|
|
|||
|
リニューアルレッスン |
2007.11.2 |
皆さんがディープ・パープルのSmoke On The Waterを弾く時、多くはマイナーペンタトニックスケールかナチュラルマイナースケールを使うだろう。しかし、人間1人のセンスなんてたかが知れている。増してや我々はアマチュアであり、時折、自分の奏でるアドリブソロがマンネリ化している事に気付いちゃう。 そこで使う音をちょっと変えるだけでいつもと異なる、人と違ったギターソロを弾ける技をご紹介しよう。勿論、前話もその1つだ。マイナーペンタトニックスケールやナチュラルマイナーで弾く速弾きとは全く異なるフレーズになってくれる。 今回はキーに対するマイナーペンタトニックスケールでなく、キーから5度上のマイナーペンタトニックスケールを使ってみたい。Smoke On The WaterのキーはGmである。だから5度上となるとトニックはDとなり、キーがGmのSmoke On The WaterでDマイナーペンタトニックスケールを使おうって算段だ。 まずはGマイナーペンタトニックスケールとDマイナーペンタトニックスケールの構成音を知ろう。
Gマイナーペンタトニックスケール
Dマイナーペンタトニックスケール そう、DマイナーペンタトニックスケールはGマイナーペンタトニックスケールのBbが半音下がりAになる。たったこれだけ。判りやすく指板表を見てみよう。
Gマイナーペンタトニックスケール
Dマイナーペンタトニックスケール Gマイナーペンタトニックスケールの第1ポジションはちょうどDマイナーペンタトニックスケールの第3ポジションが来る。そして高音側に域を広げれば使い慣れた第4ポジションが現れる。
Dマイナーペンタトニックスケールの第3、4ポジション
Gマイナーペンタトニックスケールのb3rd音が半音下がり2ndになる ご覧の通り、b3rd音が2nd音に変化しただけのスケールになるのだが、これだけでもそこそこの違和感を持つのである。この2nd音ってのはGナチュラルマイナースケールに含まれる音、そう考えると大して変わり無さそうに感じるが、Gナチュラルマイナースケールとして弾くのでなく、Dマイナーペンタトニックスケールとして弾く事に意義があるのだ。 つまり、Gナチュラルマイナースケールとして弾こうとすると、2nd音とb3rd音を絡めて弾きたくなるでしょう?(もしくは2nd音をハーフチョークしてb3rd音にする常套手段を使いたくなるでしょ?)。でもDマイナーペンタトニックスケールとして弾くと、いつもは絡めて使っていたb3rd音を無視して、その先の4th音を絡めるか、下がって1stやb7thとの絡みになる。この違いで、普段弾くフレーズと異なってくるのだ。 ただ、この指板表に従って運指トレーニングのようにただずらずら弾くだけでは面白くない。そこでジャズやフュージョンで多用されるフレーズを作り出す4度弾きってのをすると面白くなる。
ギターの場合、4度の音ってのは隣の弦になってしまう。上の矢印のような動きをところどころで取り入れると普段では弾かないフレーズになる。その例が次の演奏だ。ワウワウをかましているし、3連符、16連符で弾いているので、聴き取り辛いかも知れないが、いずれにせよ、ロックフレーズとは違うものになっているのはお判りになれると思う。 4度でフレーズを作る場合、慣れないうちはかなり難儀かと思うが、基本は人差し指、中指、薬指だけ。あとはスライド等を利用してフレットをずらしていくだけなので、1週間くらい練習していれば、そこそこ弾ける筈だ。またピッキングをしないでタッピングを多用するとレガート感が出て面白くなる。こんな練習をすると良いだろう。
これに加えて同様の事を上昇パターンでも練習していこう。最初は1音1音しっかりとピッキングをし、慣れてきたらスライドやタッピングでレガートフレーズにしてみよう。4度で動く場合、この運指トレーニングのように2音からなる4度フレーズを弾いたら、2フレット、3フレット上下に移動し、再び4度フレーズを弾く。これを繰り返すのが簡単だ。この4度でフレーズを作る場合、どんなスケールでも使えるので、しっかりと練習すれば、ユニークなフレーズを常に使える事になる(ドリアンやマイナーペンタの第1ポジションで使うのが一番楽チン)。
もう1つ、さらに妙な音使いをするにはキーの全音(2度)上のマイナーペンタトニックスケールを使うなる技もある。キーがGmならAマイナーペンタトニックスケールを使うのだ。
Gマイナーペンタトニックスケール
Aマイナーペンタトニックスケール BbがAになるのはDマイナーペンタトニックと同様で、その他にFが半音下がりEになる。これを指板表にするとこうなる。b3rdが2ndに、b7thが6thになり、Gマイナーペンタトニックスケールの第1ポジションはAマイナーペンタトニックスケールの第5ポジションになる。5フレットの位置は当たり前だがAマイナーペンタトニックの第1ポジションになる。
b7thが6thになる事で、さらにマイナー感が失われ、b3rd音も使わない事から、メジャースケールに近いものになる。だからSmoke On The Waterのように明らかにマイナー調の曲にはあまり合わないから、妙な音使いをすると、ミストーンにしか思われなくなるので、ちょっと注意が必要だ。長く伸ばす音は1stのG音か5th音のDに限定した方が良いだろう。 ちなみに上指板表のb3rdとb7thを加えるとただのGドリアンモードとなる。だったらわざわざマイナーペンタトニックスケールをずらすなんて考えずにGドリアンで弾けば良いと思うかもしれない。別にそれでも問題はないが、敢えてb3rdとb7thを使わないで、コード感を希薄にする事が目的とも言えるのだから(5度上のマイナーペンタもナチュラルマイナーだと意識しないのと同じく)、フレーズによっては5音だけで勝負するってのもアリなのだ。
同じ事が5度上のマイナーペンタトニックスケールで弾く時も言える。Cmが鳴っている時はDマイナーペンタトニックスケールを使っても良い。勿論、Cmに対する5度上を使うのも良いが、Cの5度上はGになるから、従来のGマイナーペンタトニックスケールになるので面白味はない。 Gmの部分で4度を絡めた突拍子もないフレーズを繰り出すのだから、Cmで落ち着いたフレーズに戻すってのもアドリブの構成として間違いではないだろう。むしろ最初のうちは1、2小節目のGmでDマイナーペンタ、Aマイナーペンタで4度を絡め、3小節目のCmではCマイナーペンタトニックスケール、もしくはGマイナーペンタトニックスケールを、4小節目のGmはGマイナーペンタトニックスケールの定番フレーズを弾いた方が良いかも知れない。
前話のように理論を無視したスケールを使ったり、キーに対する2度上、5度上のマイナーペンタトニックスケールを使うだけでも不思議なフレーズが作れ、さらに4度の音を積み重ねていく事で、ある意味気持ち悪いフレーズになる。常にこういう弾き方をすると、弾く方も聴く方も嫌だろうが、ここぞって時にこれらのフレーズをこなすのも一興だ。 セッションでSmoke On The Waterを演ろう!。なんてなった時、みんながみんな似たようなギターソロを奏でる中、このようなふわふわしたフレーズを繰り出せば、オンリーワンになれるってもんだ。 おどおどしていると「おやっ、あやつ、今、スケールを間違って弾いているぞ」と思われちゃう事だってあるから、勇気、自信を持って、妙な音、フレーズを使おう。とにかく着地音(伸ばす音)の時は1stか5th音、これさえ意識していればミスには聴こえない。 練習用にGm7のワンコードのmidiカラオケを用意したので、前話の内容も含め、色々なスケールでちょっとしたアウトフレーズを楽しんで頂きたい。 上のカラオケを利用したサンプルが下だ。2度上、5度上のマイナーペンタトニックスケールを利用し(特に4度の積み重ねフレーズを多用した)、後半では前話の理論無視の速弾きをしている。
|
|
|