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リニューアルレッスン |
2008.03.30 |
世の中、ジャズの世界でモードが確立され、その後、かつてのジェフ・ベックを代表とするジャズロック、クロスオーバーなるジャンルではワンコードだけで構成される曲が増えた。中には複数のコードが存在するが、それはあくまでもコード進行でなく転調されて幾つかのコードが組み合わされる曲もあった。 例えばジェフ・ベックならFreeway Jamなんて典型的なワンコード曲だろう。これはブリッジ部分を除けばG7だけで構成されている。ジャズの世界でもマイルス・デイヴィスがエレクトリックに走った初期、同じくワンコードでE7やEb7、Bb7と言ったコードが多かった。 そう、ワンコード曲では□7コードと言うのが良く使われているのである。Freeway Jamはキーは一応Gとするものの、コードはGmaj7でなくG7なのだ。何故□maj7でなく□7が持て囃されたのか、それは□7と言うコードはドミナントコードだからだ。 ドミナントコードとはキーに対する5度のコードを表す。よってFreeway JamはG7だからこれが5度の位置と考え、厳密にはこの曲のキーはCとなる。そしてこのドミナントコードでは様々なスケールを利用する事が出来る。つまり、□7と言うコードをバックにリードプレイをする時、色々な音を使えるから□7コードが頻繁に利用されるのだ。 Freeway Jamはテーマメロディは□7コードでの基本中の基本であるミクソリディアンが使われており、アドリブ部分ではGマイナーペンタトニックスケール中心に演奏されている。Led BootsはAメロがG7、BメロがC7と言う構成だが、Aメロでのテーマメロディ、これはGマイナーペンタに6th音が加わったものと考える人が多いだろうが、これはGミクソリディアンが使われていると考えた方が良い。 上を踏まえて□7コードで使える主要なスケールは以下の通り。
・マイナーペンタトニックスケール また□7と言うコードは裏コードと言うのが存在する(裏コードに関しては新79話や新115話を)。G7の裏コードはDb7であり(当然Db7の裏コードはG7)、A7の裏コードはEb7となる(同じくEb7の裏コードはA7)。 よって裏コードの□7に対応するスケールも全て使う事が出来る。勿論、これはあくまでも拡大解釈であり、様式美なロックやコード進行がしっかりとしているポップス等では無理に裏コードを想定して、メロディを作る事はほとんどないと言って良いだろう。 これらを踏まえ、□7コードで利用出来る色々なスケールの中でもコンディミスケールがマスターするのが非常に容易である。コンディミの構成音を数字で表してみよう。 1st, b2nd, b3rd, 3rd, b5th, 5th, 6th, b7th 一般的なスケールは1オクターブ7音だが、コンディミは1つ多い8音だ。8つもあるのに覚えやすいのか?。うん、簡単なのだ。ギターの構造上、簡単だ、そう表現した方が良いだろう。コンディミは別名ハーフホールディミニッシュ、これを日本語にすると半全ディミニッシュとなり、半音と全音が交互する構成だ。だから指板上はこうなる。配列を判り易く為に丸印で表記してみた。
Gコンディミスケール 2弦のテンションが他の弦と異なるので、3弦から2弦へは2フレットずれる形になるが、他は1フレットずつ斜めに移動するような指使いをすればあっという間に3オクターブのコンディミを弾く事が出来てしまう。Freeway JamはG7なので、この指板表のままスケール練習するイメージで速弾きすれば、上記とほぼ同じようなアドリブソロを取れる。 左手の指使いは人それぞれだろうが、それぞれの弦上の4つの音、人差し指から始まり、2番目をそのまま人差し指をスライドし、3番目の音を薬指、4番目を小指、これが基本だろう。下降する場合も、小指、薬指、人差し指、スライドして人差し指となろう。これを完璧に指に馴染ませる事が先決。 もう1つ、コンディミを覚えるのが容易な理由は、他のスケールには必ず存在するブロック単位のポジションがスケールの性質上、ギターの構造上、存在しないのだ。つまり1つのポジションさえ理解してしまえば、その指の動き、フォームのまま低いフレット、高いフレットと行き来が出来てしまう。 Gコンディミをブロックとして指板上で見てみよう。これも見易いように丸印表記してみよう。
Gコンディミスケール6弦3フレットスタートのポジション
Gコンディミスケール6弦6フレットスタートのポジション
Gコンディミスケール6弦9フレットスタートのポジション
Gコンディミスケール6弦12フレットスタートのポジション 6弦3フレットの音はトニックのG、6フレットはb3rdのBb、9フレットはb5thのDb、12フレットは6thのEとなる。
6弦3フレットからスタートする1オクターブ
6弦6フレットからスタートする1オクターブ
6弦9フレットからスタートする1オクターブ
6弦12フレットからスタートする1オクターブ つまり、6弦をトニックでスタートしても、b3rdでスタートしても、b5thでスタートしても、6thでスタートしても単に3フレット分平行移動するだけで、フォームは一切変わらないのである。またその事からGコンディミとBbコンディミとDbコンディミとEコンディミ、この4つは全てイコールである事も判って来るだろう。 Cコンディミ=Ebコンディミ=Gbコンディ=Aコンディミ Dbコンディミ=Eコンディミ=Gコンディミ=Bbコンディミ Dコンディミ=Fコンディミ=Abコンディミ=Bコンディミ コンディミと言うスケールはCからBまでの半音を含む12個のキーで上のように実は3つしか存在しないのが判ると思う。だからコード理論やアウトフレーズのレッスンで裏コードについて述べた。G7の裏コードはb5thの位置のセブンスコードとなるので、Db7となる。 ここで「なるほど、G7のコードが鳴っている時、裏コードのBb7を想定してBbコンディミを使えばより音がアウトするのか!」と言うのは間違い。GコンディミとBbコンディミはイコールでしょう?。コンディミを使う時は裏コード云々を考える必要は全く無いのだ。考えても結局は同じ音を使うのだから・・・。 まぁ初めのうちはあまり難しく考えなくても良いだろう。コンディミの指板上の配列を覚えて、もっと上の音を使いたかったら同じフォーム、指使いのまま3フレット右にずらす、下の音を使いたかったら同じフォームのまま3フレット左にずらすだけでギターの指板上の音全てを使う事が出来るだろう。 オレはポジション、フォームをさらに拡大させて次のような使い方をしている。
Gコンディミの6弦3フレットと5弦12フレットから始まるポジション ポジションが逆転する場合もある。下はCコンディミの場合で、5弦トニックポジションが低くなる。
Cコンディミの5弦3フレットと6弦8フレットから始まるポジション さて、この場合、5弦3フレットのC音と6弦8フレットのC音は同じだ。オレ個人はおおよそ8フレットから先の6弦は音が篭るのであまり使わない。さらに4弦10フレットにC音があるので、ここで切りが良いので5弦9〜13Fもほとんど使わない。4弦10フレットから下がりたい時は3弦か4弦をそのままスライドダウンして5弦スタートのポジションに移動してしまう。よってCコンディミの使う場合はこうなる。
オレがCコンディミを使う時はおおよそこんな感じ 赤文字が新たに繋ぎ用として加え、5弦スタートのポジションと6弦スタートのポジションの移動用として黒い太線で囲った繋ぎ用ポジションで行き来をするようにしている。これも新たにフォームを覚えるのでない。良く見て欲しい。5フレットや11フレット部分のブロックと全く同じ配列でしょう?。フレーズを上昇下降する上での繋ぎのフォームも結局は同じ指使い、だからコンディミは簡単なのだ。 と言う事で、ジェフ・ベックのFreeway Jamを使ってGコンディミ中心に、ただおスケール練習的なフレーズを速弾きしてみたのが下(ギターな日々433話でも同じようにGコンディミ中心に弾いているので参照あれ)。 ちなみにどちらも音源もところどころGマイナーペンタ、Gオルタード、Bbオルタード、Gホールトーンも使われているので、純粋にコンディミだけのフレーズではない事をお断りしておく。
つまり、コンディミは指板上を最初の方に示した丸印で覚えても簡単に使えてしまう。しかし、丸印で覚えてしまうと、着地点の音すらも理解していない事になるので、最終的には自分が弾いている音を数字で捉えられるようにしなくてはならない。これは他のスケールと同様である。特に1st音の位置は常に把握して行こう。困った時には1st音に戻る!。 運指トレーニングとしては以下のようなのが良いだろう。
Gコンディミを6弦トニックからスタート
Gコンディミを5弦トニックからスタート
ブロックでGコンディミを弾く ブロック単位で弾く場合は、上の3フレットスタートからのものに3つずつ右に移動すればよい。つまり6フレット、9フレット、12フレットから始めれば全てを網羅出来る。 コンディミスケールはトニックに対しての□7(b9)のコードトーンを含んでいる。構成音は1st, b2nd, 3rd, 5th, b7thだ(b2ndがb9thである)。GコンディミならG7(b9)となり、そのコードトーンだけでフレーズを構成する事も可能だし、実はこのコードトーンだけで演奏するフレーズは、ジャズだけでなく、クラシカルなハードロック、へヴィメタルでも頻繁に用いられている。
6弦トニックのG7(b9)のコードトーンをブロックで弾く
5弦トニックのG7(b9)のコードトーンをブロックで弾く 単に運指トレーニングしただけでは駄目だ。もう1度書く。最低でも常にトニックである1st音、GコンディミならG音、これがどこにあるか把握していなくてはならない。開始音はあまり気にしなくても良いが、アドリブフレーズを作る時、着地音、最後の音に例えばb2nd音なんて持ってくると、かなり違和感を覚えるだろう。 もう1つ、コンディミと言うスケールは本来□7コードに使われるものだが、ジョン・スコフィールド辺りは□m7でも使っているようだ。個人的にはあまり合わないとは思うが、人によっては□7コードでもコンディミを気持ち悪いと言う訳で、アウトノートを作る意味では、□m7でコンディミを使うのも間違いではなかろう。 最後に、コンディミ以外のスケールでも同じ事であるが、スケールを覚えるのに最も意識しなくてはならない事をお教えしよう。当たり前と言われれば当たり前だが、行き着くところは「1つのスケールを完全に覚えるまで、他のスケールは一切使わない」である。 どんな曲でも良い。□7ワンコードを曲を見つけたら、また本レッスンの練習用midiデータや、自作のmidiデータで、□7ワンコード物のカラオケを作り、ただひたすらコンディミを使って、そのカラオケにマッチするように、完全に脳と指がスケールを記憶するまで、一切他のスケールを使わない事。 コンディミやオルタードと言ったスケールはロックギタリストにはあまり馴染みがないであろう。だから練習中は違和感を持ったり、指がもたついたりとで、相当にストレスが溜まると思う。ストレスが溜まったからと言って、「気分転換にマイナーペンタやミクソリディアンで気持ち良く弾こうかなぁ〜」なる考えを持ってはならない。この甘えがスケールを覚えられない最たる原因となろう。
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