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リニューアルレッスン |
2007.11.12 |
ジャズの世界では当たり前にモードの名曲がある。そのうちコード進行を持つもので、一番有名ではなかろうかと思うのがハービー・ハンコックのCantaloupe Island(カンタロープ・アイランド)だ。 Fm7 x 4 - Db7 x 4 - Dm7 x 4 - Fm7 x 4 Fm7からDb7、これは前話のジェフ・ベックのCome Dancingと全く同じである。そしてDm7からFm7への移行も短3度進行なのでよくあるモード進行、なのにこれを繋げるとこうもメロディアスな進行になるとは!。いやはや脱帽だ。 この曲でのミソDb7から半音上がるDm7への部分。半音上がりってのはモードのコード進行では当たり前なのだが、それはDm7からEbm7、Am7からBbmaj7と言った具合に□m7から□m7へ、もしくは□m7から□maj7への半音上がりが普通なのだ。でもこの曲は□7から□m7、うーん、凄い。 ではこのCantaloupe進行のカラオケmidiを頂こう。練習用midiなので、Cantaloupe Islandとは全く別物となっている。 利用するスケールは一般には次の通りだ。
Fm7 - Fドリアン 次に演奏サンプルを聴いて頂こう。
Fm7 - Fドリアン, Fメロディックマイナー Db7では一般的なDbミクソリディアンの他にFナチュラルマイナースケールも使っている。Fナチュラルマイナースケールは言い換えるとDbリディアンでり、Dbミクソリディアンの第7音がシャープし、ナチュラルな7th音を弾く事になる。つまり、コードとしてはDb7が鳴っているが、Dmaj7が鳴っているとイメージしているのだ。 だから前話のジェフ・ベックのCome Dancingでもこれは適用しても良い。Come DancingはCm7 - Ab7だからAb7の部分はCナチュラルマイナースケールを弾いても違和感は全くないのだ。もっと言えばCm7でもナチュラルマイナーが通用するのだから、このコード進行は楽をするのだったらCマイナーペンタトニックスケール、もしくはCナチュラルマイナースケールだけで弾ける事になる。ただ、せっかくのモード曲なのだから、コード毎にスケールを変えて、使用する音に変化をもたせましょうって事なのだ。 続いて、Dm7では本来□7でつかうミクソリディアンを使っている。これはDm7を敢えてD7として考えて弾いている。これはバックでどんなコードが鳴っているか、これがキーになる。例えばキーボードもリズムギターもベースもDm7のところでb3rdを強調するようなフレーズを作っていたら、やはりDミクソリディアンは合わないだろう。でも今回のmidi音源のように控えめだったら、若干アウトする感覚があるだけで、特に気にはならない。この辺は各自、演者の思考、センスとでも言おうか。 そして一箇所だけであるが、Fm7のところでFメロディックマイナースケールを使っている。36秒からのクラシックフレーズ(ピーターと狼だっけか?)からのパクリだ。これはマンハッタン・ジャズ・クインテットでほとんど同じように演奏されていたのをカッコイイと思ってコピーしてみた。 メロディックマイナースケールは使い方を間違えると、ただのミストーンにしかならない。メロディックマイナースケールの構成音を数字で表すと、1st, 2nd, b3rd, 4th, 5th, 6th, 7thとなる。ナチュラルマイナースケールのb6thとb7thがそれぞれ半音上がりナチュラルの6th, 7thになっている。よって4thから7thまで全音間隔なので、ここを上手に使えるか否かでかっこいいフレーズになるか、単なるミストーンになるか(聴こえるか)なのだ。 大概のスケール本ではメロディックマイナースケールは上昇のみで、下降する場合はナチュラルマイナースケールを使わなくてはならないと書かれているが、これは基本ルールと言うだけで、ジャズやフュージョンの世界では無視される事も多い。下降する時もメロディックマイナースケールのまま、つまりb7thでなくナチュラルの7thをそのまま使うのだ。 あくまでも推測だが、メロディックマイナースケールとハーモニックマイナースケール混在で弾いている、そんな感覚なのではなかろうか。
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