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リニューアルレッスン |
2006.3.20 |
「こつ」とは言いつつも、これを読んだら「あ〜ら不思議、ホントにアドリブが弾けるようになったざます!」ってな具合にはならないので悪しからず。アドリブに当たってのちょっとしたヒントと思って読んで頂きたい。 さて、僭越(せんえつ)ながら今までのレッスンを踏まえて実際にギターを弾いてみたのでご紹介したい。童謡「あんたがたどこさ〜」のフレーズも盛り込んでいて、これこそがスケールの面白さだ。 カラオケは9話での練習用midi音源のキーをDmからAmにしたものを利用している。 ギターは枯れた音が特徴でこの手の音楽には適している54年コピーのフェンダージャパンストラトキャスターのリア&センターピックアップを利用し、ビンテージの真空管アンプで適度に歪ませたブルース系の音質にしている。オレは形から入る人間なので勿論ブルースマンを気取ってピックを使わずに指弾きでいる。
その1はトリル以外では一切速弾きをせずに、チョーキングフレーズ中心の構成にしている。楽器の中でエレキギターの一番の特徴はこのチョーキングだ。使わない手は無い。今回はこれでもかってくらいに使っている。 下図は前話までに学んでいるマイナーペンタトニックスケールの基本ポジションを拡張した指板表。赤文字はチョーキングする部分、そして矢印の音がチョーキングの最終音である。
2弦3フレットの4th音と1弦3フレットのb7th音、これもチョーキングは可能だが、1、2弦の弦のテンションは結構きつく、1音チョーキングであっても人差し指で行うのはほぼ不可能で、薬指を使わざるを得ない。そうなるとポジション的には第4ポジションでの指使いになるので、ここでは排除した。 また5フレットに3、4、5弦、それぞれ上からb3rd、b7th、4th音だが、ここも人差し指でなく、薬指か中指でのチョーキングをお勧めする。また5弦、6弦の3フレットのb3rdとb7th音は人差し指でのチョーキングとなる。 以前、楽器店で立ち読みしたブルース系の教本を読んだ時、基本ポジション内でチョーキング出来る音、そんな説明個所があり、それを見て唖然。上を例に取ると、3弦7フレット4th音、2弦8フレットのb7th音、そして1弦8フレットのb3rd音だけしか書かれていない。 初心者向けの教本だったからってのもあろうが、では初心者がそれを見たらどう思うか?。チョーキングはこの3つの音だけしか使えないと思ってしまうのではなかろうか?。理論上はどんな音だろうがチョーキングしたって構わないのに・・・。 だからやる気になれば5弦7フレットの5th音や2弦5フレットの5th音で1音半チョーキングしてb7th音を出したって構わないのである。 本レッスンではロックギターの基本的奏法を説明する場ではないが、チョーキングは非常に奥深い。まず何音チョーキングするか、クォーター、半音、1音、1音半、2音と5パターンもある。中には2音半くらいチョーキングしちゃうギタリストもいる。 また一気にキュイン!、とする場合と時間を持たせキュイーーーーーンとチョーキングしたり、チョーキングダウン、さらには幅の広いビブラート風にチョーキングアップ、チョーキングダウンを繰り返す手法だってある。 今回は色々なチョーキングを盛り込んでいるので、耳コピーする必要はないが、音源を聴いて、チョーキングそのもののニュアンスを掴んで欲しいし、チョーキングを含めたフレーズがどんなものか、速弾きがなくてもこれだけのフレーズが作れ、そこそこ聴けちゃう、それを体験して頂きたい。 また意図的に盛り込んでいる休符、そしてスタッカートにスライドダウン。この3つが非常に重要な役割を果たしているが判ってくれればと思っている。そこそこ弾けているが、聴いていて「こやつ下手糞だなぁ〜」と感じるギタリストのギターソロの何が一番いけないか、それはフレーズがダラダラとしている事。 フレーズにアクセントと言うものを丸で感じないのだ。12小節のギターソロがあったとする。すると12小節一気にオンビートで音が途切れず弾ききっちゃうのだ。アンプからただ音を垂れ流しているだけのギタリスト。速弾きが流暢であってもこれが一番かっこ悪い。 その1の音源ではロングチョーキングの後、必ずと言っていい程、区切りを意味するスライドダウンを盛り込んでいる。つまりフレーズの完結を意味する。次の小節からは新たなフレーズが待ち構えている。そう感じられるのがスライドダウン。 フレーズの区切りに来たら、特にロングチョーキングが区切りの合図であったら、必ずスライドダウンを入れる癖を付ける事をお勧めする。
エリック・クラプトンはフレーズの区切りとしてスライドダウンの他にスライドアップも多用するが、オレはスライドダウンオンリー派。 音楽は「間(ま)」があってこそカッコイイ。この手の音楽ならだいたい2〜4小節を1サイクルとし、1つのフレーズを作ってそれを完結させ、それを5、10、15と連結させていく、これがアドリブの手法である。 アドリブプレイ、弾き手が何も考えず弾いていると思われがちだが、そんな事はドラッグでハイになっている以外、100%あり得ない。多くのミュージシャンはフレーズを弾きながら次のサイクルのフレーズを頭の中で考えているのだ。 頭の中で五線譜が完成されていて、ただそれを弾くだけ、そんなスーパーミュージシャンもいるが、オレはそんな域に一生達しない人間である。でも常に先を考え、漠然ではあるが、おおよそ利用する音、フレーズを考えている。今回はチョーキングが主役なので、如何に色々な場所でチョーキングするかを考えて弾いているのだ。 つまりだ。アドリブと言うのは今まで弾いてきたフレーズ、これをパーツと呼ぼう。パーツを寄せ集めているに過ぎない。だから当然ギター歴が1年未満のギタリストよりも10年選手の方が引き出しが豊富だからパーツも沢山ある。だから自在に、さも何も考えていないようにフレーズが出てくるのだった。 だから初心者の皆さんは30秒、1分のギターソロを考えるのでなく、まずは2〜4小節で終了するの短いフレーズを幾つか作ってみよう。4つ作れたら8小節〜16の、8つ作れたら16〜32小節のギターソロを弾ける事になる。この音源なら16小節でおおよそ30秒だから、それだけ弾ければ大したものだ。 1拍〜2拍程度のトライアングルフレーズをラン奏法で2小節弾けばそれで一丁上がり。ボックスフレーズでラン奏法、これで二丁上がり。長いチョーキングを2、3絡めたフレーズを作れば2小節、4小節なんてあって言う間。これで三丁上がり、マイナーペンタトニックスケールをそのまま上昇、下降するフレーズ、これで四丁上がり・・・。余程センスがない人間で無い限り、1時間もギターと戯れていたら8つくらいのフレーズは作れる筈だ。 「アドリブはその場で弾くものではない。事前に作るもので、それを脳味噌の引出しから出しているに過ぎない」 そして引出しから出したパーツをダラダラ弾くのでなく、パーツとパーツの合間に休符を加える事でフレーズそのものが活きてくるのである。一呼吸置く事で自分が次のフレーズを脳味噌から取り出す余裕も生まれてくる。 トリル、近頃、これを多用するギタリストは減ってきているが、これを多用するギタリストとしてジェフ・ベックが挙げられる。そしてトリルは初心者でも簡単に弾けるのに、カッコ良く聴こえるし、今も新鮮味を失っておらず、是非とも使って頂きたい奏法だ。 さて、今回おちゃらけで「あんたがたどこさ〜」のフレーズを盛り込んでいるが、このように既存の曲のメロディや他のギタリストのフレーズを頂いちゃってもいいのだ。ちなみにこの曲だとディープ・パープルのSmoke On The Waterが案外マッチしちゃう。試しに弾いてみよう。久しぶりのフレーズなのでところどころ忘れているが、笑えるほどマッチするのが判ると思う。
本レッスンはこのSmoke On The Waterならなんとか弾ける、そんな人を対象としているのだから、少なくともこれと同じように弾けなくちゃおかしい。勿論、このようにそのままパクッても無意味だが、Smoke On The Waterのフレーズが自分の物になっていれば、ところどころにさりげなく類似するフレーズを挟むのがお洒落。
Smoke On The Waterでリッチー・ブラックモアが使っているスケールはナチュラルマイナースケールにブルーノートスケールである。またこの曲のキーはGmなので、これをAmにしてやらないとならないし、全てシャッフル、3連のリズムに変更してやら無くてはならないので、案外難しいかも。 下はせっかくだからと速弾きも加えたもの。ほとんどが右手でピッキングしないレガートフレーズだが、レガートにしている分、速弾きなのにそこにアクセントが入っていて、ギターソロが盛り上がるというもの。
カラオケのmidiデータも用意したので、皆さん、これを利用して、各自アドリブフレーズを考え、練習して頂きたい。 |
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