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コーヒーブレイク/マイルス・デイビスのモード奏法

2004.12.25

最近ジャズの勉強をしようとジャズ本を読んでいる。勉強とは言っても演奏の方ではなく、聴く側の方。ジャズと言う音楽を初心者リスナーに判り易く説明している本を見つけ、それにはジャズの歴史から有名ミュージシャンのバイオグラフィー、アルバムの紹介、楽屋裏話等が詰まっている。

当然帝王マイルス・デイビスに関してはページを大きく割いていて、大概、モード奏法を確立したトランペッターと記述されている。モード奏法とは簡単に言うと、それまでコードの制約の基にアドリブソロをこなしていたのを、もっと自由に演奏しようなる思想で、コード(進行)を無視し、その代わりにスケールと言う概念で演奏される。

マイルス・デイビスの曲にSo Whatと言うのがある。マイルス・デイビスがモード奏法を確立したと言われる曲だ。この曲のコード進行、テーマは「Dm7 - Em7」、「E♭m7 - D#m7」の繰り返し、アドリブ部分はもっと単純にDm7とE♭m7だけで構成されている(多分Dm7X8、E♭m7X4、Dm7X4の16小節で1ブロック)

つまり一般の曲と違ってコード進行がないのだ。単にメリハリを付ける為に半音上がったり、下がったりするだけだ。ジャズやポップス、ロックのヴォーカル曲ばかりを聴いているリスナーにはこんなので曲が成立するかと思われるだろうが、するのである。

オレは運良く、ギターも弾けるし、モードも知っている。だからこの曲がコードがDm7でDドリアンスケール、E♭m7E♭ドリアンスケール中心で各メンバーがテーマ、ソロを取っているのが判る(ニュアンス的にはマイナーペンタトニック+6th、もしくはブルーノートスケールっぽいが)。

だからこれを理解出来るキーボーダー、ベーシスト、ドラマーがいたら、ジャズなんて弾いた事がなくてもSo Whatのロックバージョンがその場のセッションで弾けてしまう(テーマ部分は1度聴いたらすぐに弾けるくらい簡単なのだ)。いわばこの曲はモード奏法をする為だけに書かれたようなもので、ミュージシャン達の練習曲、喩えは悪いが、ピアノのバイエルのようなものだと思う。

モードは難しいのか?を書いた時、言葉が思い付かなかったので、ジャズ本に書かれている通り、モード奏法とはコードを(進行を)無視する事だ、と表現したが、これをモードを理解していない人や、楽器を弾けない一般リスナーにそう説明し、So Whatはこうなんですよ、と説いても判る訳がない。実際にピアノは和音を弾いていて、コードとしてDm7、E♭m7が鳴っているのだ。

コードを無視する、この表現を使うと、Dm7でもE♭m7も同じスケールを使うと誤解されてもおかしくはない。でもSo WhatではE♭m7ではちゃんとスケールを半音上げてE♭ドリアンスケールで弾いている。つまり現実にはコード(進行)は無視していないのだ。人によってモード奏法の解釈が異なるが、オレと同じ本を読んだ楽器を弾かないジャズ初心者リスナーは完璧に勘違いをしていると思う。

その本には「自分では演奏をしないジャズ評論家にはこのモード奏法を説明出来ない人も多い」と書かれているが、自分で演奏をする人でもこれを説明するのは難儀に違いない。

オレの勝手な解釈で言えば、まずモード奏法とは「コードに合ったモード(スケール)を中心に組み立てた単純な構成のテーマとアドリブがある曲を弾く事」と定義したい。最初にスケールがあり、演奏者はそのスケールを弾くだけで良く、バッキングはそのスケール内の音符を重ねてコードを作るだけ。Dm7やE♭m7とは便宜上、そう呼んでいるだけで実際にはDドリアンスケールとE♭ドリアンスケール内で和音を組み立てているだけ、そう解釈した方が判りやすいのではなかろうか?。

本サイトでも何度か取り上げているジョー・サトリアーニのCool#9と言う曲もこの定義からすればモード奏法なのだ。コードはCm6しかなく(一箇所Cm7(11)が使われている)、テーマもギターソロ部分もCドリアンスケール中心に演奏している。半音の上げ下げもないのだから、So Whatよりも単純な構成だ。

この曲が珍しいのではなく、古くはジェフ・ベックも色々な曲で同じようにモード奏法を使っている。Freeway Jamと言う名曲もほとんどがG7、そして7thコードで一般的なミクソリディアンスケールでテーマもギターソロも弾かれている。ハードロックでもインスト系に属する曲なら幾らでもこの手のモード奏法が探せる。ロックインストの3分の1はモード奏法の曲だと言ってもいいだろう。

このモード奏法、何しろコード進行がないのだから、むしろ初心者にはとっつき易い気がしている。ベースラインも、指定されたモード(スケール)内の音しか使わないし、この手の多くはテーマそのものが簡単に出来ている。

リスナーだけでなく、演奏者もモード奏法で作られた曲は演奏し易いし、作曲だって何しろコード進行がないのだから、テーマだけカッコいいのを作ってしまえばあとはテーマとテーマの間で適当にアドリブしちゃえば曲が完成してしまう。テーマ用の8小節くらいの鼻歌さえ作れれば、もう曲が出来ちゃう。

それだけじゃ物足りなかったら2度目のテーマは1度目のテーマと少し違った感じにすればいいし、イントロで何かちょっと小難しいコードをぶち込んでしまえば、より曲っぽくなる。普通のコード進行ではあり得ないAm7、Bm7、Cm7とそれぞれ4小節ずつのコード進行としてテーマを平行移動させるだけでもそれっぽくなり、さらに8分の7拍子なんて変拍子で作ったら、もうそれはプロの技。モード奏法だけでなく、フリージャズの世界まで垣間見えてしまう。

モードが理解出来ない人はスケールと表現を変えちゃう。取り合えずコードはAmのみ。使うスケールにはAナチュラルマイナー。Aナチュラルマイナースケールとはモードの中のAエオリアンスケールであるからして、やっぱりモード奏法なのである。

この時ちょっと色気をだしてE7を盛り込んで、その部分はEハーモニックマイナースケールで弾くと、これはAフリジアンドミナントスケールと言うモードの変形型で、2種類のモードを使っている事になるのだ。

これを読んで次第にモードに興味を抱くようになった貴方、1年後、きっとアドリブに対する表現力に変化が見える事だろう。



   



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