ここでは今まで述べた6弦、5弦トニックから見るコードフォームの補足事項を書きたいと思う。
まず基本は下の指板表である。

6弦の1をCとすれば、これだけでC、Cmaj7, C7, Cm, Cm7, Cmmaj7のコードが作れる。
5弦トニックの場合は次の指板表だ。この場合も5弦の1をCとすればC、Cmaj7, C7, Cm, Cm7, Cmmaj7を作れる。

あとはそれぞれのコードの構成音を理解しよう。
□コード |
1, 3, 5 |
□maj7コード |
1, 3, 5, 7 |
□7コード |
1, 3, 5, b7 |
□mコード |
1, b3, 5 |
□mmaj7コード |
1, b3, 5, 7 |
□m7コード |
1, b3, 5, b7 |
□6や□m6コードを作りたかったら、上の指板表で6の位置を探れば良い。6thはb7thから半音下がれば良い。セブンスコードに9thと言うテンションを付けたかったら2の位置を見つける(何度も書くようにテンションノートは7を引けば上のような指板表に当てはまる数字になる)。2ndはb3thの半音下、もしくは1stであるトニックの全音上と思えばすぐに判る。
だからとにかくまずは1, b3, 3, 5, b7, 7を覚える事。いや、もっと単純に1, 3, 5, b7を知っていれば良い。b3は3の半音下、7はb7の半音上、もしくは1の半音下と考えれば良いからだ。例えばオレは6弦にトニックがある場合は、、、

この上の指板表の□7コードが基本になっていて(当たり前の事かもしれないが、6弦と1弦は同じ配列だから1弦の1は気にしなくて良い)、ここから他のコードを考える。考えると言うより、見つけ出すって書いた方が正しいかもしれない。
□7コードに9thを付けたい。そういう時は9から7を引くと2になる。2は1の全音上だから1から2フレット上げれば良い。

一般に多くのコードは4音を出すのでこのフォームでは6弦の1は外す
9thじゃなくb9thもよく使うから覚えたい。上から1弦で押さえている分を半音下げれば良い。もしくは□7のフォームを基本に、1弦の1から半音上げればb2になるから□7(b9)を押さえられる。

次に□7コードに13thを付けて□7(13)にしたい。同じく13から7を引いて6、だから6を探す。6は5の全音上だから、5からフレット2つ分右にずれせば□7(13)になる。

13thでなくb13th、□7(b13)を押さえたかったら、b13thってのは13thの半音下、もしくは5thの半音上と考えるだけで良い。

13thの他に9thも入れちゃって□7(9, 13)にしたかったらどうするか?。9thから7を引くと2、□7(13)のフォームからさらに2ndを押さえれば良いのだから、6弦と1弦は同じ配列、だから1弦の1から全音、フレットで2つ分上がれば2ndになる。

□7(#9, b13)と□7(b9, b13)はセットで使われる事が多く、これも今までと同じ手法でテンションノートを見つければすぐに押さえられるでしょう?。
もし□7、□7(9)、□7(b9)、□7(13)、□7(b13)、□7(9, 13)、□7(b9, b13)、□7(#9, b13)、これをフォームとして指に記憶させたらどれだけの労力がいると思う?。無駄な記憶なんてする必要が無い。□7コードだけを知っていれば済む問題でしょう?。□7コードを含むこの8つのコードは□7コードだけをフォームとして押さえる事が出来たら、あとは応用でしかないのだから。
□7、□7(13)、□7(b13)は6弦の1を押さえずに1弦の1を押さえる事で、高音重視のサウンドになってフュージョンやポップスでカッティングとかに利用出来るが、これも敢えて覚える必要は無い。しつこい程に何度も書くが、6弦と1弦は同じ配列なのだから。
マイナーコードも3rdを半音下げるに過ぎない。例えば6弦にトニックのあるフォームで定番の□7(9)コードがある。これを数字と共に理解していると□m7(9)もすぐに押さえられる。
さて、もう1度5弦にトニックのある指板表を見てみよう。

これだけで色々とコードを作れるが、5弦トニックのフォームは1の音から左側の音を拾ってコードを作る事も多い。

普通に□7を押さえると次のようになる。

しかし、これ以上に良く使われるフォームが1の左側を使う2つのフォーム。
5弦にトニックを持つフォームを作る場合は、この2つの□7コードも基本フォームと考えた方が良い。ここから超重要なコードである□7(9)や□m7(9)が作られる(下のフォームの場合、1弦の5も押さえる事もあり、その際には5弦の1は押さえない事も多い)。
さらにジミヘンコードである□7(#9)にこれとセットで使われる事が多い□7(b9)も2弦の2を前後させるだけで作れてしまう。
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#9thは#2ndであり、#2ndはb3rdと同じ音
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ここまで作れちゃったら□(9, 13)も作れるでしょう。

では□6(9)なんてコードを作ってみよう。
唯一、判り辛いコードフォームに□7(13)、□7(b13)がある。
これは5弦の1を押さえないフォームで、一瞬押さえようと思うと迷ってしまう事がある。でも□6(9)コードと比べてみて欲しい。左右対称の形をしているがお判りか?。□6(9)を左に裏返すと□7(13)になり、13th、つまり6を半音下げてb6にすれば□(b13)になるのだ。
最後にもう1度6弦トニックの指板表を見よう。

この6弦トニックのフォームは1オクターブ上、主に1〜4弦を使うコードも応用として考えられる。

上を見たら、すぐに□maj7、□7コード、□6、はたまた□m7コードが見えてくるでしょう?。
上の3つのコードの3rdを半音下げればそれぞれ□mmaj7、□m7、□m6になる。
このフォームで良く使われるのが□m7(11)である。

□m7コードと□m7(11)はコレもありだ。
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さぁ、どうだったろう?。自負するわけじゃないが、今まで解説をじっくりと読んで頂ければ、コードブックなんて必要ないのではなかろうか?。自分で良く使うコードをエクセル等で指板表を作り、それを印刷して、コードブックを作るだけで、ほとんどの曲を賄えるのではなかろうか?。
コードはフォームだけで覚えるのでなく、自分が今どの音を押さえているか、理想はAだのBだのCと言った本来の音を覚えるのが良いが、数字で覚えた方が手っ取り早い。そして指板上に数字を置く事が出来ればテンションコードだって怖くない筈だ。
そしてこのように数字でコードを覚える事によりメリットはもう1つ。それはアドリブプレイに活きるのである。いわゆるコードトーン弾きだ。鳴っているコードにマッチしたリードプレイする事により、フレーズは安定するし、色々とテンションノートを付ける事で、オンリーワンのプレイも出来る。
余程記憶力が優れているのなら何も言わないが、とにかくフォームだけでコードを覚えるなんて愚の骨頂。こういう人に限り、今自分が押さえているコードに対して、何の知識もない。
例えばだ、アレンジの面において、軽いサウンドを目指したいなんて時がある。ルート音にトニックが来るとベースと同じ音を弾く事になるから無駄になる。その時に「ちょっとさぁ、ギターのコード、ルートをトニックにしないでくれる?」なんて言われた時、コードをフォームで覚えている人は、対応出来ないでしょう?。
反対に、音を厚くしたいから、「ギターのバッキングは常にルートノートをトニックにしてくれ」とリクエストがあっても同じ事。市販のコードブックってのは全てのコード、フォームパターンを網羅している訳じゃない。自分でコードを考える必要も出てきちゃう。
もし、絶対音感を持っておらず、譜面も読めない。そんな貴方、スタジオミュージシャンを目指すのだったら、フォームでコードを覚えるなんて事はしない方が良い。そういう人は、スタジオミュージシャンを目指す以前に、周囲から、丸で使いものにならないギタリストとレッテルを貼られるのだった。
さて、これまでに詳しく説明していないのはディミニッシュコードとオーギュメントコードの2つだけ。これに関してはいずれコード進行の解説で述べて行きたい。
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