ディミニッシュコードを理論的に説明すると退屈になる。でもしょーがない。概略だけ述べよう。まずこのコードの構成音はトニックから始まり、あとは短3度毎に積まれたものになる。
Bdim
B, D, F, Ab
Cdim
C, Eb, Gb, A
Dbdim (C#dim)
Db, E, G, Bb
ディミニッシュコードはこの3つしかない。構成音を良〜〜くご覧になって欲しい。構成音は短3度を積み重ねた4音なのだから、Ddimなら構成音はD, F, Ab, Bとなり、EdimならE, G, Bb, Dbである。要するにBdimならDdim, Fdim, Abdimは全く一緒。Bdimの構成音をトニックにしたディミニッシュコードは同じなのだ。
Bdim=Ddim=Fdim=Abdim
Cdim=Ebdim=Gbdim=Adim
Dbdim=Edim=Gdim=Bbdim
だからコードネームはC〜Bまで12個ちゃんと存在するが、その実態は3つしかないのだった。
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ディミニッシュコードの使い方、基本は2つ。
1、コードとコードの合間を埋める
2、□7(b9)コードの代理コードとして半音上のディミニッシュコードである□#dimを使う
まず1の例を挙げよう。
Cmaj7 - Dm7 - Em7 - Dm7- Cmaj7
これはキーがCのImaj7-IIm7-IIIm7-IIm7-Imaj7と言う単純なコード進行。ではディミニッシュコードを挟んでみよう。
Cmaj7 - C#dim - Dm7 - D#dim - Em7 - Edim - Dm7- Ddim - Cmaj7

基礎になるコード進行で上昇してく場合、コードとコードの合間にディミニッシュコードを埋める。たったそれだけだ。でもその理屈は上のコード進行後半の下降する時には当てはまらない。Em7からDm7に降りる際にそこに挟む込むのだから上昇と同じくD#dimの筈だが・・・。
答えは2の「□7(b9)コードの代理コードとして半音上のディミニッシュコードである□#dimを使う」、そのものなのだ。こう考えよう。
Em7 - A7 - Dm7 - G7 - Cmaj7
Em7とDm7の間にあるA7はDm7を仮のIコードとしたVコード、セカンダリードミナントモーションになっている。そしてDm7とCmaj7の間のG7は真のドミナントコードだからここはドミナントモーションになる。そして、このA7、G7のテンションノートにb9thを設ける。
Em7 - A7(b9) - Dm7 - G7(b9) - Cmaj7
A7(b9)の構成音
A, Db, E, G, Bb
Edimの構成音
E, G, Bb, Db
おやおや、A7(b9)のトニックのAを除いては構成音が一緒じゃないか。
G7(b9)の構成音
G, B, D, F, Ab
Ddimの構成音
D, F, Ab, B
おっとこれもG7(b9)のトニックのGを除けば同じ音になる。
「□7(b9)コードの代理コードとして半音上のディミニッシュコードである□#dimを使う」
これをA7(b9)に当てはめるとその代理コードはA#dimになる。だからEm7 - A#dim - Dm7と言うコード進行になるが、上の譜面のようなコードの押さえ方をすると、A#dim=Edimであり、Edimの方が自然に下降した感じになる。だからEdimが使われる。同じくG7(b9)の代理コードはG#dim、G#dim=Ddimとなり、Dm7-Ddim-Cmaj7とコード進行が成り立つのだ。
そして実は1の「コードとコードの合間を埋める」と言うのも結果的には2を意味するのだ。
Cmaj7 - C#dim - Dm7 - D#dim - Em7
これは、、、
Cmaj7 - A7 - Dm7 - B7 - Em7
になる。Dm7を仮のIとするとA7はセカンダリードミナント、Em7を仮のIとするとB7はセカンダリードミナント。さらにA7、B7にb9thのテンションを付けると、、、
Cmaj7 - A7(b9) - Dm7 - B7(b9) - Em7
そして2を当てはめると、、、
Cmaj7 - A#dim - Dm7 - Cdim - Em7
そしてA#dim=C#dim、Cdim=D#dimだから、、、
Cmaj7 - C#dim - Dm7 - D#dim - Em7
となる。要するにドミナントコード、もしくはセカンダリードミナントコードの時の代理コードとしてディミニッシュコードを使う、って事なのだ。なんとなく判ってくるでしょう?。
下手な解説書になると(主にギター解説書)、この説明がなく、単に「コードとコードの隙間を埋めましょう」としか書かれていない事がある。運良くドミナントコード(□7(b9))の代理として利用すると書かれていたとしても、何故か上昇フレーズに関してはコードとコードの合間を埋めるとだけ書かれている。不思議だ。
◇
ディミニッシュコードのフォームは次の3つだ。
今回、指板表には数字を記入していない。と言うのもディミニッシュコードには数字表記は無意味なのだ。例えば8フレット上でその2のフォームのディミニッシュコードを作ったとしよう。

この4つのドット、実は4つ全てが1st音になれちゃうのだ。だからこの8フレット上のディミニッシュコードはCdim、Ebdim、Gbdim、Adimの4つのディミニッシュコードになる(これが判らない方は、もう1度、本項を最初から読もう!)。まぁルート音をトニックとする事が多いから、一般的にはこれはGbdimと呼ばれる事が多い。
特にその1は敢えて6弦にポジションを置いているから、ここが例えば5フレットだったらAdimと呼ばれる。これを無理にGbdimとかCdimとか呼ばないだろう。
ちなみにその1とその2とその3の位置関係は下の通りだ。

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