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リニューアルレッスン |
2007.09.30 |
新72話から新75話までを踏まえて、判り易いコードフォーム解説をしてみよう。そこで皆が絶対に知っているであろう、ザザン・オールスターズの愛しのエリー、これを題材とする。 愛しのエリー、キーはDならしい。まずキーがDのダイアトニックコードを表にする。
ではコード進行を示そう(一枠1小節とする)。
Aメロ
さぁ、まずこれを全部に7thを付けてみよう。
Aメロ
つまり、DコードとGコードを□maj7にしただけである。これだけでJPOPがフュージョンっぽくなるのが面白い。 では次にこれをローマ数字に変えてみよう。
Aメロ
ここで問題になるのが3小節目のI7になるD7コードと6小節目の2つ目のコード、IV#m7-5になるG#m7-5だ。この2つはキーがDのダイアトニックコードに入っていない。 今後のネタで詳しく説明するが、前者はセカンダリードミナントコード、後者はサブドミナントコードの代用として使われているのだ。 まずドミナントコードと言うのは簡単に説明すると「終了の一歩手前のコード」になる。つまりV-Iと言う音楽の中で定番中の定番、Imaj7で終了になる前の最後の盛り上がりがV7となる。だからキーがDの場合はA7がドミナントコードで、5小節目から6小節目、7小節目から8小節目にA7 〜 Dmaj7と言う進行がある。このドミナントコードからトニックコードに行く進行を「ドミナントモーション」と言う。 そしてこのドミナントモーションは曲中出てくるどのコードにも使えるのである(例外はVIIm7-5)。例えばだ、IIIm7であるF#m7、これを仮のIコードにしちゃう。となるとF#7に対するV(ドミナントコード)はDb7だ。だからDmaj7 - F#m7と言うコード進行があったら、Dmaj7 - Db7 - F#m7と言ったようにF#m7の前にDb7を挟む事が出来ちゃう。そしてこの仮のVであるDb7をセカンダリードミナントと言うのだ。 いとしのエリーの場合、4小節目のIVmaj7、これを仮のIコードとして、これのセカンダリードミナントコードがD7になる。だからD7 - Gmaj7と言うコード進行が成立するのだ。 続いて、IV#m7-5、上述した通り、これはサブドミナントコードとして使われる。サブドミナントコードとはその名の通り、ドミナントコードのサブとしての機能があり、メジャーキーの場合は一般にはIVmaj7がそれに該当し、ドミナントコードへ進む過程のコードになったり、ドミナントコード同様に終結するトニックコードへ進む性質を持っている。 そしてメジャーキーの場合、サブドミナントコードはIVmaj7の他にIIm7、IV7、IV#m7-5等が使えるのだ。いとしのエリーのその部分を見ると、 G#m7-5 - Gmaj7 - A7 - Dmaj7となっており、Gmaj7はサブドミナントコード、A7はドミナントコード、Dmaj7はトニックコードだから、サブドミナントコードからドミナントコードへ進む、極々基本的なコード進行なのだ。 普通のミュージシャンだったら、こういうコード進行があった場合、G#m7-5は使わずに、E7(9)やBm7を使う(皆さんも上のコード進行でG#m7-5をE7(9)やBm7を使ってみるとこれもしっくり来るのが判ると思う)。いとしのエリーの凄いところはここにG#m7-5を使ったところなのだ。これ以上ない、練りに練られた素晴らしいコードなのだった。 ではまずは実際にいとしのエリーを弾いてみよう。色々なコードフォームがあるが、一応下でやってみよう。
今回はテンションノートの勉強なので幾つかのコードにテンションノートを乗せてみよう。
3小節目のD7をD7(9)に・・・
続いてBメロ部分にも切り込んでいこう。
Bメロ
Bメロ
ローマ字に直すと一箇所、Dのダイアトニックコードに入っていないコードがある。それが6小節目のB7だ。ここは本来はBm7なのだ。これはどうしてだろうか?。 まず曲の終結のコード進行のパターンとしてII-V-Iと言うのがあるってのはすでに本レッスンをお読みの方はわかっておられるだろう(いずれもう1度II-Vに関しては書くつもり)。でも上はII-V-Iではなく、IV-V-Iになっている。実はメジャーキーがコード進行である時のルールとして、II-V-IはIV-V-Iでも良いって事になっているのだ。 つまり、いとしのエリーの、Em7 - A7 - Dmaj7ってコード進行は、Gmaj7 - A7 - Dmaj7(本来はG6 - A7 - Dmaj7)でも良いとされている。6小節目のB7ってのはEm7に対するセカンダリードミナントになっているのだ。B7 - Em7 - Am7 - Dmaj7と通常行くところを、Em7の代わりにGmaj7を使っているだけなのだ(厳密に言えばここはGmaj7でなくG6になる)。 実はAメロからBメロに移る部分、「エリー、my love so sweet〜〜ジャラララララ、笑ってもっとbaby〜、素敵に on my mind・・・」って部分のジャララララ、ここはB7が弾かれ、B7 - Em7と言う基本ルールに従ったコード進行で、通常のセカンダリードミナントなのである。反対にBメロの先頭のEm7ってのはGmaj7やG6を弾いてもなんら問題は無い。 ではこのBメロ、幾つかのコードをテンションを乗せてみよう。幾つかは代理コードや裏コードを使っているので、オリジナルの響きとは若干異なる。
Bメロ
13thとb13th、9th、この辺のテンションノートを□7コード部分で常に付加するようにすればどんな曲でもジャジーになってくれる。増してやこの曲はバラードだからして、ジャズって言っても良いくらいなアレンジになっていると思う。 ここで簡単なルールをお教えしよう。まず、自分でテンションを付けてみて、気持ち悪いと思ったら、付けない方が良い。上で言えばF#m7とBm7、オレはこれにテンションを乗せたり、他のコードで代用するとどうも気持ち悪い(Bm7は押さえ方によってはBm7(11)やC6(9)なんて代理コードを使うと非常に面白い効果があるにはある)。だからそういう時は無理にテンションノートを付ける必要は無い。結局、この手のアレンジには正解ってのもがなく、各自のセンスでしかないのだから。 それと□7コードの場合、次に来るコードがメジャーコードだったら13thを、マイナーコードだったらb13thを乗せるとしっくりする。これは音楽理論的にもそうする方が良いとされている。但し、これも100%そうしなくちゃならない訳じゃなく、Aメロの7〜8小節目のA7(13) - Dma7(9)は、A7(13) - A7(b13) - Dmaj7(9)としてもなんら間違いではない。そうする事によりトップノートがF#, F, Eと半音ずつ落ちて行き、これぞ終結ってなサウンドになってくれる。
□7(#9)はジミヘンコードと呼ばれるが、コード進行において、ここで決めたい!、なんて時は常に□7(b9)とペアで使うのが良い。同じくこれにb13thが付加した□7(#9, b13)と□7(b9, b13)も同じくペアで使うとぐっとジャジーになっていく。 モードや一発コード物を除くと、一般的に□7と言うコードはドミナントコード、もしくはセカンダリドミナントコードだ。と言う事はV-Iと言うトニックコード(もしくは仮のトニックコード)に向かう際に□7は使われる。そして基本ルールは今上述した通りの事をやっていればおかしくはならない。□7(#9, b13)と言ったように2つのテンションノートを含む複雑なコードでも、単にV7コードに色を付けているだけなのだ。 JPOPでも、今回のようにアレンジし、バンドだったらヴォーカルを抜いてインストにし、ジャズやジェフ・ベック風に演奏したり、個人やユニットならアコースティックギターやピアノで弾き語りの際にこれらのコードを使えば、きっと拍手喝さいであろう!。 それと今回、セカンダリー・ドミナントや代理コードを述べる手順で、コード進行をローマ数字にあてはめてみたが、これをする事で、キーを変えるのも簡単になる。弾き語りをする時に、自分の声が合っていなかったら、キーをDからCにしたりEにしたりしなくちゃならない。その時に1つ1つのコードを譜面を見ながら変換するよりも、このようにローマ数字にしちゃえば楽ちんでしょう?。
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