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リニューアルレッスン |
2006.11.29 |
ギターな日々の325話で、モード理論について書いた。せっかくなのでレッスンと銘打っている本カテゴリでもモード理論について述べていこう。とは言え、特に新しい見解を示す訳でなく、ギターな日々の325話と類似する内容になる事をご了承頂きたい。 まず、多くのスケール本に掲載されているようなモードの基本中の基本事項について書いていこう。 モードとは何だろう?。スケール?。簡略すると「スケールを基にメロディを作り、それにコードを考慮したもの」となる。恐らくモードを使った事の無い方はこれではチンプンカンプンに違いない。しかし、モードを解説している多く書籍は、このような説明しかされていないのが現実だ。執筆に当たる著者そのものがモードの概念をあまり理解していないのでは?、と邪推してしまう程だ。 まず1つ。「スケールを基に・・・」と表現した通り、モードはスケールと考えて良い。実は我々が慣れ親しんでいるメジャースケールやナチュラルマイナースケールはチャーチモードと言われる7つのモードのうちの2つなのだ。
「メジャースケール=アイオニアン(イオニアン)モード」
現在、ポピュラー音楽で使われているモードはチャーチモードの7つ。これはメジャースケールの7つの音、モードとはその各音をトニックとした7つのスケールを指すのだ。さらに加えるとリニューアルレッスン50話に書いた通り、メジャースケールに対応するコードをダイアトニックコードと言うが、それぞれのモードはそれぞれのダイアトニックコードに結び付く。下はCメジャースケール、それのダイアトニックコードを基に7つのモードを表にしたものだ。
このように1つのキーに対してメジャースケールが7音、ダイアトニックコードが7つあるのと同じく、7種類のスケールが存在する。これがモードだ。 しかし良く見てみると、7種類のスケールとは言ってもそれに使われている音はCメジャースケールである。単にCから始まるか、Dから始まるか、Eから始まるか・・・でしかない。となるとだ。オレも昔はこんな疑問が浮かんだ。「どんなモードを使おうが結局は同じ音を使うのだから、無意味ではないか?」、きっとこういう疑問を持つ読者も多いだろう。 なのに多くのスケール本は解説をここで終了し、7つのモードに対し、後は4小節〜8小節くらいのサンプルフレーズが示されているだけに過ぎない。これでモードを理解しろなんて、無理に決まっている。 ではどうモードを理解するか?。答えは簡単。「モードはメジャースケールでしかない」、そう考えて欲しい。キーがCならCメジャースケールだ。これは上の各表を見て頂ければ判るだろう。ドリアンだのミクソリディアンだの考えずに、Cメジャースケールでメロディを考えてみる。 マイルス・デイヴィスの楽曲でMilestonesと言うのがある(ロックっぽく演奏したものはコチラ)。これのAメロ部分を譜面にしてみよう。原曲はFメジャースケールだが、判りやすくCメジャースケールに転調している。
メロディそのものもコードになっているが、それぞれのトップノートをメロディと考えて頂く。単に「ドレミレドレミレドレミドレ」なのだ。これにコードがCmaj7が結び付く。Cイオニアンモードと言う。では次のTAB譜に示されているコードをCmaj7の代わりに下の練習用midiを使って弾いて欲しい。
合計7つのコード、中にはちょっと合わないような感覚のあるコードもあるが、上以外の押さえ方で、ヴォイシングを変更してやると(トップノートやルートノートを変えたりして弾くと)おおむね問題はない。 実はこの時点で貴方は全てのモードを使っている事になる。「えっ?、このメロディはCイオニアンモード、もしくはCメジャースケールではないのか?」、そういう声がありそうだが、上述した「それぞれのモードはそれぞれのダイアトニックコードに結び付く」と言う言葉を思い出して欲しい。 1つのキー(今回はC)に対して7つのモードはキーに対するメジャースケールでしかなく、その時使われるダイアトニックコードによって名称だけが変化するのである。よって「ドレミレドレミレドレミドレ」と言うCメジャースケールのフレーズはコードが、、、
Cmaj7の時はCイオニアンモード(Cメジャースケール) と言われるのだ。そう、単に「・・・モード」と言われるだけ。表現上の問題と言っても差し支えない。だから例えば「ドレミレドレミレドレミドレ」のフレーズのバックでEm7が鳴っているのに「オレは今、Dドリアンモード」を使っているなる表現は間違いだ。Em7が鳴っていたらあくまでもEフリジアンモード、もしくはモードの概念を捨ててCメジャースケールと言わなくてはならない。
Milestones、原曲のAメロはFメジャースケールが使われている。Cメジャースケールで「ドレミレドレミレドレミドレ」だから実際には「ファソラソファソラソファソラファソ」となる。しつこいがこれはFメジャースケールである。そして原曲はそこでGm7を鳴らしている。Fがキーのダイアトニックコードを考えるとGm7は2番目に位置し、2番目のモードはドリアン、即ち、この「ファソラソファソラソファソラファソ」はFメジャースケールでありながらも「Gドリアンモード」と呼ばれるのだ。 ギターな日々354話で演奏した、Milestonesのピアノによるバッキング、コードはGm7(9)/Fとも取れるし、Gm7(9)はトニックのG音を排除するとBbmaj7と同じ構成になるからBbmaj7/Fだと言ってもいい。その際、前者は「Gドリアンを使っている」となり、後者ではBbはFメジャースケールの4番目の音だから「Bbリディアンモードを使っている」となり、どちらも表現としては間違いではない。 またオレはこのMilestones、Aメロ部分でC7を鳴らしても良いと思っていて(勿論C7にする事でベースの弾くリフも変更する必要はある)、そうなるとFメジャースケールのC音(もしくはFメジャースケールのダイアトニックコードのC7)は5番目だからして「ファソラソファソラソファソラファソ」はCミクソリディアンモードとなるのだった。 とにかくモードでフレーズを作る際、ドリアンだのミクソリディアンだの考える必要はなく、キーに対するメジャースケールを使えば良く、仮にバンドで演奏する時にメンバーに曲の構成を伝える際に、ベースやコードを奏でるキーボードに対し、ベースラインやコードを意図したもので弾いてほしいから「xxモードを使う」と表現するだけのお話なのであった。 「モードはコードを考える必要はない、コード概念を無くした理論だ」、この言葉を難しく考えないで、「メジャースケールでのメロディ優先、後にそれにマッチするダイアトニックコードのいずれかを付け、表現としてxxモードが用いられる」と思えばいい。 今までモードを理解出来ず、拒否していた方も、これでおおよその見当は付いたろうし、単なるメジャースケールであると判った今、モードがとっても身近なものになったのではなかろうか?。
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