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リニューアルレッスン |
2006.12.1 |
モードレッスン、最後は実践と行こう。まずは次のmidiデータを聴いて頂こう。 コードはDm7(9)とCmaj7(9)が4小節毎に繰り返されている。ここで考えて欲しい。この曲に合うモードは何だろうか?。この場合、コードが判っているのだから、それから判断すれば良い。ダイアトニックコードを思い浮かべ、□maj7に対するモードは何か?。□m7に対するモードはどれか、それを探せば良いのだ。 □maj7で使われるモードは2種類。イオニアンとリディアンである。よってここはCイオニアンかFイオニアンでしかない。そして□m7の場合は3つ、ドリアン、フリジアン、エオリアンだ。 考え方は色々とあるが、□m7の多くはドリアンが使われる事が多いと言う事実から考えていくと、これはキーをCとしたものであると判断する。よってCmaj7ではイオニアン、Dm7ではドリアンを使うのが最も一般的だ。そしてこの2つのコードはキーをCとしたダイアトニックコードの1番目と2番目になり、新60話で述べた通り、コードが変化してもキーは変わらない(転調されない)。 よってこれは厳密に言うとモード曲ではなく、キーがCの調性音楽となる。
要するにこれはモード云々でなく、調性音楽として弾いているに過ぎない。ただコード進行が明確であるように、Dm7部分ではDマイナーペンタトニックスケールを弾き、Cmaj7部分と若干異なるフレーズになるように工夫している。 とは言え、ここが理論と実践と異なる点。キーがCでも、始まりはDm7だからこれはDドリアンを利用するモード曲であり(マイナーペンタトニックスケールの全ての音はドリアンに含まれる)、Cmaj7では同じ音の配列だが、イオニアンが使われると表現される事も多々あるのだった。 次のmidiはCmaj7(9)の代わりにC7(9)にしたものだ。よってコード進行はC7(9) - Dm7(9)となる。 □7コードはダイアトニックコードの中に1つしか存在せず、モードは常にミクソリディアンだ。よってC7(9)部分ではCミクソリディアンが使われる。そしてDm7はその1と同じくドリアンで弾いている。ここでCミクソリディアンとDドリアンの音を考えよう。
Cミクソリディアン
Dドリアン 違いはBbとBである。この1音が異なるだけで(コードの違いもあるが)その1とは若干異なるフレーズになってくる。
しかし異なる考え方もある。コードはC7(9)とDm7(9)である。C7は上述した通り、ダイアトニックコードの5番目でしかない。この時のキーは何か?、Fである。そしてFのダイアトニックコードに対してDm7は?、そう考えると存在するのだ。6番目のコードがDm7となり、Dエオリアンが使われる。 となるとこの曲は2つのコードをFメジャースケールが使え、言い換えればキーがFの調性音楽を弾いている事になるのだった。反対に、その1の音源、これは調性音楽と書いたが、Cmaj7の部分をイオニアンでなく、リディアンで弾けばCmaj7でのキーはGになり、Dm7でのキーはC、しっかりと転調され、モード流の演奏が出来てしまう。 次は如何にもモードらしいコード進行を作ってみた。 これはCmaj7(9)とDbmaj7(9)と言う半音しか離れていないコードが繰り返される。こういうコードの場合、覚えておこう、低いコードであるCmaj7部分ではイオニアン、高いコードであるDbmaj7ではリディアンが使われるのだ。 つまりCmaj7部分はそのままキーがCのメジャースケールとなり、Dbmaj7ではキーがAのメジャースケールを弾く事になる。
すぐに気付かれると思うが、これはスパニッシュサウンドなのだ。これは7th系コードでなく、普通のトライアドコードとしてC〜Dbでも問題はない。フラメンコ等はギターの構造を利用して、開放弦も使ったE〜Fで弾かれる事が多い(厳密にはF部分はFmaj7(#11))。 このようなメジャーコードの半音進行の場合、どちらもイオニアンを、またはリディアンを使っても良いが、イオニアンとリディアンを使い分ける、これが定番になっているのだった。 もう1つ音源を聴いて頂こう。
じっくり聴くと、音はほとんど同じなのにその前の音源よりも若干暗いイメージを持たれると思う。実はこちらの音源ではCmaj7ではイオニアン、Dbmaj7ではリディアンをと言った考え方をしていない。両方のコードともフリジアンを使用しているのだ。 説明しよう!。メジャースケールに対応したダイアトニックコードがある、これは何度も説明している。
Cイオニアンのダイアトニックコード そしてメジャースケールとはモードで表現すればイオニアンだ。となれば、他のモードでもダイアトニックコードが存在する事が判っている。一般的なのがエオリアンのダイアトニックコードだ。これはエオリアンは言い換えるとナチュラルマイナースケールだから、それのダイアトニックコードと同じ(ダイアトニックコードの詳細はコチラ)。
Cエオリアンのダイアトニックコード これはモードの考え方と同じで、メジャーキーのダイアトニックコードの6番目からスタートしたコードになっている。よってフリジアンの場合は、メジャースケールの3番目からスタートすればフリジアンのダイアトニックコードになる。
Cフリジアンのダイアトニックコード そして第1音のCm7、これはナチュラルマイナースケールのダイアトニックコードで言えば5番目に該当し、5番目のダイアトニックコードは□7になる事はすでにお伝えしている。よってここはC7でもいい訳だ。さらにこの場合、Cmaj7でも良いとされている。 よってCmaj7〜Dbmaj7と言うコード進行はCイオニアン〜Dbリディアンと言う流れでなく、Cフリジアンだけで弾き切っても良い。ここでDbリディアンとCフリジアンを比較してみよう。
Dbリディアン
Cフリジアン おやおや、スタート位置が違うだけで全く同じ音列である事に気付いちゃう。そう、DbリディアンとCフリジアンは全く同じだから少なくともDbmaj7の部分はCフリジアンである考えて演奏しても良い。 問題はCmaj7部分。Cmaj7はメジャー系コードであるから3rd音はフラットしない。Cmaj7の構成音はC, E, G, B、3rd音はフラットされたEbでなくEなのだ。しかも7th音もフラットしないナチュラルな7th音が使われる。よってCフリジアンで弾くと若干アウト感が出てきてしまう。そこでCフリジアンを改良しちゃう。
改良型Cフリジアン(Cフリジアンドミナントのb7thを7thにしたスケール) これでCmaj7部分でも全く音が外れるに使えてしまうのだった。Cmaj7をC7にすれば、そのままCフリジアンドミナントが使えるし、さらに7thを置かないトライアドであるCコードを使えば両方のスケールを使える。 結果、Cmaj7部分は3rdと7thをナチュラルにした改良型フリジアンを使い、Dbmaj7ではDbリディアンと同じ音列となるCフリジアンを使うと、よりスパニッシュ色が強くなる。どちらを使うかは利用者の自由。メジャー感にスパニッシュエッセンスが欲しいだけだったら、本来の通り、Cmaj7ではCイオニアン、Dbmaj7ではDbリディアンを使い、完全にスパニッシュなフレーズを目指すのだったらフリジアン中心でフレーズを組み立てると良いだろう。 本サイトで初めてモードに取り組んだ方は、最後のスパニッシュ系のモードを流暢に弾くには時間が掛かるかもしれない。でも今は無理でも半年後、1年後には弾けるように努力して頂きたい。そうすれば来年の今頃、モードなんてへっちゃら!、と鼻高々で自慢出来るのだ。
さて、このモードその3、解釈を変えるとジョン・コルトレーンのImpressionsと言うモードの定番中の定番と同じなる。この曲はDm7(9) x 8 - Ebm7(9) x 4 - Dm7 x 4と言うコード進行だ。判り易くする為にちょっと移調してAm7から始めるとAm7 x 8 - Dbmaj7 x 4 - Am7 x 4となる。 このAm7の構成音とCmaj7の構成音を考えよう。
Am7の構成音
Cmaj7の構成音 ではAm7に9thコードを加えると・・・。
Am7(9)の構成音 お判りの通り、Am7(9)のトニック音のAを省略するとCmaj7と同じ構成音になる。つまりCmaj7とAm7(9)は同じ押さえ方をしても構わないのだ。 当然、Dbmaj7も同じ考えをすればBbm7(9)になる。
Dbmja7の構成音
Bbm7(9)の構成音 すると、モードその3のコード進行はCmaj7(9)とDbmaj7(9)なので(9th部分はテンションなので無視して良いし、Cmaj7(9)の9thはD音、これはAからの11thに当たる音なのでAm7(9, 11)と言うコードとなる)、言い換えるとAm7(9)とBbm7(9)と解釈してもいい。 Am7(9)ではAドリアン、Bbm7(9)ではBbドリアンを使えば、先程のスパニッシュなイメージが全く消え、爽快なマイナー感のある楽曲に生まれ変わるのだった。 勿論、モードその3のmidiデータをバックにAドリアン、Bbドリアンを使ってもおかしくなる。このmidiはベースラインはCmaj7用にC、Dbmaj7用にDb中心のフレーズが使われている訳で、ベースラインそのものをAドリアン、Bbドリアン中心で作ったり、コードトーンもルートにトニック音を配置したりしないとならない。勿論そう言う事を一切せずに、むしろおかしくなるのを期待してアウト感のあるフレーズを組み立てる事は出来るが・・・。
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