超過速度を水増しした交通違反切符を作成したとして、警視庁は2日、第10方面交通機動隊白バイ隊員の男性巡査部長(38)を虚偽有印公文書作成・同行使などの容疑で東京地検に書類送検したと発表した。同日、停職6カ月の懲戒処分にし、巡査部長は辞職した。
送検容疑は、5月10日午後1時ごろ、東京都板橋区の路上で、40キロの制限速度を超えて走行するオートバイを見つけ追跡。測定された超過速度は二十数キロだったのに、三十数キロとする違反切符を作成したとしている。巡査部長は「測定値よりスピードを出していたので実態に近い取り締まりが必要と思った」と供述しているという。
巡査部長はオートバイを運転していた30代の男性を制止させた後、「違反現場をみてくる」と、その場に待たせたまま、周辺を七十数キロのスピードで走った。その際車両の速度を測定する機器を作動させ、男性が七十数キロを出していたかのように測定値を記録。男性に示して違反切符を作成した。
男性は制止された際、白バイの測定器にデジタル表示された最初の数値をたまたま見て覚えており、警視庁に相談。警視庁が巡査部長から事情を聴いたところ不正を認めたという。
警視庁は男性に交付された違反切符を無効とし、警告に変更したが、巡査部長については虚偽の測定をするため速度違反したとして道交法違反(速度超過)容疑でも書類送検した。中村格警務部参事官は「取り締まりの規範を逸脱した行為。再発防止に努める」とコメントした。【川辺康広】
毎日新聞 2009年9月2日 21時20分(最終更新 9月2日 23時35分)