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リニューアルレッスン |
2007.11.11 |
新58話から数話に渡り、モードを理論的に解析した。そして新88話からはドリアンやミクソリディアンを利用して、□7コードに対してのアプローチ法を語っている。今回からはコード進行のあるモードの実践編をお送りしたい。 一般的にモード曲には2種類ある。1つは一発、ワンコード物と言われる、曲の大半が1つのコードのみで設計されいている曲。ジェフ・ベックの楽曲で言えばFreeway Jamは(一部、繋ぎとして幾つかのコードが使われているが)G7の一発、ワンコード曲になっている。 もう1つはその反対、コード進行がある曲。ただコード進行と言っても調性音楽のようなものではない。調性音楽の基本はダイアトニックコードに基づいたコード進行だが、モードにはそれがない。本来ならばコード進行ではなく転調があると言った方が適当だ。 調性音楽のダイアトニックコードによるコード進行とモードの転調によるコード進行の違いは、前者はキーに対するスケール、例えばキーがCであればCメジャースケールだけで演奏が出来、後者はあくまでも転調なので複数のキーが存在するので、幾つかのスケールを必ず使わざるを得ない。 同じジェフ・ベックならStar Cycleがこれに当たり、F7 x 4 - D7 x 2 - F7 x 2 - G7 x 2 - D7 x 2の12小節構成で、F7に対するスケール、D7に対するスケール、G7に対するスケールの3つを必要とする。 ロック系のギタリストは調性音楽に親しんでいるので、1曲の中でスケールを使い分ける事に慣れていない人が多いだろう。今回の目的はそれだ。1曲をワンスケールだけでいつも弾いていたギタリストに対し、モードの手法で1曲に複数のスケールを使い、それにより、コードとスケールの結び付きを考えて行きたい。 まずは次のmidiデータを聴いて貰おう。 Gm7 x 4 - Bbm7 x 4の8小節で1ループだ。モードの場合、短3度でコードが進む事が多く、この8小節のコード進行がモードの基本とも言える。どちらも□m7コードなので、両者マイナー系のスケールを使う事になる。モードでマイナー系と言えば真っ先に浮かぶのがドリアンだ。そしてドリアンから2ndと6th音を取り除くとマイナーペンタトニックスケールになり、基本のフレージングはマイナーペンタトニックスケールであると思って良い。 もう1度書く。モードのコード進行とはコードが変化する毎に転調される事を指す。よって調性音楽のように1曲を1つのスケールだけで弾こうとすると無理が生じてしまう。今回の練習用midiはGm7 - Bbm7と言うコード進行を持つ事から、GマイナーペンタトニックスケールとBbマイナーペンタトニックスケールを使う事になる。 モードの利点はココにある。下を見て頂きたい。2つのマイナーペンタトニックスケール、当たり前だが両スケールとも第1ポジションを利用すると、Bbマイナーペンタトニックスケールでは全体に短3度音程が上がる。つまり、コード進行を持つモード曲は2つのスケールを使い分ける煩わしさはあるが、音域が広がると言うメリットもあるのだ。
まずは2つのスケールの第1ポジションで、コードに合わせてアドリブ練習をして頂こう。可能ならばそれを録音し、自分で弾いたフレーズの確認をしよう。と言うのも、たった今、音域が広がるのはメリットと書いたが、実はこれはデメリットでもある。何故なら、Gm7からBbm7になる度に全体に音が上がる、Bbm7からGm7になると今度は音が下がる、この繰り返しだ。こうなるとワンパターンと言われても仕方ない。 アドリブに慣れていない方は、Gマイナーペンタトニックスケールでも短3度上がったBbマイナーペンタトニックスケールでも同じフレーズを繰り出してしまうでしょう?。テーマメロディを考えるのならそれでも良いが、アドリブとなったら、同じフレーズを頻繁に繰り出してはちょっとカッチョ悪い。 そこで、それぞれの第1ポジションでコード進行を持つモードの感覚を掴んだら、Gm7でもBbm7でも同じ音域で弾く練習をしよう。Gマイナーペンタトニックスケールの第1ポジションの音域でBbマイナーペンタトニックスケールを弾くのだ。そうするとBマイナーペンタトニックスケールの第5ポジションを利用する事になる。
下はBbマイナーペンタトニックスケールの第1ポジションの音域でGマイナーペンタトニックスケールを使うと、Gマイナーペンタトニックスケールの第2ポジションが利用される。
ここで考えなくてはならないのは共通する音を見極める事。ただGマイナーペンタトニックスケールを、Gbマイナーペンタトニックスケールを弾くのでなく、共通な音とそうでない音をどう繋げて行くか、これを考慮する事で、良いフレーズが生まれてくるのだと思う。 コード進行(転調)のあるモード曲の場合、コードが変化した時にどうするかである。共通する音を知ると言う事はコードが変化しても、その変化を感じさせない、自然な流れのフレーズを作る事を意味するのだ。 勿論、Gm7のコードトーンとBbm7のコードトーン。これを気に掛ける事で、反対に、自然な流れを無視し、コードを大きく意識するフレーズを作り出す事も大切だ。その為には今度は共通でない音を知る必要が出てくる。下はそれぞれのコードトーンをGマイナーペンタトニックの第1ポジションで弾いた例だ。
調性音楽やワンコードモードの場合、マイナーペンタトニックスケールなら5音だけでアドリブしなくちゃならないが、コード進行(何度も書くが転調だ)があるモードの場合は、コード毎と言う制約があるが、コード毎に異なる音を使えるメリットがあるのだった。 最後に他のポジションにも目を向けよう。
下はGマイナーペンタトニックスケール、Bbマイナーペンタトニックスケール、これに両者のb5th音を加えてアドリブしたもので、両スケールとも同一のブロックで弾いているので、コードの変化がスムーズに行っていると思う。
音楽は理論の上で成り立っている。これは否定しないし、むしろ「音楽はセンスだ!」なんて言っているような理論無視のロックギタリストはアホだと思っている。でも理論に凝り固まってもいけない。自分の音楽は自分の考えを持って演奏する。マイナーペンタトニックスケールはドリアンから2音削ったスケールだ。だからドリアンが優れていて、マイナーペンタトニックスケールを古臭い、そう別物扱いするのはおかしいのだ。
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