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リニューアルレッスン |
2007.11.12 |
今回もハービー・ハンコックからコード進行を頂いちゃおう。 Am7/D x 4 - Cm7/F x 4 - Am7/D x 4 - Cm7/F x 4 - Bbm7/Eb x 4 - C#m7 x 4 - Am7/D x 4 - Cm7/F x 4 今回は長い。32小節もある。しかもC#m7以外、何やらコードの後ろに妙なものが付いている。これはオンコードを意味し、ベースノートを示している。Am7/Dと言うのはコードそのものはAm7だが、ルート音にDを持つ。同じくCm7/Fはルート音にFを持つCm7を意味する。 これをご覧になっている方の中には、こういうコードが出てきただけで「難しそうだから・・・」と尻込みしちゃう人もいるだろう。でもここで使われているオンコードはギターを弾く上ではとってもラッキーなものなのだ。
お判りだろう?。6弦5フレットの1stのA音を押さえる代わりに、5弦5フレットのD音を押さえればAm7/Dになる。Cm7/FもBbm7/Ebも同じ要領で良い。 ではそれぞれで使うスケールは?。 大概の解説書を見るとこうなっている。
Am7/D - Dミクソリディアン C#m7以外はコードではなくルート音をトニックとするミクソリディアンを使えとなっている。これはどういう意味だろうか?。今までモード解説を読んでいれば簡単な話であるが、一応、簡単ではあるがもう1度説明しよう。 Dミクソリディアンのキーは何だろう?。答えはGである。よってDミクソリディアンとGメジャースケールは同じ構成音となる。ではAドリアンのキーは?。これも答えはGなのだ。よってGメジャースケールとAドリアンとDミクソリディアンは同じ構成音だ。 同様に、BbメジャースケールはCドリアンであり、Fミクソリディアンでもある。AbメジャースケールとBbドリアンとEbミクソリディアンは同じスケールノートを持つ事になる。 度数で説明しよう。キーがGだとGは1度である。そしてAは2度、Dは5度だ。同じくキーがBbならBbは1度、Cは2度、Fは5度、キーがAbならAbは1度、Bbは2度、Ebは5度だ。 だからこの曲は次のようなコード進行でも良い。テーマメロディやアドリブする時は1では2度にあたるドリアンで弾き、2では5度にあたるミクソリディアンで弾く事になる。
もう1度書くが、Aドリアン=Dミクソリディアン、Cドリアン=Fミクソリディアン、Bbドリアン=Ebミクソリディアンである。 さて、そうなるとアドリブの際、どちらを意識するかだ。AドリアンとDミクソリディアンはトニックがそれぞれAとDで異なるので、同じ構成音だとしてもフレーズは異なってくる。答えは・・・。 うん、両方意識する事。オレ個人は6弦にトニックのあるポジションの方が弾きやすいので、Am7/Dなら基本的にはAドリアンのイメージだ。でも4度のD音を強く、相当に意識するように弾いている。勿論、Dミクソリディアンで弾いて、A音を意識しても問題は無い。 本レッスンで耳にたこが出来る程言い続けている、フレーズの基本はトニックで始まりトニックで終わる。ロングトーンはなるべくコードトーンである3rd(もしくはb3rd)、5thを使おう!。これにこの曲ではドリアンで弾く事を前提とした場合、「さらに4度の音にも気を配る」となる。
Aドリアンのb3rdはDミクソリディアンのb7th 欲を言えば上の4つに気を付けながらのフレージングが良いだろう。 今回の練習用midiカラオケはベース音はオンコードと音を延々とベンベンしている。Am7/DならベースはD音が中心(今回のmidiは判りやすくひたすらD音)に鳴っている訳だ。だからAドリアンで弾いていて、ロングトーンをコードトーンの5thのEにすると、ベースのDに対してそれは2nd音であり、テンションノートで言えば9thだ。だからこれを最終着地点にすると、若干違和感を持つだろう。逆に、Eからフレーズを始めると実にジャズっぽいフレーズになってくれる。 いずれにせよ、Am7/Dの時、Aドリアンを意識しようが、Dミクソリディアンを意識しようが、コード構成音とベース音を常に脳味噌に叩き込んでおくと、この曲で良いフレーズが弾けるのである。 そしてこの曲では、今までこのモードレッスンでやってきた4度の積み重ねによるフレーズがとっても合うのだ。実際にテーマメロディも4度のフレージングが中心なのだ。冒頭のAm7/Dの指板表を見て頂ければ判るだろう。Am7/Dと言うのはDをルートに4度が積み重なったコードだ。コードトーンが4度和音なのだから、アドリブでも4度を積み重ねれば合うに決まっている。4度フレーズを練習する、持って来いの曲だ。
ついでなのでフレディ・ハバード作曲のSunflowerを参考にしたラテンのエッセンスのあるモード進行をご紹介しよう。 Dm7 x 8 - Ebmaj7 x 4 - Dmaj7 x 4 - Ebmaj7 x 4 - Dmaj7 x 4 - Dm7 x 8
Dm7からEbmaj7と言ったように□m7から始まり、その半音上の□maj7、これはモード進行の定番である。そして本来は再び半音下の□m7に戻るところを、フレディ・ハバードは半音下の□maj7を使っている。ここがミソである。そして最後に同じ音程の□m7ってのも面白い。 やたらに長いが、これは3つのパートと考えて頂きたい。最初のDm7 x 8がAメロ、そしてにEbmaj7とDmaj7が繰り返されるのがBメロ、そして最後に再びAメロが繰り返される。よってこれは32小節のコード進行と考えるよりも、Dm7の8小節のワンコードモードがあり、スパニッシュの雰囲気を持つEbma7とDmaj7のコード進行モードがあって・・・、と考えると判り易いだろう。 だからAメロ部分は淡々と弾き、Bメロでコード進行が加わってからはスパニッシュの雰囲気もあるのだから情熱的に演奏し、そしてもう1度Aメロで次第に情熱的な雰囲気を冷却していく、そういうメリハリのある演奏が良いだろう。 恐らく一番有名なバージョンはミルト・ジャクソンのアルバム「Sunflower」でのSunflowerだろう。勿論、トランペットはフレディ・ハバードで、ピアノはハンコック、ベースにロン・カーター。そしてドラムはフュージョン系な人のビリー・コブハムである。是非ともこの原曲を聴いて頂きたい。特にハンコックのピアノは不思議な音階を持っている。 さて、利用するスケールだが、Dm7はドリアンが一般的だ。Sunflowerのテーマメロディも全てドリアンのスケール内で演奏されている。他にDナチュラルマイナースケール、Dメロディックマイナースケールがこの曲、そしてmidiのラテンサウンドに似合う(結構原曲に近い)。メロディックマイナーはルール通り、下降フレーズはナチュラルマイナーに戻しても良いし、アウト感を楽しむ為に下降フレーズでもメロディックマイナーを使い続けても問題はないだろう。 Ebmaj7とDmaj7では、□maj7に対応するモードは2つ、イオニアン(アイオニアンとも言う)と呼ばれる普通のメジャースケール(Cイオニアンはドレミファソラシド)、もしくはリディアンである。どちらを使っても良いが、このコード進行がスパニッシュの雰囲気を持っているので、Ebmaj7はリディアン、Dmaj7をDアイオニアン(Dメジャースケール)ってのが一般的だ。そう、□maj7を含む、半音で行き来するモードのコード進行は音程の低いコードでメジャースケールを、高いコードでリディアンを使うのが一般だ。 もしくは低い方はそのコードのhmp5スケール、今回はDmaj7なのでD-hmp5(またの名をGハーモニックマイナースケール)。この場合Ebmaj7はGナチュラルマイナースケールと同じになるので、Ebmaj7ではGナチュラルマイナー、Dmaj7でGハーモニックマイナースケールと、ハードロッカーには弾きやすいパターンになってくれる。
Dm7 x 8 - Ebmaj7 x 4 - Dbmaj7 x 8 - Dm7 x 8 このようにDmaj7のところをさらに半音下げてDbmaj7とすると良いだろう。この時のスケールはリディアンでもメジャースケールでもどちらでも構わない。
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