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コンビネーション・オブ・ディミニッシュスケール |
2005.10.22 |
今回はビギナー向きではないが、こういうスケールもあり、いずれ覚えると良いですよ、ってなネタに挑もう。 コンビネーション・オブ・ディミニッシュスケール、非常に長ったらしい名前で、多くはコンディミ、もしくは音が半音、全音と交互に並ぶので、半全ディミ、ハーフホールディミ(ここではホールはhallやholeでなく「whole」)と呼ばれているのがこのスケール。
まずは指板表を見て貰おう。下はAコンディミだ。ご覧の通り、規則正しく半音、全音と並んでいる。だから暗記するのは案外簡単だったりする。
だからこのまんまで覚えちゃっている人も結構多いのではなかろうか。様式美、ネオクラ系のギタリストはディミニッシュコードのコードトーンをディミニッシュスケールから抜粋して、演奏する人がいるが、多くはこの覚え方をしていると思う。実際にこのように覚えてしまえば、少なくとも3オクターブ分のスケールが入っているので、特に困る事は無い。 しかし!、スケールはブロック単位で覚えるべきだ、そう思っているオレとしては以下のように覚えると後々便利に違いないと確信している。
最初の12フレットまでの指板表をじっくりと見て頂きたい。2フレットから6フレットまでの音の配置と、5フレットから9フレットまで、8フレットから12フレットまで、これをボックスに見立てると、全く同じ配列になっているのに気付くだろう。
だからキーがAであればこの5フレットの部分をボックスで覚えてしまえば、0フレット〜22フレットまで全て記憶したのと同じ事になるのだ。オレはちょっと邪道で、下のような覚え方をしている。ってのも極力6弦なんて弾きたくないって人間なので、どうしてもこうなってしまうのだ。当然6弦5フレットからアドリブを始める時は中指から始まり、若干変則気味。
ちなみに6弦2フレットはF#だ。そして6弦8フレットはC。だからF#コンディミとAコンディミとCコンディミってのはスケール的にはイコールになるのだ。半音、全音が規則正しく並んでいるから、このような現象になってくる。
ではこのスケール、どんな時に使えるか?。これが嬉しい事にどんな時にもほぼ使えてしまう。マイナー、メジャー関係ないのだ。コードとしてAmが鳴っていようが、Aが鳴っていようが、Aコンディミが使えてしまう。 本来はコンディミと言うのはb9th系コード(A7(b9)やA7(b9, 13),等)に使われるべきスケールなのだが、知っている限りの知識で言えば、ジョン・スコフィールドと言うロックもジャズもフュージョンも弾けちゃうスーパーギタリストがどんな時にもこれを使い出し、それからコンディミはどんな時でも使ってもいいとある意味定義付けられたのである。 下の音源はドリアンモードの練習、そしてセッション用の楽曲としてちょろっと作ったもので、コード的にはAm7、D7(9)が中心、ベースはひたすらAのペンタトニックスケールを弾いている。今回はここでAコンディミを弾いている。
いかがだろう?。合っているようで合っていない、合っていないようで合っている、そんな微妙なアウト感覚がたまらんだろう?。ここでコンディミスケールの音を数字で表してみよう。
1st、b2nd、b3rd、3rd、b5th、5th、6th、b7thと言う数字になる。 ここで肝となるのがb3rdと3rd。当然メジャーコードが弾かれていたらb3rdの音はアウト音だし、マイナーコードが弾かれていたらナチュラルの3rd音はアウト音になる。またb2ndと言う音も一般的には使われず、フリジアンモードでしか普通は使わない音。フリジアンなのでマイナー系の音であるから、メジャーコードではこれもアウトする。b5th、6thはいわゆるブルーノート音で、ブルースやドリアンモードで良く使われ、これもスケールアウトした音とは言えないが、微妙なアウト感覚がある。 つまりはコンディミスケールと言うのはメジャーとマイナーで使われる音が微妙に入り混じったスケールと言う事になり、「合っているのか、合っていないのか・・・」と思わせるフレーズ作りに非常に適している。上記音源のようにスケール練習風にピロピロと上下して弾いているだけでもそこそこカッコいい。 さて、上記にコンディミはb9th系のコードに使われると書いたが、このコードトーンの数字にすると、1st、3rd、5th、b7th、b9th、さらには13thとなり、b9thはb2nd、13thは6thだから「1st、b2nd、3rd、5th、6th、b7th」がコードトーンになる。だからこそb9th系のコードに威力を発揮するのであった。 そして通常、b9th系コードはドミナントコードとして使われる事が多く、A7(b9)がドミナントコードとすると、マイナーキーを例にするとキーはDm。だからDm7 - A7(b9)と言うコード進行や、Em7-5 - A7(b9) - Dm7と言うII-V-Iと言う定番中の定番のコード進行なんかが見られる。 そんな時、キーがDmなので、普通にDナチュラルマイナーを弾いていて、A7(b9)のところで(II-V-Iの時はIIのコードでも使え、Em7-5〜A7(b9))、Aコンディミを使うと言うのが一般的なのだ。そして別に常にb9th系コードじゃなくちゃならない訳じゃなく、とにもかくにもドミナントコードの時にそのコードに対するコンディミが使えちゃうのだ。 Autumn Leavesでジャズるをご覧頂きたい。ちょうど譜面も書いてあるので参考になるだろう。Autumn LeavesはキーがGmだ(厳密にはBbだが、途中で平行調のGmに転調されている)。だからドミナントコードはD、D7、D7(b9)、D7(b9, 13)等になる。 譜面ではAm7-5〜D7(#9)〜D7(b9)〜Gm7と言うII-V-Iと言うコード表記されている部分、ここのII-Vの部分でDコンディミを使っているのだった(実際にはD7(b9)のコードトーンのみを抽出して)。当然コードトーンを利用しているのでアウト感は全くない。またG7(b9)でもGコンディミを利用。これはCm7に対するドミナントコードになっている。 だからこそコンディミスケールは面白いのだ。ドミナントコード上で弾けばアウトはしないが、今回のサンプル音源のようにマイナーコード上で弾いた時等にはアウト感を持ちつついい響きになってくれる。万能スケールと言っていいだろう。
音の配列がきっちりとしているから覚えちゃえば楽なのだが、冒頭で書いた通り、初心者には判りづらいスケールだ。またドミナントコードやII-Vと言葉や記号の意味を理解出来ていない人が使っても無意味なスケール。 だから今すぐに覚えなくちゃならない訳でなく、まずはペンタトニックスケールやナチュラルマイナースケールと言った当たり前のスケールを使いこなす事を目指し、使いこなせる自信がついたら、ディミニッシュスケールやモードと言った若干ジャズ寄りのスケールも覚えていこう。
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