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スケールを考えよう |
2005.5.3 |
ペンタトニックスケールについて、すでに語る事は特にないのだが、最後にマイナーペンタトニックスケールとメジャーペンタトニックスケールの違いを聴いて頂こうと思う。
ブルースなので1コーラスは12小節、最初の12小節をAメジャーペンタトニックスケールで弾き、次の12小節をAマイナーペンタトニックスケール、それを2度繰り返している。 厳密にココが違う!、と断言するのはちょっと難しい。あくまでも感覚的なもので、メジャーペンタトニックスケールでは明るい感じ、マイナーではペンタトニックスケール暗い感じ、もしくはペンタトニックスケールメジャーでは泥臭く、マイナーペンタトニックスケールではシャープでよりロックっぽい感じに聴こえると思う。
上述した通り、模範演奏と言うと多少恥ずかしくもあるが、どちらのスケールでもルート音を中心としたフレーズの組み立てをしている。皆さんにこの音源をコピーしろとは言わないが、幾つか音を取ってみて、実際にルート音中心の構成になっているのを確かめればどうやってフレーズを組み立ていると楽かが判るだろう。 そしてロングトーン(長く伸ばす音)の基本はメジャーペンタトニックスケール、ペンタトニックスケールマイナーだけでなしに、どんなスケールでもルート音が一番快く聴こえ、次にメジャー系スケールだったら3と5(相対的な音で言えばミ、ソ)、マイナー系スケールだったら3♭と5(同じくミ♭とソ)が適している。 勿論1、3(3♭)、5の音だけしかロングトーンに出来ないと言っている訳ではない。バックで鳴っているコードによっては他の音の方が最適である事だって多い。しかし初心者に「バックのコードの響きを聴いてギターソロを弾け」なんて言ったところで無理に決まっており、だったら無難なところで1、3(3♭)、5の音をロングトーン用の音にしちゃった方が安定したギターソロを弾ける事になる。 余裕があるのだったらAブルースで一般的に使われるコードはA7、D7、E7(A7、D9、E9とか)なので、それぞれのコードのルート音を、D7だったらD音を、E7だったらE音をロングトーンとすると、非常に安定したすっきりとしたギターソロになる。
さて、今まで書いた事を否定するようだが、初心者の皆さんはまずはルート音がどうのとか、ロングトーンは何の音がいいかなんて考えずに、とにかく覚えた(覚えようとしている)スケールに沿ってテキトーにアドリブをかましてみる事だ。 そしてそれを必ず録音する事。録音したら何度も何度も自分の演奏を聴こう。余程のセンスのない人間でない限り、バックで鳴っているコードによって馴染む音、馴染まない音を判断出来る筈だ。これが第一歩。次に初めて「じゃぁ馴染まない音はロングトーンにせず、なるべくルート音で始まり、ルート音で終わるフレーズを弾いてみよう」と努力をするのである。
ついでに、この手のメジャーキーのブルースの場合、メジャーペンタトニックスケールとマイナーペンタトニックスケールのどちらを使うべきか?、これって結構単純な疑問であり、初心者は多いに悩む事かもしれない。 しかしこれに対する回答は非常に曖昧。恐らくどんなギター教本、音楽理論書を見ても明解に「コッチを使え!」なんて書かれている事はなかろう。結局それは演奏する側の自由なのだ。これが唯一の回答だ。 万能なのはマイナーブルース、メジャーブルースの両方で使えるマイナーペンタトニックスケールだ。だから先に覚えた方がいいのはマイナーペンタトニックスケールだし、別にメジャーペンタトニックスケールを弾けなくても両方に対応出来るから、ある意味、マイナーペンタトニックスケール中心のアドリブをかました方が良いと思う。最近エリック・クラプトンのフレーズを研究しているのだが、彼もやはりメジャーブルースでもマイナーペンタトニックスケールを使っている事が多い。 ところが、B.B.キング辺りのブルースを聴くとメジャーペンタトニックスケールを多く聴けるし、ハードロックではあまり合わないと思っていたのにレッド・ツェッペリンのジミー・ペイジなんかは結構メジャーペンタトニックスケールで独特の泥臭さを出していたりもする。 また、今後いずれネタにすると思うが、メジャーペンタトニックスケールとマイナーペンタトニックスケールを足して2で割ったようなブルーノートスケールが存在するし、マイナーペンタトニックスケールにメジャーで重要な音である3と6の音(相対的な音でミとラ)を加えたスケールを使い、ギタリストの中には厳密にメジャーだのマイナーだの分けないで、テキトーに各自のセンスでメジャーっぽく、マイナーっぽく弾いている事だって多々ある。 さらにはこの手のメジャーブルースではモード系のミクソリディアンスケールとリディアンスケール(厳密に言えばリディアンフラット7スケールだが)も使える訳で、つまりはメジャーペンタトニックスケールにするか、マイナーペンタトニックスケールにするか如きの事で悩んでいる場合ではないのである。 1つだけ言える事はそこらのハードロック小僧、ハードロックオヤジはマイナーペンタトニックスケールを多用している、もしくはそれしか知らない事が多いから、彼らと違ったフレーズを構成する目的で、この手のブルースは常にメジャー系のスケール(メジャーペンタトニックスケール、ミクソリディアンスケール、リディアンフラット7スケール)で弾けるようになれば、彼らと差別化を計れる。まぁ要は全部のスケールを覚えた方が幅が広がる、実に当たり前の話なのだ。 最後に。メジャーペンタトニックスケール、今回の音源のようなドブルースや、前話のような古いタイプのロックにしか合わないだろうから使う気が起きない、そんな風に考えている人に1つ情報を。 先日、ヴァン・ヘイレイの曲で何か簡単に弾けそうな曲はないかと、ベスト盤である「Best Of Volume I」と言うアルバムをテキトーにギターで合わせていたら、なんと半分くらいの曲がメジャーキーだった事が判った。 実際にはヴァン・ヘイレイ本人はメジャースケール(アイオニアンスケール)を多用していると思われるが、当然メジャースケールで弾ける曲はメジャーペンタトニックスケールも使える(メジャーペンタトニックスケールとはメジャースケール7音の中の5音を使うのだから)。 つまり、少なくともアメリカンハードロック(キッス、エアロスミス、ジャーニー等も含め)を演奏するのなら、メジャーキー曲が多いので、それらをカバーする為にメジャー系スケール中のメジャーペンタトニックスケールとメジャースケール(しつこいがアイオニアンスケール)の2つは最低でも学ばねばならないのである。
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