットしている7th音とリディアンスケールのナチュラルな7th音の不協和音的バランスが好きなのだ。こんな時も「G7でGリディアンを使う」と表現するしかない。 これはジャズでモード奏法を確立したマイルス・デイビスやジョン・コルトレーンも同じで、コードの響きが直接的にイメージ出来るメジャースケールとナチュラルマイナースケール(=アイオニアンスケールとエオリアンスケール)を敢えて使わない、よって7thコードでリディアンスケールを使ったり、m7thコードではドリアンスケールを多用していたらしい。 以上を踏まえ、我々は無意識にモードを使っている場面があるし、意識的にモードを使う場面もある、これを覚えておいて欲しい。そして意識的に使えるようになればなる程、他のギタリストと違ったフレーズを生み出す事が出来るのである。 ドリアンスケールは今ではロックで当たり前のように使われているし(リッチー・ブラックモアだって指癖っぽいが使っている)、リディアンスケールはジョー・サトリアーニやスティーブ・ヴァイが多用している。はばかりながらオレも意識して使えるようになった。 リディアンフラット7スケールはファンキーなブルースや、最近発見したのが70年代、スコーピオンズのウリなんちゃらロートと言うギタリストがSuspendered Loveという曲でギターソロでこれを使っている。
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