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ドキュメント・政権交代:「人材バッティング」 副大臣人事ずさん調整

 <世の中ナビ NEWS NAVIGATOR>

 実務派をそろえた18日の副大臣人事。だが、決定に至る経過は混乱を極め、人事調整のずさんさが露呈した。

 「社民党の辻元清美衆院議員と馬淵澄夫衆院議員(民主)に副大臣をお願いすることで内定した」

 午前11時15分ごろ、記者会見した前原誠司国土交通相は国交省の副大臣人事を発表。首相官邸から辻元氏の副大臣起用の打診があり、「共にやらせてほしい」と受け入れた経緯まで明かした。前原氏は、社民党党首の福島瑞穂消費者・少子化担当相も閣議で署名した副大臣人事を発表しただけだが、福島氏は記者会見で辻元氏について「調整中で確定ではない」との認識を示し、食い違いを見せた。

 慌てたのは党国対委員長に就任したばかりの辻元氏。「副大臣は受けない」と民主党幹部に通告し、社民党も重野安正幹事長らが差し替えを協議したが、党首の閣議での署名を覆すのは困難と判断、辻元氏を説得した。

 重野氏は副大臣候補に辻元氏ではない人物を首相官邸に推薦していたが、これが聞き入れられず、国対委員長も「空席」に。平野博文官房長官は夕方の会見で「副大臣は閣議了解をいただいている」とにべもなく語った。

 民主党では小沢一郎幹事長から国会人事を任された山岡賢次国対委員長と、平野氏が綱引きを演じた。先手を打ったのは山岡氏。閣僚が認証式など多忙を極めた16日夜、国対役員を国会に集め副大臣や政務官の打診を受けていない議員を次々に委員長や理事に起用、17日午前には記者発表して既成事実化した。平野氏らは山岡氏に一部委員長内定者らの副大臣への差し替えを求めて直談判したが「すでに発表した」と門前払いされ、政府人事の選択肢は狭められた。

 政府内では人の奪い合いもあった。関係者によると、安保政策通の民主党の長島昭久衆院議員は16日に副防衛相の打診を受けたが、すでに外務政務官の要請を受けていたためやむなく断った。

 その後「防衛政務官でどうか」との声があがり、18日未明に最終的に防衛政務官を官邸から言い渡されたという。同僚議員は「官邸が最初から総合調整していれば副大臣になれる人が(格下の)政務官になることはなかった」とため息をついた。

 平野氏は18日夕の会見で「人材がバッティングしたため調整があったが、良い調整だ」と釈明したが、ある中堅議員は「自民党が築き上げてきたシステムから学ぶべきでは」と苦笑まじりに語った。

毎日新聞 2009年9月19日 東京朝刊

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