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リニューアルレッスン |
2008.03.14 |
今回は循環コードでアドリブする術を解説しよう。まずは前話を纏めてみる。
キーがCの主な循環コード これらは全てキーがCであるからアドリブする場合はCメジャースケールを用いる事になる。気をつけなくてはならないのは先頭のコードが代理コードでEm7になっている場合だ。Em7だからEナチュラルマイナースケールで弾こうと勘違いしちゃいけない。循環コードは4つのコードがループしているから、そんな時は最後のドミナントコードを見れば判るだろう。 最後がG7だったらそれがドミナントコードだから5度下がキーになり、幾ら初めのコードがEm7でもキーはCになるし、Bm7-5やDb7が用いられていても、代理コード、裏コードの概念を理解してればキーがCだと判ってくる。 音楽の基本は当たり前だがCメジャースケールだ。ピアノなら白鍵盤だけを使えばCメジャースケールだし、小学校の頃、吹いたリコーダーもCメジャースケール用も物が用いられている(リコーダーはハーモニカ同様に様々なキーに対応した笛が存在する)。 ところが、音楽の基本であるCメジャースケールを弾けないロックギタリストもいちゃう。弾けないと言うよりも、ロックの場合、特に本WEBの読者に多い、ハードロック、ヘヴィメタルが好きなギタリストの場合、メジャースケールと言うのはあまり使わないだろう。実際にディープ・パープルやレインボーではメジャースケールを使う曲はほとんど存在しないと言っても良いだろう。 またこれはオレも含め、教える側にも問題があり「ロックは最初はマイナーペンタトニックスケールを覚えましょう!」、そんな風潮があるのも事実。実際にキーがCの循環コードはそれの平行調に当たるAマイナーペンタトニックスケールが使えるし、既存の曲でもCメジャースケールでなく、Aマイナーペンタ中心にフレーズを組み立てているギタリストも多い。
そしてAマイナーペンタとして弾いていると、それにb5thのEbを加えて弾く事も出来る。これはCメジャーペンタにb3rd音を加えるのと同じ意味だが、Cメジャーペンタを意識してb3rd音を弾くのはポジション、運指が非常に厄介で、Aマイナーペンタ+b5thと考えた方が遥かに弾き易くなる。
と言う事で、まず、この手の循環コードでアドリブをする場合、キーの平行調のマイナーペンタトニックスケールを使う、これをまず覚えよう。
次に冒頭に書いた通り、キーがCなのだからCメジャースケールで弾く練習をしよう。ギターな日々431話での音源はCメジャースケールにAマイナーペンタトニックスケールでのb5th音のEbを加えたスケールで弾いている。 ペンタトニックスケールが5音のところメジャースケールは7音使うので、当然フレーズに幅が出来る。そしてCメジャーペンタトニックスケールはAマイナーペンタトニックスケールだからして、同じくCメジャースケールはAナチュラルマイナースケールであり、ギターな日々431話の音源も実はCメジャースケールと言うよりもAナチュラルマイナーっぽく弾いている。 Aナチュラルマイナーっぽく弾いているのにマイナー感がなく、メジャー感のあるフレーズになっているのは循環コードそのものがメジャー的な響きだし、この音源ではCmaj7 - Am7 - Dm7 - G7と言うコードを意識して弾いているから、それぞれのコードの響きが鳴っていて、メジャー感あるフレーズになっているのだ。 勿論、Aナチュラルマイナーをテキトーに弾いてもほとんど問題はないが、Cメジャースケール、それの平行調のAナチュラルマイナースケールは弾けて当たり前、それが前提であるから、せっかくだから、循環コードを用いて、コードにマッチしたアドリブにチャレンジするのも良いと思う。 と言うのも、Cmaj7の代理にEm7、Dm7の代理にFmaj7、G7の代理にBm7-5やDb7、循環コードはこのようにコードが変化する事もあるので、Cmaj7のところであえてEm7のコードトーンを、Dm7のところでFmaj7のコードトーンを用いると、そこでオンリーワンなアドリブが可能となって行くのである。 但し、Cmaj7の時にEm7のコードトーンを使うのは正しいが、間違っちゃならないのはEm7だからと言ってEナチュラルマイナーを使ってはならない。同じくDm7のところでFmaj7のコードトーンを用いるのは正しいが、Fメジャースケールを使ってはならないのだ。 Eナチュラルマイナーの構成はE, F#, G, A, B, C, Dだ。Cの循環コードはあくまでもCメジャースケールだからF#は使われない。同じく、Fメジャースケールの構成はF, G, A, Bb, C, D, Eであり、Abを使っては音が外れてしまう。ここでモードの概念が出てくるのだ。 Em7では構成音はE, F, G, A, B, C, Dの7音、当たり前だがこれはCメジャースケールの構成音だが、これはEフリジアンと言うモードになり、Fmaj7の構成音はこれまたCメジャースケールと同じだが、Fリディアンとなる。これらはEナチュラルマイナーでもないし、Fメジャースケールではないのだ。 実際には調性音楽の場合、Em7のところでEフリジアンだ、Fmaj7ではFリディアンだなんて考えなくても良い。何度も言うが、これらは全てCメジャースケールであり、Aナチュラルマイナースケールであるから、特にモードを意識しなくても良いのである。 でも少なくともEm7だったらトニックのE音を、Fmaj7だったらトニックのF音を常に念頭に置きたいものだ。そしてそれぞれのコードでトニック音を意識する事で、フレーズは勝手にEフリジアンやFリディアンになってくるし、スケール云々を抜かして、コードトーン中心の演奏を心掛ければ良い。 そしてコードトーンを考えて行くと、例えばG7のドミナントコードをGaugと考えると、CメジャースケールにないEb音(これはAマイナーペンタやAナチュラルマイナーのb5thに該当する)を効果的に使える。Aマイナーペンタ+b5thでの音源ではどのコードの時でもEb音を使っていたが、ギターな日々431話の音源ではG7の時にEbを使うようにしている。 また循環コードでもダイアトニックでないコードが存在する下のようなコード進行。
Cmaj7 - A7 - Dm7 - G7 (Imaj7 - VI7 - IVmaj7 - V7)
A7のコードトーン
Db7のコードトーン このように当たり前にCメジャースケール外の音が使えてくる。だからCmaj7 - Am7 - Dm7 - G7と言う基本のコード進行でも、Am7の時にA7のコードトーンを、G7のところでDb7のコードトーンを使う事で、「おっ?」と思うフレーズになるし、さらにAミクソリディアンとして、Dbミクソリディアンとしてこの部分を演奏すれば、ジャズ流のアウトフレーズを組み立てる事が出来、やはりオンリーワンなフレーズを作れちゃうのだ。 勿論、G7の時にG7(b9)を仮定して、コンディミスケール、hmp5スケール、オルタードスケールを用いるとさらにジャズっぽくなってくれる。とにかくドミナントコード、セカンダリードミナントってのは弾き甲斐のあるコードで、ここでそれぞれの個性、センスが出るのだ。せっかくギターを学び、ギタリストでなくミュージシャンとして歩もうと思うのなら、単にCメジャースケールを、Aナチュラルマイナースケールだけで循環コードを演奏するのは勿体無い。
練習法は色々ある。地道に1つのコード毎にコードトーンを取って遅いテンポから練習をするのも1つの手だし、4つのうち1つ、もしくは2つのコードだけに注目するのも良いだろう。基本の循環コードであるCmaj7 - Am7 - Dm7 - G7の時、Am7が鳴っている時にA7のコードトーンを使ってやると非常に効果があるし、G7部分ではGaugやDb7のコードトーンを用いてみる。
Cmaj7とDm7ではCメジャーペンタトニックスケール(Aマイナーペンタトニックスケール)を
勿論Cメジャースケール(Aナチュラルマイナースケール)の方が望ましい
Cmaj7の時にはEm7のコードトーンを含めてみると・・・
Am7の時にはA7のコードトーンを含めてみると・・・
G7の時にはGaug7のコードトーンを含めてみると・・・
G7の時にはG7(b9)のコードトーンを含めてみると・・・
G7の時にはDb7のコードトーンを含めてみると・・・ 最初はCメジャーペンタ(Cマイナーペンタ)を中心に、対応する部分でA7やGaug7、Db7のコードトーンを加えて、それらを意識する事から始めると良いだろう。徐々にCメジャースケール(Aナチュラルマイナー)を多用し、色々なコードトーンを織り交ぜて行こう。 こうやって言葉にすると簡単だが、速いテンポだとオレも途中でこんがらがる事があるので、短期間でマスターする事を考えずにゆっくりとでも良いので地道にやって行くのが良い。上の指板表をしっかりと見て、コードトーンの位置を記憶する事が始めるしかない。 この循環コードで、1つ1つのコードトーンを取れるようになれば、どんなコード進行でも同じ事が可能になるし、コードトーンを理解する事でドミナント系のコンディミ、hmp5、オルタードスケールにも親しむ事も可能だ。むしろアドリブの最終目標としても良いくらいだ。
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