ロックセッションの場合、色々と問題がある。まずロックはジャンルとして幅広く、反対に各自の世界は狭い。ディープ・パープルは好きだけどレッド・ツェッペリンは嫌い、もしくはその逆。同じハードロックなのに何故?、と思うような事が多々ある。オレもそうだ。ハードロックは好きでも80年代に台頭したヘヴィメタルには聴く事はあるが、特に興味は無い。
だからロックギタリストが集まってセッションを演ろうと先導したところで、Aさんはパープル、BさんはZEP、Cさんはオジー・オズボーン、Dさんはアイアン・メイデン、それぞれ得意なバンドが異なるから、合わせようにも合わせられない。
またギターセッションの場合、それ以外の楽器、ヴォーカル、ベース、ドラム、キーボードを探すのが厄介だ。ベースはギタリストが交代で・・・。でも結局、そういう時ってほとんどがコードのトニックをベンベン弾くだけに終わる。無いよりましであるが、やはりしっかりとしたベースラインを弾いた方が曲が締まる。
仮にメンバーが揃ったとしても、上述した通り、各自得意なものが違うから、参加メンバー全員の意見を聞いていたらきりがないし、1日、2日練習した程度で弾ける曲なら良いが、存在すら知らない曲、こういうのは聴く事から始めなくちゃならないから、そんなのが3曲も4曲もあっちゃたまらん。
だからセッションってのはブルースセッションが一番良いのだが、これまたロックギタリストでもブルースの好き嫌いははっきりと出る。イングウェイをピロピロ弾けるのにブルースを1度も弾いた事がない人がいるし、反対にブルース一辺倒って人だっている。だからセッションを主催しようと思うと、みんなの意見を踏まえつつ・・・、と相当に面倒くさいのだった。
そこで、本来のセッションの姿、いや、ここで本来と書くと誤解を生みそうなので、オレ個人が思う理想のセッション像、それに従いネタを作って行きたい。
その理想と言うのは「セッションは現場で定番のコード進行に従い、ひたすらアドリブをし、バトルする事」である。若干ジャズ寄りかな・・・。ジャズの場合、セッションと言えば、ブルースかスタンダードだ。こういうのをロックでもやってもいいじゃないかと感じるのだ。そこで、今後、ここで、セッションで使えるコード進行、この辺を書いていこうと思う。
◇
一番簡単なのは既存曲をパクる事だ。
n123-01.mid
A7 x 8 - Bm7 x 8 - A7 x 8
これがコード進行だ。こんな曲あるのか?、と思われるだろうが、あるのだ。オジー・オズボーンのBlack Rainがネタ元である。テンポを若干落として、A7では5弦開放を絡めて、オープンコードのA7を利用すれば、AC/DC風のドロドロしたヘヴィメタルにもなってくれる。
さて、A7から1音上がってBm7になり、またA7に戻る。これだけの進行。でもこの進行は面白い。皆さんはこれをどう言ったスケールで弾く?。まずキーが何かお判りか?。AでもBでもない。この曲のキーはDである。つまり、このコード進行はキーがDの際の、、、
V7 - VIm7 - V7
となる。だから使うスケールは当たり前だがDメジャースケールだ。これを意外と思った人、まだまだ音楽知識が足りない。でもこれを普通にDメジャーで弾くよりも、A7がドミナントコードになるのから、ここではドミナント系のスケールの全てが使える。ヘヴィメタらしく弾くにはA-hamp5だろう。これは言い換えるとDハーモニックマイナーだ。
他にドミナント系と言えば、ミクソリディアン、コンディミ、オルタード、リディアンb7th(近頃はリディアン7thと表記される事が多いようだ)。Bm7ではBナチュラルマイナーとBドリアンが合い(但し、AミクソリディアンとBナチュラルマイナーはイコール、Dメジャースケールだ)、微妙なアウト感が欲しいのだったらBメロディックマイナーでも良いだろう。
勿論、A7ではAマイナーペンタ(もしくはAメジャーペンタ)、Bm7ではBマイナーペンタでも弾き切る事も可能で、2つのコードしかないコード進行でも、ギタリストの知識と技量によって様々なアプローチが可能になる。
このコード進行をそれぞれ4小節ずつに縮めて、ファンクロック風にアレンジするとこうなる。
n123-02.mid
これが同じコード進行か?、と思うでしょう。でも同じなのだ。ハードロック寄りの人が多いセッションなら「01」を、フュージョン、ファンク、ジャズ寄りの人が多いセッションなら「02」のアレンジにすれば良い。
◇
既存曲と言えば、マイルス・デイヴィスの非常にマニアックであるが、Duranと言う曲がある。これからパクったのが次のmidi。オリジナルとキーは異なり、小節数も違うが、セッションだとこれくらいの長さが良いだろう。
n123-03.mid
Am7 x 8 - D - D - D - D/C - Am7 x 4
※D/CはDonCでなく、1小節の中にDとCコードがある
この進行のキーは、DをD7、CのCmaj7と考えれば、すぐに判ってくる。これはキーがGで、IIm7 - V7、ツーファイブと言う定番のコード進行だ。
よって一般的にはAm7ではAドリアンを使い、Dはドミナントコードになるのでドミナント系のスケールが全て利用出来る事になる。勿論、これをAm7のワンコードとみなして、全てをAマイナーペンタやAナチュラルマイナーで乗り切っても誰も文句は言わない。
これは純粋なモードのコード進行ではないが、モードに多いこのように最初と最後のコードが同じ場合、最後のAm7が4小節、先頭に戻ってAm7を8小節、合計12小節弾く事になり、ボケッとしているとどこが頭か判らなくなるので、しっかりとコード進行を把握しながら弾く必要がある。
|