皆さん、明けましておめでとう!。年が明けての一発目は精神論を述べて行こう。
このところのレッスンネタはジャズやフュージョンで用いられる複数のスケールや音楽理論であるドミナントモーションを絡めたアウトフレーズを紹介した。正直、これらはビギナー、向けとは言い難いが、では初級者、中級者、上級者、これはどう分ければ良いか、まずはこれを考えよう。
初心者と中級者の差、それは流暢に様々な曲を弾けるか否かに掛かっている。基本テクニック、基本音楽理論、これをクリアーして初めて中級者と言われる。もし貴方が「オレはハードロックだけ弾ければ良い」、そう思っているのなら、オルタードスケールとかリディアンb7thスケールなんて覚える必要は無いし、音楽理論もキーとスケールの概念だけ知っていれば良い。。
でもロックでもフュージョンでもジャズでも弾ける、そんなギタリストになりたいと思っているのなら、モードやオルタードスケールを覚えるは当たり前、ドミナントモーション、セカンダリードミナント、代理コード・・・、この辺の音楽理論も知っていて当然なのだ。
つまり、マイナーペンタトニックスケールを流暢に弾けて、アドリブだって出来るぜ!、そういうギタリストでも、もし様々なジャンルを目指すのであれば、ギタリストとしては初級者でしかない。これを履き違えるとミュージシャンではない勘違いギタリストが生まれる事になる。
勿論ロックと言うジャンルだけで語れば中級者にステップアップしたと言っても良いかと思うが、自分自身の理想像、そして本レッスンは、ロックだけに焦点を当てているのではない。色々な音楽を(クラシックは除こう)奏でる事が出来るギタリスト、ミュージシャンになりたい、皆さんにもなって欲しい、そういう思いをこのネタに込めている。
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自分で言うのも何だが、運動神経は良い方だ。高校生の頃、100メートルを12秒ちょっとで走る事が出来た。陸上部ではなかったが、国体に出るには1秒縮めるだけで良かったし、オリンピック選手になるのに1秒半、世界記録を出すには2秒ちょっと縮めるだけで良い。
ところが肉体ってのは個々に限界があり、恐らく真面目に陸上競技をやっていたとしても頑張って11秒中程、せいぜい国体に出てブービーになる程度のレベルだったろう。どう頑張ろうがカール・ルイスにはなれないのだ。去年の世界陸上を見てもお判りだろう?。日本人はどう足掻いても世界では通用しない。
しかしだ。楽器、特にギターと言う楽器は、練習すればする程、上達して行く。肉体は20代そこそこで頂点に達し、後は死ぬまで下降線を辿って行くが、ギターは30になっても40になっても50になっても60になっても気合と根性さえあれば上達して行く。
ジェフ・ワトソンとかジャズで言えばスタンレー・ジョーダンのように右手と左手の両方でタッピングし、1度に2つのメロディを弾く、そんなサーカス芸としか思えない特殊なテクニックは別にして、左手はネックで運指を、右手でピッキングを、そういうオーソドックスなスタイルでギターを弾くのなら、ギターに定年なんて存在しない。年齢に関係なく、健康を害さない限り、練習すればする程、上達して行くだろう。
幾ら運動神経が良くて高校生の頃12秒で走れても、カール・ルイスには100%なれない。しかし、ギターなら頑張ればイングウェイのような美しい旋律を超速弾きで奏でる事が出来るし、パット・マルティーノのような超正確なピッキングも出来るようになる。
初めてイングウェイのスウィープを聴いたのはネットに転がっていたオジー・オズボーンのMr.Crowleyのカバーであった。これがスウィープか!、カルチャーショックなんてものじゃない。ハンマーで後頭部を殴られたかのような真のショックを受け、ロック浦島太郎状態に嘆きもした。
そして一念発起し、それに初めて挑戦したのはすでに40を超えてからである。かなり辛かったのは覚えている。腱鞘炎にもなった。それでも半年を過ぎる事から次第に左手と右手がシンクロするようになり、1年後、自らスウィープ練習完了宣言をした。たった1つのテクニックを身に付けるだけで丸1年を要している。でもギターをマスターするには体力は必要ない。如何に「オタク」になるか、なれるかだけだ。
どんな趣味でもそうだが、アイテムを揃えるだけ揃えて安心しちゃう人、身に覚えのある方いらっしゃるでしょう?。ギターを買った、アンプを買った、理論書を買った、スコア譜を買った・・・、まではいいけど、そこから先に進めない、進まない。
オレも10代の頃はこのパターンであった。読みもしない教本は10冊くらい、弾きもしないスコア譜は20冊以上あったと思う(実家に戻った時にこれらを探したが、どうやら捨てちゃったようだ、貴重な情報源を・・・)。形から入るのが何も悪いと言っているのではない。形から入ったら今度は中身である。
そして中身を極めるのなら「オタク」になる事だ。自室にギターを、本棚に教本やスコア譜を飾って置くのでなく、実際に弾いて、ページを捲ってナンボであり、オタクは、メタボな腹を克服しようとして、無理なジョギングが祟って死ぬ事は無い。ただ、無理な力が手首に入って腱鞘炎になる程度である。ギターを学ぶ事はローリスクなのだ。
24時間中たったの1時間、自分だけの時間を作る、これさえ可能に出来るのであればギターは必ず上達する。中級者から上級者になるにはテクニック、音楽知識の他にセンスが要求される。いや、上級者にはセンスしか要求されないと言っても良いだろう。テクニックや音楽知識は中級者の時点でマスターするものだからだ。
しかし、初級者から中級者へのステップアップにはそんな音楽的センスは丸で必要としない。ただひたすらに自室に篭って指先が腫れても手首に痛みが走ろうがギターを抱えて練習すれば良いだけだ。
社会人にもなれば、そしてオッサンでも酒を飲む機会は多いだろう。でも本気でギターを学ぼうと思ったら、酒なんて飲んでいる場合ではない。酒を飲む暇があったらギターを弾かなくちゃならない。3年禁酒をし、晩酌に充てていた時間ををギター練習に充てればそりゃぁ上達するでしょう。そこまでの気合と根性があるか否かだ。
酒が好き、晩酌の時間が心地良い、そういう人に酒を断てとは言わない。しかし酒よりもギターを学びたいと言う欲求が、少しでも強ければ禁酒をお勧めする。オレはギターリハビリを始める前、酒も飲んだし、夜の部活動に大いに燃えてもいた。家にはただ寝に帰るだけ、そんな人間だった。しかし、ギターリハビリを始めてからは、酒を断ったし(まぁこれは健康の問題もあるのだが)、完全なる帰宅部と化している。
本当はこのWEB活動を止めちゃえばさらにギター練習に時間を充てる事が出来るのだが、そこまですると今度はオタクを通り越して引き篭もりになってしまう。オタクと引き篭もりってのもまたちょっと違うと思う。オタクには人との交流があるが、引き篭もりは単なる自分勝手に過ぎない。
但し、若い方、特に十代の方はギターばかりやっていちゃ駄目だ。これは以前どこかで書いたが、大人になったら、社会人になったら、ギターを弾ける事は何の自慢にもならないって事をしっかりと認識していて欲しい。学生の間ならギターを弾けるってだけてチヤホヤされる事もあろう。でも社会に出たらそんな事は100%あり得ない。社会からチヤホヤされるのは他の生活に密着した能力に長けている人だけだ。
最近四則計算すら出来ない若者が増えていると言う。たまげたのは理数系の大学生で分数の計算が出来ないのがいると言う。今も裏口入学ってあるのか?。日本ってお先真っ暗・・・。もしこれをお読みの貴方、四則計算が苦手であったら、ギターなんて弾いている場合ではない。本気で勉強をしよう。社会はギター馬鹿を必要としない。
さて、ギターの練習を円周率に喩えよう。ゆとり教育で、それが3.14でなく3で良いとされた。ここで円周や面積を出すのに3と言う数字を使っていたら、どんなに勉強をしてもその程度の人間にしかなれない。3でも良いと言われているのに、家では3.14でしっかりと計算する、いやいや、さらに突っ込んで3.141519、これで算出するくらいの根性。ギターの練習とはそういうものである。常に人の倍、それくらいの意識、意欲を持って練習しないと上達は望めない。
とは言え、円周率に3.141519、常に小数点第6位までを使って円周や面積を求めても無意味である。そう、練習には意味のある練習と意味の無い練習とがある。楽器店でパラパラと捲った限りでは、残念ながら多くのギター教本は無意味なギター練習をさせているように思える。初級者はそれを信じて練習しちゃう。先程初級者、中級者にはセンスを必要としないと書いたが、練習するセンス、つまり意味のある練習と意味の無い練習を嗅ぎ分けるセンス、これが必要になってくる。そうでないと相当に遠回りをしちゃう。
すでに本レッスンは飽和状態にある。これ以上何を語ったら良いか?。それを考えると、意味のある練習とはどういうものか、そこに焦点を当てるべきだと思った。いや、今までも無駄な練習内容を書いたつもりはない。でも有意義な練習に関してはもっと書く事が、類似する内容であっても、ここは強調するべきだ、今後は有意義な練習、そういう事を中心に書いていきたいと思っている。
そして本年最初のネタとして、、、
ギターを上手に弾きたいと思うのなら好きな酒も断って「ギターオタク」になれ!。
である。勿論学生さんは学業第一、社会人は生活に支障のない程度のオタクでないとならない。
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