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リニューアルレッスン |
2007.11.22 |
前話はマイナーペンタトニックスケールとドリアンを知っているだけで、簡単にアウトさせる方法を学んだ。今回はそれ以外のアウト法を伝授しよう。しかし初心者がここまでやっても恐らく無理だと思うので、サラリと解説するだけにする。 1、□mコード上でメロディックマイナースケールを使う ジャズを制覇するのならどうもこのスケールを完璧にこなせないとならないようだ。しかもこれを使うだけで微妙なアウトを持つ事が出来る。構成音は次の通り。 1st, 2nd, b3rd, 4th, 5th, 6th, 7th ナチュラルマイナースケールと比較するとb6thが6thに、b7thが7thとそれぞれ半音上がっている。このそして4thから7thまでは全音での構成で、これだけを使うと半音下、もしくは半音上のホールトーンスケール(全音で構成されているスケール)のようになっている。だから気持ち悪いのは当たり前だ。 実はオレはあまりこのスケールは好みではない。だから最初から最後までメロディックマイナースケールを使う事はまずなく、ほとんどをドリアンで賄い、下のように部分的にしか利用していない。
また、第4ポジションでの定番フレーズでこんなのがある。これは様式美なハードロッカーもジャズ野郎も使う共通なフレーズだろう。
ジャズ、フュージョン系のギタリストは□m上ではハーモニックマイナースケールよりもメロディックマイナースケールを使う、単にそう覚えておいて問題はない。ナチュラルマイナースケールやドリアンに飽きたらメロディックマイナースケールを使ってみよう。 ただ、上述した通り、4th〜7thまでの4音が全音感覚で並んでいる為、意外に扱うのが難しい気がするので、中級者から上級者向けのスケールのように思える。 2、□mコード上で5度上の□7系のスケールを使う まずは新76話、新78話でドミナントモーションの復習をして頂きたい。これはジャズ的アプローチの1つ。Gm7をトニックのIコードとするとドミナントコードのVコードはD7になる。だからGm7のワンコード曲であるが、勝手にV-Iと言うコード進行になっていると解釈し、D7で利用するスケールをGm7上で使っちゃおうって事。 ただし、単に「Gm7の時にD7のスケールを使う」と覚えちゃ駄目だ。あくまでもD7-Gm7-D7のようなコード進行になっている事を想定しなくちゃならないので、D7のスケール、特にオルタード系のスケールなんて使っていたらすぐにGm7のスケールに戻る、それをしないと、やっぱりただのミスにしか聴こえない。Gm7が鳴っているのに延々とD7のスケールを弾いてもおかしいだけである。 だから自分で拍数を想定するのだ。1小節毎にD7とGm7が交互する、そう定めれば、1小節毎にD7のスケールとGm7のスケールを交互に使うのだ。もっと細かく2拍毎でも良いだろう。1小節の中でDとGmが交互する。この時、両スケールの共通の音とそうでない音をしっかりと把握するのが大切だろう。例えばGmではドリアンを、D7ではミクソリディアンとしよう。
Gドリアンの構成音
Dミクソリディアンの構成音 異なるのはBbがBに、FがF#になるだけで、他の構成音は一緒になるから、Dミクソリディアンの弾く際に、BとF#に他の共通する音をどう使うか、それを考える必要があるだろう(オレはそこまで考えないで弾いているが・・・)。 さて、ここで問題だ。Gm7でDミクソリディアンで弾く、ここまでは理解出来たと思うが、実はこれは単に前話の復習、2度上のAドリアンを弾いているのと同じ意味になる。何故でしょうか?。モードではIIm7とV7は同じなのだ。これが判らない方は新100話で復習しよう。 だから、この場合、ミクソリディアンでなく他の□7系のスケールを使った方が良い。ジャズギタリストが良く使うスケールはオルタード系のスケールだ。Gm7のワンコード曲ならDオルタードスケールを利用する。オレはDのコンディミスケールを使う事が多いが、変な指癖がついてしまい、Gm7でD7を想定し、Dコンディミを使っていると、途中でDディミニッシュスケールなり、挙句の果てにはG#メロディックマイナースケールになっている事がある。 前話のサンプル音源でもG#メロディックマイナースケールになっている部分が幾つかあっちゃう。このG#メロディックマイナースケールは言い換えるとGオルタードスケールになる(さらにDbリディアンb7thスケールにもなる。この辺の詳細は後日書こうかと思う)。
Gオルタードスケール(G#メロディックマイナースケール)の構成音 これを数字で表すと、 1st, b2nd, b3rd, 3rd, b5th, b6th, b7th となり、まぁ使っても問題はなかろうとこの変な指癖を直していないのだが・・・。 そう、アウトフレーズの良いところは、こうやって意図しないスケールで弾いても、常にGm7にマッチする音をその後に加えるから、ミストーンには聴こえないところにある。言い換えると、丸でコードやスケールを無視して、指が赴くままに出鱈目に弾いても着地点さえGm7のコードトーンで落ち着けば問題はないのである。だから音をアウトさせるのに理論は要らない。これこそギタリストの個性、センスだけの問題なのだ。 イコール、色々なスケールを知らなくても、着地点さえ気をつければ、初心者ギタリストでも多少のセンスを持ち合わせていれば自在にアウトフレーズを組み立てる事が可能なのだ。新85話を思い出して欲しい。Smoke On The Waterを理論無視で弾いているのに(速弾きしているせいもあるが)、アウトノートは経過音にしかなっておらず、ああいうギターソロも「あり」なのだ。 だから、前話でこう書いた。
「12音を使うのは常識」 セッション等でおどおどしながらアウトフレーズを使うと、「おっ、こいつスケール間違っているでぇ〜」と思われたり、「こやつ、アウトフレーズを使い慣れていないな」とすぐに見破られちゃう。だから「オレは間違っていない!」と自信を持ってテキトーなフレーズを弾いていれば良いのだ。 3、II-Vを想定して弾く 2はIm7-V7を想定してV7で扱うスケールを利用する術を述べたが、今度はメジャーダイアトニックコード上でのIIm7-V7を想定しちゃう。Gm7をIIm7とすると、キーはFになるので、V7はC7になる。だからCミクソリディアン等が使えるのだ。今回はCリディアンb7thスケールをお勧めする。と言うのも・・・。
Cリディアンb7thスケールの構成音 ではGメロディックマイナースケールの構成音を考えよう。
Gメロディックマイナースケール おやおや、Cリディアンb7thスケールとGメロディックマイナースケールは全く同じ構成音ではないか!。Gメロディックマイナースケールの4番目の音からスタートすればCリディアンb7thスケールになる。 つまり、これは「1、□mコード上でメロディックマイナースケールを使う」、何故これが使えるかの説明になっちゃうのだ。勿論、同じ構成音だから扱いには十分注意が必要だが、弾きなれないメロディックマイナースケールとして考えるよりも、初めのうちは□m7から4度上のリディアンb7thスケールを使う意識でメロディックマイナースケールに臨むのも良いかもしれない。 4、□mコード上ディミニッシュスケール 先にDコンディミスケールを弾いていると知らない間にDディミニッシュスケールになってしまうと書いたが、コンディミスケールとディミニッシュスケールの違いは、スケールノートがトニックから半音、全音の繰り返しか、その反対に全音、半音の繰り返しかである。
Gコンディミスケールを数字で表すと・・・
Gディミニッシュスケールを数字で表すと・・・ 本来、ディミニッシュスケールは□m、もしくは□m6で使われる事が多い。つまり今回を例に取れば、Gm7でなくただのGmやGm6が鳴っている時に使えるのだ。でもGメロディックマイナースケールと同じ、6th, 7th音のスケールノートとして持つのだから、□m7コードで使っても誰も文句は言わないだろう。理論上は□m7では使わないが、ギタリストのセンスに置いて使おうって事だ。 さらに凄い事をするのなら(オレ自身もやった事はないのだが)、2のIm7-Vを想定しちゃって、Gm7のワンコード曲なのにGm7 - D7になると想定しちゃうと、Gm7と考えた部分ではGディミニッシュスケール、D7と想定したところではDコンディミスケール、そうやって使い分ける事も出来る。まぁ5th音が加わるだけで後は同じ構成音になるからそこまで意識する必要性は感じないのだが・・・。 5、斜めフレーズをひたすら狙う これは新91話辺りの復習である。指板上のインスケールで斜めに並んでいる音を使いこなせば良い。たとえそれがGm7に対するGドリアンでもアウトした風に聴こえる。 下はGドリアンの第2ポジションである。水色の部分を4弦5フレットから1弦8フレットまで順番に弾いていけばGm7(9,11)と言うコードトーンになるのは判るだろう。1弦に9thと11thのテンションノートがあるからだが、ここでのミソは4弦から1弦へのb3rd, 5th, b7th, 2ndと言う斜めラインにある。
この第2ポジションで6本の弦でひたすら斜めるとこんなフレーズが作れる。b2ndや3rd音が含まれるのでかなりキモいフレーズだが、面白いと思う。2小節目の3拍目からの斜めラインは弾けば判るがこれはB7のコードトーンだ。Gm7が鳴っているのにB7が弾かれるのだから、かなりエグい。
また第1ポジションでもドリアンの音から外れてもドンドン斜めラインを使ってしまおう。こちらは2拍目でナチュラルな3rd音を弾くのでGm7でなくG7コードになる。完全にトーンはアウトする。
もう1度Gドリアンだけで斜めラインを構成してみよう。下はGドリアンの第3ポジションの一部と第4ポジションを示したものだ。水色の音を5弦のb7thから1つ1つ上げてスウィープのように弾くと、オンノートなのにアウトしているフレーズに聴こえてくる。それは4th、6thと言うコードトーンにない音を多く弾くからだ。
譜面を見てもおたまじゃくしに1つもフラット、シャープ記号がついていないからこのフレーズは100%オンノートなのだ。でもどことなくメジャーな響きに聴こえると思う。 第5ポジションでも1〜4弦の間に美しい斜めラインがある。これに6、5弦を絡めて弾けば、オンノートなのにアウトなフレーズが出来上がる。
これらの斜めラインは腐る程見つける事が出来る。と言うのも前話の通り、2度上、短3度上、5度上のマイナーペンタトニックスケール、メロディックマイナースケール、ドリアンが使えるのだから、上のようなフレーズをそれぞれで弾けばアウトフレーズ満載のギターソロになるだろう。 1つ1つ、こういうのもあるよ!、と、いちいち譜面を作っていては面倒なので、各自、インスケール、アウトスケールをチェックしながら斜めラインを見つけよう。このような斜めラインを速弾きするには厄介だが、これはひたすらトレーニングを積むしかない。 6、クロマチック展開をしちゃう ある意味、これが一番簡単で誰でも出来ちゃうアウト法。ここで注意せねばならないのは、クロマチックスケールを使うからと言って1オクターブの12音、全て使おうとは思わない事。 あくまでもマイナーペンタトニックスケール、ドリアンのある音からある音への経過音として半音階を使いましょうって事なのだ。これを勘違いしちゃうとオコチャマなギターソロになってしまう。 個人的にではあるが、一番使いやすい場所は下の通り。
Gドリアンの第1ポジション近辺 上の水色がクロマチック展開する音だ。とにかくマイナーペンタトニックスケールやドリアンと言ったマイナー系のスケールの場合は、第1ポジション中心の2弦、3弦のクロマチック展開が一番耳に馴染むと思う。オレは良く次のような弾き方をする。この2つのクロマチック展開のフレーズはジャズやフュージョンだけでなく、十分ロックで使える代物だ。
下の音源は、散らばっている斜めライン中心に前話の内容も含め、全てを網羅した音源だ(おっと、6のクロマチックフレーズを演り忘れてしもうた!)。ただ、普段はここまで厳密に何をどうして、どうやって・・・、と考えて弾く事はないので、本気でミストーンってのもある。でもここまでウネウネしていると判らないでしょ?。
1小節を全て16分音符で弾くと16個の音が並ぶ。アウトする音はその中の4分の1以下で十分なのだ。また皆さん、フレーズを組み立てる際、だいたい4小節単位で考えていると思う。その中でアウトする小節は半分以下に押さえるべきだろう(特にロックの場合は)。となると64個の16分音符の中でアウトする音はせいぜい4〜8音くらいなのだ。上の音源はその倍の16音以上だから、気持ち悪いのは当然だ。 特に今回のようにGm7だったらGm7だけが鳴っているようなワンコード物なら尚更である。例えば一般的なコード進行が与えられていて、II-V-Iとしよう。キーがCならDm7 - G7 - Cmaj7だ。今回はマイナーコード上でのアウトフレーズだから最初のDm7のところだけをアウトフレーズを使い、G7とCmaj7ではCメジャースケールでオンノートで行く、コレが一般的な使い方だろう。
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