モード理論、いかがであったろうか?。とにかく次の通り考えてしまえば、モードなんて怖くはない。
モードはメジャースケールが基本となっていて、一般的な7つのモード、イオニアン(アイオニアン)、ドリアン、フリジアン、リディアン、ミクソリディアン、エオリアン、ロクリアンの正体はどれもメジャースケールでしかない。メジャースケールで作られたメロディにマッチしたダイアトニックコードを結び付けた時にモード名が決定される。
コードにF7が鳴っていた時としよう。□7コードはダイアトニックコード上には1つしか存在せず、それは5番目に位置する。よってF7で弾くFミクソリディアンはBbメジャースケールだ。しかしとっさに各種モードをメジャースケールに変換する作業、面倒ではなかろうか?。だったら、モードはスケールなのだから、スケールの1つとして覚えてしまった方がいい事もある。
まずモードはメジャー系スケールとマイナー系スケールに分かれる。これを理解しよう。
メジャー系モード
イオニアン(エイオニアン)、リディアン、ミクソリディアン
マイナー系モード
ドリアン、フリジアン、エオリアン、ロクリアン
メジャーとマイナーの違い、お判りか?。ダイアトニックコードのメジャー系に結び付いているからメジャースケール、ダイアトニックコードのマイナー系に結び付いているからマイナースケール。スケールもコードも一緒だ。3rd音がナチュラルかフラットなのかで決定される。
ここで基本となるのが、メジャー系ではイオニアン、マイナー系ではエオリアンであろう。どちらにも別名が存在する。前者はメジャースケール、後者はナチュラルマイナースケールだ。本レッスンをお読みの読者はフュージョンやジャズ系の音楽よりもロック系の音楽が専門だろう。となると、モード云々以前にメジャースケールとナチュラルマイナースケールはペンタトニックスケールの次に覚えなくてはならないスケールだろう。
そこでまずは基本のメジャースケール、ナチュラルマイナースケールを再検証したい。
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6弦にトニック(1st音)のあるメジャースケール1オクターブ分
キーがGであれば6弦3フレットがトニックだ

4弦にトニック(1st音)のあるメジャースケール1オクターブ分
キーがGであれば4弦5フレットがトニックだ
※これは6弦トニックのオクターブ上の関係

5弦にトニック(1st音)のあるメジャースケール1オクターブ分
キーがGであれば5弦10フレットがトニックだ

3弦にトニック(1st音)のあるメジャースケール1オクターブ分
キーがGであれば4弦0フレット、12フレットがトニックだ
5弦トニックのオクターブ上の関係

これがメジャースケール、このスケールでCmaj7がコードとして利用されていたらイオニアンモードなのだ。そして他のメジャー系のモードであるリディアンとミクソリディアンはこれを基に考えると判り易い。
リディアンはイオニアンの第4音が半音上がる
ミクソリディアンはイオニアンの第7音が半音下げる
たったこれだけだ。
イオニアン(メジャースケール)
1st, 2nd, 3rd, 4th, 5th, 6th, 7th
リディアン
1st, 2nd, 3rd, #4th, 5th, 6th, 7th
ミクソリディアン
1st, 2nd, 3rd, 4th, 5th, 6th, b7th
イオニアン |
→ |
リディアン |
 |
→ |
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イオニアン |
→ |
リディアン |
 |
→ |
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イオニアン |
→ |
リディアン |
 |
→ |
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イオニアン |
→ |
リディアン |
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→ |
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続いてミクソリディアンを示そう。
イオニアン |
→ |
ミクソリディアン |
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→ |
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イオニアン |
→ |
ミクソリディアン |
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→ |
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イオニアン |
→ |
ミクソリディアン |
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→ |
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イオニアン |
→ |
ミクソリディアン |
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→ |
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このようにイオニアン、リディアン、ミクソリディアンを異なるスケールとして別々に覚えるよりも、基本であるイオニアン(メジャースケール)だけ覚えて、リディアンは第4音をシャープさせる、ミクソリディアンは第7音をフラットさせるとだけ記憶していれば3つを簡単に利用する事が出来てしまう。
◇
マイナー系モードもイオニアン(メジャースケール)から導き出しても良いが、我々が慣れ親しんでいるナチュラルマイナースケール(エオリアン)を基本にした方がぐっと身近になって来る筈だ。
エオリアン(ナチュラルマイナー)の構成音は、1st, 2nd, b3rd, 4th, 5th, b6th, b7thである。そしてドリアンはエオリアンの第6音がシャープし、ナチュラルの6thに、フリジアンはエオリアンの2ndがフラットしb2ndに、ロクリアンはエオリアンの2ndと5thの2つがフラットし、それぞれb2nd、b5thになる(フリジアンの5thがb5thになると考えても良い)。まとめよう。
エオリアン(ナチュラルマイナー)
1st, 2nd, b3rd, 4th, 5th, b6th, b7th
ドリアン
1st, 2nd, b3rd, 4th, 5th, 6th, b7th
フリジアン
1st, b2nd, b3rd, 4th, 5th, b6th, b7th
ロクリアン
1st, b2nd, b3rd, 4th, b5th, b6th, b7th
エオリアン |
→ |
ドリアン |
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→ |
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エオリアン |
→ |
ドリアン |
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→ |
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エオリアン |
→ |
ドリアン |
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→ |
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エオリアン |
→ |
ドリアン |
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→ |
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次にフリジアンだ。
エオリアン |
→ |
フリジアン |
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→ |
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エオリアン |
→ |
フリジアン |
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→ |
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エオリアン |
→ |
フリジアン |
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→ |
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エオリアン |
→ |
フリジアン |
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→ |
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最後にロクリアンを比較しよう。
エオリアン |
→ |
ロクリアン |
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→ |
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エオリアン |
→ |
ロクリアン |
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→ |
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エオリアン |
→ |
ロクリアン |
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→ |
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エオリアン |
→ |
ロクリアン |
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→ |
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指板表ばかりを見せられた皆さん、「なんだかんだと結局は暗記しなくちゃならないんじゃないか」とため息を吐かれているかもしれない。でもその通りなのだ。ギタリスト、いや、他の楽器も含め、ミュージシャン全てに最も必要なのは記憶力である。
若い方は覚えて当たり前、オレと同世代、もしくは上の方達は、悪口にも聞こえるかもしれないが、ボケ防止にきっと役立つと思う。色々なスケールを覚え、それを使いこなし、さらに「大人のDSトレーニング」にでも励めば脳年齢は相当に若返る筈だ。
とにかくまずはメジャースケールとナチュラルマイナースケールを完全に記憶し、指に馴染ませる事。どんなキーでもすらすらと弾けるようにならなくてはならない。これは「弾けるようになるのが望ましい」ではなく「絶対に弾けるようにならなくちゃいけない」のである。
メジャースケールとナチュラルマイナースケールはどんなキーでも弾けて当然。そうでなくては自分の事を「ギタリストである」、なんて名乗っちゃならない。
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